植蘭中学では、三年生の四月中旬から高校入試に向けて、1on1の進路相談が始まる。
この学校は、県内随一の名門校であり、毎年雄英高校へ進学する生徒を輩出する。そのため、志望者も多く、東坂武瑠も例外ではない。
放課後、空き教室で進路相談が行われていた。
「東坂。お前は成績優秀で模試判定もA評価と申し分無い。だが、進路を考え直した方が良いと⋯俺は思うな」
担任は、武瑠の進路希望調査票を一読し、紙を反対側にして向ける。武瑠が書いた第一志望校欄には、【雄英高校ヒーロー科】と記されていた。
「普通科との併願希望とあるが、普通科はさて置き、ヒーロー科は難しいと思うぞ。その、なんだ」
「先生、無理に仰らなくて大丈夫です。確かに、俺は無個性であり、社会的に見て大きなハンデを背負っている事は百も承知です。ですが、一介の武士として、高みを目指し、己を極めたい。それだけです」
担任は、正面にいる武瑠の眼を見る。武瑠の黒く澄んだ瞳と言葉には、確かな意志が宿っていた。その瞳から感じる熱意に当てられた担任は、生徒の思いを優先した。
「⋯はぁ、生徒の意思を尊重するのが教師の務めだ。受けるからには、本気で合格を目指せ」
武瑠は、受験対策を進めていった。
数ヶ月後の試験当日、武瑠は、一佳と共に試験会場に入り、プレゼント・マイクから入試説明を傾聴していた。
「YEEEEEAN!今日は俺のライヴにようこそ!!
エヴィバディセイヘイ!!」
「ヨーコソー!」
「YEAN!そこのノリの良いリスナー!レスポンスサンキュー!」
隣りにいた一佳に足を軽く小突かれたが、平静を保つ。
「さて、実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!! アーユーレディ!?」
そこからは、試験ポイントとなるロボットの説明があり、メガネ君が緑髪の縮れ毛君に突っかかったりなどあった。
「持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな」
プレゼント・マイクは、受験生全員に向けて、締めの言葉を送る。
「俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校校訓を
プレゼントしよう。
かの英雄ナポレオン! ボナパルトは言った!
「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」。
更に向こうへ!Plus Ultraそれでは皆 良い受難を!」
実技試験の会場まで、バスに乗る。席に座った武瑠は、中学一年生から修行に明け暮れた日々を追想する。
〜〜〜回想開始〜〜〜
「東坂家は、個性黎明期以前の時代から代々、武気と呼ばれる力を身に宿し、永らく武家として存続してきた」
(さっきから神聖な気配が彼方此方に確認できる。これが雫や頼重殿から聞いた神力と呼ばれる力か?昔、雫から聞いたことがある。阿呆尊氏や頼重殿程ではないが、俺の中に宿る神力は幾らか強いらしい)
「聞いているか?武瑠」
「あ⋯申し訳ありません。父上、少し上の空でした」
「まあ、放心状態になるのも無理はない。だが、東坂家に生まれた人間たる者、武気を扱ってこそ、一人前の武士だ。そこで武瑠に伝える事がある。心して聞いてくれ」
「何でしょうか?父上」
義武は、小さく息を吸って、武瑠に宣言する。
「今度の夏休みから山に籠もって修行を始めるぞ!場所は、我が家が所有する鹿弓山だ」
「は?」
そこからは、武気を完璧に扱う為の修行として、東坂家が所有する山に籠もり、心技体を鍛えさせられた。前世では、経験していない貴重な夏休みを奪われることに辟易していたが、自由時間はあるらしいので了承した。
恐怖に応じない精神を鍛える心の修行では、勉学を中心に瞑想から滝を切る修行を行い、精神を鍛えた。
気力を具現化させる技の修行では、東坂家の蔵にある秘蔵の武器を全て具現化させる事が課題だったが、武瑠は難なく成功させた。
体の修行は、基礎的な体力づくりであり、東坂流の修行の中で、一番過酷な修行と言っても過言では無い。山籠り中は、山に住む熊、猪、大猿の妖怪と戦わされ、父親とは、実戦形式の撃剣。また、夏休み中、様々な剣術流派の元へ父親同行で全国行脚に行かされた。
個性社会の影響で武術は緩やかに衰退しており、修行者が少ない為、武瑠は歓迎を受けた。そして、数多くの剣術を修め、全ての修行が終了した。
一応、武家の家系である東坂家の武術を物心付いた頃から習っている為、筋が良かったことは余談である。
〜〜〜回想終了〜〜〜
(最初は苦痛だったが、戦場ばかりの前世と比べれば、大したことは無かった。最初は、夏休みなのに休みが少なくて嫌だったが、祭事がある日は、一佳と遊べたし、全国行脚で可愛い女子と仲良くなれたから別に良いか。それより、蔵に正宗作の異形刀が沢山あったのは驚いた)
(あと、前世で野営に慣れていたから不審な目で見られたわ)
今から行われる実技試験に警戒を怠らない武瑠。
有名な雄英高校の試験。いつ何時に試験が始まるか分からないからだ。
武器の持ち込み可とのことなので、更衣室で着替えた剣道衣に下緒を胴に巻き付け、打刀の模造刀を腰に帯刀する。
深く深呼吸をして、精神統一を図る。冬の冷たい空気が肺に入り、
《はい、スタート!》
プレゼント・マイクの合図が試験会場に鳴り響く。
受験生達は、困惑して立ち尽くす。だが、前世の南北朝時代に幾度となく戦場を渡り歩いた経験を持つ武瑠は、合図と共に駆け出した。
《ほら、どぉした?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ!走れ走れ!反応したのは一人だけだ!賽は投げられてんぞ!》
「ぶっ潰す!YAーHAー!」
〈標的捕捉!ブッ殺す!〉
「邪魔だ!」
すれ違いざまに片手左薙ぎで一閃。
〈血祭り!血祭り!〉
〈ブッコロ!ブッコロ!〉
「しっ!」
右片手で刀を握り、1Pロボを袈裟斬り、左手に刀を持ち替え、右手の崩拳で2Pの機体装甲を貫く。
左平突きで貫き破壊、真下から切り上げて破壊、前蹴りで破壊。他の受験生が破壊した装甲の破片を掴み、投擲。
敵ポイントが45辺りに達したところで、一度、鞘に納刀。武気を身体に纏うように放出し、脳内で戦斧を想像し、掌に具現化させる。
「武装具現・壱の戦斧《岩柘榴》」
岩柘榴とは、その名の通り、ザクロのような深紅色をした斧だ。
「大旋回!吹き飛べぇ!」
両手に斧を構え、地面を力強く踏みしめる。次の瞬間、爆発的な回転を起こし、鋼の刃が唸りを上げる。迫りくる2P、3Pロボを巻き込みながら、その勢いはさらに加速し、刃と接触した装甲が火花を散らし、ロボの破片が宙に舞う。
また、状況を判断し、余裕がある時だけ、ロボから攻撃を受けそうな受験者のサポートを行っている。
武瑠は、ロボがボブカット少女を標的にパンチを繰り出そうと大振りしている場面を目撃し、背後から羽交い締めする。
「俺が抑える!今だ!」
「ん!!」
ボブカット少女は、ロボに触れるとサイズを小さくさせ、踏みつぶす。
「危なかった。大丈夫か?」
「ん。ありがと⋯!?」
ボブカット少女がお礼を言うや否や、武瑠は直ぐ駆け出した。
「お互い頑張りましょうな。じゃね」
「あ⋯」
ボブカット少女は、呆然とするが、試験の最中であることを思い出し、次の仮想敵へ近づいた。
武瑠は、仮想敵の数が多く、奮戦している片目隠れの少女を見つけ、仮想敵の導線を切断し、アシストする。片目隠れ少女は、動作が遅くなったロボを宙に浮かせ、地面に叩き付けて破壊した。
「助けてくれてありがとう。私は柳レイ子」
「どういたしまして!俺は東坂武瑠。お互いに頑張ろうな!」
レイ子と名乗る少女の危機をサポートした武瑠は、先程と同様に駆け出した。
ポイントが69点に達した頃、武瑠は仮想敵破壊の傍ら、困っている受験生を探していた。
「誰か助けて〜」
何処からか声が聞こえた武瑠は、周囲を見渡すが、見つからない。声を出して、捜索を続ける。
「どこにいるんだー?」
「ここだよ〜。私、透明の個性だから誰にも気付いて貰えなくて」
「この手袋と体操服は君か。今、助け⋯あれ?」
「ひゃあ!」
手袋に向けて、手を差し伸べるが、掌に感じる手とは別の柔らかさに思わず、ムニュムニュと指を動かす。ラッキースケベられを受けた透明女子の頬が赤くなる。第三者からは見えないが。
「な、何するだー!」
「ナヅカカオリ!?」
透明女子は、胸を触られたことで思わず反射的にビンタした。不慮の事故であり、故意に触っていないことは理解しているが、武瑠の頬には紅葉が咲いた。
「み、見事な平手打ち」
「あ、ごめん!」
「⋯気付かなかった俺が悪いから早く行きな。時間が勿体ない」
「あ、うん。さっきはごめんね〜!」
武瑠は、透明女子と別れ、ポイント稼ぎを再開した。
「気を取り直すか。武装具現・弐の刀《骨断ち》」
武瑠は、切先以外が鋸刃の薙刀を肩に担ぎ、3Pロボ目掛けて、縮地で迫る。気付いたロボが放つミサイルを避け、薙刀を大きく振り翳す。刃をロボの腕にある剥き出しの接合部分に押し当て、勢い良く挽く。
「48!次だ次!」
次々とロボを破壊し、武瑠のポイント数が75に到達した頃、受験生を監視していた試験監督生達は、最終兵器を投入する準備をしていた。
「真価が問われるのは、これからさ!」
上座にいる小さな影がボタンを押す。それと同時に会場内に地響きが起こる。巨大な影が武瑠達の方に接近してきた。
「あれが0P敵!」
「あんなのに勝てっ子ねえって!」
「俺は逃げるぜ!」
周りが我先に逃げる中、武瑠はその場を動かなかった。どう倒そうかと考え、0P敵の近くを見た瞬間、瓦礫に巻き込まれている少女を発見。
「ぐぎぎぎ!おりゃあ!」
武瑠は、ボブカット少女が挟まれている瓦礫に近寄り、馬鹿力で退かす。そして、少女の手を優しく掴み、肩を組んで、立ち上がらせる。
「怪我はないか?」
「ん⋯ありがとう」
「あれが0Pか。予想を超える大きさだな」
武瑠は、他の受験生が逃げ惑う中、冷静に対処法を模索していた。
「足利の土岐頼遠と比べれば、何の脅威でもない。図体がデカいだけのガラクタだ。壊し甲斐がありそうだな」
武瑠は、前世で死闘を繰り広げた土岐頼遠を思い出す。部下を投擲武器として扱い、顕家軍に甚大な被害をもたらした生きる災害。
逃若党の皆や顕家軍の幹部と共に奮戦したが、2mを超える巨体と圧倒的武力の前に、出血多量による気絶で追い込む事しか出来なかった。
だが、目の前に対峙しているは、ただの巨大な絡繰り。武瑠にとって、造作も無い相手だ。
「お、おいアンタ!アイツを倒したところで点は貰えない!大人しく逃げようぜ!」
「この東坂武瑠!逃げ策か撤退を命じられる以外は絶対に退かぬ!武士とは、文字通り、敵と相討ちする恐怖に勇気を持って乗り越え、戦いに挑む者。時には、逃げることも大事だ。だが、策も無しに戦場で逃げてばかりの臆病者なんぞ、敵に翻弄されて殺される末路を辿るのみ。ヒーローを目指す者ならば、強大な敵に立ち向かわずして、誰が無辜の民を守る!」
武瑠の言葉に感化され、肘にセロハンテープの少年と髪の毛が茨の少女と片目隠れ少女の数名が武瑠のもとに集まる。
「わ、私も正義を志す者として、敵を前に逃げることは神の意に反します!」
「俺だって、ヒーロー目指す為に頑張ってきたんだ!」
「⋯私も」
「嗚呼、あア唖々阿!」
武瑠の吠えにビクッとする四人。それに気付いた武瑠は、咳払いで誤魔化す。
「⋯では、軽く自己紹介を。私は、塩崎茨と申します。個性はツルを操ります」
「俺は、瀬呂範太。テープを出す個性だ」
「⋯小大唯。物の⋯サイズ⋯操る」
「柳レイ子。ポルターガイストで浮かす個性」
「最後は俺か。名前は東坂武瑠。対人系の能力を持っている。皆、良い個性だ。俺が指揮を取って構わんか?」
武瑠の言葉に自己紹介した全員が頷く。
「ありがとう。簡単な作戦だが、塩崎さんは、退避できる距離からツルで一時的な足止めを頼む!
瀬呂は、ビルを利用して奴の動きを封じてくれ!
柳さんは破片や瓦礫でロボを牽制。小大さんは、俺のサポートを頼む。俺がとどめを刺す」
「承知いたしました!」
「任せろ!」
「ん!」
「了解」
「よし!各自、行動開始!」
塩崎は、伸ばした頭のツルを切り離し、0P敵のキャタピラに絡ませ、足止めをする。瀬呂も肘からテープを射出し、ビルの窓硝子に移動する。片肘のテープをロボに巻き付け、動きを鈍くさせる。柳は、瓦礫と破片をポルターガイストで浮かせ、0Pロボ目掛けて勢い良く飛ばした。ロボの装甲が凹む。
「武装具現・参の弓《嵐月》」
武瑠は、武気で剛弓を具現化。そして、柄頭に小さな溝を掘った小刀を右手に具現化させ、小大に渡す。
「この小刀を大きくさせてもらえるか?」
「ん。任せて」
受け取った小大は、武瑠の腰にある打刀を見本に小刀の大きさを変化させ、武瑠に渡した。刀を弓の弦に番え、弦を勢い良く引き伸ばす。0Pロボの心臓部に狙いを定め、深呼吸で精神を安定化させる。
武瑠の脳裏に思い浮かぶは、束ねた金髪と綺麗な黒の瞳が特徴の唐衣を身に纏った青年の姿。
彼の名は、北畠顕家。身分の上下隔てなく敬意を持って接することを信条とする。目立ちたがりで雅やかな美しさで場を照らす軍事貴族だ。武正が武瑠として生を受けた今でも、彼の生き様に尊敬の念を抱いている。
「顕家卿、貴方の技をお借りします」
弦の限界まで弓を引いた瞬間、会場内で吹いていた風が静まる。また、武瑠の近くに居た受験生達は、彼の背後に出現した霊に驚愕する。その霊は、派手で雅な格好に身を包んだ金髪の美青年であり、奇しくも武瑠と同じ構えで弓を引いていた。
「御ぶちのめせ!“天刃々矢”!」
速射で放たれた一本の刀矢が0Pロボの心臓部を射抜き、轟音と共に巨大な風穴が開く。
「⋯何ということでしょう」
「すげッ!」
「ん!」
「やばっ」
放たれた矢による衝撃で0Pロボの機能が完全停止し、鉄屑と化した。
《終ーーー了ーーー!》
同時に実技試験が終了した。
試験を終え、一佳と合流した武瑠は、仲良く帰った。
一方、雄英高校の試験官がいる会議室。モニターには、爆豪と緑谷が映し出された。
「救助P0で2位とはなあ!!仮想敵は標的を捕捉し、近寄ってくる。後半、他が純っていく中、派手な個性で寄せつけ、迎撃し続けたタフネスの賜物だ」
「対照的に敵P0で8位。アレに立ち向かったのは、過去にもいたけど・・・ブッ飛ばしちゃったのは久しく見てないね」
「YEAH!って思わず言っちゃったからなー」
和気あいあいと受験生を見定める教師陣。
「そして⋯問題は」
爆豪、緑谷に続き、モニターに武瑠の顔と内申書による詳細なデータが映し出される。
「総合成績1位の彼、植蘭中学の東坂武瑠君。
敵ポイント75点・救助ポイント42点と好成績。
また、未成年とは思えないほどの状況把握に優れ、他の受験生と協力して立ち向かうなどの協調性や高度な戦闘力が見られます」
「シカシ、彼ハ無個性ダ」
ミッドナイトが報告した内容に、エクトプラズムを含む周りの審査員達は、合否判定に唸る。
試験結果を見れば合格だが、如何せん、個性が無いのだ。雄英高校は、個性を鍛え、模範的なヒーローを輩出する学び舎。かといって、無個性だけで不合格という判断を行えば、雄英高校の沽券に関わる。
「試験中に事前申請の物と違う武器を使用していなかったか?」
「一見、武器を作り出す個性にしか見えない」
「だがよぉ〜!わざわざ、個性持ちが無個性として偽造提出なんぞ、何のメリットがあんだ?」
「静かにしろ山田」
「プレゼント・マイクって呼べよ!イレイザー!」
「どうします?根津校長」
相澤は、上座にいる鼠の様な生き物に判断を仰ぐ。
「彼が無個性だとしても、伸び伸びとした学びの場を提供するのが僕ら教育者の役目。雄英が差別なんて我が校の理念に反するのさ!イレイザー、君に彼の担当をお願いするのさ!」
「⋯分かりました。謹んでお受けいたします」
「よろしく頼んだよ!」
試験の裏側で、審査員による議論のやり取りが行われている中、無個性である武瑠の試験成果を見て、一人冷や汗を流すガイコツ男がいた。
雄英高校入試から二日後の休日。
武瑠は、屋敷内の庭で弓術の鍛錬に励んでいた。
非殺傷の鏑矢を弦に番えて、弓を引く。
武瑠が今からやる鍛錬は、【罪人懸】
犬追物は、現代の倫理的にアウトな為、地面に刺した丸太に罪人を縛り付けたモノが【罪人懸】だ。
武瑠は、従者から矢を受け取ると同時に、罪状が書かれた紙を読む。
「酢波瑠田学園高等学校の青田山弱。度を超えたスパルタ教育を行っていたと⋯ほい、獅矢威」
武瑠は、馬上から矢を射る。放たれた矢が螺旋を描き、獅子の形となって、人間的に向かう。
「ぐああっ!?」
飛来した矢がクズに命中し、クズは呻き声を上げている。
「獅矢威、獅矢威、獅矢威、獅矢威、獅矢威!」
制裁を続けていた所、小包を持った使用人が武瑠の方に小走りでやってきた。
「若様、雄英高校から郵便物が届きました」
「⋯ついに到着したのか。ありがとう。部屋で見る」
小包を受け取った武瑠は、自室に戻り、中身を開ける。中には、謎の機械が封入されていた。スイッチを押すとプロジェクターが作動し、立体映像が映し出される。
《やあ!熊かネズミか!その正体は、校長さ!》
「雄英の校長!?」
武瑠は、雄英高校の校長がマスコットみたいな存在であることに驚いた。
(鼠の妖怪の類か!?)
《さて、東坂君の学力試験結果は、数学91、国語96、社会100、英語81、理科95。中々の結果だ!しかし、英語が少し苦手なようだね!でも、学力順位は2位だったのさ!
次は、お待ちかね。実技試験結果を発表するよ!
実技の総合点数は、敵ポイント75+救助ポイント42で117点!首席合格!誠におめでとう!雄英が君のヒーローアカデミアさ!》
「良かった。合格したのか」
映像が途切れることなく、映像内の校長が喋りだした。
《ここからは、東坂君と私だけのオフレコだよ》
《君の調査書を拝見したけど、君は無個性のようだね。だが、個性が無いとはいえ、ヒーローの素質を持つ卵を野放しにするような真似は、雄英としてナンセンス!そこで君を特待生として迎え入れるよ!特待生の詳細については、小さな封筒の中に封入してあるから宜しくね!じゃあね!》
映像が終わり、封筒の中を確認するとテープで貼り付けてあった。確認しようとした瞬間、スマホから着信音が鳴る。液晶画面には、拳藤一佳と表示されていた。武瑠は、スマホの通話ボタンを押した後、耳に当てる。
《も、もしもし。武瑠、今時間はあるか?》
「あ、ああ。大丈夫だ」
《⋯分かった。その、雄英高校からの結果どうだった?》
一佳は、周りに気遣い出来る性格だからか。俺の試験結果に対するもしもを考えて、テンションが低い。
「一佳⋯大丈夫だ。雄英に合格したぞ。首席でな」
《よ、良かった〜!アタシも無事に合格したよ!武瑠と一緒に通え⋯しゅ、首席!?》
「ああ、首席だったよ。夢への一歩がようやく歩める。そうだ、一佳に頼みがある」
《な、何?》
「このあと、俺の部屋に来てくれ。アレをやりたい」
《⋯はあ!?アレって何だ!おい返事をしろ!》
通話を切る。数分後、チャイムが鳴り、玄関の扉を開ければ、少し息切れしている一佳がいた。
「おい、武瑠!アレや俺の部屋に来いとかなんだ!説明しろ」
「まあまあ、先ずは俺の部屋に付いてきてくれ」
武瑠は、一佳を宥め、部屋へと案内する。
道中、今から行われるアレを聞いた一佳は、内容に驚愕した。
一佳を自室の隠し扉の先あるカラクリ部屋に呼び出し、アレが実行される。
アレとは、コスプレ撮影会である。
部屋で開催されたコスプレ個人撮影会は、武瑠とヤケになった一佳で大いに盛り上がった。武瑠は、一佳の恥じらう姿に気分が最高潮となり、最後のコスプレを頼み込む。
「一佳!最後は、下着エプロンを頼む!」
「調子に乗んなバカ!」
限界を迎えた一佳によって、ボコボコにされた。
武瑠は、紅葉まみれの顔で床に沈む。一佳は、先程までの褒め言葉を思い出し、熱くなった顔に向けてパタパタと手を仰ぐ。
二人の一連のやり取りをバレない様、こっそり見ていたトメさんは、ツヤツヤとした顔になり、東坂家は安泰じゃと密かに呟く。そして、手に持っているカメラで静かに二人を撮影した。
敵連合襲撃における最初の武器
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日本刀
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槍
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薙刀
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双節棍
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人間バット