東風谷さんと僕   作:覚め

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フランドール「(もしやこれが巻物に入った場合、かずきと会う機会がなくなるのでは…)」
小悪魔「…」ニタニタ


容量

「はぁ…」

 

「ため息?何か気に食わなかったかしら」

 

「いや…よくよく考えたらこの巻物にどうやって魔導書入れるんだろうって…」

 

「えぇ…?」

 

実際、僕は教えられていない。ので今日はレーヴァテインの受け取りだけになりそうだ。後ろから視界を塞いでくるレミリアさんの羽を退ける。実を言うと、ため息の理由は別にあった。僕は、聖さんを見てこう思っている。まともなお母さんというのは、ああいう存在なのだろうか。僕の母と父は両方とも僕が小学校を卒業した日にいなくなった。卒業式には顔も見せず。無論、入学式もだが。

 

「…何?落ち込んでるの?」

 

「いや、考え事してるだけ。早苗ちゃんにとんだ言いがかりされてさ」

 

「どんなこと?」

 

「…最近温泉行ったんだよ。混浴。その時に大きい女の人見たら巨乳好きだ、とかで騒いだんだよ。身長が高いから見てただけなのに」

 

「…大きい方が、好みなの?」

 

「いや?」

 

心理としてはピエロを見る感じ。珍しいなとか、やってる大道芸を思わず見てしまうような。わかんない?わかんないの?そうだな…十六夜さんが時間を止めずにあくせく働いてたら見るでしょ?そういう感じ。これはわかるでしょ。十六夜さんはいつもクールだけど、焦ったり服装乱れたまま走ってたりすると、多分みんな見る。わかってくれたようで何より。女性であそこまで高い身長は珍しいということで。

 

「いやでも胸が大きいのは事実なんでしょ?」

 

「うん」

 

「…混浴で?」

 

「うん」

 

「…それは、そういう話が出ても不思議ではないわ」

 

「なんでさ」

 

「なんでも」

 

そう言われてしまった。レーヴァテインの魔導書を持って命蓮寺へと行くのが今日の僕がやるべきことで、責められるのは普通に嫌だ。お説教はもっと嫌。だから狸寝入りを…無理だな。吸血鬼ってそういう感覚が鋭いんだろ。僕は知ってるぞ。安楽椅子で身を揺らしながら魔導書を待つ。レミリアさんを膝に置きながら。フランドールさんの視線が妙に怖い。まるで早苗ちゃんのよう。怖い。

 

「お姉様にそんなことをやる度胸があるとは」

 

「貴女はこんなことをする勇気もないのね」

 

「喧嘩するなら他所でやりなさい」

 

「パチュリーは黙って」

 

「あっち行ってて」

 

「このシスターズっ…」

 

「パチュリーさん、レーヴァテイン以外の攻撃魔法教えて〜」

 

「…嫌よ。わたしは巻き込まれたくないわ」

 

そうして放置。なんてこった。いつぞやの子機を握ると、何やら魔力が流れてきた。フランドールさんを見てみると、なんとびっくり親機を握っている。そこから魔力が流れ込んでいるらしい。楽しいねえ。今度はレミリアさんの目が怖いけど。早苗ちゃんほどではないから良いや。早苗ちゃんが一番怖いからね。目に色ないんだよ。怖いでしょ、普通に。それでいて距離も詰めてくる。怖いもん。

 

「ちっ」

 

「ぎゃっ」

 

「羽!ちょ、抑えて!」

 

「あっ…ごめんなさい」

 

「ちょっと圧縮されたかな」

 

「変わらないけど」

 

「魔導書は?」

 

「作るのに結構時間がかかるのよ。とは言っても後二ページだから、30分くらいかな」

 

それを聞いたので寝て待つ。と、すぐに眠ってしまったようで、起きたら膝元にはフランドールさんがいて、レミリアさんが別の椅子に座りながら寝ていた。フランドールさんが抱えている魔導書はレーヴァテインだろうか?巻物を取り出す。…入れ方がわからないな。意外と魔道書を漬けたりするんじゃなかろうか?よくわかんないな…フランドールさんを揺すり起こし、席を立つ。

 

「さて、どうやって入れるんだろう」

 

「…もしかして、こっちに書き記したり?」

 

「そうじゃないと思うけど。魔導書漬けるんじゃない?」

 

「なるほど…こうか」

 

グニグニと押し付けてみる。するとどうだろうか。全然入らない。どうなっているんだろう…フランドールさんの話によれば、この魔導書はレーヴァテイン発動に必要な魔法の基礎基本応用全てが入っているらしく、それなりの容量らしい。もしかしたら容量的に無理なのではないかという話だ。そうなのかな…魔道書を巻物で包む、とかは…あ、無理っぽいわ。命蓮寺かなぁ

 

「フランドールさんも着いてくるの?」

 

「その巻物、なかなか高性能なのよね。作った本人と会ってみたくて」

 

「へぇ」

 

フランドールさんに乗って猛スピードで発進。僕は凄まじく酔った。その分速く、3分ちょっとで着いたのだった。ちなみに今は昼の3時くらい。日光を防ぐ用と思われる、頭上の少し大きな岩を見上げながら魔法の偉大さを実感した。この魔法があるからこうして外に出ても問題はないということなのか。僕はてっきり日傘とか…レミリアさんは日傘なんだ。フランドールさんは日傘嫌いだからこれなんだ。

 

「ただいま…」

 

「初めまして」

 

「まあ…貴女がこの腕輪を作った?」

 

「腕輪?…うわ、レーヴァテインが小さい!?」

 

「この巻物にどうやって魔導書入れるの?」

 

「えっ…魔導書…えーと…」

 

「もしかしてやらかした?」

 

「やっぱり巻物に記すんじゃ…」

 

「す、少し待っててくださいね!星、お茶とお話の相手」

 

「あ、わかりました」

 

…何やらやらかしたようだ。僕としてはとても気まずい。フランドールさんは何も気にしてないが。星さんもお茶を出したっきり。フランドールさんが気になっているようだ。村紗さんは僕のレーヴァテインを眺めていて、一輪さんはフランドールさんの羽を見つめている。うん、確かに奇怪な羽だもの。誰だって眺めちゃうさ。でも揺らすたびに目で追うのはどうにかした方がいいと思うよ。

 

「…何、そんなに気になるの?」

 

「あっいやっ!別に…」

 

「そっちは?」

 

「…魔力がほとんど同じだったので」

 

「しっかし、これすごいな。全然剥がれない」

 

「引っ張らないで、ちょ、痛いから」




レーヴァテインは手首に巻き付いていますが、燃えるし伸びるし鍔迫り合いも出来るし刺さるし。変えられる大きさの幅も広いです。
使うのが人間ということを除けば中々に強武器では?
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