ヘイロー持ち男子生徒の過去を知った結果   作:縁の下の焼き鳥

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タイトル通り、ホシノの視点での話です。

おじさんって曇らせられる為に生まれてきたのかってぐらい曇らせ多いよね。

最近暑いですよね、汗がよく出ますけどユメ先輩はもっと暑かったのかな?


2話 ホシノの話

 

 

 シロコちゃんに背負われている頼りなさそうな大人と一緒にいる生徒……。初めて彼、神宮司アキトと出会った時の印象はその程度でしかなかった。

 

 今まで一度たりとも助けになんかこなかったのに今更援助に来るなんて怪しいとしか思えない。対策委員会のみんなの前では何時もと同じ様に装っているが、私は2人の行動を常に監視していた。

 

 少しでも怪しい真似をしたら二度と私達やアビドスに近付かないようにする為に……。

 

 アビドス高校にヘルメット団が攻めて来た時、私は2人の実力を目の当たりにした。

 

 ヘイローが無くて、銃弾が少しでも当たれば致命傷になりかねないというのに自ら前線に出て適切な指揮をしてくれる先生。そしてここ、キヴォトスで初めて見たヘイローのある男子生徒である神宮司アキト。前線に出つつ、私達と同じ様に銃を使いながら戦っていた。

 

 少なくともヘルメット団との戦いを通して、私はシャーレから来た2人を過小評価していた。戦闘後も2人を怪しみつつお礼を言い、親し気に接していた。

 

 その後、セリカちゃんが攫われたと分かった時にアキトと先生の姿が見えなくて、最初はセリカちゃんの誘拐に携わっているんじゃないかと疑ったりもした。

 

 でもそれは要らぬ心配だったようで、セリカちゃんはアキトに手を握ってもらいながらアビドス高校に帰ってきた。よく見ればアキトの服が少しボロボロになってたり、所々砂で汚れている箇所があったりして、私は瞬時に理解した。

 

 ──セリカちゃんを助ける為に戦ったんだと。

 

 あれだけアキトと先生に反抗心剥き出しだったセリカちゃんもすっかり心を開いている。最初から友好的だったシロコちゃん達も更に親しくなっていた。

 

 薄々と気付いていた。シャーレから来たこの2人は今まで私達や……ユメ先輩を騙してきた大人とその仲間じゃないって事は。だけど、それでも私は2人は怪しいと思っていた。

 

 こうやって私達の事を完全に信用させてから裏切るかもしれない、そう思ってしまうから。

 

 だから私は2人の事を信用しない……いや、正確には信用する事ができなかった。私の知っている大人達はそうやって私達を裏切ってきたのだから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局2人は裏切る事はなかった。

 

 寧ろ2人は、独断でみんなに黙ったままカイザーの所へと向かって拘束されていた私を助けに来てくれた。

 

 悪い大人(カイザーと黒服)に裏切られて、絶望に染まっていた私の元にアキトは誰よりも先にやって来て、手を差し伸べてくれた。あれだけ信用してなかった者の手を取り、みんなの所へ戻ってきた私の顔は涙のせいでとてもじゃないけど、酷い顔になってたと思う。

 

 この時を境に、私は初めて対策委員会のみんな以外で心から信用できる人ができたと思っている。

 

 気付けば空は夕陽によってオレンジ色に染められており、私を助けられたからと安心したように笑顔になったアキトの顔を見ていると、何故だか頬が赤くなっていた。

 

 当時の私は、アキトの顔を見る度に頬が赤くなる理由が全く分からなかったが、ノノミちゃんやセリカちゃんはどうやら気付いていたらしいけど教えてくれなかった。

 

 

……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……嘘」

 

 

 セリカが己のスマホへと目を向けながら呟く。

 

 セリカを始め、対策委員会の全員が自身のスマホを見て驚愕していた。スマホの画面に映っているのはシャーレに所属している男子生徒であり、対策委員会の誰もが知っている者だった。

 

 突然スマホから聞こえてくる謎の声。

 

 声からして喋っているのは女性である事に間違いはなさそうであるのだが、その声は何故か対策委員会の面々らに不快感を与えていた。

 

 最初の内は何者かによるイタズラが目的であるものであろうと誰もが思っていた。対策委員会の中でも特に勘が鋭いであろうホシノですら、その意図を理解する事ができなかったのだ。

 

 だが、その声から“神宮司アキト”という名前が出た瞬間、ホシノを含めた対策委員会はこのハッキング行為はただのイタズラではないという事を瞬時に理解した。

 

 そして声の主であるベアトリーチェが次に発した言葉によって、嫌でも聞かざるを得なくなってしまった。

 

 

 「アキト先輩の……過去?」

 

 

 ノノミが呟く。

 

 アキトは、その殆どの情報が謎に包まれている。何処かの学園に所属している訳でもなく、何処から来たのか、先生ですらアキトの全てを知っている生徒ではなかった。

 

 故に怪しいと思いながらも、スマホの画面を凝視する事を止めなかった。もしそれが本当なら、少しでも神宮司アキトという男について知れるから。

 

 だがホシノは、アキトの過去について妙に胸騒ぎを感じており、嫌な予感がしていた。──そして予感は当たった。

 

 

 『彼は……キヴォトスの者ではありません。彼、神宮司アキトは連邦生徒会の管轄外である無法地帯から此処、キヴォトスまでやって来たのです』

 

 

 その事実に、対策委員会の全員が驚きを隠せなかった。とはいえ、これまでの行動を振り返ってみれば……フォークやスプーンを逆手持ちで食事をしたり、キヴォトスなら必須とも言えるスマホの扱い方を学生であるアキトが全く知らなかったりと、そういえばと思わせるシーンがチラホラとあった。

 

 だがホシノは思った。

 

 ──それだけ?

 

 確かに驚きはしたが、嫌な予感がしていて警戒してた分、その内容に対してホシノは少し安堵していた。確かに驚きはしたものの、自分が思っていたよりも大した事はないなと思っていた。

 

 

 『これだけだと思いましたか?』

 

 

 先に言ったように、ホシノの予感は当たっている。故にベアトリーチェのターンはまだ続いており、フフフと笑っていた。

 

 まるでホシノの思っていた事を見透かしたかの様に笑っているベアトリーチェの声を聞き、ホシノに限らず対策委員会は言いようのない気持ち悪さを感じていた。

 

 

 『神宮司アキトは、既に貴女達と出会う以前から相容れない存在です……。殺しもした事のない貴女達とは(・・・・・・・・・・・・・・)、ね?』

 

 

 ホシノの安堵は打ち砕かれた。

 

 今のはほんの一部にすぎず、ホシノはこれから語られるアキトの過去を聞く事でアキトとどう向き合えば良いのかが分からなくなってしまうのであった。

 

 

 『彼の過去……いえ、ここは敢えて“罪”と呼びましょうか。その罪とは……神宮司アキト、彼は過去に数々の殺生を行ってきたからです』

 「「「「「!!?」」」」」

 

 

 ホシノ達は絶句した。

 

 そんな対策委員会の驚き等まるで興味がないかのようにベアトリーチェはアキトの過去を語っていく。

 

 

 『嘗ての彼は、無法地帯でくだらない小競り合いをしている傭兵の1人にすぎませんでした。そんな小競り合いの為に彼は、命乞いをする者や無抵抗の者を平気で殺めていた狂人なのです』

 「ウソだッ!!」

 

 

 その瞬間、ホシノは悲鳴に近い声で否定した。彼が、アキトが殺しをしていた訳がないと……そう自分に言い聞かせるように自身のスマホを投げた。普段からは想像もできない姿を見せたホシノに対して、ノノミ達は一瞬怯んだ。

 

 ──嘘だ、信じない、そんな訳があるか……。両手で顔を隠し、声には出さずに心の中で否定し続けるホシノの姿を見て動揺しつつもノノミ達も当然納得が出来なかった。

 

 シロコもセリカもアヤネもノノミも、アキトがそんな事をする筈がないと信じていた。何より自分達に見せていたアキトの笑顔がウソだったなんて、そんな裏切りがあって欲しくなかった。

 

 

 『そんな危険人物である彼がシャーレに所属しているだなんて、とても恐ろしい事ではないかと思いませんか?今は何もしなくても、次に殺されてしまう可能性が高いのは……それは一体誰でしょうね?』

 

 

 次に殺されるのは先生だ、そう遠回しに伝えたベアトリーチェは不気味に笑い、そしてハッキングは解除された。

 

 ハッキングが解除された後も暫くの間、全員が沈黙を保っていた。何をどう話せば良いのかが分からなかったからだ。

 

 

 「今の話……本当なのでしょうか?」

 「そんな訳……ないじゃん」

 

 

 ホシノを除く対策委員会の全員がスマホを持った腕を力無く下ろす。ウソか本当なのかは分からない。今の話が本当である確証なんてないし、寧ろウソであって欲しいと思っている。

 

 だが、誰もがウソだと自信を持って言えなかった。

 

 何故なら──

 

 

 「初めてアキト先輩の戦いを見た時……違和感を感じていました……」

 「ん、アキト先輩は私達より強い。そして何より……」

 「異様に戦い慣れしている、って言いたいんでしょ?シロコちゃん」

 「ホシノ先輩…… 」

 

 

 先程までとの様子とは違い、落ち着きを取り戻していたホシノ。だがその表情は普段の後輩達に見せている緩い表情とは程遠い、鋭い表情と変わっていた。

 

 

 「今の話が本当なのかウソなのかなんて、どうせ私達だけじゃ分かりようがないよ」

 「では、どうするんですか?」

 

 

 ノノミがホシノに聞く。

 

 ホシノは、自身の愛銃である「Eye of Horus」を手に取りながら答える。

 

 

 「……簡単な事だよ、直接聞きに行けば良いんだよ……アキトにね」

 

 

  そう後輩達に言うホシノ。だが愛銃を持っている右手は震えており、それはアキトに対する怒りなのか、それとも不安なのかはホシノのみぞ知る。




絆されるのチョロいかな?とか思いつつ書いた作者でございます。
因みにおじさんが曇るのは、アキトから直接聞きに行ってからですね。

因みにベアトリーチェは普通にゴルコンダ&デカルマルコニーに回収されてます。
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