東風谷さんと僕   作:覚め

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子供が大人と歩く時、着いていくのは並んで歩くのかでその子の将来が変わると思います。
みつをを




「出来ましたよ」

 

「おー」

 

「2個作れるのかしら」

 

「試さないでくださいます?ここでそんな特級呪物が二つも出たらヤバいんですよ。聖が」

 

「えっそうなの?」

 

「何を言うのですか」

 

割と本気めのビンタを食らった星さんは彼方へと飛び、僕はそれを見つめることに徹した。フランドールさんは巻物をじっくりとみており、ただ一言欲しいと言って帰って行った。どうやら目的は果たされたらしい。僕はと言えば、聖さんの親切さに甘えればなんでも出来るのでは、なんて邪な考えも浮かんでいた。初めてみた時の恐ろしさはどこへ行ったのやら。僕にもわからない

 

「ああ、そうだ。あなたが今持っている強化魔法も極めれば空気を蹴れますからね」

 

「えっ」

 

「あんまりうるさいのでわたしは全然やりませんが。まあ、頑張ってください」

 

「えー、もう帰るの?泊まってけよ〜」

 

「村紗」

 

「僕が巨乳好きと言う噂がある以上どうすればいいのか全然わからないぞ」

 

「ところでそれって星くらい?」

 

「好きじゃないから…」

 

一輪さんは何故か仏の教えに反することをしたいらしく。以前復活した時も、魔界から帰る時には酒が飲めるかどうかを尋ねていた。何故か僕を頼って酒を入手しようとしている。僕は嫌いだからね、酒。聖さんはどう思うのか。顔を見れば何かしらの嫌悪感が浮かばないと出来ない顔をしていた。あっじゃあ僕はこの辺で…さよなら…そうして土塊に乗り移動。途中で飛びながら命蓮寺へと向かう星さんを見かけた。

 

「ただいまー」

 

「お、帰ってきたぞ」

 

「もう!かー君ってばどこにいたんですか!?」

 

「命蓮寺」

 

「行ったけどいませんでしたよ?もしかして私に知られたらまずいところにでも?…まさか、ガー」

 

「違うから。ね。魔導書。ほら、この腕輪の奴。いつ消えるかもわからないからって。命蓮寺でこんな巻物ももらったし」

 

「…怪しいですね」

 

「まさか本当にガー」

 

「大体幻想郷にあるの?」

 

「それに類した店はあるだろうね。神奈子が嫌いな奴」

 

「諏訪子!」

 

そんな感じで時間は流れ。と言ってもすでに日が暮れかけていたが。夜中、僕は布団から出て、守矢神社賽銭箱の前に立つ。早苗ちゃんの助けになる日が来ると信じて、聖さんからもらった魔法を使ってみる。…やはり、何が変わったのか全然わからない。自覚一切なし。軽めに飛んでみると、大体3メートルくらいか。すごい。足先の力だけで3メートルか。握力計とかないかな。あっても測れる範囲かな…元々55だったけど。

 

「…何かへし折れたら実感湧くのに」

 

「かー君」

 

「わっ!?」

 

「何してるんですか、こんなところで。私に内緒で?」

 

「早苗ちゃん…言ったでしょ、聖さんにもらった魔法。あれ試してるの。極めたら空気蹴れるって」

 

「爆音のやつですね。それで?かー君は私の隣から離れてそんなことを?」

 

「…何言ってるの早苗ちゃん。早苗ちゃんと僕の部屋は別れてるし、それぞれの部屋で寝てるじゃん」

 

「?毎晩かー君と添い寝してますけど?」

 

「…え?」

 

「さ、かー君。早く寝ましょう。一緒のお布団だと暖かいですから。」

 

「あ、うん…」

 

どうだろうか。朝は大体僕が起きた時には既に早苗ちゃんは起きてたはずで。あれ?僕は知らないだけで毎日潜り込んでたとか?怖いな、早苗ちゃん。早苗ちゃんの手を引っ張り、屋根に登る。ここだと星空がよく見えるから、ついでに天体観測でもしよう。思い出話でもいいけど、互いに恥ずかしくないものがいいな。僕はあんまり覚えてないけどね。片方が寝たら、片方が降ろしてしまえばいい。

 

「…かー君は、覚えてますか?」

 

「何が?」

 

「保育園の時、一緒に帰ってましたよね」

 

「うん」

 

「お父さんとお母さんが迎えにこないからって、一人で歩いて帰ろうとしてましたよね」

 

「…うん」

 

お互い恥ずかしくないこと。そうは言ったけど、お互い聞いてて辛くならない話に変えようかな。確かに僕は一人で保育園を出て家に帰ろうとした。1.7キロの道のりを。初日は途中で疲れてギャン泣きしてる僕を早苗ちゃんのお母さんが見つけてくれた。多分、早苗ちゃんのお母さんと早苗ちゃんがいなかったら僕は死んでいたことだろう。小学校が終わった数日後くらいに。

 

「あの頃から私たちは友達になりましたよね」

 

「そうだね。早苗ちゃん家に泊まったのは何回あったかな」

 

「253回ですね。」

 

「即答…?」

 

「私からすれば嬉しかったんですが、かー君はどうでしたか?」

 

「んー…僕が早苗ちゃんの家を訪れた日って、両親が僕を追い出した時だったからさ。良い気分で行ったことはなかったよ」

 

事実、両親の仲は良かったはずだ。行方をくらました時も僕を置いてどこかに消えた二人なのだから。何かあれば二人が協力していた。僕が邪魔な時や、買い物の時、料理の時。僕は一切料理を作ってもらったことがないけど。それ以外だと基本喋らない二人だった。だから早苗ちゃんとそのお母さんが喋ってくれたのは嬉しかった。帰った時に話してくれる人がいないのが嫌でお泊まりしたのが最初のお泊まりだった。

 

「お風呂とかも一緒に入りましたよね。また一緒にはいりたいです」

 

「最近混浴行ったじゃん」

 

「二人きりで」

 

「…早苗ちゃん、僕今結構感傷に浸ってたんだよね」

 

「私も浸っていました。あんなに弱々しく、着いていくために握っていたかー君の手が、今や私を連れ歩くために手を握る手になるなんて。」




扇風機だけでは夏を乗り越えられない。
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