これが(ホロウで)生き残るための、オレの足掻きだぁ! 作:野菜大好き丸
ホロウの外を見た俺は、あの後外の景色をざっと見してから空気が淀んでいないホロウ内の安全地帯──今思えばここはどっかに繋がった非ホロウ空間なんだろう*1──に戻っていった。
……え? 大都市に行かなかったのかって? 仮に大都市に怪獣現れたらお前達はそいつを友好的に迎えてくれるのか? つまりそういうことだ。
それに外を見たおかげで色々とやることは出来た。まずは衣食住もとい生活基盤の確保だ。
このホロウ内といい、あの大都市の存在から文明は現代に近いようだが、都市の周りが荒野やホロウだらけで寂れた箇所が多い。よくゲームやアニメで言われるポストアポカリプス──雑に言うと世紀末──な世界なんだろう。
前世よりも更に不安定な情勢の中で万全な
問題は食だ。俺の場合機械だから電気がエネルギーとなる。一応ここに漏電してる箇所があるのでそこから電気を取る事も出来る。
盗電? 知らん、そんなことは俺の管轄外だ。
しかしいつまでもこのホロウ内で電気が流れ続けてくれる保証は何処にもない。どうにか使える発電システムとかあれば自給自足出来ていいが……。
まぁくよくよしてもしょうがない。これから俺がやるべきことは二つ。
・ホロウ内を調査し、
・HAMSとDCSの深い検証。
特に二つ目はこれから先の命綱になり得る力だ。使いこなせば心強いし、使えなければ宝の持ち腐れ。遊戯王でもカードの効果はしっかりと理解しないと意味をなさないのと同じだ。
そしてカードを使って思ったが、DCSは色々と化ける可能性のある能力と同時に、今までのカード効果として使う認識を改める必要がある。
例えば“サイバネティック・ヒドゥン・テクノロジー”。本来は単体除去の効果だが、自爆の威力はむしろ大きすぎて全体除去に近い効果を発揮していた。想定よりも威力があり過ぎてうっかりブラロ*2の全体ブッパをしてしまったような感じだ。
これがもし“ブラックホール”なんて発動してたら俺もろとも一帯の生物がガメオベラ、下手すりゃこの星を消滅させて、この世界が文字通り滅亡してたかもしれない。
おかげでDCSは扱い方次第では自身にも危険を及ぼすことと、思わぬ使い道があると考えさせられた。それこそカードによっては
なに、こんなわけわからん状況でも現代遊戯王の制圧盤面に比べりゃ出来ることは多いならやれることはある。決闘者のメンタルを舐めんなよ。こうなったらサイバー流DIYでも何でも使ってでも生き延びてやるからな。
これが(この世界で)生き残るための、俺の足掻きだぁ!!!
──えーっとまず文字通り人手が欲しいから人型モンスターを……あ、サイバーじゃないけどこいつらで代用するか。
──そういやライフコストのカードって使うとどうなるんだ? 試しに安全そうな“サイバネティック・フュージョン・サポート”を使っtアベバーッ!?
──よーしフィールド魔法は使えたしこれで周りを気にせず修行できるな。早速モンスターとぶつかり稽古を──ってツヴァイお前ガチで来んな!? 鉄砲玉として使ってるのはすまんがリミ解までするほどじゃギニャー!!
──あ、なんか新しいカードのプログラムが解放された。って、いやお前……確かにある意味サイバーだけど仮にも主人公の、それもエースカードだろ? まぁ遠慮無く使えるならそれに越したことはないが。
──ん? なんかエーテリアスが大群で移動してんな。ちょっと野次馬しに行ってくるか。
──クックック、運搬リヤカーに“万能地雷グレイモヤ”をセット完了。これで品物奪いに来る不届き強盗はまとめて爆☆殺!!
──さーて見つけた物資の中身は……って食料とかハズレじゃねぇか!! この前思い切って食べたらエラー出まくったんだよなぁ……。
──はぁ、電気だけだと味気ないし、食べれるんだったらこのカ〇リーメイトもどきの携帯食料でも食べてぇよ。せめて生き物になれれば……ん? 待てよ……。
──うまい! うまい! モウヤンのカレーうまい!!
あれから約半年が経った。なんということでしょう、殺風景な廃墟しかなかった安全地帯は某怪物狩人ワイルズのベースキャンプの様なしっかりした拠点へと発展していきました。
資材置き場には“死霊騎士デスカリバー・ナイト”が馬車使って愛馬に資材を運搬してるし、あっちでは最近迎え入れた住民と一緒に“
え、何だよしょごりゅう? ネットワーク発展のためにサーバー増築してくれ? 無茶言うなこちとら資材カツカツだし、サーバーを作りたくても基盤とかないんだよ。だから悪いが後回し──っておい! 俺の電脳にテンペスト・アタックは洒落にならんからやめろぉ! やめろぉ!!
あ、あっちで主治医と看護師*3が住民にナニかしようとしている。住民が助けを求めるような目でこっち見てるけどすまんな、巻き込まれたくないんでされるがままになってくれ。まぁ悪いようにはならんと思うよ、多分。
何はともあれ当初に比べここはだいぶ発展していった。腐☆腐☆。よく見ろ、ホロウ内でもこんなに環境が整った拠点は見られんぞ……。
それと課題であった電気問題もほれ、最近開発したこのエーテル式発電機によって大きく解決したというわけだぁ!
ふーっふっふwふわぁあーはぁーはぁーはーっwうあぁーはぁーはぁーはぁーはぁーはっwふぁっはっはっはっはぁーっwwひぁっはっはっはっww!
親父ぃ語録はさておき、この半年の間に俺は拠点の発展だけでなくこの世界の知識を色々と学ぶことが出来た。なんでもホロウの空間にはエーテルという物質が存在し、それは結晶化してたり大気中に漂っていたりする。あの淀んだ感じはエーテルによるものだと知った時は驚いたな。
そしてエーテルというのはエネルギー資源となり、この世界では深く生活に根付いている。なんなら資源としてお金に換金されているほどだ。
あ、この世界のお金の単位はディニーというらしい。そしてホロウ内でも独特の通貨としてギアコインが流通している。ただしギアコインはホロウ外に持ち出すと消滅してしまうので、汎用的な貨幣としてはディニー一択となる。
それで、なんで俺がこの世界の知識を得ているのかというと……、
『ンナ! ンナナナ! (お疲れ様です! サイドラ様!)』
俺に挨拶をする目の前にいるウサギみたいな寸胴のロボット。こいつはボンプといい、ホロウ内部探索特化の災害救助の支援ロボットでホロウの中で出会った。そしてこの拠点にそれなりの数の野良ボンプが住民として暮らしており、目の前のこいつにはリーダーとしてまとめ役を担わせている。
最初出会った時ンナンナと何言ってるのか分かんなくて意思の疎通が出来なくて困ってたが、あちらさんの体から出てきたケーブルを繋げてボンプ用言語モジュールをインストールしてからは理解できるようになった。
しかしンナで言語を圧縮し過ぎだろ。ワド〇ディのわにゃ語かよ
んでこいつは元々フリーのホロウ調査を生業にしている独身ボンプで、少し前にここのホロウを調査しに来ていた。調査の途中でエーテリアスの群れに襲われ、そこを資材探索で通りかかった俺が助けたってことだ。その後色々と話し合った結果、知識の提供アンド人手確保の為に雇うことにした。
ちなボンプにも個体ごとの名前があるんだが、こいつは元々個体名が無く雇ったのに名前がないと呼ぶのに不便だから俺が名前を付けた。名前は“リョウ”と名付けた。
話を少しホロウ関連に戻して、実はホロウに居続けるのはかなり危険な行為であり、エーテルによって侵蝕されエーテリアスというあの頭ブラホな化け物に変異してしまうという。しかも生物無機物関係無く侵蝕するので俺のような機械でも安心出来ない。リョウのようにホロウ内活動に特化しエーテル侵蝕耐性が高いボンプですら居続けるとバグって野良化、下手すりゃエーテリアス化もあり得ると。
……そう考えたら俺よくエーテリアス化に陥らずに済んだな。こいつにエーテルの侵蝕耐性を簡易的に調べてもらったけど、どうやら俺はエーテル侵蝕耐性が極めて高いらしく、今まで見たことないレベルだと。しかし詳しく調べるには専門機関に診てもらわないとわからないとのこと。
んでまぁ、色々あって俺は
また、ホロウ内で俺が採掘したエーテル結晶を彼に仲介して売ってもらい、ホロウでは手に入りにくい物資の購入を頼んでいる。意外とエーテル結晶は需要が高く、ホロウに不法侵入して採掘する人も後が絶たないほど売れるとのこと。ちなそういうホロウに不法侵入する人がいて、そういう人はホロウレイダーと呼ぶという。
俺? 怪物に人の法律なんざ無効だしセーフだろ。
『ンナナ……ン、ンナ! (それでサイドラ様、今後の予定なのですが……)』
ん? ああ、例の行商計画だな。三日後に化石燃料プラントのある荒野の集落、そして一週間後には大都市──エリー都の郊外に向かうのであっているぞ。
リョウに頼んでいるのはホロウ外にある集落や街への交易だ。計画当初はリヤカーを引っ張ってもらい始めてもらってたが、今じゃ中型トラックを運転して各地に出向いてもらうくらいに重要な仕事になっていて基本的にはリョウに頼んでいる。どうしてもホロウにはない物資があったりするし、かといって俺自身が出向くと面倒なことになるのが目に見えるからとても助かっている。
リョウ曰く、交流しているお得意さん達からはここのエーテル結晶はとても品質が良く、価格がリーズナブルでお得だと大変好評だとか。それなりの大きさ一つが1万ディニーするのが5万ディニーぐらいの稼ぎになったのは驚いたわ。
しかし人気なのはよいが手放しに喜べるものではなく、金の匂いを嗅ぎつけた邪な考えをする阿呆が引き寄せられ恐喝、強盗された過去がある。酷い時はこのホロウにまで跡をつけてくるやつまでいた。
まぁホロウまで来た奴は直接出向いて
特に自爆の方が効果的で、そいつらのせいで品物買えなかったお得意さん達の顰蹙を買い、それ以降そういったやつもいなくなった。これが思いだけでも、力だけでもってやつか。
今回の行商に関してこちらからの重要な注文はない。リョウはこの世界の市井に紛れて生活していた経験から物価や市場価格に詳しいし、こういった交渉事を任せて問題ない。
──しいて注文するなら、もし何かあったら荷物捨ててでも全力撤退して絶対に生きて戻ってこい。それだけだ。
『! ンナナ、ンナ!! (っ! かしこまりました!)』
リョウ達ボンプは電化製品として扱われるため人権というものはない。一応この世界には機械人というアンドロイドがいて人権はあるらしいが、ボンプにはそれがない。だから調子が悪くてもそのまま放置、時には壊して金目のものを奪ったり彼らのパーツをジャンク品として横流ししたりする奴らもいるという。
まだ一年も経ってない付き合いだが、彼らは打算的にも人情的にもこの世界で初めて出来た大事な繋がりで失うのは絶対に避けなければならない事態だ。俺が召喚するモンスターに彼らの護衛とかつければよかったが、有効範囲があるのか俺から一定の距離を離れると勝手に消えるから行商での護衛に付かせられないんだよな。
幸いなことに一部の罠カードは実体化させて仕込むことが出来るからとりあえず上手く使って彼らの自衛手段として提供しているけど、それでも心もとないからこの世界の武装とかを併用して使ったりしている。
そういや、なんでもエリー都にはボンプにとって垂涎ともいえるクリーニング・メンテナンスのサービスがあるという。まぁ資金と単純にサービスを受ける為に必要なチケットというのが手に入らないからできず、代わりとして俺がメンテとクリーニングをしている。
えっ? どうやってやってるかって? こう尻尾の先端でちょちょいとな。
お世辞でもやってもらって嬉しいと本ボンプは言ってるが、出来ることなら日頃の礼としてリョウにはいつかそのサービスを受けさせてやりたいものだ。
とにかくまぁ、いつも通り彼が行商に向かい、無事に戻ってくれることを願おう。
(おかしいな……?)
本来の帰還予定が過ぎてもリョウは戻って来てない。何かおかしいと思った俺は留守を住み込みボンプ達に任せ、ホロウの外に出てみると、
(なん……だ、これは……?)
エリー都がある方角で、都市が超巨大ホロウに吞み込まれている光景が眼に映った。
・サイドラ
男は度胸!何でも試してみるもんさ精神で色々と試したり、死にかけたりしているがどうにか生き延びてる。元が小市民な為に馴染みでない内政とかは苦手だが、とりあえず住民ボンプに裏切られないよう頑張っている。なおボンプ達からはかなりの好印象。
・リョウ
元フリーランス野良ホロウ調査員ボンプ。出会った当初はノーマルな見た目のボンプだったが、現在は遊戯王GXの丸藤亮のコスプレした姿になっている。拾ってくれたご主人には感謝している。主人が行うメンテナンスは世辞抜きに気持ちいいらしく楽しみの一つだという。
・モンスター達
DCSでサイドラが召喚しているモンスター。実は前世で彼が持っているカードに付いてた精霊達だが、前世の世界がオカルトパワー皆無な世界だったため現実に干渉が出来なかった。そもそも主人公に干渉する気は無く、見守るだけでよかったという。
主人公が異世界転移サイドラメタモルフォーゼした際にゼンゼロ世界にまでついてきて、この世界ではオカルトパワーが使えるため実体化が可能になった。何ならDCSから勝手に出てこれるが本人を困らせないように自粛している。
(表裏問わずに)サイバー流のカードは全部精霊つき、他のテーマでも精霊がついてるカードは多い。なので彼についているカードの精霊はまだまだいるぞ。
カード一部紹介
・サイバー・ドラゴン・ツヴァイ
サイバーデッキに入ってたカード。流石に現代サイバーデッキに複数採用はしてないがピン刺ししているため、そのことはうれしく思っている。ただし鉄砲玉扱いはいいが、ノリで自爆とかさせんじゃねぇとのこと。一応後で蘇生してくれるので許しはするが殴らせろなスタイル。
・死霊騎士デスカリバー・ナイト
前世で【サイカリバー】の頃からお世話になってたカード。主人公の現代サイバーデッキでもピン刺ししており、たまに思わぬ活躍をしていた。馬車引いて拠点内の運搬作業だったり、拠点付近のホロウ巡回警護をしている。
・銀河戦士
サイドラとともにエクシーズしてノヴァインフィニティしてたカード。人型で呼べるモンスターなため人型であることでの利点を活かした仕事を任せられている。
・しょごりゅう
本名ファイアウォール・ドラゴンさん。(種族が)サイバー(ス)です、通してください。
前世のサブデッキであるサイバース族デッキに入っていたエース。
与えられた仕事としてサイドラの電脳、拠点内の電脳やネットワークに入り込んでネット環境管理しているクソ強ネットセキュリティ担当になっている。