【私立パラの丸高校 ヒーローアカデミア編】 作: 燃える空の色
いつの間にかこの世界に生まれ変わっていたひかると黒井。
ひょんなことから二人は雄英高校を目指ことに!
いざ試験へと向かったところ、そこには「前」の知り合いたちが……?
受験生達の様子を審査するためのモニタールームにて、数十人近くの教師達が…より正確に言えばプロヒーロー達が、その映像を見ていた。
「実技総合成績出ました」
「救助P0で2位とはなぁ!」
「"1P” "2P”は標的を補足し近寄ってくる。後半他が鈍ってく中、派手な"個性”で寄せ付け迎撃した。タフネスの賜物だ」
まず最初に注目が集まったのは、ウニのような頭をした少年。
画面の向こうでは、彼が次々と仮想敵を爆破していく姿が映っていた。
ヒーローと言うよりはヴィランチックな笑みを浮かべ、粗雑な言動も見られるが、その"個性”は極めて強力であり、彼自身も高いセンスを秘めているのが伺える。
「対照的に、敵P0で8位。
「思わずYEAH!って言っちゃったからな───」
画面が切り替わり、次に映ったのは緑色のモジャモジャ髪の少年だ。
途中までは何も出来ず右往左往しているしか無かったようだが、最後には0P敵を相手に"個性”を使用し、見事撃破している。
「しかし自身の衝撃で甚大な負傷…まるで発現したての幼児だ。妙な奴だよ、あそこ以外はずっと典型的な不合格者だった」
「細けえことはいんだよ!俺はあいつ気に入ったよ!!」
「YEAH!!って言っちゃったしな──」
あの巨大な仮想敵を一撃で粉砕して見せたあと、少年の腕は青紫に変色してしまっていた。
けれど、誰かを助けるために立ち上がったその様は、ヒーロー候補生として足り得るものだったと、この場の誰もが認めている。
「……で、どうするよ、こいつ」
「……」
先程までの和気藹々とした空気が突如一変し、まるで地雷処理時のような緊迫感が部屋全体を包み込む。
この場にいる歴戦のプロヒーローたちでさえ、その扱いに困窮する程の存在が、今年の受験者の中にはいるのだ。
「黒井正義……敵P120。救助P15。総合135P」
「実技試験の成績としては、他の追随を許さないな」
「そりゃぁそうだろ!見ただろ!?あいつの"個性”!!―――試験会場に居た仮装敵を全部、吸い込んじまったんだからよぉ!!?」
そう言って連想されるのは、試験時間終了が近づいてきたその頃。
突如試験会場全体が暗黒に包まれ、同時に0Pも含む残っていた仮想敵を全て葬り去った、あの光景。
『恐らく、僕と似た系統の"個性”…けど、あの子の"個性”の方が、僕よりもよほど繊細で、より強力に見えます』
「一般の生まれであれほどの個性を持った子が、今まで何も事故を起こさなかったのは、奇跡としか言いようがないな」
稀にではあるが、一般家庭に生まれた強力な個性を持った子供が個性を暴走させて、ヒーローが出動する事態になることもある。
この少年、黒井正義も一般の出のようであるが、資料を見る限りそのような経歴や前科は見当たらない。
「けど…筆記試験の成績がなぁ…」
「点取れてない訳ではないんだけど…合格ラインには足りないわよね…」
中学の成績を見るに、これでも頑張っている方なのだとは分かるが、それでもやはり合格までは至らない。
実技試験ではダントツなのに、筆記では最下位に近い。何とも極端な結果である。
「しかし、これだけの逸材を逃すのは惜しい。何らかの措置をとるべきではないか?」
「確かに……けどよぉ、こいつ1人のために仕組み変えちまうのは不公平じゃねぇか?」
「それじゃあ、ついでに合格者の規定数も増やしちゃいましょうか。あ、ほら、この早川くんとかもいい感じじゃない?」
「確かに…個性は、速度関係かな?」
「この娘もすごいな…吸血鬼っぽい個性なのに、昼間でも問題なく活動してる」
「それに…なんだこれ、2人とも出身違うはずなのに、初対面で仲良く話して協力してる?」
「なんなら、人助けする余裕まであるみたいね」
次第に話は進み、再び何処か楽しげな空気が戻ってくる。
「…………ったく、わいわいと…」
その後ろで、ひとり。
冷静に、場を眺めているものが。未来の生徒たちの映像を睨みつける男が、ひとりいた。