女子ばかりのチームを甲子園へ   作:パッチワーカー

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 オリ主の外見は小嵐さんの「顔の割にモテる」という発言から、飛び抜けて良くはないが悪くはない、まあまあ良いと想定しています。
 また、オリ主の能力は、「将来を嘱望されていた」や北斗が勧誘に来てるという点から高めに設定しています。


野球部1人でどうするんだ

 

 

 

「小嵐さん、あの後で行くから今は先行ってて?あと左腕離して?」

「後でっていつ?こういうときのりっくんは信用ならないよ」

 

「美園さんも後でバッテリーサインの確認とかするし、背中掴まないで···?」

「い、いやです···。今じゃなきゃやだです···」

 

「八尺さんも後でいっしょに走るから、今は足離して?」

「キャップの足はアタシがもらったー!」

 

「──明星さん、スケジュールや練習方法は後でみんなで考えるし、前から抱きつくのはやめてくれない···?」

「2人で考えるって言ってくれるなら離してあげる」

 

「···大空さん右腕締まってる!···あの大空さん?ニコニコしてるのはいいんだけど、離してくれない?」

「ミヨちゃん律くんが何言ってるのか分かんないー」

 

「······十六夜さん見てないで助けて?」

「あら、雪野くんが助けをこうなんて珍しいわ。──そうね、将来5億円稼ぐプロ野球選手になると誓ってくれれば助けてあげる」

 

「──冴木さん?バットでオレの頬突かないで···」

「助けて欲しかったら私のことだけを見ろ」

 

「────美藤さん、君と同じメガネをオレにかけないで。目悪くないし···」

「私とのペアルックは嫌なのか?」

 

 オレはただこの高校で甲子園に行きたかっただけなんだ!なのに、なのに──なんでこうなったんだー!!

 

 

 ──────

 

 

 

 オレは雪野律。中学生時代から投打にわたって野球の才能を発揮し、将来を大いに嘱望されていた。

 進学先は小学生の頃から憧れていた北海道の名門、「北雪高校」

 

 ところが入学してみると、野球部の1年生はオレ1人···しかも、先輩達はオレが入ったのを驚いていたので話を聞いてみた。

 

 そうしたらなんと、3年後に女子校になるので男子入学者が激減していたのだった。

 

「──ぜ、全然知らなかった!!!」

 

 だが、小学生の頃から憧れていたこの「北雪高校」で、甲子園を目指す夢は変わらない。

 

「──どんな状況だろうとやってやるさ!!!」

 

 

 ──────

 

 

 北海道にしては暑かった道大会決勝のあの日。

 挟んだボールが手から離れていく時、嫌な感覚があった。

 今までのフォークでは起こらなかった感覚だ。だから、投げた瞬間走馬灯がよぎり、入学時のことを思い出したんだろう。

 

 カキーンッ!──ワァーッ!!!!

 

 

 ──────

 

 

 ゲームセット!

 ありがとうございましたーっ!!

 

 

 オレの最後のチャンスになるだろう2年生の夏は、オレの失投で終わってしまった。甲子園に行く夢はここで潰えた。

 

「──先輩、本当にごめんなさい···!」

 

 泣きたくないのに涙が溢れてきた。今更泣いたとしてもあの一球は返ってはこない。分かってるのに止まらなかった。

 ひとしきり泣いた後、先輩方はオレを責めると思っていたが、誰も何も言わずにただ見守ってくれていた。

 そんななか、キャプテンがまず口を開いた。

 

「ははっ。律、お前のせいじゃないし、むしろお前のおかげでここまで来たんだぜ?」

 

 その言葉に続いて先輩方が笑顔で声をかけてきてくれた。

 

「そうそう!お前がいなかったら俺たちは絶対どこかで諦めていたよ!」

「コイツらの言う通り、1年も2年もいない俺たちが勝てる訳ないって諦めるはずだった。──それを、お前が変えてくれたんだ」

「君のピッチング、バッティングだけじゃない。君の野球に真剣に向き合うその姿勢が僕たちの誇りだったんだよ?感謝しかないよ」

「白轟とか強豪に最後まで当たらなかったり、雨で試合が流れて登板間隔が空いたりして運もあったが、結局はお前が引っ張ったんだ」

「それに、負けたのも律の責任じゃない。俺が律のフォークに固執しすぎのが悪い。──すまないな、最後まで柔軟性を持てなかった···」

 

 暖かい言葉を受けて、オレの涙はまた止まらなくなった。

 ──そっか、オレはこのチームで勝ちたかったんだ。憧れの「北雪高校」で、この先輩たちと···行きたかったんだ···

 

 そう思ってたからだろう。()()無謀な頼みを了承してしまったのは。

 

「──律、俺たち3年生からの最後の頼みだ。···この高校で甲子園を目指してくれ。お前なら出来るだろ?」

「「「いや、キャプテン何言ってんの?」」」

「···はい!必ず、甲子園に行ってみせます!!」

「「「律???」」」

 

 この言葉からオレの高校生最後の夏に向けた、波瀾万丈で意味の分からない部活動が始まった。

 

 

 ──────

 

 

 

 ハッハッハッ···

 

(──いや、甲子園に行くって言ったけど、どうやって行くんだ···?普通に無理すぎだろ)

 

 部員はもちろんオレ1人。設備はあるが、練習相手は一切いない。先輩方がたまに相手してくれようとしたが、迷惑をかける訳にはいかないし断った。

 なので、今は1人でできる練習をするしかない。

 

(握力上げて、体力つけて、投げ込みしての繰り返しだな)

 

 あのときもっと握力があり、体力があり、投げミスがなければ···なんて考えてしまった。

 

(···一旦走り込みやめて、部室の整理でもするか)

 

 走り込みをやめ、手付かずだった部室の整理をしながらこれからのことを考えた。

 自分1人でする練習には限界があることは早い段階から分かっていた。──恥を忍んで、先輩方に頼もうかとそう考えていたときだった。

 

キャピキャピ

 

 グラウンドの方から女子の声がした。···この高校に女子がグラウンドを使う部活なんてあったっけ···?

 

 疑問を持ちながら、オレは部室を出てグラウンドを見に行った。

 

「いっくよー!それ!」

「わわっ!」

「おーナイスキャッチ!」

 

 ···?普通に女子が野球をしていた。

 ──意味が分からなすぎるが、とりあえず監督に報告しよう。

 

「とにかく監督に報告「あの使えない男ならクビにしたザマス!」理事長!?」

 

 女尊男卑がモットーである理事長がなぜかいた。

 ──というかクビにした?監督を?

 

「監督がクビってどういうことですか?もしかして野球部は···?」

「その心配はいりませんことよ。今日からはこのアタクシが指揮を取るザマス!」

「はぁ···あの、理事長は野球してたんですか?」

「そんな野蛮な競技知る訳ないザマス。けれど、甲子園のために集めたメンバーを見るザマス!」

「メンバー···?」

 

 疑問を持ちながらもグラウンドに目を向けた。

 どこにも男子の姿はなく、女子女子女子しかいない。

 ──ま、まさか?

 

「あの女の子たちがですか!?」

「その通り!しかも、全国から集めた超エリートのアスリート女子ザマスよ!さぁ、その美しき姿をとくと見るがいいザマス!」

 

 理事長の言う通り、確かに運動神経はいい。けど、肝心の野球の経験はなさそうだった。なぜか、キャッチボールでキャッチャーミット使ってるし···

 

「す、すごい···だんs──彼女たちをよく集めてきましたね」

 

 ···危な、「男子顔負けのプレイ」って言いそうになった。絶対そんなこと言ったら理事長にキレられる。

 それに···「1年生が1人だなんてお前らの学校に負けるわけがねぇだろ!」「お前ら終わった名門がどうやって勝つんだよ?!女子校のくせによ!!」

 ──女性と男性だからといって、比べることはするべきじゃない。

 

「アータ、何を言おうとしたのかは知らないザマスが、よく止めましたことよ」

「それはどうも。──彼女たちは確かに良い運動神経してますけど、彼女たちは素人ですよね。キャッチボールでキャッチャーミット使ってますし」

「···?ただ捕るだけの道具に種類があるザマスか?···まあそういうことを教えるためのアータザマスから」

「────分かりました。理事長、メンバーを揃えていただきありがとうございます」

 

 まあ色々意味が分からないが、メンバーが揃ったのはありがたい。

 

「アタクシのことは監督と呼びなさい。──アータ、このメンバーを率いてささっと甲子園に出場するザマス!」

 

「は···っていや、そもそも大会の規定で女子は公式戦出れないはずじゃ···?」

 

 キャプテンの無謀な頼みに答えた経験があったからか、理事長改め監督の命令に首を縦に振らなかった。

 

「そんな規則、どうとでもなります!いえ、ワタクシの力で何とかします!とにかく、彼女たちの指導任せたザマスよ!!」

「分かりました、引き受けますよ···ってどっか行っちゃった···」

 

 規則を本当に変えられるのか、彼女たちをちゃんと指導できるのか、女子で甲子園を目指せるのか、そんなの今はどうでもいい。

 

「メンバーが揃って練習できるんだ、この高校でこれ以上ない環境だろ。──本当に出れるんなら、もう一度あの場所へのチャンスが巡ってきたんだ···!」

 

 流石に秋は出られないだろうけど、夏ならまだチャンスがある。練習試合とかの対外試合で勝ちまくって認めさせればいい。

 

「そうそう、アータに限ってないとは思うザマスが部員間での色恋沙汰はご法度ですわよ。恋愛にうつつを抜かすようでは、甲子園は夢のまた夢ザマスからね!──それは、アータが1番分かるザマスよね?」

「はい。──オレは全て捧げないとあの場所を踏むことすらできないですし···今はそういうことを考えられないので大丈夫ですよ」

「──アータはやはり少し違うのザマスね。···頑張るザマスよ」

 

 理事長の円城寺 理香子に出会った。

 やる気が上がった。

 

 ──────

 

 2年7月末時点での、高校生としての能力

 

 雪野律 右投げ右打ち オーバースロー

 球速 148km

 コントロール C68

 スタミナ D58

 カットボール 3

 カーブ 2

 フォーク 5?

 

 対ピンチB 対左D 打たれ強さC ケガしにくさC

 ノビB クイックE 回復C

 

 キレ◯ 緩急◯ 奪三振 抜け球

 

 進路相談時にて、担任から「本当に大丈夫か?進路先間違ってないよな?俺の目がおかしくなったのか?」と再三の確認を受けたのにもかかわらず、「合ってます!俺の憧れの高校なんで!!」の一辺倒で北雪高校を受けてしまった。

 なお、3年後に女子校になると知ったのは入学し、部活をし始めてからというバカ。しかし、野球の実力•評判ともに高い。

 2年生時の北海道大会の決勝では、先発として役割を全うしたものの惜しくも敗れた。敗因は、フォークが疲れによって落ちきらず、甘くなったところを打たれたこと。

 

 野手能力

 

 守備位置 投手 ファースト 外野(レフト)

 弾道3

 ミート D56

 パワー C67

 走力  D50

 肩力  B71

 守備力 D54

 捕球  D50

 

 チャンスB 対左D ケガしにくさC

 盗塁F 走塁C 送球D 回復B

 

 初球◯ 広角打法 積極打法 慎重盗塁 チームプレイ×

 

 1、2年生では主に5番を任されるなどチャンスに強く、初球からヒットにできるメンタルの強さが光った。最後の大会でも5番を打ち、チーム得点王になった。なお、バントや盗塁といった小技は不得手でやりたくないらしい。

 サプボジとして、ファーストとレフトができるが、投手の守備ほどはできない。

 

 

 

 





 円城寺 理香子 
 宝飾ビジネスで蓄えた財力で、北雪高校の経営権を手中に収めて理事長に就任。野球に関しては全くの素人。他人の意見は一切聞く耳を持たない自分本位な性格の持ち主。極端な男性嫌いは過去のトラウマかららしい。
 主人公と女子部員たちとの恋愛は御法度としている。

 誤字報告など待ってます。

 モチベーションにめっちゃ関わるので、評価とお気に入り、感想よろしくお願いします!
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