ヘイロー持ち男子生徒の過去を知った結果   作:縁の下の焼き鳥

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お久しぶりです。
リアルで色々と忙しかったりとか、ゲームしたりアニメ観てたらクソ長くなってました。


6話 心の手当て

 

 

 ……俺はこれまで生きてきた中で、あそこ程の地獄を経験した覚えがなかった。

 

 大人達に押さえ付けられ、苦痛を経験してから俺は、いつしか子どもから兵器としての扱いを受けるようになっていた。使った事もない銃を持たされて、何でこんな事をしているのかが理解出来ないまま俺は銃を使った戦闘訓練をさせられていた。

 

 そこで初めて俺は自身の体の異変に気が付いた。大人達に無 無理矢理宿らされた神秘、それによって俺は身体能力が異常に高くなり、文字通り頑丈になっていた。それこそ銃弾なんかじゃ簡単には死なない程に。

 

 俺は怖かった。自分の体なのにまるで自分の体じゃないと感じてしまっていたからだ。

 

 神秘を宿らされてからは大人達は人が変わったかの様に態度が豹変した。訓練の最中に、もしも疲れで倒れたり弱音を少しでも吐いたりすればナイフで切り付けたり、顔を殴ったりしてくる。

 

味覚がイカれてしまった俺は、最初は何を食べたりしても何の味も感じられないという現実に苦悩していた。あれだけ美味しいと思っていた食べ物を見る度に怒りと悲しみで頭がおかしくなりそうだった。

 

 ヤケを起こして意地になってパンに齧り付いても何を食べているのか分からず、気持ち悪くなって吐き出してしまう。その度に顔を殴られて、スープの入った皿で何度も殴られたりした。

 

 神秘を宿している貴重な存在だから死なれては困ると、無理矢理にでも口に食べ物を捩じ込まれ、吐き出そうとすれば口を押さえられて飲み込まざるを得なかった。飯の時間でさえ俺の安らぎはなかった。神秘を宿らせる事に成功したせいで、運悪く生き残ったせいで自分でも自覚が出来るぐらい俺は病んでいた。

 

 飯食べてる時も、寝る時も、常に自分の死に方についてばかり考えていた。どうすれば死ねるのか考えているばかりだった。正直、当時は生きる事が辛くて辛くてどうしようもなく堪らなかった。

 

 あまりの所業に耐え切る事が出来ず、そこから逃げ出そうとする奴もいたりした。だが、それも半日経てば変わり果てた姿で戻らされていた。ピクリとも動かず、呼吸する仕草をしていないのを見た俺や他の連中は逃げ出せばどうなるのか察した。

 

 毎日戦闘訓練を行い、疲労や痛みに苦しみながら体に鞭を打って動かしていると、楽しそうな子どもの声が耳に入ってくる。それは嘗ての俺達と同じ光景が広がっていた。

 

 温かい食事に、まるで愛情があるかの様な大人達の優しさ。その全てが俺や他の連中も体験した事だった。その時と比べれば、今の俺達は唯一形の良いパン1つを食べたいが為に奪い合いになり、あんなに優しかった大人達はそんな俺達を見てゲラゲラと笑っていた。

 

 そして何も知らずに幸せそうにパンを頬張ったり、他の子どもに分け与えたりしている子ども達の様子を見た俺は、羨ましくも思ったり、これから待ち受ける残酷な現実と向き合うのだろうと思うと同情の念も抱いたりしていた。

 

 助けようとかは思わなかった。所詮は他人だし、もし変な気を起こしてしまって大人達にバレたりすれば何をされるのか分からない恐怖に怯えていた。

 

 そんな毎日を過ごしていく内に、俺も実際に戦場で戦う日が来た。これから始まるのは訓練ではなくて殺し合い……俺を含めた他の子どもも震えが止まらなかった。今思えば初々しいとも思える。

 

 俺達が戦場に出るのは決まって劣勢の時だった。要は味方側の切り札として出されて、敵は優勢だったかと思いきや、いきなり戦場に銃が効かない子どもが何人も現れて、その子どもによって優勢から一気に劣勢に叩き落とされる……そういうシナリオを大人達は描いていてたのだろう。

 

 何度も何度も敵を殺していく内に、自然と戦う事に恐怖を感じたりする事がなくなっていた。戦場に出れば、あれ程死にたがってたのが嘘みたいに死にたくないと思うようになった。殺されるぐらいなら殺られる前に俺が殺る。そう強く思いながら俺は敵と戦っていた。

 

 そして戦場から帰る度に見ていた。神秘に耐えられなかった子どもが1人、また1人と山の様に積み重ねられている。死臭が酷く、その中にはまだ生きた奴もいるからか、呻き声も聴こえてくる。ハエも集っていて、大人も含めて俺達は近付く気さえも起きなかった。

 

 命懸けで生き残ったとしても、労いの言葉どころか俺達を駒としか扱っているせいで完全に扱いが道具だ。そんな苦痛な毎日を過ごしていた時だった。

 

 1人の子どもが大人を殺した。

 

 理由は聞かなくても分かる。こんな扱いを受けていればこうなる事もあり得なくない。

 

 大人達は他に同じ事をしようとしている者がいないか探していた。当然だが道具が主に刃向かった……この事実が気に入らないのだろう。だから徹底的に解らせるつもりなのだろう。

 

 すると大人を殺した子どもが指を動かし、指を指してきた。

 

 

 俺に……

 

 

 「……は?」

 「そいつに唆されたんです!もしも殺す事が出来れば俺を自由にしてやれるって!」

 

 

 最初は開いた口が塞がらなかった。そもそも俺は一度も話した事なんてないし、一度たりとも大人を殺そうだなんて考えた事がない。それをすればどうなるかなんて明確だ。それに人1人を自由にしてやれる程俺は強い訳ではない。

 

 大人達が全員俺を見る。俺は何度も否定した。だけど直ぐにそれが無意味だと知る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ち、違う……違うんで──がはっ!!?」

 

 

 腹を蹴られた。

 

 

 「許してください!お願いします、お願──ぐっ……」

 

 

 顔を蹴られた。

 

 

 「俺は何もしてない……何も……何も考えてない!」

 

 

 どれだけ叫んだ所で此処にいる大人達が聞き入れてくれる訳なんてないし、俺の叫びを聞いて心を痛めたりする程慈愛に満ちている訳なんてない。寧ろ楽しんでいた。大人達からにすれば、どれだけ痛ぶっても丈夫な玩具なのだから。

 

 ……理不尽だ。俺が何をした?ただ言われた通りに動いたりしては、言われた通りに敵を殺したりしていただけだ。だというのに俺は……

 

 もう周りの奴等なんて信用出来なかった。どいつもこいつも腹の底がドス黒い塊で出来たナニカにしか見えなかった。俺は愚かにも、その時初めて理解した。俺の周りにいるのは同じ糞みたいな目に遭った被害者なんかじゃない……全員紛れもなく俺の敵なんだな、と。

 

 因みに俺を売った奴は戦闘中に戦死した様に見せかけてこの手で殺した。

 

 それから俺は誰かを誰かを信用するという考えを捨てた。信用したりしたせいで、裏切られてショックを受けるぐらいなら孤独の方が断然マシだと考えた。共闘?連携?何ソレ?そんな下らない考えなんざ、そこら辺の道端にでも捨ててしまえ。

 

 だから独りで戦った。

 

 どんなに大きな怪我をしようが、どんなに死にかけたりしようが、俺は独りである事を選び続けていた。だって、また誰かと関わったりしたせいでまた嵌められるなんて二度と御免だ。

 

 遅かれ早かれ、俺は死ぬか殺される。どうせ一生こんな日々が続くんだ。なら俺は────誰も居ない所で死にたい。

 

  ……そう毎日思うようになった時だった。

 

 

 「今日からお前と組ませる事にした。戦闘面では役立たずではあるが……医療?まあ、何せ手当てに関しては心得があるらしいから使ってやれ」

 「アイラです……お世話になります」

 

 

 「……は?」

 

 

 ──何か勝手に相方が出来た。

 

 

……………

 

 

 「あの、傷が……」

 「うるさい」

 

 

 恐らくお互いの第一印象は最悪だったなと思う。俺が怪我をする度にアイラは手当てをしようとしてくれていたのだが、俺はその厚意を拒絶していた。

 

 アイラは体が弱かった。原因は、神秘を宿らされる前から元々体質が弱かったかららしい。それもあってか、神秘を宿しているのに銃弾に当たっただけで致命傷に成りかねなかった。だから基本的に戦闘に参加するという事はなく、サポート的な立ち位置だった。だから戦闘が終わり、自室に戻ると何時もアイラが待っていた。その度に苛立っては辛く当たる……こんな情けない事しか出来ない己を自嘲しながらも、それを止める事はしなかった。

 

 だけどアイラは手当てを諦めるどころか、無理矢理にでも俺の傷を包帯で巻こうとしたり、俺が寝ている間の隙を突いて手当てを行っていた。

 

 だけど……アイラが手当てしてくれた包帯を見ていると、何だか安心してしまっている自分が居た。思えば、誰かにこうして丁寧に扱われた記憶なんて神秘を植えられる前ぐらいだった。本性が最低な奴等だったと分かってから嫌な気分だったが、不思議とアイラの手当ては安心してしまうのは何故だろうか。

 

 その後も、何かと世話をしようとしてくるアイラに辛く当たっては突き放そうとした。俺は1人でも大丈夫だ、だからさっさと俺の前から消えて他の奴の所に行ってしまえ。

 

 今なら分かる、俺はきっと怖かったんだ。優しくしてくれる誰かに対して心を開いたと思えば裏切られて、傷付いて、また心を閉ざす自分が。だったら最初から拒絶すれば良かったんだ、そう結論付けて俺は生きてきたんだ。だから────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局アイラに対して心を開けなかった昔の俺の首を絞めたくて絞めたくて仕方がない。いや、何ならそのまま殺してしまいたい程に……

 

 

 アイラと組んでから1年程近くたったある日の事。

 

 相変わらずアイラに対して素直になれない俺は、いつもの様に冷たい態度を取りながら戦いに出た。戦場に向かう用のトラックに揺られながら俺は後悔する。特にここ最近では何時も後悔ばかりしている。

 

 本当はもっと前からアイラに対して素直になれる準備は出来ていた。アイラの事をもっと知ろうと思っていた。アイラが俺の側に居るという事が当たり前になり始めていた。

 

そんなある日、俺の上官に当たる大人がアイラを戦闘時の支援役として戦いに参加させたいと言ってきた。俺は特に深く考えずに了承した。

 

 アイラも特に意見する事もなく、寧ろ快く引き受けていた。いつものように笑顔を向けてくるアイラを、相変わらず素っ気ない態度をしていた。

 

 それから1週間後、アイラと共に戦場に出た。今回の戦いも別に重要な戦いという訳ではなく、いつも通りの小競り合い程度に過ぎなかった。いつもと同じだと思った。いつものように敵を殺して、いつものようにアイラに傷の手当てをされる……そう思っていた。

 

 

 「…………は?」

 

 

 血だらけで痛みで顔を歪ませたまま死んでいるアイラの顔を見るまでは。

 

 数分前。戦いが終わり、負傷者や死者の確認をしている最中で俺はアイラを探していた。

 

 怪我はしていない。だけど、早くアイラの顔が見たくて仕方のない俺は走りながら相棒の姿を探していた。

 

 けれども何処を探しても見つからない。何故だか妙な胸騒ぎがしていた。だけどアイラは戦闘は不向きなのは明らかな筈であり、間違っても兵士として戦場に駆り出される事なんて起こる訳がなかった。

 

  ──じゃあ何処に?

 

 

 「本部が支援役の奴等も戦闘に出したらしいぞ」

 「はぁ?何でだよ」

 

 

 たまたま聞こえてきた他の兵士達の会話。その会話を聞いた瞬間、一気に血の気が引いた。

 

 ──何で?どうして?アイラは戦闘に出ない筈……頭の中で何度も何度も何度も同じ言葉が繰り返される。震える体に鞭打って、俺は戦場に戻った。

 

 何処も火薬の臭いと血の臭い、不安と焦りが交互に殴り掛かってくるような気分だった。気付けば俺の体は血と泥だらけとなって汚れていた。

 

 走る。

 

 

 走る。

 

 

 走る。

 

 

 転ぶ。

 

 

 走る。

 

 

 走る。

 

 

 そして……見つけた。

 

 

 「ア……」

 

 

 全身血だらけとなっており、苦痛に顔を歪めたまま倒れているアイラ(相棒)を……

 

 手を掴む。冷たかった。手当てをしてくれた時に感じていた温もりを感じられない。目が合う。目は開いている筈なのにピクリとも動かない。

 

 既に死──

 

 

 「違うッ!!」

 

 

 アイラだったモノを抱きしめる。何度も手を握る。それでも彼女は動かない。

 

 包帯を取り出して、アイラの体に巻いていく。一度も包帯を巻いたことがないから形が崩れていく。それでも包帯を巻くのを止めなかった。

 

 だって止めてしまったら、認めてしまうから。もしそれを認めてしまったら、自分の中のナニかが壊れてしまうから。

 

 初めて包帯を巻いた。それをアイラに見せたかった。どんな反応でも良い、お世辞でも良いから褒めても良い、下手だと言われたっても良い、ただ彼女に見せたかった。

 

 

 包帯を巻くのを止めてしまう。

 

 気付いてしまった。認めてしまった。もう何もかもが手遅れなのだと……

 

 体が震える。視界が滲む。この手で触れるのに、何かをしてあげられる事が出来ない。

 

 

 「あ……あぁ……」

 

 

 ──何も考えずに戦場に行かせたのは誰だ?

 

 ──最期までウダウダと心を開かなかったのは誰だ?

 

 ──殺したのは誰だ?

 

 

 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………俺だ。




感想見て気付いたのですが、俺はオリ主の名前と味覚とラーメンの話が完全に某黒い王子様で驚いてます。マジで何も考えてなかったです……
とはいえ、これだけキーワードが揃っておいて意識してないのは流石に無理がありますね……
いつかオリ主にラーメン作らせようかな
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