東風谷さんと僕   作:覚め

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絶てず。


絶たず

急に抱えられて何やらわからないので、レーヴァテインを振り回す。あ、小悪魔さんに当たった。小悪魔さんに大ダメージ、小悪魔さんは悶絶してしまった。その隙に僕はさっさとさっきの場へ戻る。あの声は確か、ここに来る道中何故か出会った鬼だ。確か酒呑童子とかなんとか。とりあえずレーヴァテインで一回殴れないかな、と様子を伺う。あれ、俺が初めて見た時より少し大きい…飛んでたからわからなかったのか?

 

「ここで大きくならないで!本が!!」

 

「パチュリーうるさい」

 

「デカいってのはそれだけ有利なのさ!」

 

「…ていっ」

 

「いだぁっ!?」

 

効果抜群。刺さったレーヴァテインは、皮膚を裂いてその中へと突っ込まれた。燃やしてみるか、塩を塗るか。ていうかよくすんなりと刺さったな?小悪魔さんには刺さらなかったのに。あれか?僕の意思に準ずる剣?形変えたりするのかな。じゃあ爆炎とか叫んだらブワッとしたりするのかな?あ、そんなこと考えてたら酒呑童子がこっちに気づいた。土塊に乗って逃げなきゃ。

 

「待て、この!」

 

「待つのはそっち」

 

かずき(私の物)に手を出さないで」

 

「あれなんか今おかしくなかった?」

 

ていうかレーヴァテイン置き去りにしたけど大丈夫かな。もう一回作れたりしない?こう…あ、だめだ無理。土塊のやつは魔導書なくても出来たんだけどな。レーヴァテインは複雑すぎるからだめっぽい。魔導書ないと出来ないんだって。えっマジか。初耳。魔法ってそういう、テスト前に暗記したら大体点取れるような物だったんだ。案外しょうもないな、魔法って。まあ僕からすれば唯一の自衛手段だから、しょうもなかろうと使う以外はないが。

 

「ぎゃっ」

 

「捕まえ」

 

「どけ!!」

 

「ぐぁっ!?」

 

「大丈夫!?怪我、怪我ない!?」

 

「あ、うん…」

 

「良かった…」

 

「ちっくしょー!男となら気兼ねなく酒飲めると思ったってのに!」

 

「じゃあさっさと帰りなさいよ」

 

「酒、嫌いなんだよね」

 

「えっ」

 

場を沈黙が支配するとはこのことか、と思うほどに場が固まる。パチュリーさんは『なんかみんな固まった、なんで?』みたいな顔してるけど、酒呑童子とフランドールさんは僕を何言ってんだこいつみたいな顔で見てくる。動きが止まったのを良いことに僕は酒呑童子の足に刺さったまま(貫通してた)のレーヴァテインを回収。ザマァ。そんなこんなで色々と過ぎ去り、僕はまた魔法教室に戻った。酒呑童子と共に。

 

「…なあ、飲もうよ」

 

「パチュリーさぁん」

 

「さっきの見て分かったでしょ。追い出すのは面倒なの」

 

「申し訳ないけど私も同感。正直言って2週間は必要」

 

「さて、レーヴァテインね。の、前に。貴方が持ってるレーヴァテインは小さくしましょう」

 

小さくなるように念じる。小さくなった。フランドールさんの顔を見てみたら、それはもう『え、そういうことできるの』と言った顔だった。イメージの世界ってつまりこういうことじゃないの?え、魔法ってつまんな…まあとにかく。レーヴァテインを鍵くらいの大きさにしてみる。流石に小さすぎるので新品の鉛筆くらい。お、良いね。これくらいの大きさが僕における最大威力らしい。ちっさ…

 

「あ、でも炎の勢いすごいよ」

 

「酒をつけたらもっと燃えるだろうなぁ」

 

「すごいわ」

 

「酒…」

 

「私の見立てに狂いはなかったわね」

 

「意外と葡萄酒も…」

 

「私のワインがぁ!!」

 

「あら小悪魔、いたの?」

 

しかしこれでさえ、先ほどのパチュリーさんの発言を鑑みるに酒呑童子、もとい萃香さんは刺せる、らしい。もしや聖さんにも刺さるのでは?…刺した後叩かれて絶命…あり得なくはない線。今度どっかでパチュリーさん連れて行きたいな。楽しそうだし。本日の目的である攻撃手段は手に入ったので、帰ろっかなと。思い立ってみるも、足がおぼつかない。なんなら体が熱い。まさか…媚薬!?あ、違う?

 

「そもそも何も飲んでないでしょ。私が運んであげるから…?」

 

「どうしたのフランドール」

 

「…気のせいじゃない…かなり濃い酒の匂いがするわ。」

 

「ワハハ、私もその男が気に入った。鬼に対してあんなことやる度胸が特に」

 

「…あっそ」

 

フランドールさんに抱えられた形で部屋を出た。眠いんだか眠くないんだか、揺れを大きく感じる頭で。レーヴァテインは手にあるし、んー…魔力って使いすぎるとこうなるのかな。不思議だ。あ、でも待って。これやばい。フランドールさんの体を叩く。揺れが大きい。腹がちょっと。吐きそうです。伝えるとすぐにフランドールさんは降ろしてくれた。高そうなカーペットの上で僕は吐いた。

 

「ゔ…」

 

「妹様、私が処理を」

 

「ありがと。水持ってきてくれる?」

 

「こちらに」

 

「はい、飲んでー」

 

意識がなんだかグズグズで、何も思い浮かばなくて、なんだか本当に世界が回っていることを知った気分。差し出された水を口の端から溢しながら飲む。なんだろうか。以前どこかで感じた気分を流しつつ、僕は一体どうなっているのかを考える。答えとしては、何もわからない。フランドールさんに抱えられた体はいつのまにか転がって天井を見上げている。地球はまだ回っている。

 

「…ぇいっ」

 

「痛っ!?ちょっと、刺すのやめて!」

 

「ぃー」

 

「はぁ…あの二人に見せたらどうなることかしら。面倒なことになるよなぁ…」

 

「そうですね。特にあの吸血鬼は」

 

「どっちかというと巫女の方よ。そう言いなさい、フラン」

 

「げっ」




かずきが酔った理由
萃香が能力を利用してかずきにアルコールを吸わせたため。
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