東風谷さんと僕   作:覚め

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未来を変えること、それさえも未来なのなら、奇跡なぞ存在もしないと思うんすよ。
あ、早苗さんこんちには


奇跡

「かー君のこと覚えてないんですか?」

 

「いや…すまない」

 

「顔が結構変わってるから…」

 

「小学校までずっと一緒でしたよね!?」

 

「東風谷さん…この人たちは?」

 

「あ、神様です」

 

…首を傾げる。東風谷さんは現人神というのは知っている。風祝とも言うんだったかな?それで、神社なんだから神様もいるだろう。けど、こんな軽く言われるなんて思いもしなかった。てっきり神様ってもっと、尊大なのかと。蓋を開けてみれば僕より大きい神奈子って神様と、僕より少し小さい諏訪子って神様。神様ってこう言うのなんだ。あ、姿変えられるんだ。初耳〜。質量保存の法則とかに反してない?

 

「アルバム見るとなぁ…」

 

「あ、これ早苗が転んで泣いた奴だ!」

 

「あー、膝を擦って泣いてる奴ですねー」

 

「こうなる」

 

「かー君まで?」

 

「あ、君これか。仲良かったよね」

 

「写真撮る時は大体東風谷さんの周りにいましたね」

 

「いや実際に私は見てるから」

 

どうやらストーカーらしい。この…守矢神社の標高がいくらかは知らないけど、かなり涼しいことからしてなかなかに高いのだろう。実際に見下ろしたらかなり高かった。思わず東風谷さんの肩に手を置くほど。それを見た二人の神様に大きな声で驚かれたけど、仕方ないと思うよ。うん。仕方ないったら仕方ない。神社の間取りも前と同じみたいで、僕は客間で寝泊まりすることに。実を言うと肩身が狭く感じてるので、一人になれる部屋が欲しかった。感謝。

 

「…変なことになっちゃったかなぁ」

 

「かー君!」

 

「うわっ!?」

 

「この部屋のこの傷、覚えてます?」

 

「ん?…あー、定規で傷つけたね」

 

「懐かしいですよね。この部屋、私にとって特別だから持ってきてもらったんですよ。まさかかー君まで来るとは…」

 

「僕もびっくりー」

 

仕方ないがこれは事実。とりあえず今日は祈ったらここにきてて驚いて、中々に疲れた。日の入りなんだしちょうど良かろう、寝てやる。畳の上で。東風谷さんが騒ぐが、知らん。僕は疲れた。もう日の入りの時間。じゃあもう今日は寝て終わりにしよう。それで終わりだと、言い聞かせて不貞寝。元の世界も、まあ多分だがどうにかなるものだろう。孤児院育ちの僕が消えたところで、まあ…多分何も変わらないはず。

 

「ご飯ですよ〜」

 

「んぁ…朝?」

 

「夜です。まだ30分しか経ってないはずですから。さ、ご飯ですから起きてくださいね」

 

「はーい」

 

「かー君の大好きな肉じゃがもありますからね」

 

「マジか」

 

さて問題。俺は東風谷さんに食の好みを話したことがあるでしょうか。ない。なんで知ってんだろうか。小学校の時に話したことがあったのか?それとも幼稚園?どちらにしても昔のことをよく覚えているものだ。食卓には先ほど紹介された二人の神様が。うっ、肩身が途端に狭く。会釈をすると会釈を返され、意外と良い人なのかもしれないと思い手を合わせる。うわ、美味しい。ほとんど俺の知らない肉じゃがだけど美味い。

 

「美味しくできたなぁ早苗」

 

「神奈子様」

 

「?」

 

「早苗が手伝いたいって言ってたからな。今日は八割早苗の手料理だ」

 

「おお、そりゃ縁起の良い」

 

食べ進める。しかしまあ、今更の話にはなるけど。俺がここにきた時、お二人ともいませんでしたよね?姿を見せなかっただけ?ああ、そう。夕飯を食べ終わり、昔と変わらない台所に片付け、ふと気付く。あれ、僕どうすれば?ずっとお世話になりっぱなしなのは問題だ。保護者であろうお二方になんて言われるか。かと言って外は…外来人を食べる魑魅魍魎が存在する。逃げ道はなさそうだ。

 

「…神様〜」

 

「はい」

 

「は〜い」

 

「なんだい」

 

「…そうか全員神様だったか」

 

「若干不敬だぞこいつ」

 

「若干で済ませるか?」

 

「かー君は私を頼るんですよね!ね!?」

 

あー…えっと。どうしよっか。東風谷さんを引っ込ませて神様お二人に話をする。俺これからどうしましょう?信託的な、アレコレが欲しいです。愚直に伝えてみると二人は顔を見合わせ、首を傾げる。身長差があるはずなのに、何やら慣れた角度で顔を合わせるのは長年の付き合いだからだろうか?昔読んだ古文書にそう書いてあった。んで、得られたお言葉は『ここにいても良い』だった。肩身狭っ…

 

「ちゃんとここにいるんですよねー?」

 

「いるよ…」

 

「かー君と同棲かぁ…」

 

「東風谷さん」

 

「早苗。昔みたいに、早苗で良いですよ?」

 

「…早苗ちゃん」

 

「はい!なんでしょう?」

 

天狗の話を思い出しながら話す。幻想郷に来た外来人は食料となる。しかし、天狗の言い方はまるでそれ以外にも道があるような…怖い怖い。早苗ちゃんの目が怖い。とにかく、食料以外の道ってあるの?聞いてみると、なんと帰る道があるみたいで。詳しくは教えてもらえなかったが、なるほど帰る道があるのか。ま、帰るつもりは当分ないが。そんな話をした後、何やら思い出した顔をしてどこかへ行った。

 

「どこ行ったんですか?」

 

「気にするな。さ、中に入ってなさい。早苗もやることやって来るんだから」

 

「あ、はい。神奈子様は入らないんですか?」

 

「私は良いよ」

 

「へぇ。諏訪子様は?」

 

「いや、私はちょっと…お酒飲みすぎて」

 

「はぁ!?」

 

どうやら神奈子様は諏訪子様が勝手に酒を呑んだことにキレたようだ。空飛ぶ女性が二人。僕はさっさと部屋に入って、これからのことを考えることに。何もなければ良いんだけど。流石に無職居候は肩身が狭すぎる。座椅子に身を預け、天井を仰ぐ。服装は昨日のまま、なんなら風呂も入ってない。その上着替えもない。幻想郷に人が住む場所があれば…服を売る場所もあるだろう。

 

「いたいた。今から少しの間、外に出ないほうがいいぞ」

 

「…急に現れるのは神様の特権ですか?」

 

「そうなるとお前も神様の仲間入りだ」




博麗の巫女「私から仕事を奪う?死ぬ?」
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