「おはようございます」
「…何もしてないよね」
「普通私が尋ねる方ですよ?」
隣に早苗ちゃんがいる状態で起きるのももはや何日目か。赤い巫女やらなんやらも来ないが、最近は変なものが見えるらしい。なんだろ、宇宙船とか…宇宙船じゃないとか…あれは竹の船とか…まあつまり、誰も正体はわからない。ので僕も気にしない。早苗ちゃんは気になるらしい。なんでか知らないけど。里の方ではその未確認飛行物体の話しかないとかなんとか。人里の娯楽にもなったの?
「霊夢が言うには異変じゃないらしい」
「魔理沙さんはどう思うんですか?」
「さあな。巫女が異変じゃないと言えば異変じゃないが…魔法使いとして探求せずにはいられないな」
「やめといた方が良いと思うけどなぁ」
「へっ、私は鬼が群雄闊歩する地帯の異変を解決した魔法使いだ。今更未確認飛行物体がなんだって話」
僕が言っているのはそうじゃない。確かに事実としてそれはあるんだろうが、危険とかそう言う話ではない。端的に言えば、魔理沙さんの目のクマすげーぞ、って話だ。クマと言うか、なんだろ。体全体で寝不足を主張している。ここに来た時もなんだか降り立つ時頭を大きく揺らしていたし。早苗ちゃんと相談して返すかどうか迷うくらいには眠そうだった。睡眠剤でも入れるか?と考えたがやめておいた。それは違う
「私は人間だからな。魔法使いになった時、ヨボヨボのおばあちゃんだったら…好きに動き回れないだろ?」
「ですって神奈子様、諏訪子様」
「喧嘩売ってるのか早苗」
「久々に折檻する?」
「ごめんなさい」
「そのためにはいちいち寝てらんないってわけだ」
「…夏休みの宿題終わらないから徹夜してやってるしょつがぬせいみたい」
「何かよくわからんが、とりあえず馬鹿にしてるだろ」
「いや多分少し違う…」
とまあそんなことで。頭を使わない会話をして魔法教えてくれと言ったりしたが、魔理沙さん自身教えられるほどじゃないとか言われた。はぇ、魔法って難しい。魔理沙さんの近くに住む有栖…アリス?さんの方が適してるとか。しかし人見知りらしく。僕はやはりレミリアさんのところを頼る以外に空を飛ぶ方法がなさそうだ。必要があるかと問われれば、まあ多分ないが。空を飛ぶのは怖いことだし。
「…パチュリーのところか。なんなら連れてってやろうか?私も今から世話になりに行くんだ」
「ダメでーす。かー君は今日私と過ごすので」
「パチュリーのところって、レミリアがいるんだぞ?」
「妖怪退治、しますか…」
「変わり身すげえな早苗」
魔理沙さんの箒は安定性抜群だった。早苗ちゃんに比べてね。魔理沙さん曰く、博麗の巫女よりも安定してるから運びやすいと言われた。あれかな、自転車とかバイクとか乗ってたからそれかな。まあどっちでも良いけどね。道中早苗ちゃんの目が怖かったことを考えると、まあ今後も早苗ちゃんではあるかな。門で降りると思ったのになぜかそのまま門の上を通り過ぎた時は怖かったが。え、窓突破するんですか??
「痛い…」
「魔理沙さん!あんな危ないことしてかー君が怪我したらどうするんですか!?」
「すまんすまん」
「家主の前で騒ぐなんて良い度胸ね」
「わ、男」
「わ、人外さんだ」
「小悪魔、その人間はレミィのお気に入りだから」
「何もしませんよ!?」
騒ぎを聞きつけたからなんかで十六夜さんが現れ、レミリアさんも来た。僕はと言えば、窓を破る時の加速が未だに体をおかしくしている現状だ。早苗ちゃんに背中を叩いてもらってそれも治し、起き上がる。魔理沙さんはどうやら捕まってはいけなかったらしく、その場に正座している。僕と早苗ちゃんはレミリアさんに連れられる。あの、魔法を学びに来たんだけど…え、さっきの紫色の人がここの魔女?
「私としてもパチェに頼むつもりだったのよ。でも、肝心のパチェがお説教中ならね」
「どう言うことです?霊夢さんの言う通りならそこもわかったはずでは?」
「能力の話?それなら、見えないだけよ。」
「じゃあ今日は無駄足だったかぁ」
「何言ってるのよ。ここにはもう一人…二人、魔法を扱う奴がいるわよ」
「おお」
「そいつらに教わってる間、私と貴女は二人でお話し。それで良いかしら?」
「…まあ、それなら」
僕が連れられた部屋は、魔理沙さんと侵入した大部屋の奥。薄暗い、なんだか嫌な感じの部屋。ここに小悪魔さん、パチュリーさんとは別の魔法使いがいるらしい。ドアを叩いて返事を待つ。ない。小悪魔さんアイコンタクト。勝手にどうぞと言っているのか、それとも不在なのか。小悪魔さんからの返答は気難しい方だから、だった。ドアノブを握って開けてみると、誰もいない。えっ?
「…いない」
「え?あ、あれ!?あ、いや…起きてくださ〜い!」
「え?」
「棺桶に入ったまま二度寝しないでください!お客様ですよ、お客様!」
「何よ…まだ昼でしょ。二度寝に入らな…っ」
「そもそも今日は来るってじぜっ!?」
「…どうしてもっと早く起こさなかったの?」
一旦外で待ってなさい、と言われた。どうやらここはフランドールさんの部屋だったらしい。なるほど確かに気難しい。中で悲鳴やら何やら大きすぎる音やらが響いているが、外で扉が再び開くのを待つ。ただ立って待つのも嫌なので、小悪魔さんが僕に勧めた魔術の本を見ながら。やっべ全然わかんない。これどうやったら読めるんだろう。小悪魔さんは何やら中身を読んでこれだと決めつけていたけど…
「っ…良いわよ」
「はーぃっ!?」
「あぁ、小悪魔?客人が顔を見せる前に私を起こさなかった罰なだけよ。じゃ、座りましょうか。」
フランからの矢印は案外大きいです。レミリアもだけど。