これが(ホロウで)生き残るための、オレの足掻きだぁ! 作:野菜大好き丸
ふと目が覚めると、そこは廃墟だった。
(んぁ? どこだここは……?)
随分重っ苦しい身体を起こし周囲を見渡せば、崩壊した住宅や建物に割れた道路、捻れた電柱や信号機に無造作に積み上げられた車や電車の山の景色が広がっていた。
そして何より、辺りが暗く淀んだ空気が支配し人の気配が一切しない。明らかに見覚えの無い場所にいるという突拍子も無い異変に茫然せざるを得なかった。
また、異変はもう一つ起きていた──
(ってか、なんか視線が高くねぇか? あと手足の感覚が無い……ってなんじゃこりゃ!?)
自身の違和感に気になり身体を見てみると、その身体は人ではなかった。白銀に輝く金属の装甲を身に纏い、人一人はゆうに超えるほどの大きさをした長い蛇体の姿が目に映った。
何となくこの自分の姿に見覚えを感じた俺は辺りを見渡し、運良く近くにカーブミラーの残骸を見つけ、自身の全体像を鏡に映して確認する、
(……おいおい、これは一体? なんで俺は“サイバー・ドラゴン”になってるんだ?)
【サイバー・ドラゴン】。それは遊戯王に出てくる有名なカードテーマの一つだ。決闘者からはサイドラという略称で呼ばれている。
そのテーマの代表であるコイツは人気カードとしても名高く、性能も優秀で一時期制限カードに指定された過去の実績もある。ストラクでもサイドラ主体のデッキが3つ程出ていることからテーマ人気としても高い。なんならフィギュアも出ていたしな。
流石に現代遊戯王に置いて単体では当時に比べパワー不足だが、サポートカードや派生カードは充実しておりテーマデッキでは後攻ワンキルを狙える爆発力は備わっている。
天盃? あれは後攻ワンキルの殿堂だからノーカン。
そんな決闘者に人気のサイドラに何故かなってしまった俺である。いや、まじでなんでや? 覚えていることは確か友人と昨日大会に出ててサイドラデッキ握ってたんだよな。二回戦で負けたけど。
んて友人も負けたんでファミレスでお疲れ会という名の駄弁り会をした後、解散して帰って寝たんだよな。
うん、振り返ると尚更なんで俺はサイドラになってるんだ?
考えられる理由としても、前世の自分がサイバー流の決闘者だったという薄い根拠でしかない。あと目が覚めたら廃墟ってのはマジで意味わからん。噂に聞く明晰夢ってやつか?
確かこういう時は衝撃を与えたら目が覚めるっていうよな……? ならちょっとそこらの建物に頭突きかまして目が覚めないかな──せーの、オラァ!!
──ドシィィン!!!
勢い良く崩れた建物に向かって頭突きをかましたが、そこそこの痛みと頭突きによってボロボロな建物がガラガラと音を立てて雪崩のように崩壊しただけだった。
……つか景色変わってねーし、なんならただ痛ぇだけの骨折り損じゃねーか! 糞が。(悪態糞機光龍)
しかしどーしたもんかね? さっきの頭突きによる痛みで目が完全に覚めちまったし、ここでふて寝するよりかはこの身体を慣らしながら散策した方が気分的に良いかもしれん。
……どうもこの場所は埃被った感じがして、機械の身体なのに何故か気分が悪くなりそうだ。不調は今のとこないがあんまり居座りたくない。
つーわけで移動してイクゾー! デッデッデデデデ、カーン!(114514点)
『GuuuOooo!!』
(うるせぇ!)
『Gugya!?』
えー、2時間くらい這いずって移動しましたが、人っ子一人も見つかりませんでした。代わりに頭がブラホのような黒渦になってる黒緑の生物はあちこちと見かけたゾ。まぁこっちに気づいた途端に襲い掛かってきたんですけどねコノチクショウメガ!!
あ、そいつらは普通に倒せました。
……周囲の建物とかも纏めて薙ぎ払って壊したけど元々廃墟だったしノーカンだノーカン!
それから移動したり化け物ぶっ倒したりまた移動して化け物倒しながら進んでいったが、この空間が変ということしかわかりませんでした! (無能)
だってここ、普通に移動したら急に空間に裂け目みたいなものが出てくるわ、試しに通ってみるとワープしたかのように別の場所へと着くわでどこに向かっているのかわからんなってきた。要は迷子です、俺。
とはいえ悪いばかりのことだけでなく、裂け目の先には常の感じていた不快感が無くなった空間も存在し、現在俺はそこで少し休息をとっている。
しかしどうしたもんかね、なんの当てもないし八方塞がりな事実に変わりない。これからどうすっかな~っと悩んでたその時だった──
『ホロウオートマッピングシステムを起動します』
どこからともなく機械音声が流れると同時にゲームのオプション画面のようなものが脳内に展開された。ざっくりいうとFPSゲーム画面の隅にメニューを開いているような感じ。
にしても都合良くシステム起動したな。最初から起動してろや。(憤怒)
まぁ試しにホロウオートマッピングシステム──長いからHAMS(ハムス)と略す。おいしそうな名前だなオイ──に意識を向けて念じると、ホログラムで構成された立体の地図が脳内に展開し……あばば!? ちょ、ヤバッ!? 余りの情報に
うへぇ……ひどい目にあった。けどおかげで今いる場所の情報を得られたから苦労した甲斐はあった。コラテラルダメージってやつだ。
どうやら俺がいるのはホロウという異空間らしい。某死神漫画の敵みてーな名前してんな。それでHAMSの情報によると近くにいくつかの裂け目の反応、あとはホロウの外へのルートが算出されていることが分かった。
つまりこれで外に出られるってわけだヤッター!
けど外に向かうルートの先には何故か赤い点が複数存在していたんだよね。これ、どう足掻いても敵と遭遇するってことだわ。○ンチー!!
それでも何も無いよりかは進展したし、そのホロウの外とやらに行ってみるとするか。さてさて、どうなることやら……。
・主人公
サイバー・ドラゴンに転生した一般人。前世では主にサイドラデッキを愛用。ホロウ内にボッチ転生ナウ。
・HAMS
ゼンゼロのキャロットと同じ役割を持つ地図情報システム。ただしリアルタイムで更新し続けて自動マッピングしてくれるためキャロット以上の性能ともいえる転生チート。