ダイバーは透き通る世界で何を成す   作:余楽

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どうも余楽です

投稿遅れてしまい申し訳ありません。リアルが忙しくなったのに加えオリジナル要素を追加した結果投稿が遅れてしまいました

マキ達は持ってるけどチヒロが……チヒロがのエミュ分からない……タスケテ


17話:最悪の可能性に備えて②

 

 

ホシノ達から入部届けを受け取り部室を後にした、キリュウは校庭に待機させていたブルフロガのコクピットに乗り込んで封筒から入部届けを取り出していた

 

 

「さて、上手くいったかな」

 

 

キリュウは、コクピットハッチを閉じると手始めにセリカの入部届けに手を掛けシャーレの入部届けの下に被せておいた()()()を引き剥がし文字が書かれているかを確認した

 

ここまで見てれば分かると思うがあの入部届けはただの入部届けではいリンから入部届けを受け取った後、キリュウが密かに細工をしていたのだ、何故こんな周りくどい事をしたのか、遡ること数日前、キリュウが本格的にシャーレ所属が決まった日のことだ。

キリュウはホシノ達と行動を共にしている際、視線を感じていた

視線の正体を探る為に適当な理由(コスプレ衣装を買う)をでっち上げホシノ達から離れ視線を感じた場所を双眼鏡で覗いてみるとカイザーPMC兵を発見した、合流後も視線は外れる事は無かったのでキリュウは、監視されているのだと察した。

そして、今も監視は続いている、そんな状態で()()()()まで見られてしまい対策されてしまえば本当に打つ手がなくなってしまう、それを避ける為に入部届けに細工をしたのだ

 

 

全員分、記入漏れやミスはないな。後はコレを連邦生徒会に届けるだけだが電車で移動となると本数は限られるし時間も掛かる。あまり流暢にしてる場合じゃない………………ブルフロガの存在がバレるだけでアビドスを守れるなら安いな。どのみちお偉いさんにはブルフロガの存在はバレてんだ一般人にバレた所で大した問題はない

 

 

考えが纏まるとキリュウは、ブルフロガを起動すると飛び立っても周囲に影響のない砂漠へブルフロガを動かし向かう最中、思案する

 

 

()()()()をリンに承認されれば準備は揃う、たが不安は拭えない例え、準備が整ったとしても依然アビドスが不利で、後手に回っているからだ。

それも、俺たちが来るずっと前から。

例え今の準備が整ったとしても何が起こるから分からない状況、下手すると逆に首を絞める可能性も捨てきれない   だが。

そんな事を理由に諦めるほど俺は、薄情にはなれない。

守ってみせる、俺の全てを賭けてでも……それにあの子達に大切な居場所を失ってしまう苦しみは味合わせたくはない。

その為にも準備を整えないとな

 

 

周りに何もない砂漠へと着くと、ブルフロガのスラスターを起動し出力を上げると勢いよく空へと舞い上がりミレニアムサイエンススクールに向かって一気に加速し飛んでいった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーー ミレニアムサイエンススクール ーーーー

 

 

 

 

キリュウは、ある用事を済ます為にミレニアムへと訪れていた。ブルフロガを倉庫に格納した後、ウタ達に捕まり再び質問攻めされたが今回は時間がないと説明するとウタ達は大人しく通らせてくれた。

ウタ達の別れた後、ミレニアムタワー付近のエンジェル24でエナジードリンクとスプレー缶を購入したキリュウはミレニアムタワーにあるとある部室に訪れていた。

部室のドアの前に立ち数回ノックする赤髪の少女がドアを開けた

 

 

「あっ!いらっしゃい!キリュウ!」

 

 

ドアを開けキリュウに笑顔で話しけたのは、幼く快活な雰囲気で赤い髪と2つのお団子頭が特徴のミレニアム サイエンススクール 1年生ヴェリタス所属の小塗マキ

 

 

「よ!マキ!ドア開けてくれてありがとな。それと……ほら、今回の頼み事をやってくれたお礼前から欲しがってた奴だ」

 

「本当に買ってくれたの!?ありがとう〜!!」

 

「今回の頼みこどを受けてくれたお礼だよ」

 

 

そう言ってマキに先程エンジェル24で購入した物を手渡す。

マキに今回のお礼を渡した後、マキと一緒に部室へと入って行く、部室を少し歩くと2人の少女が何かの作業をしていた

2人は、キリュウが来たのに気がつくと声を掛ける

 

 

「あっ、き、キリュウ……丁度いい所にエ、エナドリ取って」

 

「もしかしてハレ、完徹したな。無理せずに寝ればいいのにまったく…ほら、君が気になってた新作フレーバーのエナドリ買って来たからこれで我慢してくれ、それと飲み過ぎはダメだからな」

 

 

出会い頭にエナドリをキリュウに要求したこの少女は、ウェーブの掛かった長い銀髪をポニーテールで纏めミレニアムでは珍しく制服を着ておらず黒いフード付きTシャツの上からミレニアムの白衣を羽織っただけの、簡素な部屋着のような格好が特徴のミレニアム サイエンススクール2年生 ヴェリタス所属の小鈎ハレ

 

キリュウがハレにエナドリを渡した後にもう1人の少女が目を輝かせながら話しかけて来た

 

 

「あの、キリュウさん。前に頼んでいた物はありますか?」

 

「あるぜ、ほら頼まれていた。ブルフロガ各部稼働音集だ君が貸してくれた録音機凄いな、めっちゃ綺麗に録音出来たぞ」

 

「当然でしょう、なんてたってエンジニア部が制作した物なんですから」

 

「……なるほど。だから、凄まじく性能がいいのな納得出来たよ」

 

 

 

目を輝かせいたこの少女は、ブラウンのロングヘアと丸い眼鏡、そして首元にヘッドホンが掛けてあるのが特徴のミレニアム サイエンススクール3年生ヴェリタス所属の音瀬コタマ

 

4人で少し雑談に盛り上がっていると部屋の奥からもう1人の少女が出てきた。

そして、出てくるや否や少女は、溜め息を吐きキリュウをジト目で見ながら訴え掛けてきた

 

 

「キリュウ、報酬を用意してくれるのは有り難いけどあまり皆んなを甘やかさないで」

 

「………そうだな。今度から気を付けるよ」

 

 

ジト目でキリュウを見ている少女は濃いめの水色下縁メガネと紺色の髪

にショートボブ、マキ達と同様ミレニアムの校章が描かれたジャケットを羽織りやや大きめのアウターが気だるげな雰囲気を醸し出しているのが特徴のミレニアム サイエンススクール3年生、ヴェリタス所属の各務チヒロ

 

チヒロは、キリュウの間の空いた返答に溜め息を再び吐くが気を取り直してキリュウにある問いかけをした

 

 

「前に頼んでいたスマホのパスワードは解いた。それで何で人様のスマホのパスワードを解いて欲しかったのか教えてくれない?前に言ってたのは本当なんだろうけど」

 

「……そうだな、話しておいた方がいいか

ただし、他言無用で頼む。」

 

「俺は今、先生と一緒にアビドスの問題を解決する為に行動してるんだがな、俺が来た時からどうも敵の動きが妙でな、そんで調べてみればアビドスの問題はカイザーコーポレーションが深く関わってる事が分かったんだ。アビドスを襲撃して来た不良達もきっと……いや、確実にカイザーの息が掛かってる。その証拠を探してたんだ、もしかしたらそのスマホに決定的な証拠がある可能性があるだろ?後は、前に言った通りアビドスの問題が終わったら持ち主に返す為。

だから、そのスマホを調べてもらった」

 

 

それを聞いたチヒロは納得した表情をした後、キリュウを部屋の奥に招きマキ達もそれについて行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

今更だが、何故キリュウが彼女達『ヴェリタス』と知り合っているのか不思議に思う人も居るだろう。

詳しい詳細は省くがキリュウがヴェリタスと出会ったのは数日前、ブルフロガをエンジニア部に預けた後ユウカに連れられミレニアムの部活を見て回っていると壁に絵を描いている(落書きをしている)マキと出会った。

ユウカに壁に絵を描いてる事がバレたマキは急いで逃げって行ったのだが、その際にスマホを忘れていたのでキリュウはユウカにマキが居そうな場所を聞き、部室に届けたことで交流が始まったのだ

 

 

そして、現在

キリュウは、部室の奥へと案内されていた。目的は少し前に言っていた落とし物を渡すのと機材が揃ってるのでスマホに情報がないか調べる為に来ていた

 

 

「一応、私達も手伝うけど困った事があったら言って教えるから」

 

「助かるよ、俺も機械は強いんだが何でも出来る訳じゃあないからな」

 

 

そうチヒロ達に言った後、キリュウはスマホを操作して何か情報がないか手当たり次第に探った。

個人のしかも女子高校生のスマホを見て漁るなど倫理的にどうかとは思うだらうがアビドスの存続にも関わるかも知れないのだ倫理など気にしている暇はない

 

スマホを調べる事、数時間目ぼしい情報が見つかることはなく最後にファイルを見てなければさっさと連邦生徒会に向かおうと考えながら、ファイルを開くと『取り引き記録』と書かれたファイルが目に入り開こうと思ったが一度手が止まり悩む、こういった機密情報をこんな分かりやすく目に止まる所に保管するのだろうか?もしかしたら相手を欺く為のダミーかも知れない、ましてや罠かも知れない。

 

悩み果てているとハレがキリュウに近づいて「それ貸して」と言われたのでキリュウは、ハレにスマホを手渡すとハレは近くにあったパソコンにスマホを繋げ作業を始める。

数分後、作業が終わったのかハレはスマホを此方に返された。するとハレは「画面を見て」と言われたのでスマホを見直すとファイルのパスワードが解けていた

 

 

「まさか……あの数分でパスワードを解いたのか?」

 

「そうだよ。割と簡単だったよ」

 

「また、一つ借りが出来たな。今日は、お返しが出来ないから今度何を渡すか?それともどっか行きたい所があるなら連れてってやろうか?」

 

「じゃあ、エナドリ買って来て」

 

「ダメ、飲み過ぎだ。つうかさっき買って来ただろ、エナドリ以外にしなさい」

 

 

そうハレに告げると、ハレは「ちぇー」と言いがら椅子に座った

そして、キリュウは再びスマホに向き直るとまだ、真新しい録音を再生した

 

 

『君達に()()をしたい』

 

 

聞き覚えのない機械じみた男の声、そして『依頼』と言うワードに反応したキリュウは、すぐにスマホの音量を上げた

 

 

『依頼内容は、アビドス廃校対策委員会を制圧もしくは排除だ。

なに、何も支給しない訳ではない銃弾や最新の銃、重戦車もくれてやろう、依頼達成の報告楽しみしている』

 

 

そこでキリュウは、音声を停止しチヒロ達の方を見てみると全員が驚きを隠しきれない表情をしていた

 

会話の内容からしてカイザーかしかも完全に違法な依頼みたいだ

完全に予想外だったが、これはいい収穫だな。ただ、問題は依頼を出した人物は誰なのか分からなければ意味がない、下手にこの情報をぶら下げてカイザーに訴えてもそんな依頼を出した奴は居ないと誤魔化されるか、最悪損害を最小限にする為に適当な奴に責任を押し付けて逃げられるだけだろう

 

どうしたものかと悩んでいるとコタマが呟いた

 

 

「今の声ってカイザーPMCの理事の声ではないですか?」

 

「何?コタマ、今何て言った?」

 

「先程の声、カイザー理事の声とそっくりなんです。ほら、この広告の声とそっくりでしょう?」

 

 

コタマは、キリュウの投げかけた質問に答えると理事がPMCの広告をしていた動画をキリュウに見せた

そして、動画を見たキリュウは、急いで先程の録音と動画の音声を聞き分けた。録音の方は電話越しだったとはいえ確かに動画の理事と酷似していた

 

するとキリュウは、力強く机を叩くと勢いよく立ち上がった

 

 

「「「「!?」」」」

 

「ど、どしたのさ。キリュウ?」

 

「やっとまともな証拠が見つかって嬉しくなっただけさ、ごめんよ驚かせてしまって。

後で、報酬は用意するから決めておいてくれ。この後、予定があるから失礼するよ」

 

 

そうマキ達に告げるとキリュウはスマホを回収し足早に部室を出ようとしたのでマキが慌てて呼び止めた

 

 

「急にどうしたのさ!?というか何処に向かうつもり?」

 

「連邦生徒会だ」

 

 

端的に伝えるとキリュウは、部室のドアを開けて出て行った

 

ヴェリタスの部室を後にしたキリュウは大急ぎでブルフロガに置いておいた資料を回収して、ミレニアムタワーから出た後に駅へと向かいDU地区行きの電車に乗りDU地区へと行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーDU地区 連邦生徒会ーーーーーーー

 

 

 

十数分後、DU地区に着くと寄り道することなく連邦生徒会へと来ていた。

 

連邦生徒会の建物に入るとキリュウは、すぐさまいつもの態度から切り替え受付係の生徒に話しかけた。

 

 

「七神リン主席行政官に急用が出来て来ました。リンさんは、いらっしゃいますか?」

 

「え?は、はい。確認をします

少々お待ち下さい。」

 

 

受付の生徒がキリュウに告げると急いで電話を掛けて確認をし始めた

キリュウは、今日中に()()()()を渡せればいいので焦ることはなく確認が終わるまで待っていると1人の少女が話し掛けてきた

 

 

「あら、キリュウさんではありませんか。今日は連邦生徒会にどういったご用件で」

 

 

キリュウに話し掛けた少女は、連邦生徒会の制服である白いスーツを着こなし、ピンク色の髪に薄目が特徴の連邦生徒会所属 防衛室長 不知火カヤだった

 

 

「不知火カヤ防衛室長でしたか。急遽、七神リン主席行政官に用がありまして来ただけです」

 

「そうでしたか………もしや、その封筒を届けに来たのですか?」

 

「……そうです」

 

「なるほど、そうでしたか。なら私が後でリン行政官に渡したおきますよ」

 

「お気遣いありがとうございます。ですが防衛室長は忙しいでしょう?この封筒は私が直接渡すのでカヤ防衛室長は、自身の仕事に戻られてはどうでしょう?」

 

 

この2人のやりとりを見て分かる人もいると思うがカヤとキリュウは、割と………いや、かなり関係は悪いのだ。理由としては、キリュウは初めて会った時からカヤの腹黒さと底の見せない悪意を見抜いていたからだ。

一方、カヤもキリュウのずば抜けた勘と観察眼を見抜いており2人共馬が合わないと分かってからはこんな感じになっていた

 

2人の険悪な雰囲気に周囲が少し引いていると受付係の生徒が勇気を振り絞ってキリュウに話し掛けた

 

 

「あ、あの、お話中よろしいでしょうか?キリュウさん、リン行政官が予定はないのでお会い出来るそうです」

 

「そうですか、ありがとうございます。では、これで失礼致します不知火カヤ防衛室長」

 

 

カヤに告げるとキリュウは、封筒を回収しリンの居る執務室へと向かって行った

尚、キリュウが居なくなった後、他の連邦生徒会の生徒達は、キリュウの素か仕事モードどちらがいいかで盛り上がったとかなかったとか

 

 

 

あの後、足早で進んでいたキリュウは、気が付けばリンの居る執務室前に来ていた。ドアの前に立ち数回ノックすると中から「どうぞ」と帰ってきたのでゆっくりとドアを開け執務室へ入った

 

中に入るとリンがソファに座っていた……少し不機嫌そうな顔で

リンは、キリュウを見るや否やすぐに本題に要件を聞いてきた、どうやら世間話をするつもりはないようだ

 

 

「それで今日は、どういったご用件で?」

 

「この書類を提出しに来ました」

 

 

そう言いながら封筒を取り出してリンに見せるがリンは更に不機嫌になった様だ。………やっぱアポなし訪問はダメだったか、今回はどうしようもなかったが次から気を付けよう

 

 

「なら、郵便でいいでしょう。どうして今日、しかも連絡なしで直接出しに来たのですか」

 

 

確かにリンの言う通り普通は郵便で良いのだが、今回はそうもいかなかった。最初は俺も郵便で送ろうと考えたんだがアビドスの郵便局に行ってどのくらいの期間で届くのか確認して見れば4日以上掛かるとか言われてしまった。それなら直接渡した方が早い……それに今回の問題に深く関わってるカイザーの息が掛かってる………いや、繋がってる人間が連邦生徒会に居ないと限らない。目的がバレてしまえば対策されるか、最悪書類を処分されかねないのだそれだけは、避けなければ。

 

 

「すみません。私も最初は、郵便で送ろうとしたのですが土地的な問題がありまして届くのに4日以上掛かると言われてしまい、それほど長くは待てないので直接渡す事にしました。連絡に関してはすみません、急な事だったので忘れてしまいました」

 

 

実際は、かなり考えて事に集中してたらいつの間にかミレニアムに着いてて連絡する暇がなかったんだよなぁ……

 

事情を聞いたリンは、少し呆れながら書類の入った封筒を受け取ってくれた。どうやら見てくれるようだ

リンは、受け取り封筒から書類を取り出して書類に目を通した

 

 

「………確認しました、後日承認を     

 

「リン行政官、遮ってしまって申し訳ありませんが承認を今日中にしてくれませんか?それとホームページの更新は明日の7時か8時くらに可能でしょうか」

 

「それは何故?」

 

「なんでも、"なるべく早く承認して欲しいと、最悪の状況になるかも知れないから備えておきたいから"だそうです」

 

 

最近は、嘘ばっか言ってる気がしてきたな……必要なことではあるといえど歳下の子を騙すのは罪悪感を感じてしょうがないが、どうしようも出来ない………だか、今だけは必要な嘘だ。

その嘘でホシノ達を守れるなら何度だって嘘をついてやる

 

 

「…………分かりました。先生のことです何か考えがあるのでしょう」

 

「ありがとうございます。リン行政官、それでは私は失礼します」

 

 

そう告げるとキリュウは、静かにリンの執務室を出て行った。

 

書類を提出した後、キリュウはブルフロガを回収する為にミレニアムに戻ったまではよかったのだが。ウタハ達に見つかり凄まじい勢いの質問攻めをまた、喰らってしまった、本当なら逃げてもよかったが逃げ切れる自信は微塵も湧かなかったので大人しく質問に答えていたらすっかり夕方になっていた。

ブルフロガに乗り込み遅れた言い訳を考えながらミレニアムを後にした

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

急いでアビドスへと戻ったキリュウは、ブルフロガを校庭に待機させ部室へと走って向かった……のだが

 

 

「ごめん!かなり遅れた!アビドス砂漠に一体何が    ん?」

 

 

勢いよくドアを開けたが部室には誰も居なかった。まだ、ホシノ達が帰ってなくてもアヤネくらいは残っていると思ったのだが居ないという事は、とっけのとうに解散しているということだろう

キリュウは、部室のドアを閉じるとホシノに借りた空き家に向かった

 

歩くこと10分程、借りた空き家はそこまでアビドス高等学校と距離は離れてない。何故、そんな空き家を貸したか前にホシノに聞いたがホシノ曰く帰るのが面倒くさい時に泊まろうとか考えてたそうだ。勿論全力で止めたが

そんな事を考えていると空き家に着いたのでドアを開け中に入った

 

 

「先生戻ったぞ」

 

 

返事は返ってこない

いつもなら元気な声で"おかえり!"なんて返ってくるのに今は、返事はない

少し……いや、かなり重苦しい雰囲気を感じるどうなっている?考え事をして気付かなかったとはいえ、一体何があったらこんな雰囲気になるんだ?

 

重苦しい雰囲気に違和感を感じながらリンビングに向かうと先生が居た

ただし、いつものような元気は何処にもなく、小さな声で"……おかえり"と返ってきた

 

 

「……先生、一体アビドス砂漠で何があったんだ?」

 

 

悪寒を感じる。比喩や冗談の類いではない、この感覚はセリカが誘拐された時や柴関ラーメンに迫撃砲を撃ち込まれた時に感じたものに酷似している。『誰かが居なくなる』その様な感覚……俺が居ない間に一体何が起きたんだ?

 

そんな事を考えていると先生が事情を話してくれた

 

"キリュウ君がミレニアムに向かった後、アビドス砂漠に向かっている道中で壊れたロボット襲われたんだ

だから、ロボットを撃退しながら進んでたんだけどアビドス砂漠の中心はカイザーPMCの駐屯地になってて気付かないままに敷地内に入ってたみたいでそのままPMCと戦闘が始まっちゃたんだ。逃げようとしたけど囲まれててどうしようも出来ないまま戦闘をしてたらカイザーPMC理事が現れて敷地に入った責任を問われたから私は咄嗟にシャーレの仕事だって言って凌ごうとしたんだけど……………ダメだった

アビドスの金利を上げられた上に一週間以内に3億を委託するようにって…………私のせいだ、皆を危険に晒した挙句こんな……ッ"

 

 

最悪だ、様々な事を想定して動いてたが全て水の泡になる……いや、まだ時間は残されてる出来る限りの事をしよう。まだ全てが終わった訳じゃない

 

「……………先生、これはアンタの責任じゃないさ。悩むよりどうするかを考えよう。」

 

 

先生は罪悪感に耐えきれなくなってしまい少し泣いてしまった。キリュウは先生を宥めることしかできなかった

彼女に言葉をかけることができなかった

 

先生を宥め始めてからどれくらい経ったか分からない……夜か明日は、きっと忙しくなる俺も早めに休むか

 

キリュウは、動こうと先生に呼び掛けたが返事は返ってこず聞こえてきたのは寝息だった。どうやら寝ているみたいだ、当然か今日は色々あったんだ疲れがでたのだろう。そう考えてながら先生を寝室へ運びベットに寝かせた後、リビングのソファで少し休もうと目を瞑るが中々寝付けない。寝ようにも先生の話しを聞いてからというもの胸騒ぎがして寝付けないのだ

この胸騒ぎをキリュウは、知っている。

 

あの日、()()()()()()()()()()。あの悲劇と同じものだ

 

胸騒ぎを紛らわす為にキリュウは、夜のアビドスを散歩することにした

十数分後、キリュウは気が付けばアビドス高等学校へと来ていた。何故、理由もなく学校に来たのか、この胸騒ぎはどうして収まらないのか考えていると不意に空を見上げよとした瞬間、ホシノが廊下を歩いている姿が見えた。まるで別れを惜しむような顔をしながら歩いていた

その顔を見たキリュウは、ある確信をし少しだけ急いでホシノの元へと向かった

 

数分後、ホシノに追い付くとキリュウは声を掛けた

 

 

「ホシノ、どうしたんだ?こんな遅い時間に?」

 

「うへ!?き、キリュウ!?えぇと、眠れないんだよね。

だから、気を紛らわしたくて学校に来たんだー」

 

「なんだ、君もか実は俺もなんだよ。

妙な胸騒ぎを感じたからそれを紛らわす為に散歩してたんだ、そしたらホシノを見つけたのさ」

 

 

とても落ち着いた雰囲気だった。

まるで昼間の出来事がなかったような雰囲気だ。だが、この雰囲気に流されてしまってはダメだホシノが隠し持っている()()について問いたださなければ

 

 

「いやぁ、散歩に出て正解だった……だって胸騒ぎの原因が分かったのだから……ホシノ、君が隠し持ってるのはなんだ?」

 

 

ホシノは驚きを隠さなかった。何故、気付いたのか分からないが余計な心配は掛けたくないと考えたホシノは誤魔化すことにした

 

 

「急にどうしたのさ、キリュウ?おじさん、変な物とか持ってないよ」

 

「確かに変な物は持ってないな、ただ俺が聞きたいのはこの退()()()についてだ」

 

「そ、それは……」

 

ホシノが少しだけ上の空だったから簡単に取れたが、やっぱりこの胸騒ぎは、ホシノが原因だったか…………それにしても親友といいホシノといいどうして自己犠牲で解決しようとするんだ……

 

 

「分かったよ…ちゃんと話すよ」

 

「……話してくれるのか?」

 

「話さないとキリュウがもっと不機嫌になりそうだしねー。

ただ、面と向かってっていうのも何だし……キリュウ、ちょっとその辺一緒に歩かない?」

 

 

ホシノは、廊下を指で指しながらキリュウに提案した

断る理由もないので俺はは、ホシノの提案を了承して一緒にゆっくりと廊下を歩きだした

ただ、気になったのはホシノ目だ。まるで、見納めのような目線でこの廊下を……学校を見ていた

 

 

「けほっ、けほっ……うわぁ、ここも砂だらけ……

ま、仕方ないんだけどね。皆んなで掃除とかしたけど、そもそも人数に対して建物が大きすぎて……砂嵐が減ってくれれば良いんだけど」

 

 

調べた時に判明したことだが、アビドスの砂嵐は近年でかなり減ったらしい、それでもこの有り様なのだから自然は厄介極まりない

 

 

「うへ~、せっかくの高校生活が全部砂色だなんて、ちょっとやるせないと思わない?」

 

「それでもホシノにとっては大切でかけがいのない場所なんだろ……それこそ自分を犠牲にしてまで守りたいくらいには」

 

「……今の話の流れで、本当にそう思う?」

 

「ホシノの日々の行動が、君がこの場所に居るのがその証明だ」

 

 

ホシノの立ち止まり此方を見た、面食らったような表情で。

何を思ったのか少しだけ柔らかく笑みをホシノのは浮かべた。そして、すぐに向き直り歩き始める

 

 

「…………砂漠化が進む前、アビドスはかなり大きくて力のある学校だったって言われてるけど……そんな記憶も実感も、おじさんには全く無いんだよね。最初から全部めちゃくちゃで、ちゃんとしたものなんて何一つない学校だった」

 

 

誰かに聞くわけでも、言い聞かせるわけでもないホシノは淡々と語り出した。

これは会話でない、きっとホシノの独白なのだろう

 

 

「おじさんが入学した時のアビドス本館は、今はもう砂漠の中に埋もれちゃったし。当時の先輩たちだって、もうみんないなくなった。今いるここは、砂漠化を避けて何回も引っ越した果てに辿り着いた、ただの別館……ま、でもここに来てシロコちゃんやノノミちゃん、アヤネちゃんにセリカちゃんと会えたから……うへ、やっぱり好きなのかもしれないなぁ……」

 

 

………俺は、ホシノの笑みを知っている

儚くて、脆くて、今にでも壊れそうなその笑みを知っている

自分を偽り、弱さを見せようとしないだけの強がりの笑みだ

 

 

「………そうかい」

「……うへ、降参。正直に話すよ、キリュウ」

 

 

観念しましたと諦めた表情をしながら廊下に運び出されたであろう机に腰を掛け窓の外を眺めながら語り出した

 

 

「私は二年前から、変なやつらから提案を受けてた」

 

曰くホシノは、カイザーコーポレーションから、提案、あるいはスカウトをアビドスに入学した直後から受け続けていたらしい。

それは数え切れないほど。

そして、あの日。

ゲヘナ風紀委員会が柴関ラーメンを攻撃してした日、ホシノの到着が遅れたあの日は、その『提案』を受けていた日だったらしい。

「ま、断ったけどね」とホシノは続けた

 

 

「それは誰から見たって破格の条件だった。でも、その時は私がいなくなったらアビドス高校が崩壊するって思ってたからこそ、ずっと断ってたけど……」

 

 

……その言い方だとまるで今の状況的を打開する為に提案を受けようと考えてるのか?

 

どうやら、ホシノもこの先は話すのはまずいと思ったのか少しワザとらしく話題を変えた

 

 

「……あいつら、PMCで使える人材を集めているみたい」

 

 

今までの情報とホシノが語った情報からある程度だか、目的もそのやり口も予想できる。だからこそ、ホシノがアビドスから離れるのだけは確実に避けなければ

 

 

「……その提案をしたのは誰だ」

 

「……分からない。私も、あいつの正体は知らない。ただ、私は黒服って呼んでる。

何となくぞっとするやつで……キヴォトス広しといえども、ああいうタイプのやつは見たこと無かった。ただ、怪しいやつだけど、別に特段問題を起こしたりもしなかった」 

 

 

少し面倒だな、全ての元凶は理事だと予想していたがそうでもないらしい。

それにしても黒服か。ホシノの口振りから察するに、その黒服という人物……いや、生命体は本当に見たことのない、どのカテゴリーにも当て嵌まらない存在みたいだな。きっと見た目も人間とはかけ離れているみたいだ、それならまだ親友みたいな『ELダイバー』の方がよっぽど人間らしいだろな

 

 

「……なるほど、それで退部届はどうするつもりなんだ?」

「……うへ」

 

 

非常に気まずいのかホシノは目を逸らした

 

 

「まあ、一ミリも悩んでなかったって言ったら嘘だし。ちょっとした気の迷いっていうか。

うん、もう捨てちゃおっか」

 

 

そう言うとホシノは、机から降りるとキリュウが持っていた退部届けを回収するとビリビリに破いて窓から外に捨てた

破られた退部届けは、風に乗って空高く舞い上がっていった

 

 

「うへ〜、スッキリした」

 

 

まるで肩の荷が降りたようなうに、緩くホシノは笑った

いつものように偽った笑顔で笑う

 

 

「余計な誤解を招いてごめんね。ただ、こんな話をみんなにしたところで、心配させるだけで良いことも何も無さそうだったからさ。

でもまあ、可愛い後輩たちにいつまでも隠しごとをしたままっていうのも良くないし……明日、みんなにちゃんと話すよ。聞かされたところで困らせちゃうだけだろうけど、隠しごとなんて無いに越したことはないだろうし」

 

 

もっともらしいことを言って、儚げに弱く、ホシノは笑う

 

 

「実際のところ、今はあの提案を受ける以外、他の方法は思いついてないんだけどね……そうだなあ。奇跡でも起きてくれれば良いんだけど……」

 

 

ホシノは、自身の発言に何か引っ掛かったのか小さく呟いた

 

 

「奇跡、かぁ…」

 

 

何を思い出しているのだろうか、何を考えているのだろう。

俺には分からない。

分かるはずもない、当たり前だ人の心や記憶なんて見れるものではない俺は神や仏じゃない。

弱くて、大切な奴を守れないどうしようもなくクズな人間なのだから

 

 

「……さ~てと、この話はこれでおしまい。じゃあ、また明日。キリュウ」

 

 

俺は、この言葉を信じてもいいのだろうか……正直、不安ではあるが…

信じてもいいんだよな、ホシノ?

 

 

「……あぁ、また明日なホシノ」

 

 

キリュウは、ホシノを信じて挨拶を交わし借りた家に戻る為に歩み出した。

そして、ホシノはキリュウにも聞こえない程、小さな声で言った

 

 

「さようなら」

 

 

誰にも聞こえないほど、小さな声で別れを告げたホシノはキリュウに背を向けて月光りの届かない暗闇へと歩んで行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、アビドス廃校対策委員会の部室にはホシノの姿はなく

部室の机の上にはホシノが全員へ手紙と     退部届けが置かれていた

 

 

 

 

 

 

 






ーーーーーーーー次回予告ーーーーーー

「………そうかホシノ、コレが君の選択なんだな。
…………………なら、俺も君が守りたかったものを守ろう……そして、君も助けに行く、だから待っててくれ」


「次回【守る為の覚悟】」

「……また見てくれ」


ーーーーーーーーーーーーーーーー

最後までご閲覧ありがとうございます

それにしても1万文字まで書いたのはかなり久しぶりなですがやっぱりかなり時間がかかりますね
次回からは、オリジナル要素とかはないので時間は掛からないとは思いますが頑張って早めに投稿出来るようにしてみます

何か不備やアドバイス等があったら教えてくれると助かります
それでは次回もよろしくお願いします

ブルフロガが戦闘するとするならどのデカクラマトンと戦闘して欲しい?

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