男の娘は奴隷商人です。   作:セパさん

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久々に普通のお仕事のようです。

「あひゃひゃひゃ!あひい!あーーっひっひっひっひ!!ア、アム!もう悪戯せぬ!このままでは気が、きが狂って……あぐっ!ひいい……息が、いきができぬ!」

 

「では飯抜きの方が良いか?どうした、始まる前は丸1日でも耐えて見せると豪語していたのにまだ30分だぞ。」

 

「飯抜きは……あひゃはや…いやじゃぁ……わたしが、わたしがわりゅかったー!ひゃははははあひはあはっははっははは!」

 

(現在リリアちゃんですが、【商品】で遊んだ罰として大の字に磔にされウィリアム様の綺麗な十指で脇やお腹、を、傀儡に太ももや足の裏をくすぐられております。奴隷の首輪に使われるほどの拷問ともいえる黒魔術さえ跳ね返し、大爆発の中でも生き残れる守護魔法を操るリリアちゃんですが、流石にくすぐりに対する耐性までは持ち合わせていないらしく、その顔は鼻水や涎にまみれたひどい有様です。)

 

「アム!あ、あむぅ……いっかい、あはやはははっはひひひひ、きゅう、、きゅううけい……ちからがぬけ……て、あ………あっあっあああ。」

 

(くすぐり地獄で全身の筋肉が緩んでしまったのでしょう。リリアちゃんは遂に失禁してしまいました。それを見たウィリアム様は呆れたようにきめ細かな十指を止め、リリアちゃんを磔から解放しました。)

 

「新人、自分で掃除しておけ。次に悪戯したら……こんなものじゃ済ませないぞ。」

 

「ひぃ!わかった!掃除でも何でもでするので勘弁してくれ!」

 

「リリアちゃん、お掃除手伝いましょうか?」

 

「先輩が余計なことをするな。新人にやらせておけ。」

 

「そ、そうじゃ……、わたしが悪かった。ウィーサも部屋を去ってくれ。」

 

(いつもの傲岸不遜なリリアちゃんが嘘のようです。まぁこのしおらしさが何時まで続くかわからないのがリリアちゃんですが。)

 

「それと日が暮れた頃に【商品】の納品があるので、それまで休んでおくように。」

 

「はい、かしこまりました。」

 

「うぅぅ。これほどの屈辱、生涯で味わったことが無いぞ……。」

 

 

「エンエス・グレゴール 25歳 男性 王都にて第一子長男として出生。幼少期より極東の徒手空術〝カラテ〟を習い、15歳の成人まででも17回の優勝経験を持つ。王立学園に入学し16歳で卒業後騎士団に入隊。騎士団に〝カラテ〟のコミュニティを結成し、普及に成功。19歳で騎士団を退役し、〝カラテ〟道場を各地に合計27つ経営、順調な経営をみせていたが、金が入るようになるなり博打と酒に耽溺。マフィアとの繋がりがある裏カジノにも頻繁に出入りし、遂には負けが込んで道場の経営費にまで手を出すようになる。結果的に道場の経営権を手放し、家財一式を売り払うも金貨70枚が返済不可能な状態である。本人に支払い能力はなく、この度職業斡旋のため、金貨72枚にて案内する。 以上、相違はないか。」

 

「もちろんございません。」

 

「ではこの書類に捺印を頼む。おい、2番房室に連れていけ。」

 

「はい、かしこまりました。」

 

「わかったぞ!今回の奴隷(ヘム)は随分筋骨隆々としておるな、これでは洗体が大変そうじゃ。」

 

「リリアちゃん、今度こそ遊んではいけませんよ。」

 

「可愛げのないオスはわたしの好みにあわぬ。アムにも怒られたばかりであるし、変な真似はせぬ。」

 

(本当でしょうか……。)

 

「おいアム、2番房室にぶち込んできたぞ!」

 

「ご苦労。」

 

「しかし今回の商品は珍しいですね。借金が金貨70枚で、売値が72枚……。他の【商品】は金貨10~20枚は手数料が上乗せされてくるのに、良心的な貸金業社だったのでしょうか。」

 

「別にそんな善良な理由ではない。もうあの【商品】から取れるだけとったので厄介払いとしてこちらに送られただけだろう。あの【商品】が運営していた道場はいま、マフィアの息のかかった格闘団体が保有している。それに屋敷も財産もすべて差し押さえた。しかし、格闘家としては超がつく一流だ。自棄(ヤケ)になって事務所やカジノを襲われても困る。……なので我々に売ったというところか。」

 

「なんじゃイカサマ賭博に嵌められたのか。馬鹿なやつじゃの。」

 

「イカサマなんてしなくても賭博とは最終的に胴元が儲かるようにできている。賭博とは脳を焼く魔物だ。耽溺した者の末路は破滅と相場が決まっている。」

 

「彼は……失礼、あの【商品】は最初から嵌められたのでしょうか?」

 

「さぁな。仮にそうだとしてもわたしには関係のないことだ。」

 

「ウィリアム様はあの【商品】をどちらに売るのですか?また工船業務でしょうか。」

 

「それでもいいし、坑道で魔石採掘に従事させてもいい。幸いなことに比類ないほど屈強な肉体を持っているので、買い手には困らないだろう。工船業務なら一回の出航で金貨15枚、鉱山採掘ならば1年で20枚。金貨90枚で売れたとして、まぁ5年もあれば自由の身になれるだろう。」

 

「以前工船業務とは一回の航海が半年で、2,3割が亡くなるという過酷な業務と仰っておりましたが、鉱山採掘も同様に危険なのでしょうか。」

 

「そうだな、落盤事故に毒ガスの噴出、粉塵による爆発や粉じんを肺に吸い込んだことによる呼吸器疾患の発症。常人ならば5年はおろか2年もせずこの世を去る。だからこそ今回のような屈強な【商品】は希少だし、高値もつくだろう。」

 

「しかしそんな環境に5年も身を置いたら身体が……。」

 

「むしろ売りに来た連中はそれを望んでいるのだろう。それに鉱山採掘とは海上に隔絶された工船業務と違って、労働者を反乱に走らせないため賭場も開かれるし娼婦もくる。刹那の快楽に耽溺すればそれこそ5年ではすまない。」

 

「それじゃああの【商品】が解放される可能性は限りなく低いのですね。」

 

「結構なことだ。わたしだって無暗に恨みを買いたくない。この世から消えるならそれに越したことはない。」

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