女子ばかりのチームを甲子園へ   作:パッチワーカー

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 スタメンを組んでるときに初めて気づきました。このチーム守備難すぎます。
 北雪のメンバーで勝つの難しくない?


ちぐはぐな投手と本気が出せない投手

 

 

 

「小嵐さん、あの後で行くから今は先行ってて?あと左腕離して?」

「後でっていつ?こういうときのりっくんは信用ならないよ」

 

「美園さんも後でバッテリーサインの確認とかするし、背中掴まないで···?」

「い、いやです···。今じゃなきゃやだです···」

 

「八尺さんも後でいっしょに走るから、今は足離して?」

「キャップの足はアタシがもらったー!」

 

「──明星さん、スケジュールや練習方法は後でみんなで考えるし、前から抱きつくのはやめてくれない···?」

「2人で考えるって言ってくれるなら離してあげる」

 

「···大空さん右腕締まってる!···あの大空さん?ニコニコしてるのはいいんだけど、離してくれない?」

「ミヨちゃん律くんが何言ってるのか分かんないー」

 

「······十六夜さん見てないで助けて?」

「あら、雪野くんが助けをこうなんて珍しいわ。──そうね、将来5億円稼ぐプロ野球選手になると誓ってくれれば助けてあげる」

 

「──冴木さん?バットでオレの頬突かないで···」

「助けて欲しかったら私のことだけを見ろ」

 

「────美藤さん、君と同じメガネをオレにかけないで。目悪くないし···」

「私とのペアルックは嫌なのか?」

 

 

 これは夢だ。夢の中でも「これは悪い夢だ」と言い切れるほどの悪夢だ。 

 ──この最悪な状況から逃げ出すには、この中から1人大事な人を作るのが最善だと直感的に気づいた。

 ──オレが好きなのは···

 

 

「オレは   さんが好きだ」

 ──ノイズが走って聞こえない。自分が言った言葉なのに、聞き取れなかった。オレは誰を選んだのだろうか···

 

 

「──ハッ!···やっぱり夢か···」

 北海道の夏だというのに、汗でシャツが滲んでいた。今度から安眠の音楽でもかけないと、変な夢にうなされそうだ。

(···それにしても、妙に現実感のある夢だったなぁ···えっ?ほんとに起こるのか···?)

 

 そう思うと不安に駆られてた。

 

 不眠症になった!体力が30減った!

 

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 

 8月4週目。

 大分、女子生徒との練習が様になってきた。

 矢部田さんのサポートや十六夜さん、美藤さん、冴木さん、大空さんのソフトボールや野球経験者との連携•分担がうまくいっているのが大きい。

 ──ここまで早く良いチームになれるなんて思っていなかった。

 

 美園さんは声が出てきて、オレや十六夜さんの球にも慣れてきた。

 八尺さんは野球の基本的なルールを覚え、ポカがなくなった。

 小嵐さんは野球に慣れてきて冷静さが出てきた。

 その他の初心者もみんな野球に慣れてきて才能を発揮し始めている。

 ソフトボール•野球経験者も教えることによって基礎が磨かれ、徐々に動きが良くなっている。

 

(──休憩終わったら次は内野連携の練習だな)

 

 そう思っていると、後ろから男の足音が聞こえた。

 

「──今日も忠告しに来たのだが···」

「ああ、八雲。──うちのチームはどうだ?」

「確かに良くはなっているが、甲子園のチャンスはあと2回しかないんだッ!第一公式戦には女性選手は出れないんだ!ここにいては夢が叶わなくなるぞッ!」

「だから前も言ったけど、オレはこの高校で甲子園を目指すんだ」

「なぜだッ?なぜ、そこまで北雪高校に固執しているッ!?」

 

 それは···

 

 彼女たちの羽ばたく姿が見たいからだ!

 先輩との約束を果たすためだ!

 ···学園長の思いを無駄にしないためだ!

 

 

 ──なんで···か。まあ先輩たちとの約束がきっかけだな。それに···

 

「まずは先輩たちと約束したからな。──オレのせいで負けんだ。せめて、先輩方の夢を頼みをなくすわけにはいかないだろ」

「男と男の約束なら破りたくないのは分かるが···キミはもっと自分自身を考えるべきだッ!」

「──あと、お前の意見とは真逆だが、彼女たちの資質が花開くところだ見たいんだ」

「来年では遅いんだぞ···?」

「きっと、今ここで彼女たちを放っておくほうが後悔するよ。···それだけ、彼女たちと野球するのは楽しいし、面白い」

 

「──だが、オレはキミを諦めないッ!君は一度現実を見るべきだッ!!」

「現実?」

「ああ!──今週の土曜日練習試合をしよう!キミの幻想をオレが打ち砕いてみせる!!」

「いいよ──打ち砕かれるのはお前らだけどね」

「ここではなんだ試合で語ろう!ではまた!」

 

 嵐のように来ては、言うだけ言って帰っていったな。···まあ確かに、今のままではまず公式戦に出ることすらできない。

 ──何か変える手がないと理事長といえど難しそうだ。しかも、勝手に予定を決められた。一応土曜日は1日練が元々入ってるから行けなくはないけど···

 

「どうしようか···なって、みんな?いつからいた?」

 

 練習に戻ろうと顔を上げたら、なぜかみんなが練習もせずにオレの方を見ていた。···なんなら近くに来ている人も結構いる。

 

「いやーアタシたちのキャップがカッコよく言い切ってたのを近くで見たくなったんだよ!」

「そうそう!さすが私たちの雪野!」

「私は選手じゃないけど、それでも胸がポカポカする良い啖呵だったわ」

「胸がポカポカするっていうのはちょっと違うんじゃないかな···?」

 

 だ、そうだ。···まあ悪印象を与えていたわけじゃなくて良かった。

 ──後で、理事長に相談してちゃんと日程組むんでもらおう。

 

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 

 

「現実を見せてやろう」と八雲に言われ、急遽白轟高校にて練習試合が組まれることになった。──いや、急遽と言うには全てがスムーズに事が運んでるから、多分理事長の差金だろう。話に行った時点でほぼ固まっていたし。

 それに、スカウトの影山さんもいる。

 ···多分、これは女性がどれだけやれるのかという現実を見せる良い機会にしたいんだろう。

 

 ──みんなに見せよう、女性陣が男性と比べても変わらないほどの上手さ、強さがあると。

 

 

「相手は名門、白轟高校。だけど、オレや十六夜さんが打たれる気はしないし、みんなが八雲を打てないとは思えない。──勝って甲子園に出るのはオレたちがふさわしいことを証明しよう。頑張るぞッ!」

 

 このチームが弱いわけがない。···だってオレが投げるんだ。負けないよ。

 

「十六夜さん、オレ6回まで投げるからそのつもりで」

「あら、もっと早く代わってもいいわよ」

「あんまり十六夜さんの投球スタイル見せたくないしね」

「対策されるとでも言うの?」

 言葉と表情に圧を感じた。普通にちょっと怖い。

 

「そういう訳ではないけど、単純にまだドロップカーブとシュートのコントロールが上手くできないでしょ?ストレートは本当にいいけど、それじゃ球数多くなるから短いイニングの方がいいよ」

「──今回だけは譲るわ。だけど、今度は私が多く投げるからね」

「うん、頼りにしてるね」

 

 話を切り上げて、みんなの顔を見る。

 緊張してる人もいれば、ワクワクしてる人もいる。──けど、真剣じゃない人はいない。勝てないと思ってる人もいない。

 ああ、ほんとにこの高校を選んでよかった。このまま行けば、理事長とオレたちが目指す女子が出れる甲子園が現実になりそうだ。

 

「じゃあ、みんな。──力を見せよう!勝ちに行くぞ!!!」

「「「おぉぉぉ──ー!!!」」」

 

 

 

 

 

 北雪高校

 

 1 左 十六夜

 2 ニ 冴木

 3 一 美藤

 4 投 雪野

 5 三 大空

 6 中 矢部田

 7 捕 美園

 8 右 八尺

 9 遊 小嵐

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 ──予想外のことが起こりすぎている。()()理事長が言っていたことが虚言でなく、新たな時代が到来するような感覚がした。

 

 北雪高校 2 ー 0 白轟高校

 

 5回が終わって、北雪はヒット数8本に対し、白轟のヒット数はいまだに2本。

 エラー数は北雪が3つで、白轟が1つ。

 北雪は上位打線が繋がり、大きな当たりこそ少ないが着実に北斗くんを捉えている。

 北斗くんの投球を見ると、本調子ではなく何か()()があるのか、それとも女性だからとセーブしているのかもしれないと思わせる内容だ。速さ、コントロール、変化球のキレ、投球フォームすらも怪しい。···それで2点に収まっているのは2、4番相手にはしっかり投げられているからだと考える。

 冴木くん、雪野くんという打線の核にはフォークがゾーンに決まり、動く球はストライクゾーンから逃げたり入ってきたりしている。これが全員にできていたら1点も取られていない。

 ──まだまだ課題は多いが、能力は高い。というのが現時点での評価になりそうだ。

 

 そして、雪野くんも本調子···というより全力ではない。北斗くんのように迷いがある感じではないが、意図的に抑えているのは外から見ても分かる。140kmを越える球がなく、130km程度の球速に留まっている。

 ──恐らく捕手に気を遣っているのだろう。相手ベンチからは見えないようにして捕手の手を気遣っているシーンがあった。

 けれど、コントロールを間違えることはなく緩急と動く球を自在に扱っている。それだけに、フォークがないのは違和感でしかない。カーブやカットボールは取れるが、あの落差の大きくキレのあるフォークが取れないのだろう。

 

 

 ──ちぐはぐな投手と本気が出せない投手、そんな投手を見に来たわけではないが、収穫はある。

 ···けど、試合終わりに少し投げ込みを見させてもらおう。このままだと職務放棄になりそうだし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 スタメンの能力です。現在のではなくパワプロでの能力ですね。要らなそうな能力は省いてます。
 あと、打順で並べてます。
 弾道 ミート パワー 走力 肩力 守備力 捕球 特能の順番です。

 左 十六夜 2 CDCBCC ムード〇
 二 冴木  3 BCADBE 盗塁•走塁B アベヒ 粘り打ち 内野安打 チャンスメーカー 逆境 守備職人 意外性 
 一 美藤 3 CCDCCC チャンスA アベヒ 粘り打ち 逆境
 投 雪野 3 DCDBDD チャンスC 盗塁F 初球◯ 積極打法 
 三 大空  3 GAECDD パワヒ 強振多用 積極打法 積極守備
 中 矢部田 2 DECDCD 盗塁•走塁B 内野安打 バント
 捕 美園  4 EDECCE キャッチャーB 意外性 選球眼
 右 八尺  3 CEACEF 盗塁•走塁•送球F 粘り打ち 内野安打
 遊 小嵐  2 CECEBG チャンスB 走塁B バント◯、守備職人
 
 八尺さんと小嵐さんの捕球が怖すぎるのと、大空さんのミートが低すぎます。ミートはまあ一旦いいとして、ショートの捕球がGなのは勘弁してもらいたいです。何気に冴木さんも捕球Eなのでエラー祭りが開催されるかもしれません。
 けど、打線自体は悪くないです。ムード◯の1番に対応力•長打力のある2、3、4番。一発のある5、7番。ミートと足がある6、8、9番。
 全体的に足が使えますし、ヒット数以上に点が取れそうです。
 甲子園勝てるのかと言われたら、投手が頑張ると返しましょう。



 
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