ダイバーは透き通る世界で何を成す   作:余楽

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どうも余楽です
お気に入り登録して下さりありがとうございます

後少し、もう少しでブルフロガを活躍させる事が出来る……本格的な戦闘まではまだ、いやもう少し先だけど……変な縛り設けるんじゃなかった(泣)
取り敢えず頑張って今年中にアビドス編を終わらせられるよう頑張まります


16話:最悪の可能性に備えて①

 

ゲヘナ風紀委員会襲来から翌日、先生とキリュウはいつも通り連邦生徒会から送られた仕事を二人で片付け後、キリュウは昨日の依頼の報酬を支払う旨を先生に伝え、便利屋68の事務所へと向かって行った

 

 

数十分後、キリュウは便利屋68の事務所前に来ておりアル達を呼ぶ為にインターホンを押した所まではよかっただが、数分待っても一向に出る気配がなく数回インターホンを押したが結果は変わらず無反応、もしやと思いドアノブを回す。鍵は掛かってないみたいだドアを開け中を見てると数個の段ボールが積み上がっていた。

どうやら、引っ越しの準備しているみたいだ、間に合って良かったと安堵しつつ事務所へと入った

 

靴を脱ぎ少し事務所を見ているとアル達の声が聞こえてきた

 

 

「はあ……」

 

アルの声だ、声色的に何か嫌なことでもあったか?いや、何となくだが予想付いた、おおかたこの事務所から引っ越すのが嫌だってところかな?まぁ、アルが嫌がるのは理解できる。

この事務所の雰囲気は映画やドラマとかでアウトローとがかアジトにしている雰囲気がある。ハードボイルドやアウトローに憧れるアルこんな良物件を手放したくはないんだろうな

 

 

「アルちゃ~ん、さっきからため息ばっかりだよ、テキパキと箱詰めやってよね?」

 

「はぁぁ……」

 

「え、えっと、これはどこに運べばいいのでしょうか?」

 

「ん?これ……ああ、アルちゃんが天賦の才を発揮した書道の残骸じゃん、あっちの燃えるゴミでいいよ」

 

 

え?何アレめっちゃ綺麗に書かれてんじゃん、俺が頑張って書いたってあんな綺麗には書けないんですけど?ムツキが天賦の才と言うのも納得出来るな

 

 

「何捨てようとしてるのよ!持って行くに決まってるでしょ!!」

 

「これって、書道の授業に書いたやつでしょ~?ほんとに要る?」

 

「何言ってるの!?これだって、10年後には10億ぐらいの価値が…………はぁ……」

 

 

最初は、勢いに任せ話していたアルだが次第に勢いは失われ最終的に椅子に座り背もたれに背を預けると再び溜め息を吐いた

 

 

「ありゃ?打っても響かないし、元気ないねぇアルちゃん……」

 

「本当に引っ越し嫌なんだね」

 

 

予想通りだったな。さて、いつ声を掛けるか、今すぐ声を掛けてもいいのだがタイミングはやはり大事だ

 

 

「でも、風紀委員会には場所を知られたし、任務も失敗でクライアントに狙われるだろうし、しょうがないでしょー?」

 

「結局アビドスの子たちとの戦いも、中途半端に終わったね」

 

 

あの時は、状況が状況だった為仕方がなかったがアルはカヨコの発言に反論した

 

 

「し、仕方ないでしょ!一緒に背中を合わせて戦った人たちを今になって狙うなんて……できるわけないじゃない!」

 

「しかも、あのバッグに入ったお金も全部あのラーメン屋に置いてきたしね」

 

「う、うるさいうるさい!だって……だって……!ハードボイルドなアウトローに……私は……」

 

 

本当、とことんハードボイルドなアウトローとやらに向かない優しい子だ。キヴォトスでもこれ程、人の出来た子に会えるとは思いもしなかった。出来ればアルのような子と友人になりたいもんだな

 

 

「本当に、手間のかかる社長だ」

 

「でも、こういうところがアルちゃんだよねー。一緒にいると楽しいし♪」

 

「大丈夫です!アル様は世界で一番カッコイイです!」

 

「ああ、もう!うるさーい!!」

 

「キャー、アルちゃんが怒ったー☆」

 

「元気そうで何よりだよアル。ところでそろそろ喋ってもいいか?」

 

 

キリュウが突然、声を掛けたことにアル達は心底驚いていた。当然である音もなく突然現れれば誰だって驚くのは当たり前だ

一方キリュウは、気付いていなかったことに少々不安を感じた

 

「!!」

 

「な、ななななな……!?」

 

「シャーレの……」

 

「あっ、お兄さんじゃん!どうしたの?」

 

「き、キリュウ!?どうして此処に!?」

 

 

………まさか、前の依頼の事忘れてたりする。ま、まぁ、忘れられてたとして思い出してもらえばいい

 

 

「アル、何か忘れてないか?」

 

「?忘れてないかって?何を?」

 

アルは心底不思議そうに首を傾げた。どうやら本当に、俺がここに来た理由が分からないらしい。あの時は、かなり大変だったし忘れてても仕方ない。

一応、カヨコ達に目をやるが誰も分からないらしい。答え合わせをするかの様に机の上に4つの封筒を置いた。

そして、置かれた封筒を見たアル達は驚きの表情で此方を見ていた

 

 

「昨日の依頼の報酬だ。少しだけ花を付けておいた」

 

「……えっ!?」

 

 

アルは置かれた封筒の一つを手に取り中を確認、全員で封筒の中を覗き込んだ

 

騙すつもりはないだが……

 

 

「なっ、何この大金!? 多過ぎない!?」

 

「待ってアルちゃん、まだ三つある!」

 

「…………これでもう、食事抜かなくていいんですか?」

 

「おい、聞き捨てない事が聞こえたぞ」

 

「……何が目的?」

 

 

俺なりに計算して必要な分を用意したつもりだったんだが、どうやら警戒させてしまったみたいだ。反応を見るからに妥当な金額には見えないみたいだ。ましてや報酬自体貰えるのが稀みたいな反応だ、良く生きてこれたなマジで……いや、バイトとかやってれば問題はないのか?

 

 

「安心してくれ正当な報酬だよ。消耗した弾薬費、武装の修繕費、アビドス廃校対策委員会と合流後、風紀委員会を撤退まで共闘してくれた報酬だ…………そして、ヒナが来て君達を危険に晒しそうになったことに対する謝罪意味を込めた追加報酬。それを含めた合算した物だ。不安ならデータをまとめてあるが見るか?」

 

「見せて」

 

キリュウは、鞄にしまっていた資料を取り出すとカヨコへと渡す。

カヨコはキリュウから渡された資料を注意しながら目を通した

 

 

「ど、どうカヨコ!? 合ってるのこれ!?」

 

「…………合ってる。ただ、ちょっと……いや、かなり多いけど」

 

「真っ当に報酬貰ったの久しぶりだね〜。どうする今夜は反発でもしてお寿司でも頼んじゃう?」

 

「なら、その分も俺が払うよ」

 

「いや、流石にいいよ。そう言えば、気になったんたけど何で現金で手渡しなの?」

 

「いや、俺も最初はアルの口座に振り込もうと思ったんだが凍結されてたんだ。」

 

「うぐ……」

 

便利屋68はゲヘナでは問題児扱いされている。故意であれ、事故であれ様々な問題を起こしていることに間違いはない。もっと詳しく調べたかったが全然情報が出てこなかった。

このまま雑談を続けてもいいんだが、アル達は引っ越しの準備中だし、俺もこの後予定がある。話題を切り替えよう

 

「とにかく。それは、君たちの働きに対する正当な報酬だ。

君たちのお陰で風紀委員会に対し有利を取ったまま戦闘を終えることができたよ。流石は便利屋68だ。今後とも頼らせてもらうよ」

 

 

キリュウは、そういうとアルの前に手を差し出し握手を求めた

 

「ええ、当然よ! どんな仕事でも便利屋68に任せなさい!」

 

 

アルは、キリュウから差し出された手を握り返し握手を交わした。

握手を終えるとキリュウは、振り返り事務所を出る為に進もうとしたが、立ち止まりアルに言った

 

 

「仕事頑張れよ、アル。じゃあな」

 

「えぇ、貴方も頑張ってね」

 

 

アルと別れの言葉を交わしキリュウは再び歩み始め事務所を出て行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

アル達と別れた後、キリュウはアビドス高等学校へと向かっている途中で、柴大将のお見舞いを終えたセリカとアヤネ、そして先生に鉢合わせたので一緒に学校へ行くことにした

 

 

"あっ、キリュウ君、用事はもう終わったの?

 

「あぁ、そう言う先生達も用事は済んだのか?」

 

「はい、アビドス自治区の土地関連書類を探してきました。詳細は後でお話ししますね」

 

 

雑談をしながら移動していると気が付けば学校へ着いたのだが何故かキリュウは校門に立ち止まってしまった。

先生達はどうしたのだろうかと思いキリュウに声を掛ける

 

 

"キリュウ君?どうしたのそんな所で立ち止まって何かあったの?"

 

「もしかして、昨日の怪我のせいで体調が悪くなったとか!?」

 

「それはないから大丈夫だ。気にしなくていい今日も暑いなと思っただけだ」

 

"?まぁ、確かに今日も暑いね"

 

「何よ心配して損した気分だわ」

 

「まぁまぁ、セリカちゃんキリュウさんに何もなくて良かったじゃん」

 

 

キリュウは、適当なことを言って誤魔化しつつ思案した。

 

外から見ても分かる程の異様な雰囲気は一体……この時間に学校に居るとしたらホシノだけの筈だが……もしやホシノ以外に誰か居るのか?居るとしたらシロコか?それともノノミか?………仮に居たとしてもこの異様な…いや、誰かが怒ってるの雰囲気を感じるな一体誰が誰に怒ってるのやら。

それにしてもキヴォトスに来てからは人の感情やら色々と敏感になったな、これもサイコフレームのお陰かもない

 

そう考えながら廃校対策委員会の部室と着くとセリカが勢い良くドアを開けたのはいいがホシノ達の異様な雰囲気に気圧されてしまった

 

 

「うへ~……」

 

「「…………」」

 

"えっと、どうしたの3人共?"

 

「……な、何、この雰囲気?」

 

「何かあったんですか……?」

 

 

成程な外から感じたあの怒気を纏った雰囲気はコレか珍しく空気が悪いな

俺達が居ない間に何かあったのは確定だな。俺個人としては聞き出したいくらいだが何だか無駄な気がしてならない。それにアヤネ達の調べた事はきっといや、かなり需要な筈だ。……何があったかは後でシロコ辺りに聞くか

 

 

"取り敢えずアヤネ、何を見つけたのか教えてくれない?"

 

 

先生の問いかけに答えるようにアヤネとセリカは書類を机の上に広げるとそれを見たホシノのはいつも通りゆったりとした口調で呟いた

 

 

「ん〜、これって……地図?」

 

「直近までの取引が記録されてる、アビドス自治区の土地の台帳……「地籍図」と呼ばれるものです」

 

 

机の上に置かれた書類をキリュウは手に取り資料に目を通す、直近に記載された記録には2年前だった。更にページを捲り更に記録を確認して反面した事があった

 

 

「でも書類なんて見なくても、アビドスの土地は当然アビドス高校の所有で……」

 

 

そこまで言ったのはいいが資料に目を通し額に皺を寄せていたキリュウがノノミの遮るように事実をホシノ達に告げた

 

 

「これは……コレを見る限りアビドス自治区は既に、土地の大半を失っているみたいだ」

 

「………そうキリュウさんの言う通り学校が所有していることに、なっていませんでした」

 

 

………正直、この予想だけは当たって欲しくはなかった。

何故、俺がこんな予想をしたのかというと、ゲヘナ風紀委員会がアビドス自治区で攻撃を出来た理由だ。

最初は俺も先生が目的なのは確かだったそんな事は分かっている。たが、重要なのはそこではないきっと……いや、確実に攻撃しても問題なかったんだ、だってその時からもうあの自治区は       

 

 

 

 

「アビドスの物ではなかったのだから」

 

 

だから、あれ程の事を起こしても問題なかったんだ。アビドスの自治区でないのなら問題にはならないのだから………盲点だったな

 

そんな事を考えていると黙っていたホシノが口を開けた

 

 

「……どういうこと?アビドス自治区がアビドスの所有じゃないって、そんなわけ…………」

 

 

俺は、ホシノ達に所有者が記載された欄を見せた

それを見たノノミとアヤネは反応した

 

「現在の所有者は……」

 

「カイザーコンストラクション……そう書かれています」

 

 

………あぁ、企業はクソだ……本当にクソだな。……そこまでやるなら、俺も出来る限りの事をやってやるよ徹底的にな。それにしても存外頼りになるもんだな俺の勘も

 

 

「カイザーコンストラクション……カイザーコーポレーションの系列ですか……!?アビドス自治区を、カイザーコーポレーションが所有している……!?」

 

 

ノノミは驚愕の混じった声色で言った。

周囲を見渡すと声を出していないだけでホシノ達はそれぞれ驚きの表情や悔しさな表情をしていた

 

悔しいよな……悔しいに決まってる。ずっと必死にもがいて、足掻いたのに結果はほぼ失っていたなんて最悪にも程がある

 

 

 

「……既に砂漠になってしまった、本来のアビドス高校本館と、その周辺数千万の荒地、そしてまだ砂漠化が進んでない、市内や土地まで……所有権がまだ渡ってないのは、今の本館として使っている校舎と、周辺一部の地域だけでした………」

 

「で、ですが、どうしてこんなことに?学校の自治区の土地を取引なんて、普通に出来るはずがありません。一体誰が、こんな事を」

 

 

ノノミの言っている事は正しい、アビドス然りゲヘナやトリニティ、ミレニアム、その他学園全てが例外なく正式な生徒会の元、取引しなければ土地の取引など出来ないそれはシャーレで調べていた時にすぐに分かった事だ………もし、違法ではなく正式な取引をしていたなら?問題は一切ないだろうな

 

 

「……アビドス生徒会、でしょ」

 

 

………やっぱり、そうだよな。

そうじゃないなら辻褄が合わない

 

 

「学校の資金の議決権は、生徒会にある。それが可能なのは普通に考えて、その学校の生徒会だけ」

 

「……はい、その通りです。取引の主体はアビドス前生徒会でした」

 

「そんな……アビドス生徒会は、2年前に無くなったはずでは……」

 

「……はい。ですので、生徒会が無くなってからは、取引は行われていません」

 

「そっか、2年前……」

 

 

そうか。ホシノは丁度、1年生なのか。……何かがあったんだろうな……無かったらそんな悲しそうで寂しそうな表情はしないだろう?2年前、ホシノ君に何があったんだ……なんで誰にも話そうとしないんだ

 

 

「何をやってんのよ、その生徒会のやつらは!! 学校の土地を売る? それもカイザーコーポレーションなんかに!? 学校の主体は生徒でしょ!? どうしてそんなこと……っ!」

 

「……………ただ、自分達の居場所を守りたかっただけだと思うんだ…居場所が一つしか無い奴はたった一つしかない居場所を守る為ならなんだってする、それこそ己の命すら投げ捨てる奴だっている……。話題を戻すが追い詰められた人は、僅かな希望があるならそれに縋るものだ……例えそれが土地を失う事であっても……」

 

 

頭に血が昇っていたセリカだったがキリュウに諭され冷静になると大人しく席に座り直した

全員が黙っているとアヤネが口を開いた

 

 

「……それぞれの学校の自治区は、学校のもの。あまりにも当たり前の常識です。当たり前すぎて、借金の方にばかり気を取られて、気付くことが出来ませんでした。

私が、もう少し早く気付いていたら……」

 

"これは皆んなが選んだ事じゃない……だから、無理に責任を背負わなくていいんだよアヤネ"

 

消沈してしまったアヤネに先生がフォローをするとそれに続いてホシノもフォローをした

 

 

「……うん、それはアヤネちゃんが気にすることじゃないよ。これはアヤネちゃんが入学するよりも前の  いや、対策委員会ができるよりも前のことなんだから」

 

「……ホシノ先輩、何か知ってるの?」

 

「あ、そうです! ホシノ先輩も、アビドスの生徒会でしたよね?」

 

「え? そ、そうだったの!?」

 

「それに……最後の生徒会の、副会長だったと聞きました」

 

「うへ~、まあそんなこともあったねえ。二年も前のことだし、そもそも私もその辺の生徒会の先輩たちとは、実際に関わりは無くってさー。私が生徒会に入った時には、もう生徒会の人たちはほとんど辞めちゃってたから。

その時はもう在校生も二桁になってたし、教職員もいない。授業なんてものは、もうとっくの昔に途絶えてた」

 

 

ホシノは淡々と……だが、表情を見れば思い出を振り返って思いを馳せている様にホシノのは語った。

2年前の出来事を

 

 

「生徒会室も、そうと言われなければただの倉庫にしか見えないところだったし、引継書類なんて立派なものは一枚も無かった。ちょうど砂漠化を避けようとして、学校の建物を何度も移してた時期だったってこともあってね」

 

 

きっとその時期に重要な書類とかは紛失してたんだろうな。もしかしたらアビドスが有利になる様な書類が何処かにあるかと思ったがホシノ話からするともう見つからないだろうな。

 

 

「そもそも最後の生徒会って言ったって、新任の生徒会長と私の二人だけだったし。……その生徒会長は無鉄砲で、会長なのに校内でも随一のバカで……私の方だって、嫌な性格の新入生でさ。いや~、何もかもめちゃくちゃだったよ」

 

 

そうは言ったが2年前を語っているホシノは何処か懐かしんでいるようで    

 

楽しそうで、哀しそうだった

 

 

「校内随一のバカが生徒会長……? 何それ、どんな生徒会よ……」

 

「成績と役回りは別だよ、セリカ」

 

「そもそも、セリカちゃんも成績はそんなに……」

 

「わ、分かってるってば! どうして急に私の成績の話になるわけ!? 一応ツッコんでおいただけじゃん!?」

 

「うへ~、いやいや、正にその通りだよ。生徒会なんて肩書だけで、おバカさん二人が集まっただけだったからね。何の間違いだか、生徒会なんかに入っちゃって……いや~、あの時はあちこちに行ったり来たりだったねえ。

ほんっと『バカ』みたいに、なんにも知らないままでさ……」

 

 

……複雑な感情が篭った言葉だ。勿論、言葉通りの意味も含まれているだろうが、俺でも分からないような想いが込められた言葉だ。

…………それにしても『バカ』か。俺も最近使ったな

 

 

「……ホシノ先輩が責任を感じることじゃない。昔の事情は知らないけど、実際に生徒会が解散になった後……アビドスに対策委員会ができたのは、間違いなくホシノ先輩のおかげ」

 

「う、うん……?」

 

 

突然のシロコからの賞賛にホシノはまるで鳩が豆鉄砲を喰らった様な表情をした

 

 

「ホシノ先輩は怠け者だし、いろいろとはぐらかしてばっかりだし、ダメなところもあるけど……でも、大事な時は誰よりも前に立つし、私は尊敬している」

 

「うぇっ!ど、どうしたの、シロコちゃん!?

 そんな急に青春っぽいこと言っちゃって……!?」

 

 

真剣な眼差しでホシノを賞賛するシロコ、そして、突然賞賛され照れているホシノを先生達は、微笑ましそうに見守っていた

そして、話題は再び土地の問題へと戻る

 

 

「でも、どうしてアビドス生徒会はカイザーコーポレーションに土地を売ったの?」

 

「たぶん、借金を返すためだろうね。私も関わってないから、ただの推測だけど、学校を守るために色々と起きちゃったんじゃないかなーって、思ってる」

 

 

俺の居た日本でも稀に見る最悪の悪循環だな。経緯や過程は違うが、闇金から借りた金を返せず、借金地獄に陥り最終的に全てを失うという仕組みとかなり酷似しているな法としてはかなりグレーゾーンだが法で裁けるのは黒のみ。だから、法で裁く事は出来ない

はぁ、狡いやり方だ

 

 

「私もそう思います。ですが、砂に覆われたアビドスの土地に高値が付くはずもなく、利子程度の返済で借金の返済までには至らなかった」

 

「それで繰り返し土地を売ってしまうという悪循環に……ということでしょうか?」

 

 

アヤネの予想は合ってある。少しまた少しと土地は奪われていき、最後にはアビドスの土地のほとんどを奪われてしまったのだろう

 

 

「なによ、それ!そんなの最初からどうしようもないっていうか――」

 

「そういう手口もあるんだ。

返済目途が立たない融資をして、利子分だけでも返させるために、建物や土地を売るように仕向ける。

 大方、アビドスには砂漠しかないから大丈夫とかなんとか言って、少しずつ土地を売らせる。そうすれば、後は向こうの思うつぼさ。土地を売ることに慣れてしまった生徒会の人たちは、段々と土地を売っていく。借金を返すという大義のためにね。盲目になった生徒会が気付いた時には、土地のほとんどが奪われて、今のアビドス高校の校舎しか残ってないという寸法だ。良く出来てるよな……本当、クソだな」

 

 

キリュウは、分かりやすくするとホシノ達は、カイザーの策略を人の心などない下劣な手口を理解した

 

 

「確かに、元々そういう計算だったのかもしれない」

 

「アビドスにお金を貸した時点でこうなるように……」

 

「だいぶ前から仕掛けられていた罠だったのかもしれない。それこそ、何十年も前から……」

 

「そんなの、あいつらに弄ばれてただけじゃん!こんな詐欺みたいなやり方に騙されて……!」

 

「怒る気持ちは分かるし、否定するつもりはない。だけど、一度落ち着いてくれセリカ、感情に身を任せ行動してしまえば君やホシノ達を危険に晒す事になる」

 

「わかってるわよ!でも、でも……」

 

 

怒りや悲しみ、悔しい様々な感情が入り混じったことで、セリカか何も言えなくてなってしまった。

すると、ホシノはセリカを諭すように優しく言った

 

 

「切羽詰まるとさ、人は何でもやっちゃうものなんだよ。

悪くなるとわかってても、手を出しちゃう。それだけの話だよ、セリカちゃん」

 

 

ホシノの言葉を聞いたセリカは少し落ち着いた様だ。

落ち着いたはいいが結局、状況は変わらないどうやってこの問題を解決するか各々が考えていると先生が"あっ"と声を上げた

 

 

「どうしたんですか、先生?」

 

"そ、その、大事な事を伝え忘れてた"

 

「大事なこと?」

 

"ゲヘナの戦闘の後に、あの風紀委員長が情報をくれてね。

アビドス砂漠に『カイザーPMC』が謎の施設を建てて、何かやってるみたいなんだ"

 

 

突然、先生の口から明かされた情報にホシノ達は、驚いていた

 

 

「先生、なんで黙ってたの!?」

 

"ご、ごめんね、忙しかったし。皆んなも疲れてたから今日言おうと思ってたんだよ"

 

「とにかく、土地を買い占めているのが、『カイザーコーポレーション』。それが何か企んでいるのなら……」

 

「セリカちゃんの言う通りです。すべての答えはアビドス砂漠にあるはずです」

 

 

ここまで来れば何をするか誰だって分かる。全員が勢いよく立ち上がり

力強く言った

 

 

「行こう、アビドス砂漠に!」

 

「…………あー、雰囲気をぶち壊して悪いんだが、俺、今日用事があって着いて行けないんだ」

 

 

キリュウの発言に意気揚々と準備をしていたセリカが勢い良く転びツッコミを入れた

 

 

「雰囲気を壊さないでよ!!というか用事って何!?」

 

「ちょっと、ミレニアムに呼ばれてるのと連邦生徒会に用があってな時間が掛かるから今回君らに着いていけないんだ」

 

「キリュウが居ないってことは、ブルフロガ使えないから徒歩と電車……うへ、面倒くさぁーい」

 

「ホシノ先輩、文句言わないで」

 

「そうよ!時間が惜しい早く準備して行くわよ!」

 

 

駆け出しそうになるセリカをキリュウは再び呼び止めた

流石に2度目は転ぶことはなかったが2度も呼び止められたセリカは、少し苛立ちながら振り返った

 

 

「今度は何!!」

 

「アビドス砂漠に向かう前にコレにサインを書いてくれ。今日、連邦生徒会に行くんだ。なら、今日出した方が効率的だろ?」

 

 

キリュウがセリカ達に渡したのはシャーレの入部届けだった

セリカは勢いよくキリュウの手から入部届けを取り素早く書き上げた

 

 

「もう!何でこのタイミングなのよ!!

ほら!これでいいでしょ!」

 

セリカから渡された入部届けを受け取り、記入漏れが無いかを確認した

 

 

「あぁ、これでいい。さぁ、皆んなも書いてくれ」

 

 

ホシノ達は、キリュウに言われた通り入部届けにサインを書き、キリュウに渡す。

渡された入部届けを全員分確認したキリュウは少し大きめの封筒に入部届けをしまった

 

 

「よし!全員問題無し!ごめんな、皆んな時間をとらせて。

皆んな気を付けてな」

 

 

 

キリュウは、それだけ言って部室を出て行った

 

 





ーーーーーーー次回予告ーーーーーーー

「それにしてもキリュウさんの用事って何でしょう?」

「さぁ、分からないわよ。」

"きっと、大切な事だよ。例えばブルフロガとか!"

「………ずっと思ってたけど、もしかして先生
ブルフロガみたいなロボット好きなの?」

"い、いや、そ、そんな事はな、無いよ!"

「うわ、めっちゃ分かりやすい」


「「「"次回、【最悪の可能性に備えて②】"」」」

「次回も見てね」


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最後までご閲覧いただきありがとうございます
楽しんでもらえたのなら嬉しいです。次回もよろしくお願いします

ブルフロガが戦闘するとするならどのデカクラマトンと戦闘して欲しい?

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