【私立パラの丸高校 ヒーローアカデミア編】 作: 燃える空の色
雄英高校入学初日。
入学早々、個性把握テストという受難を与えられたヒーロー科A組一同は、無事に試練を乗り越え、放課後の余暇を堪能していた。
「俺、切島鋭児郎!!"個性”は『硬化』!!全身をガチガチに固くできる!!よろしくな!!!」
「芦戸三奈でーす!"個性”は『酸』って言って、全身から酸を分泌できるの!」
「俺は瀬呂範太。"個性"は───」
「はいはい!!俺、黒井正義!!!マサって呼んで!!」
所謂ファミレスにて、一部を除いたほぼ全てのA組生徒が一堂に会し、自己紹介を行っていた。
ヒーロー科の生徒ということもあって皆がそれ相応の個性を保持しており、将来有望なヒーローの卵だと言えるだろう。
「…いや、なんで俺がここに……」
そんなヒーロー志望が集まっている場所に、何故か普通科の少年…多々光が居た。
「ひかる何頼む?ステーキ?串カツ?あ、からあげもいいね」
「なんでそんな肉肉しいもんばっかなんだよ。普通にポテトとかドリンクバーだけでいいよ、俺は」
「えー、どうせならちゃんと食べようよ〜。あ、じゃあ俺このパンケーキ頼むから、半分こしよ!」
注文用のタブレットを触りながら、黒井はどれにしようかなどと楽しげに話している。
「……えぇと、多々、だっけか。なんか、ごめんな」
「……こっちこそ、なんかすみません」
先程瀬呂と名乗った少年が、気まずそうに話しかけてくる。
どちらかと言えば、こちらが謝らなければいけない方なのもあって、ひかるはなんとも言えない表情で頭を下げた。
「ひかる、ポテトきたよ!!」
「おー…」
ひかるとしては今すぐにでも帰りたいのだが、黒井の楽しそうな顔を見てしまえば、流石に一人帰ることも出来なかった。
「うーん……あ、そうだ!」
一人ポテトとジュースを貪るひかるに対し、ピンク色の少女、芦戸三奈が喉を唸らせ、妙案を思いついたとばかりに立ち上がる。
「多々くんも自己紹介しようよ!」
「…え、俺?」
突如芦戸の口から飛び出た自身の名前に、ひかるは困惑した声を上げる。
「そうそう!普通科のことも知りたいしさ、色々教えてよ!」
「いいねそれ!私もひかるくんのこと知りたーい!」
「えぇ…」
続いて透明の少女もそれに賛同し、どうにも断れない雰囲気になってきた。
はぁ、と小さくため息をついて、ひかるが立ち上がる。
「…えっと、私立パラの丸…じゃなくて、折寺中学校出身の、多々光です。個性は…」
瞬間、ひかるの身体が仄かな熱を放ち、内側から湧き出る光が周囲を照らし出す。
「…ただ、光るだけ…です」
「「「………」」」
強い光に包まれたひかるに、良くも悪くも視線が集中する。
―――気まずい……
やっぱり帰ろう。そう思い、ひかるが手持ちの鞄に手を寄せた時。
「すっげぇ!!メッチャ光ってる!!!」
「え」
「どうなってんのそれ!?」
「闇の表裏……!!」
「え、え、え…いや、え」
予想とはまるで違う反応に、ひかるは思わず狼狽え、その隙を詰めるように質問攻めに合う。
A組の生徒達から群がられるひかるを見て、黒井はニコニコと楽しそうに笑っている。「何笑ってんだよ、助けろよ」と視線で助けを送るが、黒井はさらに笑みを深めるばかりだった。
◇
「多々くん、マサ、またね〜!」
「うん!また明日ー!!」
「……また」
夜も次第に更けてきた頃、各々解散と相成って、ひかると黒井は二人、帰路についていた。
「おい黒井、お前のせいで大変だったんだぞ…」
「えー!でもでも、ひかる〜!!結構楽しそうだったじゃん!!直ぐに馴染んだしさー!!」
疲れきった表情を浮かべ、ひかるは黒井に文句を言うが、それでも黒井は何処吹く風だ。
ひかるの少し前を歩く黒井は「やっぱり」「やっぱり」と、何度も口に出していて、その表情は、ひかるには見えない。
「ほら、やっぱり!」
「何がだよ…」
ひかるがそう問いかければ、黒井は後ろを振り返る。
暖かい夕焼けの陽射しに照らし出された黒井の顔は、満面の笑みを浮かべていた。
後光に照らし出され、まるで黒井そのものが太陽になったかのような錯覚さえ覚えるほどに輝く笑顔と共に、黒井は言う。
「──ひかるは、やっぱりすごい奴だなって!!」
「……なんでだよ」
ふと、ひかるが笑った。
満面の笑み、と言うには少し不恰好で、不器用な笑顔。
けれど、どこか暖かくて、優しくて、眩しい微笑み。
黒井は、そんなひかるを見て、やっぱり、嬉しくなってしまう。
だから、だから。
俺が、この
黒井は一人、そう決意した。
芦「あ、ねぇねぇ闇川さん!連絡先交換しよ!!」
闇「、、、いいよ、ニャインでいい?」
芦「うん!あ、そうだ、私達もマサみたいにりこてゃって呼んでいい!?」
闇「好きに呼んでいいよ、わたしもそうするから」
蛙「あら、じゃあ私はりこちゃんって呼ばせて頂戴」
闇「いいよ、蛙水さん」
蛙「梅雨ちゃんでいいわ。これで私達、お友達ね」
闇「、、、うん、ありがと」