あかあかあかと
あかあかと
日は難面も
秋の鳳凰。
「かー君が大きいのに注目して、全く私のこと見てくれませんでした」
「ねえひどいよその言い方」
「お前ほんと酷いな…」
「女の前で他の女の胸見るとかさぁ」
「大きいのは身長なんだよ!」
とまあ、どう弁明しても何故か僕が他の女の胸を凝視した変態ということに。もう良いもんね!くそが!捨て台詞を吐きそのまま土塊に乗って命蓮寺へ。こうなったら寺に改宗してやるもんね。ざまみろ。というのは嘘で、やはりなんというか。そもそも僕の持ってる攻撃魔法であるレーヴァテインは身体能力か高速移動ができないと無意味なので、聖さんに聞いてみようということだ。ちなみに早苗ちゃんの話は全部嘘だ。
「ってわけでして」
「ひっど」
「うわぁ」
「…一輪さんはまだわかるんですけど、村紗さんに言われるのはなんだかおかしい」
「はぁ?一応言っておくけど、私だって生物学上は女だからね。女の気持ちはわかるのさ」
「‥事実だよ、一応」
「一応!?」
一輪さんと村紗さんが目の前で喧嘩を始めた。僕はその横を通り抜け、聖さんの所在を確認する。どうやらいないらしい。ふーん、いないんだ。じゃあ待つわ。帰っても早苗ちゃんの誤解をどうにかしなきゃいけないし。胸にダイブすれば色々一瞬で終わるだろうか。いや、それを誰かに見られる時が一番やばいか。そういえば最近、僕を食べようとした天狗を全然見ないな…じゃあ良いか。
「うわっ!?え、誰!?」
「あ、ぬえ。この子覚えてないのですか?ほら、私たちと一緒に魔界に行った子ですよ」
「星さん、誰この人」
「ぬえです。あの有名な。ほら、夜に鳥って…多分知らないですね?」
「んだ、オラ知らねえぞ」
「口調が変じゃん」
「でも、この子はこの歳で空を歩けますから」
「どーよ」
「妖怪なら当たり前じゃん」
「星さん!」
あいつどうなんだ!どうなってんだ!?星さんに泣きつく。と、何故か僕はぬえさんに足を引っ張られてしまう。僕は星さんを意地でも離すまいと、かなりがっしりと掴んでいる。星さんもかなり踏み止まるおかげで、問題は僕の力のみとなった。仕方ない…手首に巻かれているレーヴァテインを使うか。星さんを突き飛ばす形で勢いをつけ、落ちながらぬえさんの膝を刺す。危うくワンピースの絶対領域に入るところだった。
「っだっあ!?」
「ふんだ」
「かずきさん、なんですかそれは」
「これ?レーヴァテイン」
「呪物じゃないですか!」
「はぁ!?」
「早く処置しなきゃ」
「ぇ!?」
「あれ、全然外れないっ…雲山!」
僕は縁側に座り手を差し出す。そして差し出された手からなんとかしてレーヴァテインを外そうとするみんな。ちなみに僕の意思一つで外れるのは言わないでおく。そうすると皆疲れ始め、聖さんを呼ぶ方が良いのでは、などと言ったことも話し始めた。しかしながら、このレーヴァテインは僕が持つ唯一の攻撃魔法。なのでありがたく断る。ていうか封印されるとまた作らなきゃいけないし。
「なるほど、友人から教えてもらった魔法だと」
「うん」
「いやまあ、普通にバケモンみたいな腕輪なんだけど…」
「ぬえ、傷は?」
「刺された。貫通。」
「うわぁ…」
「ただいま、です」
「聖様!」
「うわ来た」
聖さんが帰って来た。というわけで土塊に乗ってご挨拶。すぐにでも逃れられるようにだ。まあ多分、土塊くらいなら砕いてきそうだが。そのまま僕は聖さんに高速移動の秘訣やらなんやらを尋ねた。答えは単純。魔法らしい。身体強化の魔法を重ねて、その勢いのまま動き回っているのだという。なるほど、そういうことか。どういうことだ?一番気軽に使えるらしい魔法を教えてもらう。
「効果としては、そうですね…これくらいしか飛べないのが、これくらい飛べるようになる、ですかね」
「今あの人気軽に3メートル飛ばなかった?」
「しかもあれ魔法なしだよ。かずきも頑張りな」
「…あれ、魔導書は?」
「私の場合はこの巻物の中に」
「はぇ、この巻物にあの魔法が?」
「あっ」
ばっと開いて魔力を流す、と。なんだか虹色の文字が飛び出してきて、そこはかとなく眩いなと思ったのも束の間、いつのまにか巻物は閉じており、体を流れる魔力が少し減っている気がした。飛んでみると、あれ、ん?…目一杯飛ぼうとしたら、飛びすぎた。あれ?ん?…落ちたら死ぬ?土塊をすぐに作り出して、ゆっくり降りる。怖いもん。色々と。僕の感覚で30分くらいかけて降りた。怖い。
「怖かったよ星さん…」
「あらかわいそうに」
「…この巻物、私が持っている魔法全てが収納されているので。一気に魔力流すとそうなってしまいます」
「先に言ってよぉ」
「言おうとしたら魔力を流していまして。これと同じ巻物なら、ここにありますが」
「今の飛び方見て欲しがると思った?」
「その腕輪の魔導書も恐らく入りますが」
「違うよ。強化魔法全部そこに入ってるんじゃないの?」
「いえ…新品ですよ」
「欲しい!」
「…こう、消えました。私のお腹の辺りの温かみが」
「星…はしたないし恥ずかしいからやめて」
「一輪!?」
「…良し、レーヴァテインの魔導書取ってくる!」
そうして僕は強化魔法を身につけたまま走り出した。意外と速いんだな、僕って。風切り音が走ってるだけで聞こえる。顔が切れたらこれどうするんだろう?…ヘルメットが欲しいなあ。それならもうバイクどうにかして調達した方がいいかな。紅魔館に着いて門番さんに精一杯威嚇してみる。笑われて通された。通り際に刺してやろうかとも思ったけど、やめておいた。
「レーヴァテインの魔導書?」
「うん。」
「…あれって出したら魔力切れがない限りは基本出しっぱだから、使うこともないかと思って捨てちゃったわよ」
「なんと」
「…でも魔力がちょっと減ってるわね。何かしたの?補…マジックアイテム使う?」
「まあそのうち自分で魔力練れるようになるから良いや」
フランドール「…(才能なさそうだから魔力注入しただけなのよね…どうしよう。まああそこの巫女に頼んでみても良いけど)」