女子ばかりのチームを甲子園へ   作:パッチワーカー

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 北雪高校 どこぞの24勝0敗1セーブ投手がプロデュースしたらしいシナリオ。
 矢部田 亜希子 ポジション : 外野(センター、ライト)
 矢部くんポジの北海道弁の女の子。能力も矢部くんと同等。足が速く打撃守備ともにそこそこ。情報収集能力に長けた、数少ない野球経験者の一人。「オラ~だべ」が口癖。
 北斗 八雲 ポジション : 投手(先発)
 名門、白轟高校(びゃくごう)のエースで4番。150km/h近い速球と多彩な変化球を操る左の本格派。主人公の親友でありライバル。
 女性にうつつを抜かす主人公を心配してデートのジャマをする。あと、本人は女性が苦手(特に、矢部田)。




万全のフォークは打たれない

 

 8月1週目。

 

「さて、素人を相手にどう教えるべきか···」

 

 ──困ったな。幼少期しか素人のチームメイトと関わってないし、本当に教え方分からない···

 

「お困りのようだべね、雪野くん」

「あ、矢部田さん。キミも部員になってくれるんだよね?」

「数少ない野球経験者として「経験者なの?!」──まあ一応そうだべ」

 

 矢部田さんの話によると少ないけど、経験者はいるらしい。あと、全面的にサポートはしてくれるみたいだ。

 

「矢部田さんがいてよかった!···女子相手じゃ、どう対応していいかわからないし···」

「生徒の9割が女子の学校で言うセリフじゃないだべ。──まあ、雪野くんらしいと言えばらしいだべ」

「オレらしい?」

「──なんでもないだべよ」

(雪野くんは男子女子かかわらず、気さくに話してはくれるけど、決して踏みこむことはないんだべ。──まるで、野球しか眼中にないと言わんばかりで、オラたちは話そうにも話しにくかったんだべ)

 

「まあいっか──それでどうやって指導」きゃ────!!「おわっ!なんだなんだ?」

「グラウンドの方から聞こえただべ!行ってみるだべよ」

「ああ!」

 

 悲鳴がしたグラウンドに行ってみると、男の腕を掴んでるチームメイトの女子と、掴まれてる見覚えのある男がいた。

 

「キャー!ちかん!ヘンターイ!」

「だ、だから違うんだッ!オレは律くんを探しに来ただけで···」

「──八雲、女子にそういうことをするのは良くないんじゃないか?」

「い、いや!そんなことはしてない!オレはキミを探しに来ただけなんだ!」

「──八雲って、もしや、あの道内最強と言われる

 白轟(びゃくごう)高校のエース『北海のオオカミ』だべか!?」

 

 矢部田さんも八雲のことは知っていたらしい。その後、一般的には恥ずかしい呼び名が気に入ってることが分かり、女子にたじたじな北斗が見れ、チームメイトの誤解が解け、八雲の要件がようやく聞けるようになった。

 

「八雲、災難だったな」

「いやぁ、まったく···ってそうじゃない!これはどういう状況なんだ?!」

 

 まあ確かに普通の人が見れば飲み込めない状況だよな。

 少しパニクってる八雲に今までの説明をした。

 

「実はカクカクシカシガで···」

「何ッ、女子ばかりの野球部で甲子園を目指すだとッ!?そんなバカなことできるワケないだろう?!」

 

 そう言った八雲に矢部田さんがつっかかりに行って、また八雲はたじたじになった。──コイツ、女子に弱すぎじゃない?

 

「まあまあ矢部田さん」

「むっ···本当なら首を掴みに行くところだべ。今回はこのくらいでやめとくだべよ」

「キミの夢は甲子園に出てプロ選手になることだろう!こんな事をしてていいのか!」

 

 八雲の言うことは大体合ってる。けど、1番重要な部分が欠けている。

 

「そうだが、大事なところが抜けてるぞ。──オレの夢は()()高校で甲子園に出てプロ野球選手になることだ」

「──まあいい。今日のところは、キミがまだ甲子園を目指していることが分かっただけでよしとする。これで帰るとしよう」

「そうしてくれ。これから彼女たちの指導をするんだ。時間がどれだけあっても足りないしな」

「だが、オレは諦めたワケではないッ!キミも夢を叶えるためには早く他の学校に転校した方がいいぞッ!!白轟高校もキミのことを歓迎する準備はできてる!!」

 

 そう言って八雲は台風のように去っていった。──というか、アイツオレが行ったらエースじゃなくなるけど大丈夫なのか···?

 

「ほんと騒がしいヤツだなあ···心配してくれるのは嬉しいけどさ」

「雪野くんは本当に転校しないでいいんだべか?」

「さっきも言ったけど、オレはこの高校で甲子園に出たいんだ。転校する気はないよ」

「そうだべか···なら一緒に頑張るだべよ!」

「ああ!」

 

 矢部田 亜希子

 北斗 八雲 に出会った。

 

 

 ──────

 

 8月2週目。

 

 1週間、理事長が集めたメンバーの能力や練習をとりあえず一通り見た。

 ──やはり、彼女たちの素質は甲子園に行けるだけのレベルにある。けれど、肝心の野球に関する知識や経験があまりにもない。

 

「雪野くんも目をつけてるかもしれないだべけど、オラが注目している7()人の選手を覚えてもらうだべ」

「選手個人個人では見れてないから嬉しいよ」

「そうだべか。──まずは、美園(みその) 千花さん。ポジションはキャッチャーだべ」

「キャッチャー···」

 

 ···そういえば、オレの球取ってくれる捕手を作る必要があるのか···?結構無理じゃない?

 

「いっくよー!それっ!」

 ピュッ!バシッ!

「ナイスキャッチング!」

 

「ど、どうも···」

 

 上手い。打者のタイミングをずらすリードに、キャッチングもうまい。捕球体勢も安定感がありバッチリだ。

 矢部田さんが言うには、元柔道部で足腰の強さには自信があるらしい。キャッチャー向きだ。

 

 けれど、やっぱり気になる。──彼女はオレの球を取ってくれるのか?

 

「ちょっと矢部田さん話の途中だけどごめん、投げてくるよ」

「···分かっただべ、終わってからまた続きを話すだべ」

「ありがとう」

 

 礼を言って、マウンドに駆け寄った。

 

「あ、雪野くん!···もしかして?」

「うん──ピッチャー交代してくれない?」

「もっちろん!!やっと雪野くんのピッチング見れるんだ!!他のピッチャーの子も呼んできていい??」

「オレももちろんいいよ!その方がありがたい!」

 

 そう言うと、その子は飛んでいくような勢いで部室の方へと向かっていった。──そんなに嬉しいことか?

 

「あ、あの···雪野くん?」

「美園さんだよね?──オレの球受けてくれる?」

「う、うん···それはいいけど···私にと、捕れるかな···?」

「美園さんは何kmの球とったことある?さっきの子が投げてたのは115km前後くらいだったけど」

「う、うーん···でも、そのくらいしか捕ったことないかな···」

「そっか、じゃあ今日はそのくらいで慣らすよ」

「···い、一回くらい本気で投げてもいいんですよ···?」

「──じゃあ、慣れてきたらフォーク投げるからよろしくね」

「は、はい···。ばっちこい···です···!」

 

 ···やばい、変な約束してしまった。初心者にフォークが取れるわけがない。でも、自分自身試してみたいんだ。この2週間くらいの握力の成長で、どれだけのフォークを投げられるのかを。

 

 美園さんに念入りな準備を促して、プロテクターなどを付け直し終わったくらいで投手陣が揃ってた。なんなら、野手陣も揃ってた。···あの、練習は?

 

「みんな?練習はどうしたんだ?」

「そう言うなよキャップ!アタシたちのキャップがどんな球投げるのか全員気になってるんだって!」

「そうそう!そういうことよ!」

 

 変な呼び方はこの際置いておくとして、みんな気になってるんだ。──キャプテンとして、エースとしての姿を見せないと。

 

「そうか──美園さん準備できた?」

「う、うん···!」

 

 美園さんが構えた。横から見てた以上に安定感のある構えだ。狙う場所がよく見える。

 

 ここは···

 

 前言撤回、オレの本気を見せてやる!(145km程度)

 このくらいなら取れるんじゃないか?(130km以上)

 まずは、様子見で。(120km程度)

 

 ──考えるまでもなく、120くらいだろ。オレのストレートは落ちないしな。

 

「じゃあ、まず120kmくらいで!」

「は、はいっ!」

 

 ···久しぶりに人に投げる高揚感があった。

 狙いを定め、足を上げ、軽く腕を振る。

 

 ピュッ!パシン。

 

 美園さんのミットからは、先ほどとは違い鈍い音が鳴った。けれど、捕っている。···痛くはなかっただろうか···?

 

「美園さんー!痛くなかったー?」

「は、はい···。──も、もう一球お願いします···!」

 

 もう一球か···

 

 やはりここは、オレの本気を見せてやる!(145km程度)

 今の感じだと、このくらいなら取れるんじゃないか?(130km以上)

 まずは、この球速から慣らそう。(120km程度)

 

 まあ120km程度を完璧に捕球しないと速くなったら捕れないだろうし、120km程度だろう。

 

「美園さん、もう一球行くよー!」

 

 そう言って、また狙いを定め、足を上げ、軽く腕を振るう。

 

 ピュッ!パシンッ!

 

「良い音鳴ってるんじゃない?」

「チカちゃん、ナイスキャッチ!」

 

 確かに良い音は鳴ってる。──美園さんは結構痛そうだけど。

 

「美園さん、大丈夫?」

「──つ、次はフォークお願いします···」

 

 長期的に投げるわけにはいかないからって、ここか···?なら、1番打撃が良い人に打席立ってもらおう。

 

「そっか、──美藤さんか冴木さん!バッターボックスに立ってくれる?」

「む···私か?」「──私が立っていいだろうか?雪野の球に興味がある」「かまわないよ」

「なら冴木さん頼むよ」

「ええ〜!アタシじゃダメかよ〜!」

「私たちも立っちゃダメー?」

 

 オレはいいけど、多分美園さんが耐えられなさそう。

 

「──今日は冴木さんだけかな。また、次の機会で!」

 

 そう言って納得してもらい、冴木さんが打席立った。

 冴木さんと美藤さんのタイプはかなり似ている。どちらもアベレージヒッタータイプで捉えるのがうまい。

 美藤さんは元々ソフトボールをやってたらしい。そのため、ボールを捉える力はこのチームでトップクラスにある。──成長すれば、オレをも超えるかもしれない。

 冴木さんはなんなら、もうオレを超えていると思えるほどスイングがキレイで打撃がいい。力不足も感じない。守備も安定感はまだないが範囲が広くうまい。──本当に楽しみな素質の持ち主ばかりだ。

 

「──雪野、打席に立つだけではなく打ってもいいか?」

 冴木さんならそう言うと思った。──けど、オレの万全のフォークを打つのは···

 

「いいよ。むしろその方がありがたいし!──内野の守備だけついてもらおうかな。みんな頼んでいい?」

「「「「いいよー!」」」」

「外野はいらないと?」

「外野に飛ばされた時点でダメだし、飛ばされることはないかな」

「ほう···」

 

 左打席に入って、冴木さんの目が変わった。

 ···対して、オレは強打者を前に緊張するのかと思ったけど、存外ワクワクしている。なんなら、ピンチのときみたいな高揚感がある。

 

「じゃあ、美園さん、冴木さんいくよー!」

「···う。うん···!」

「ああ」

 

 真ん中高めから低めと美園さんからジェスチャーがあり、そこに狙いを定めた。

 ボールを指で深く挟み、足を上げ、腕を鋭く全力で振り抜いた。

 

 ビュッ!

 途中までは140kmほどのストレートの軌道だったが、打者の手前で「ストン」と急激に沈み──いや消えた。

 ブンッ!

 冴木さんのバットは空を切り、美園さんもグローブに当てられはしたが、前に落とすことはできず、後ろに転がっていった。

 

 美園さんが、冴木さんがどうこうではなく、単純なスピード•変化ともに増していた。

 ──オレ、フォーク成長したか?

 

 

 

 

 

 

 





 スタメンはネームドキャラで埋めたいので、本来北雪高校以外のメンバーも入ってます。

 美園 千花 ふわりとした黄緑色の長髪におっとりとした薄い黄土色のタレ目をしてる可愛い系の女の子。
 ポジション:キャッチャー
 元柔道部だけあって恵まれた体格から繰り出すバッティングは当たりさえすれば長打が期待できる。しかし、気弱な性格からか積極的なバッティングはできず、なかなか実力が発揮できない。
 また、頭脳明晰な理論派でチームの司令塔を任されているが、声と気が小さく指示が通らないこともしばしば。
 
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