【私立パラの丸高校 ヒーローアカデミア編】   作: 燃える空の色

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USJ編、ながくない?
独自要素がそこそこあります。


PM1:55 バトル漫画

 

「嫌な予感がしてね…校長のお話を振り切ってやって来たよ。来ると途中で飯田少年とすれ違い…彼を追ってきた謎の敵達と交戦した。厄介だったよ。まるで、空間をすり抜けるように移動するものだからね」

 

「少し前に黒い靄が現れて、彼等と話した後、何処かへ向かってしまったよ…その後、飯田少年に何が起きているのかあらまし聞いた」

 

 ───全く、己に腹が立つ。

 子供達がどれだけ怖かったことか

 後輩らが、どれだけ頑張ったか…!!

 

 ───しかし…!!だからこそ胸を張って言わねばならんのだ!!

 

「────もう大丈夫、私が来た!」

「オールマイトォォ!!!」

 

 ネクタイを強引に解き、笑みを浮かべぬ怒りに満ちた表情と共に、オールマイトは力強く宣言する。

 

 

 私が来た

 

 

 相対する敵を震え上がらせ、あらゆる恐怖を振り払う、『平和の象徴』たるが故の言葉。

 それを聞いて、緑谷達もまた。言い表せない安心感と、その圧倒的なまでの雰囲気に呑まれそうになる。

 

「待ったよヒーロー、社会のごみめ」

 

 その姿を、『平和の象徴』を。死柄木弔は憎々しげに睨み付けていた。

 

 軽く、オールマイトが跳ねる。

 その場にいた全員が、その姿を注視していたはずだった。

 けれど次の瞬間、オールマイトの姿が消え……死柄木が仰け反ると同時に、爆豪を抱えたオールマイトが、緑谷の傍に現れる。

 

「!!?」

「皆入口へ。相澤くんを頼んだよ。見たところ意識が無いだろう、早く!!」

「え!?え、あれ!?速ぇ…!!」

 

 瞬きの内に目の前に現れたオールマイトの姿に生徒達が驚愕しているのを横目に、オールマイトがこの場の全員に避難を促し、その視線は脳無と死柄木、二人の敵に向けられる。

 

「ああああ…だめだ…ごめんなさい…!お父さん……」

 

 ふらり、ふらり。

 今にも倒れそうになりながら、死柄木は吹き飛ばされた顔の手を拾い上げる。

 

「…救けるついでに殴られた…ははは、国家公認の暴力だ。流石に速いや、目で追えない。

───けれど思ったほどじゃない。やはり本当だったのかな?弱ってるって話……」

 

 その手を顔に嵌める直前に。

 憎悪と愉悦に満ちたその顔と瞳が、オールマイトの視線と交差する。

 

「オールマイトダメです!!あの脳みそ敵!!ワン…っ僕の腕が折れないくらいの力だけど、ビクともしなかった!!きっとあいつ……!!」

「緑谷少年。…大丈夫!!」

 

 不安げに叫ぶ緑谷に、オールマイトはピースサインと共に胸を張って答える。

 

 

「何故って?────私が来た!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 オールマイトがUSJに現れるのと、ほぼ同時刻。ひかるたちは、謎の黒装束達の襲撃を受けていた。

 

「いや、え…なに?」

「ひかる!?良かった、目が覚めたんだ…!」

 

 困惑するひかるに気づき、黒井はほっと胸を撫で下ろすように声をかける。

 声を聞いて視線を向ければ、そこには満身創痍の状態で己を見つめる黒井が居た。

 

「黒井、だいじょうぶなの、ソレ」

「あああ待って、動かないで!!ひかる覚えてないの!?ひかる今凄いボロボロで……!!」

 

 あわあわと慌しく表情を変化させる黒井を横目に、ひかるは自分の身体を見る。

 左腕はあらぬ方向にへし折れ、頭から垂れた血が全身を這っている。

 あぁ、これは確かにボロボロだ。

 どこか他人事のようにそう自覚すると、何やら痛みを感じてきたような気がする。

 

「…いや、そうじゃなくて……誰、あいつら」

 

 そう言って、ひかるはもう一度黒装束の連中を見る。

 ふらりふらり、奇妙に左右を揺蕩いながら、仮面を装着した黒装束達は刃を手に持ち、その場に停まっている。

 先程、黒井達は連中を見て異様な程動揺していた。けれどひかるには全く心当たりがない。

 「前」に置いても今世に置いても、ひかる は殆ど常に黒井のそばに居た。

 他の二人とも一緒にいる機会は多かったし、三人が揃っている時にはひかるも同席することがほとんどだった。

 だと言うのに、三人が知っていて、それでいてひかるが知らないナニカ。

 「前」の世界関係なのだろうと予想はつくが、結局何なのかは全くと言っていいほど不明のままだ。

 

 何も分からないまま周囲をキョロキョロと見渡すひかるを見て、見里が驚いたような表情を浮かべる。

 

「ウソ、ぴかるん覚えてないん?」

「あそっか。ひかるは「前」の世界の最後ら辺のこと、あんまり覚えてないんだっけ」

 

 黒井があっけらかんとそう言うが、ひかるからすれば死活問題だ。

 今の見里の様子を見るに、恐らく「前」の最後について、覚えていないのは自分だけなのだろうと予測が着く。

 そして、その覚えていない記憶の中に、目の前の黒装束に関する情報があるのだろう。

 そうじゃなければ、「前」の世界でも今世でも見たことがない目の前の敵達と黒井達に面識がある理由がわからなくなってしまう。

 

「あれ……?」

 

 ────いや、待て、違う。

 ひかるにとって、目の前の敵は初めて見る存在なはずだ。

 だというのに、この既視感はなんだろうか。

 別の漫画で同じようなキャラを見た時のような、そんな感覚。

 ひかるは、どこかで目の前の敵と遭遇したことがあるはずなのだ。

 

「ひかる……?」

「……っ!!」

 

 そうだ、違う。ひかるは目の前の黒装束を見た事がある。

 確か「前」に平の平行世界移動に巻き込まれて、バトル漫画の世界線に移動した時に───、

 

「……」

 

 一人思考の海に沈み、何かに気付こうとするひかるの顔を黒井はジッと見つめる。

 

 

 

 ────きっと、いつかひかるも、全てを知る日が来るのだろう。

 

 

 

 そんなことはわかってる。いつまでも隠し通せるとは思っていない。

 知らせたくない、知って欲しくない。

 ひかるには、いつまでも何も知らないままで、ただ守られるだけでいて欲しかった。

 それでも、いつかか教えなきゃ行けない時が来る、知ってもらわなきゃ行けなくなることくらい、黒井にもわかっている。

 

 ───けど、それは今じゃない。

 顔に僅かな影を落とし、不安げに眉を顰めるひかるを見て、安心させようと言葉をかける。

 

「大丈夫だよ、ひかる」

「いや、何が…て言うか、これピンチじゃ……」

 

 ひかるがそういい切る前に、その細い身体を、腕の中に強く引き寄せる。驚いたひかるが何かを言おうと黒井の顔を見て、押し黙る。

 その凍てつくような視線は、黒装束に向けられていた。

 

 

 ふらり、ふらり。

 揺れるように動きながら、黒装束達は素早い動きでひかる達を取り囲む。

 

「私が爆破すれば、、、っ!!」

 

 闇川が接近して起爆しようと足を踏み出すと同時に、黒装束達が手に持った投剣を放つ。

 宙を翔る剣は闇川の戦闘服を僅かに掠め、避ける為の後退を余儀なくされる。

 

「マサ!!」

「───俺が、守るから」

 

 同時に放たれた無数の投剣を、黒井達の頭上に展開されたブラックホールが吸引する。

 

「、、、来た!」

 

 投剣が通じないと見るや、黒装束達は剣を投げ捨て、その両手足を構える。

 黒装束達の手足は黒い鉤爪のような形をしており、鋭利なそれは容易く人体を切り刻むことができるだろう。

 

『『「「─────」」』』

「…来いよ」

 

 その言葉を皮切りに、黒装束達が飛び込んで来る。

 両腕、両足に携えた鋭い刃が殺意を持って振るわれ、同時に水球や火球などといった"能力”を用いた攻撃も行われる。

 同様に、黒井がブラックホールを展開し、見里はその瞳で未来を見据え、闇川が起爆準備を開始する。

 瞬きの内に双方が激突する、その瞬間。

 見里が、ふと口を開く。

 

「ちょっと遅すぎるわ〜」

「見里、何言って……」

 

 唐突に呟いた言葉に、ひかるが疑問を呈そうとしたその時。

 空から、無数の武装が飛来してくる。

 斧や刀剣、あるいは大砲や銃弾までもが次々と宙を駆け、黒装束達を貫く。

 

「ごめんて、未来」

 

 バトル漫画のような戦闘を行おうとしていた子の空間に、まるで日常生活のワンシーンのような、どこか軽々しい、それでいて凛とした芯のある声が響く。

 その声の持ち主こそが、この場にいる四人の友人でもあり、それでいて最も戦闘力に長けた人物。

 

「へー子!?」

「…いや、タイミング良すぎだろ…」

 

 

 無数に射出される武装の嵐を携えて、平翔子が颯爽と現れた。

 

 

「へこちゃん、、、用事は、大丈夫なの?」

「んー大丈夫。心配してくれてありがとね、りこてゃ」

 

 心配そうに声をかける闇川に、しかし平はなんともないように言葉を返す。その顔には僅かな翳りが見えるが、闇川はそれに対し何を言うでもなく。そんな闇川を見て、平は満足したように微笑み、再び黒装束に目線を移す。

 

「それよりも、やっぱり居たんだ、こいつら。もしかしたらって思ってはいたけどさ……流石にしつこすぎん?」

「それな〜。数エグすぎだし、潰しても潰しても出てくるし……けど、もう大丈夫」

 

 平と見里が黒装束達の眼前に立ちはだかる。

 

「…ぴかるんを守るのはマサだけじゃなくて、ウチら全員…みんな揃えば最強っしょ」

「もち。さっさと倒して、オールマイトの所行こ」

「うん、、、クラスのみんなも心配だし急がなきゃ」

「よーし、頑張るぞ!!」

「なんかもう…すごいな、堂々と」

 

 そう言って、ボロボロなひかると黒井の前に、女子三人が立ち並ぶ。

 相対するは無数の黒。ヒロインは男二人で、ヒーローは女子三名。

 ……構図だけ見ると最悪だな、これ。

 ひかるは、心の中でそうボヤいた。

 

『「──────」』

 

 直後、双方が動き出し、再び衝突する。

 

「"超重力天体(ブラックホール)”展開───!!」

開門(ゲートオープン)──"多面世界武装(パラレルアームズ)”」

「"起爆準備開始(せっと)”」

 

 黒井が片手を大きく震えば、その軌道に沿うように動くブラックホールによって大多数の黒装束が宙を舞う。

 隙を晒した黒装束に向けて、平が波紋から現れた無数の武装の嵐を放ち、その肉体を貫く。

 

起爆(ふぁいあ)

 

 黒井のブラックホールを逃れ、地上に残った黒装束達に闇川が接近し、その身体に触れた者が爆破によって吹き飛ばされ、地に伏せる。

 

「っ来た!?」

 

 黒井達戦闘に適した"能力”持ちが範囲殲滅を行う中で、それらを掻い潜り、僅かにうち漏らした黒装束がひかる達の元へと迫る。

 

「未来、大丈夫そ?」

「よゆ〜」

 

 闇川は味方を巻き込む故に、近くに味方がいる場所で戦うことが出来ない。平は最も強いが故に最も多くの敵に群がられ、黒井とひかるは言うまでもなく既に重症。ただでさえ黒井は限界まで"能力”を酷使してブラックホールを使っているのだから、これ以上無理をさせられない。

 となれば、残るは見里未来一人のみ。

 この場において、ひかると同様に直接戦闘に不向きの"能力”を持った少女。当然のごとく、黒装束達は見里を驚異と見なさず、一直線に黒井とひかるの元へと駆ける。

 

「ウチが未来見えないの、アンタらのせいっしょ?でも…」

 

 ひかるを庇う黒井に向けて鉤爪を振るう黒装束の胴に、横から蹴りを入れる。見た目よりも強い力で振るわれたそれを受けて、黒装束は大きく吹き飛ばされる。

 

「アンタら相手に、そんな先の未来見えんくても関係ないし」

 

 未来が見えずらいとは言っても、ほんの数秒先程度ならはっきり見える。背後から振るわれた凶手を軽々と避け、振り向きざまにその面を蹴り飛ばす。

 

『「────」』

 

 面を失い、黒装束がその顔を晒す。

 歪んだ笑みを浮かべる白い面の裏側───そこには、永遠に続く虚無が拡がっていた。

 

『「」』

「……やっぱり」

 

 仮面を剥がされた黒装束は、まるで最初から何も無かったのかのように崩れ落ち、空間の渦に吸い込まれるように消えていった。

 

「今のは……」

 

 黒装束が消えていった空間を呆然と眺め、ひかるが疑問を口にしようとして……その声が意味を象る前に、爆音に掻き消された。

 

 なんだ、と咄嗟に振り返れば、同様に黒井達や黒装束も其方へと視線を向けている。

 よく見えないが、爆音の鳴り響いたのは、緑谷やオールマイト達がいた方向だった。

 

「オールマイトやば〜」

「ゴリラじゃん」

「すごい、、、」

 

 どうやら、オールマイトが脳無や死柄木たちを圧倒しているらしい。

 目を凝らしてみれば、遠目からでも、コンクリートに埋め込まれた脳無の姿が僅かに見える。

 

「オールマイト…大丈夫、だよな……?」

 

 けれど、そんな姿を見てもなお。ひかるの脳裏には、オールマイトへの心配が残っていた。

 今朝、登校中のネットニュースで、オールマイトが出勤ついでに敵を退治したという記事が乗せられていた。

 加えて、先生たちの会話。恐らく、オールマイトは既に活動限界に近い筈だ。

 

 この場において、ひかると緑谷だけが知っているであろう秘密。

 

 大丈夫だとは、思う。考えすぎだとも、心配し過ぎだとも。

 向こうには轟や爆豪、緑谷達もいた。

 そうでなくとも、なんてったってオールマイトだ。『平和の象徴』と呼ばれる程の、ヒーロー社会を代表する存在だ。 

 

 だというのに、ひかるの胸の奥には。

 一抹の、決して拭えぬ不安が残り続けている。

 ぐるぐる、ぐるぐると、良くない想像ばかりが脳裏によぎる。

 自分の良くない癖だと理解しているものの、それでも考えるものは考えてしまう。

 

 けれど、彼はオールマイトだ。

 どんな敵にも負けずに立ち向かってきた英雄だ。だから、心配することなんてない。

 

 ひかるがそう自分に言い聞かせていると、突如、黒井が慌てたように叫ぶ。

 

「ひ、ひかる…オールマイトが!!」

「あーもう、なんなんだよ……」

 

 黒井に言われるがまま、改めて、オールマイトを見る。

 

「……え?」

 

 ひかるの視線の向こうでは、オールマイトが脳無の腰をがっちりと掴み、バックドロップをかましていた。

 それだけなら、いい。オールマイトが優勢であると、ただそれだけなのだから。

 けれど、そのオールマイトの上半身は黒い靄を通り抜け、今にも閉じようとするワープゲートに、その決して長いとも短いとも言い難い人生と共に、絶たれようとしている。

 

 

「オール、マイト……?」

  

 

 未だ、「超常」の「非日常」は終わらない。

 

 




ほんとは"ギャルの財宝”とかにしようかなと思ったですが、さすがに自重しました。
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