【私立パラの丸高校 ヒーローアカデミア編】   作: 燃える空の色

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01.ひかる、OFAを知るやつ

 

 

「……あれ。確かあいつ、隣のクラスの…緑谷、だったっけ」

 

 ひかるが珍しく早起きし、ペットであるケロベロスの哲也、遼、利光を連れて海辺公園を散歩していると、どこかで見覚えのある人物―――先日ぶつかった緑色の少年、同級生の緑谷が唸り声をあげている姿が目に映った。

 

 

「あいつ、何してんだろ。ゴミ掃除?」

 

 緑谷の傍には金髪の骸骨のような人物が大きな声を上げて緑谷を煽り立てており、絵面だけ見れば奇妙なボランティアマンと野次馬である。

 

 

「…いや、ほんとになにしてんの?」

 

 状況の意味不明さに思わずツッコミを入れつつ、なんだか嫌な予感がして、咄嗟に進行方向を変えようとすると――、

 

「……は?」

 

 視線の先にいた金髪の男性の体が膨張し、全身の筋肉が膨れ上がる。

 気づいた頃には、男性はテレビの向こうでよく見た姿に―――『平和の象徴』オールマイトへと変化を遂げていた。

 

 

「は、うそ?え、……は?」

 

 突如ひかるを襲った情報量の暴力。

 意味がわからないし、理解もできない。

 画面の向こうで、満面の笑顔を浮かべながらあらゆる敵を薙ぎ倒してきた、ヒーロー社会を象徴する最高の英雄。

 そんなオールマイトが、まるで吹けば飛ぶような、あんな骸骨のような姿で―――

 

「わん!!わんわん!!!」「わぉん!」「わんわんわんわん!!!!」

「あ、まて、こら…!!」

 

 突如、煙を上げて巨体となった推定オールマイトに対し大きく吠える。

 勿論、そんなことをすれば、向こうが気づかないはずはなく。

 

「お、おおおおオールマイトォ!!!?どどどどうしましょ、見みみ見られ見られてェ!?」

「落ち、落ち着け緑谷少年!!ここは落ち着いて……!!!てうわ!?犬デカ!?頭三つ!?なにこれ!?」

「いや、まず貴方が落ち着いてくださいよ…」

 

 ひかるは「なんで俺が落ち着かせてんだよ」と溜息をつきながらも、二人が冷静になるまで傍で待つことにした。

 

 

                      ▽▽▽

 

 

「……と、取り乱してすまなかったね、少年」

「あ、いえ。大丈夫です」

 

 数分程の時間が流れ、二人揃って表情を強ばらせて慌てていた推定オールマイトもなんとか平静を取り戻し、ひとまずの対話フェイスに入る。

 ついさっきの無様を詫びた後に、推定オールマイトがひかるに迫り、

 

「…すまないが、どうかこのことは内密にしてくれ。平和の象徴であるこの私が、既に衰えているなどと、世間に公表する訳にはいかないんだ」

「あ、はい……それはまぁ、わかりましたけど」

 

 詰め寄ってそう語るオールマイトにひかるは言葉を濁し、チラと、オールマイトの後ろで未だ慌てふためいている緑谷に視線を向ける。

 

「なんで、オールマイトと緑谷が一緒にいんのか…って、聞いていいやつですか?」

「え、あ、僕!?のこと、いや別になんの関係も…!!て、ていうか、なんで名前を知って……!!?」

「それは流石に無理あるだろ。あと、俺お前と同じ中学の同級生だから。お前、爆豪とよく揉めてるし、この前の事件とか……結構有名なんだよ」

 

 「そうだったの!?」と驚愕する緑谷を横目に、ひかるは再度オールマイトに向き直る。

 

 

「あの…俺、このままだと、不審者が学生に野次を飛ばしてるって警察に通報する他無くなるんですけど……」

「……はぁ、仕方あるまい。言っておくが、今から話すことは重大な機密だ。他言することは、絶対に許されない…わかったね?」

「……まぁ、はい。それは分かりました」

 

 そう言うと、更に緑谷が口をがんぐりと空けて、まるで神が目の前で死んだ信徒のような顔をしていた。

 

「い、いいんですかオールマイト!?」

「しょうがないさ。変に誤魔化してネットに書き込まれたりするよりは、素直に事の重大さを伝えた方がいいだろう」

 

 そっと溜息をつき、瞬間、オールマイトの身体から煙が溢れ出て、今度はあの骸骨のような姿に変化した。

 

「それじゃあ、お話しよう…私たちが受け継いできた、個性の灯火──────OFA(ワン・フォー・オール)の秘密を」

 

 

  ▽▽▽▽

 

 

 

「どうだい、理解出来たかい?」

「……」

 

 オールマイトの口から語られた秘密―――世間一般においてもトップシークレットとされるオールマイトの"個性”が人から人へと受け継いできたものであり、そしてそれを次に緑谷が受け継ごうとしている。

 "個性”の譲渡などというネットの噂程度でしか流れない話も、オールマイトの秘密も、何もかもが小市民であるひかるの脳の処理限界を超えるものであった。

 

 先程とは打って変わって立場が逆転、硬直したひかるにオールマイトは苦笑い。

 良くも悪くも、ことの重大さを理解したということだろうと受け止める。

 

 しばらくして、なんとか話を飲み込んだ様子のひかるが眉間をつまみながら、少し後悔した様子でため息をついた。

 

 

「……まぁ、事情は分かりました…けど、聞いといてなんですけど、ほんとに話してよかったんですか、これ? かなり…ていうか、凄く大事な話でしょ」

 

「その通りさ。この力は、百四年余りに渡り受け継がれてきた、正しく希望の聖火。それを知るものは、一部のヒーローや警察を除けばここに居るものしか居ない。ことの重大さを、しっかりと理解してくれたかい?」

 

 彫りの深い、それこそ本当に骸骨のような顔を近づけてくる。

 こくこくと、少し勢い激しく頭を上下に振り肯定の意思を示すと、オールマイトは満足したようにニカッと笑い、「なら良い」とひかるの肩に手を置く。

 

「君、志望は?」

「雄英高校です…普通科の」

 

 そう言えば、更にその笑みを深めて、何か妙案を思いついたでも言うような表情を浮かべる。

 少し嫌な予感がし、このまま帰ってしまおうとしたその瞬間。

 

「そうだ。折角だし、君…なんて言ったかな?」

「ひかるです。多々光」

「光少年!―――君も緑谷少年に付き合う形で、ここで一緒に鍛錬をするってのはどうかな?」

「えっ」

「何、普通科とはいえ、雄英を目指すなら鍛えておいて損は無い。何せ体育祭やらなにやらと、雄英は体を使うことが多いからね!!」

 

 トップヒーローであるオールマイトにそう言われては、小心者であるひかるに断るなんて選択肢は潰されたも同然であった。

 

「お、おねがい……します」 

「よし!!!なら、早速明日から君も混じえて特訓だ!!!とりあえず緑谷少年!!今日中にこのトラックいっぱいにゴミを運ぶぞ!!」

「は、はい!!」

 

 そう言って緑谷が運ぼうとした大量の不法投棄物の群れを見て、思わず「マズったかな、これ」と後悔するひかるであった。




ちょっと無理やりですが、ひかるとワンフォーオール組を関わらせてみました。
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