【私立パラの丸高校 ヒーローアカデミア編】   作: 燃える空の色

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07.ひかるとマサ、級友と再開するやつ

□雄英高校入学、2日目。

 

 特にこれといったイベントはなく、至って普通の授業を受けていけば時間はあっという間に過ぎてき、

 既に時刻は既に正午を周っていて、黒井とひかるは雄英備え付けの学食で昼食を取っていた。

 

 

「でさでさぁ〜、緑谷がすごくて〜!」

「えぇ…怖。てか、入学式いないと思ったらそんなことしてたのかよ」 

 

 相も変わらず変な物を食べる黒井を横目につけめんを啜りつつ、ひかるは黒井の話に耳を傾ける。

 昨日、雄英初日の入学式に姿が見えず、結局聞くことが出来ていなかったのでで気になっていたのだが……雄英の校風は自由らしいが、だからといってその教師も自由しすぎだろう。

 入学式をすっぽかすって、とひかるがドン引きし、

 

「っていうか、緑谷のやつ、合格してたのか…」

 

 と、ついでとばかりに明かされた事実に驚く。

 この前の話では、緑谷は試験でほとんどポイントを得られずにいたと言う話だったが…黒井の結果を聞いた時に言われていた、救助Pとやらが結構な働きをしたのだろうか。

 まぁめでたいことではあるし、ひかるとしても嬉しいことだと思う―――が、それはそれとして。せっかく入学できたと言うのに、初日から指を一本ダメにしたというエピソードにひかるは戦慄していた。

 そうやって談話を続けていると、

 

「あ、いたいた。マサ〜ぴかるん〜」「ウチらもご飯一緒に食べよ」

 

 後ろから声がかかる。―――聞き馴染みのある声だ。

二人が揃って後ろを振り向くと、そこにはトレーを持った二人の少女―――見里未来と平翔子の姿があった。

 

 

「未来とへー子!久しぶり、元気だった?」

 

 二人の姿を視認して、黒井が声を跳ね上げる。

 

「おひさ〜」「めちゃ元気、マサも元気そうじゃん」

「うん、超元気!!」

 

 自らの健康をアピールするかのように腕を大きく振り回す。

 バシバシとひかるの肩に何度も当たり、文句のひとつでも言おうとして…やめた。なんてったって、十数年ぶりの再開だ。ここで水をさすような真似をするほど、ひかるは厳しくはないつもりだった。

 

「それじゃ、未来たちも一緒に…!」

「あ、黒井くん」

 

 そのまま四人で食事を始めるようとしたひかる達に、再び声がかかる。

 今度は誰だ、と一瞬疑問に思うが、その声をしっかりと認識――勢いよく振り返る。

 

「私達も一緒に食べていい、、、?」

 

 ひかるが勢いよく振り向けば、そこにはこれまた見覚えのある、三人の女子がいた。

 蝙蝠のような羽を生やした、白髪の少女。

 毒々しい紫髪を生やした少女。

 そして、同じ制服なはずなのにどこか危うげな雰囲気を感じさせる、地雷系の少女。

 それぞれ非常に個性的であり、一度記憶したら焼き付くような存在感。

 たとえ月日が流れようとも忘れられない彼女らとの、ひかる達にとって久しぶりの再開だった。

 

「りこてゃとキューちゃんに、ブッスーまで!うわぁ、なんか懐かし〜」

「いや、実際十数年ぶりだろ。ていうかその呼び方やめろってば…久しぶりの再会でまでツッコミさせんなよなゴブォッ!」

「相変わらず毒吐きながら毒吐いてるし、丁寧なツッコミ…」

 

【――人物名:毒島菫

   能力:毒(貯蓄型)

   解説:時間経過で毒が溜まる。毒を吐くと毒を吐く】

 

 毒島が吐き出した毒が床を溶かす横で、白髪にコウモリの羽を生やした少女がひかると黒井に大きく腕を降って、

 

「ひかるくん、マサくん、久しぶり!」

「あ、うん。華月さんも、久しぶり」

「久しぶり〜!」

 

 そうやってにこやかに笑う彼女の笑顔はまるで太陽のように輝いており、気のせいか彼女の周りに粉のようなものが舞っている姿さえ幻視する。

 

「―――灰になる〜ッ!!」

「って、マジで灰になってんじゃん」

 

 その実、窓から差し込む陽光に照らされ、頭の端から灰に帰しているだけだった。

 

【――人物名:華月祈侑

   能力?:吸血鬼

   解説:吸血鬼そのもの】

 

「大丈夫なの?それ」

「何が!?」

「……」

 

 一応華月を心配して声をかけるが、当然の如く本人は素知らぬ様子。

 よくよく思い出してみれば、「前」からこの女子生徒は吸血鬼なのに毎朝ランニングに行ったり献血に行ったり海に行ったり日サロに行ったりニンニクラーメンを作っていたりと、アイデンティティに反した行いをしていた気がする。

 やはり年月とは記憶を薄れさせるものである、ひかるがそれを再確認していると、闇川は小首を傾げて、

 

「それで、私達も座ってもいい?」

 

 と再び問いかける。

 

「もちろん!座って座って!!3人は何頼んだの?」

「ニンニクラーメン!!」

「ロメインレタスのサラダとアサイーボウル」

「ステーキ、、、」

「バラバラだな…」

 

 あまりにも個性的がすぎるメニューである。

 これら全てに対応するランチラッシュは一体何なのだろうか。

 奇妙なものを見る目でランチラッシュを見るひかるを他所に、他のメンツは食事を取りながら会話に花を咲かせ始める。

 

「へぇ〜!じゃあ3人は小学校で出会ったんだ」

「うん!入学式で3人顔を見合せて、ガビーンって!」

「まぁ、私はそれから9年間、二人に振り回されてきたってワケ…ブフォ」

「あ、スミ、毒が、、、」

 

 黒井とひかるが幼稚園で出逢ったように、3人は小学校で出会ったらししく、それからずっと一緒のようだ。

 それを証明するかのごとく、毒島が吐いた毒を、流れるように闇川が処理している。

 

「ごめん、リコ」

「大丈夫だよ、、、未来ちゃんとへこちゃんは、何時出会ったの?」

 

 毒を処理する傍ら、闇川が見里と平に問いかける。

 二人は少し考え込んだ後に揃って、

 

「ウチらは幼稚園の頃に偶然であって、そっからずっと一緒」「永遠のズッ友〜」「学校とかクラスとかでも離れたことないんよ」「クラス替えでも引き裂けないニコイチ〜」

 

「…なんか、すごいな、色々」

 

 どうやら、この二人の出会いはひかると黒井と同じような感じらしい。

 「前」の二人は高校で初めて出会ったというのにあれだけの一体感と親密度をつくりあげ、色々と規格外のことをしてきたのだ。

 きっとこの世界でも「前」と同じように、あるいはそれ以上に、様々なことを成し遂げてきたに違いない。

 

「そう言えば、マサがヒーロー科行くのわかるんけど、ぴかるんはなんでヒーロー科行かんかったん?」

「いや、どう考えても俺の個性じゃ無理だろ」

 

 突然の見里の質問に無意識、何を言ってるんですか、とひかるが嫌々と言うと、毒島が食事の手を止めて不思議そうに、

 

「そういや、多々の個性も前の能力と同じなんだよな。なんだったっけ、多々の能力」

 

 と聞いてきた。 

 げ、とひかるは嫌な顔をする。

 ひかるは過去に緑谷に対し、「別にこの能力が嫌いな訳では無い」とは言ったが、それでも自分の力はあまり誇れるような能力ではないということはよく分かっているし、あまり人に見せたいと思うものでもない。というか、バカにされるのが分かりきってるので嫌だ。

 というか、「前」に見たことがなかったっけ?と思ったが、そう言えば、毒島の前でそこまで能力を使ったことはなかったかもしれない。

 けれど…

 

「いや、だから俺の能力…ただ光るだけなんだって」

 

 ぽわっ、と。

 ひかるの身体から、どこか暖かい光が溢れ出し、周囲一帯を照らし出す。

 その暖かな光に包まれて、毒島が一言。

 

「……ごめん、なんか」

「謝るなよ。こっちが辛くなるだろ…」

 

 瞬間的に、沈黙が流れる。

 

──気まずい…

 

 自分のせいとはいえ、流石にこのメンツでの沈黙はきついものがある。

 どうにか話題を作らなければ…と、ひかるが頭を回転させ始めたその時。

 

「ぶっ…あっははははは」

 

 黒井がまるで耐えきれないとばかりに腹を抱えて笑い出す。

 

「…いや、なに急に笑ってんの。怖いんだけど」

「いや、だって、ひかるとブッスーが、あははははは!!」

「はぁ?」

 

 何かは知らんが、今のやり取りが黒井のツボにハマったらしい。

 ある意味では助かったと言えなくもないが。

 ひかるは思わず、ため息をつき、机から立ち上がった。

 

「……はぁ、もういいよ。てか黒井、いつまで笑ってんだよお前」

「ご、ごめ、いや、面白くて。…そ、それじゃあ、もう時間だから。先行っとくね…」

 

 未だ笑いを堪えながら、黒井はトレーを下げて、1人教室へと帰って行った。

 

「あ、それじゃあ、私もこれで。多々くん、未来ちゃん、へこちゃん、またね」

「あ、うん。また」

 

 そんな黒井の背を追いかけて、闇川を小走りで廊下を駆けてく。

 

「それじゃ、ウチらも戻ろっか」「おけまる〜」

「……まぁ、いいか」

 

 他の皆が立ち上がり、各々去っていくと、ひかるもまた、教室へと帰っていく。

 ついさっきまで楽しく話していたものだから、たった一人で廊下を歩くことに、ほんの少し寂しさを感じるが…それ以上に、ひかるの胸を埋めるのは、懐かしさと喜びだった。

 久しぶりに見たたくさんの顔ぶれを見て、ひかるの脳裏には、やはり前世の、あの日々のことが思い浮かんだ。

 

 かつての日常を、少しは取り戻せた気がする。

 少なくとも、ひかるはそう思った。

 

 




3周年特別編第4話、あまりに最高でした。
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