東風谷さんと僕   作:覚め

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美鈴「え?違う?…え、でも実戦ですよね?」


実戦

「…いざ!」

 

「っ!」

 

巻物を取り出し魔法を発動し、三歩引く。その後、土塊製の足場を作りながら後ろに飛んで距離をとる。さてここで問題発生。門番さん、飛べた。足場を傾け、走り出しやすいようにして走り始める。大きく旋回して体当たり。あんまり効果はなさそう。なんなら反撃喰らって鼻が痛い。僕は確かに戦おうなんて言ってないよね、と今更ながら思う。なんだってんだ、ほんと。

 

「レーヴァテイン!」

 

「ほう、妹様のものですか」

 

「ぇいやぁ!」

 

レーヴァテインを大きくして振り回す。強化魔法使ってるからレーヴァテインに振り回されることはなさそうだ。足場を作り続け、レーヴァテインを大きく旋回しながらぶん回す。美鈴さんの真横に走り至ったところで、横にステップ。遠心力を違うと思ったか、違うんだなこれが。背中に向かってフルスイング。バチィンと大きな音を立てながら、服も何も裂かなかった。勇儀さん相手には服だって切れたんだけどな。

 

「動きを止めない!」

 

「うおっ」

 

土塊で僕と門番さんの間に壁を作ると、その壁が一瞬で壊された挙句に顔面ごと蹴り飛ばされる。そのまま転がされつづけ、どんどこ紅魔館から遠ざかる。僕はここまで痛がっているような素振りをしていないかもしれないが、全然痛いからな。今?今は2日連続で同じ場所を寝違えた上でずっと痛い方に頭を押し付けられてる痛さ。吐きそう。あと外れそう。とにかくすんごい痛い。

 

「よっ」

 

「立ち上がりも遅いですよ」

 

「えいっ」

 

立ち上がった僕に踵落としをしようとしてきたので、横にステップを踏んで下腹部にレーヴァテインを刺す。今度は刺さった。横に裂いて、蹴り飛ばす。さて問題。どうやったら僕はこの戦いを終えられるのでしょうか?早苗ちゃんが来た時?それとも十六夜さんが止めに入った時?実践とやらがなくなる時?もうわかんないよ。僕としては今ので首を無理やり動かしたため瀕死。つーかバカ首痛い。

 

「…?」

 

「すみませんお客様、あの、今ので腰が上手い具合に刺激されて…」

 

「えっ」

 

「傷はともかく腰が…本日はもう無理です…」

 

「持病?」

 

「いえ、そう言うものは。まあ私も年ですかね…」

 

「妖怪に年齢とかあるのかな」

 

「一応ありますよ。まあ、生きてきた年数分強いわけでも弱いわけでもないですが。」

 

疑問に思う。妖怪というものの説明では、精神に生きる生物だと聞く。無限に生きる奴もいれば直ぐに死ぬ奴もいる。だから僕はてっきり、妖怪が生まれてくる時の姿から一切姿が変わらないものだと思っていたのに。門番さん曰く違うらしい。今から見せてあげますねと言われて何が来るのかと思えば、目の前の門番さんが小さくなってしまった。いやこれ幼くなったのかな?

 

「こういう感じに、強い妖怪は自分の姿を変えることが多いんです。まあ、基本大人の妖怪は強いくらいの認識で大丈夫ですが」

 

「へぇ」

 

「あとは種族ごとに若干違ってきますね。吸血鬼のような生物してる妖怪は変えられないことが多く、お嬢様のように幼くても強い、と言うものもいます」

 

「今の聞こえたら不味くない?」

 

「いえ、それに関しては本人もお認めですから。」

 

「結構寛容なんだ。」

 

「あ、でも妹様の前ではやめた方がいいですよ。直ぐに消し炭ですから」

 

「こわーい」

 

「お嬢様の方は寛容なのですが、妹様は…知ってますか?図書館の小悪魔さん。あの人、妹様にタメ口使った途端体の半分消されたんですからね」

 

「えっ怖っ」

 

しかし全然早苗ちゃんは来ない。腰痛門番さんと一緒に座ったり、なんだったり。フランドールさんのところに行ってみたが、知らないとのこと。それどころか帰ったのではと聞き返された。早苗ちゃんが僕を置いて帰るなんて。十六夜さんも知らないとなれば、もしかしたら本当にそうだったのかもしれない。急いで守矢に帰る。出迎えてくれたのは神奈子様と諏訪子様の二人。何やら僕を待っていたそうだ。

 

「…お前、早苗に何かしたのか?」

 

「え?」

 

「まさかまた喧嘩…と思ったんだけど、そうでもなくてさ」

 

「え、え?」

 

「まさかお前を連れずに早苗が帰ってくるとは思わなかったよ。そんなことが起きたのに早苗は何も言ってこない」

 

「だから本人に聞いてみようってなったんだけど…本人も知らなさそうだね」

 

「…じゃあ、帰ってきてるんですか?」

 

「それすらも知らなかったのか」

 

「夫としてどうなんだ」

 

「婚約すらしてないのに」

 

とまあ、何やら変なことになったらしく。僕が何かをしたならばそれを謝るべきだろう。しかしそんなことは身に覚えになく。僕は一体何をすれば良いのか。フランドールさんに聞こうとも考えたが、こう言う時に他の女の人を頼るのは良くない。命蓮寺で一輪さんと村紗さんに言われた。であればやはり僕が謝りに行くしかないと言うわけで。僕自身が心当たりのある事柄を…わからない…

 

「早苗ちゃん…」

 

「なんですか?」

 

「あの、僕、何かした?それなら謝るんだけど…」

 

「…いえ、謝罪はいいですよ。直ぐにこの社から出てくれれば。」




早苗さんの急激な感情の反転。リバースエモーション
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