ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

101 / 178
幕間: アスナ・エルマリート4

【ジャブロー・各基地のシミュレーターのデータ管理室】

モニターには、世界各地の基地から送信された訓練シミュレーターの戦闘ログが流れていた。

 

「……やはり、今日も該当なしですな」

 

重い沈黙の中、テム・レイが画面を眺めたまま言った。

 

「中々ニュータイプは見つかりませんな」

 

「ふむ……才能を持つ者がいるはずなんだが」

ムラサメ博士も難しい顔で、シミュレーションリストをスクロールしていく。

 

その時、後ろで腕を組んでいたアルレットが、呆れたように声を上げた。

 

「見つかるわけないでしょ。そもそも――」

彼女はくるりと博士たちの背後へ回り、モニターの端を指差す。

「あなたたちが手元でニュータイプの比較データとして使ってるの、アムロさんとカミーユ君とリタさんの戦闘記録じゃないですか」

 

テム・レイは小さく咳払いした。

 

「いや、しかし……我々に一番近いニュータイプのリファレンスは、やはりあの三人であって……」

 

ムラサメ博士も言い訳がましく呟く。

 

「他のサンプルがなかなか……ね?」

 

「そう、確かにそうですけど! アムロさんとカミーユ君の才能は異常値です! リタさんも含めて、そんなレベルの才能がぽんぽん見つかるわけないんです!」

アルレットは腰に手を当てて言い切った。

 

「む……」

 

「うむ……」

 

2人の博士は同時にうなだれた。

テーブルの上のデータパッドには、各地の訓練ログがずらりと並んでいるが、どれも“非該当”の判定が続いていた。

 

その空気を察して、部屋の一角で資料整理をしていたリタ・ベルナルが、そっと振り返る。

 

「……あの、2人とも。働きすぎです」

 

「いくらアムロさんが結婚して、仕事を少しでも減らせるように、新しいニュータイプが見つかってほしいって願っていても……」

その先の言葉を少し詰まらせてから、静かに締めくくった。

 

「1万人に1人、もしくはそれ以上の才能を基準に探してたら、いつまでも見つかりません」

 

2人の博士はしばし沈黙したまま、画面の中の“非該当”の文字列を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

モニターに映る各地の訓練施設のシミュレーターデータが無機質な光を放つなか、ドゥーはくるくると椅子を回していた。無邪気にも見えるその仕草は、彼女が強化人間であることを忘れさせる。しかし、次の瞬間、彼女はピタリと動きを止めてムラサメ博士を振り返った。

 

「博士、前に言ってたでしょ?“次のニュータイプはアムロさんほど強くなくていい。これから現れるニュータイプたちの中間点になってくれたら”って。」

 

ムラサメ博士はパネルから視線を離し、小さく頷いた。

 

「……ああ、そうだったな。」

 

そのまま遠くを見るように目を細め、静かに続ける。

 

「だが、立て続けにカミーユとリタが現れてしまった。どちらもアムロ・レイに匹敵する、あるいは別の特性で凌ぐ才能……それを見てしまうと、思ってしまったよ。“もしかしたら、あのレベルは案外多いのかもしれない”と。」

 

その言葉に、すかさずアルレットがツッコミを入れた。

 

「いやいやいや、博士。何言ってるんですか? アムロさんクラスがそこらにゴロゴロいたら、地球連邦じゃなくて“ニュータイプ帝国”ができあがってますよ? 戦争じゃなくて神話の世界ですよ。」

 

ドゥーも笑いながらうなずいた。

 

「だよね〜。アムロが5人いたら、それだけで艦隊戦終わりそうだよ。」

 

その一言に、ムラサメ博士とリタも思わず顔を見合わせ、真顔で頷いてしまう。

 

「……あり得るな」博士がぽつりと漏らすと、リタも心の中で(本当にあり得るのが怖い)とため息をついた。

 

和やかな笑いが静かに室内を包んだその時だった。

 

「……ん?」

 

ドゥーが画面に映るログ一覧を見つめ、眉をひそめた。

 

「博士、ちょっとおかしいデータがある。」

 

「どこだ?」

 

博士がすぐに身を乗り出す。

 

「北米の訓練校。エコールってところ。6ヶ月前まではちゃんと12人分のシミュレーター記録が届いてたのに、5ヶ月前から急に10人分しか来てない。しかも、抜けてる2人分のログだけ、通信記録ごと不自然に飛ばされてる。」

 

アルレットが険しい顔で画面を覗き込んだ。

 

「明らかに意図的に止められてるわね……。」

 

リタの声も固くなる。

 

「……誰かが、何かを隠してる。ニュータイプの兆候があったか、あるいは……もっと悪い理由か。」

 

部屋の空気が一変する。

 

 

 

 

 

 

連邦軍総司令部・執務室。

重厚なドアが静かに開くと、中にいたゴップ提督が顔を上げた。

 

「……ふむ、君たちか。」

 

ムラサメ博士とテム・レイが並んで室内に入ってきた。2人とも普段よりいくらか表情が硬い。

 

テム・レイが懐から端末を取り出し、データをゴップの机上のホログラフに投影する。

 

「結論から言いましょう、提督。北米の訓練校【エコール】に設置していたシミュレーターのデータ送信ログに改竄の跡がありました。12名いた訓練兵のうち、2名分のデータだけが本部に届いていない。」

 

ゴップの眉がぴくりと動いた。

 

「それは……意図的に?」

 

「おそらく間違いありません。」ムラサメ博士が続けた。「他のデータと比較したところ、データストリームに明確な切断跡がありました。しかも、その後のログが綺麗に上書きされていた。」

 

「ニュータイプ適性を示した個体……ということか?」

 

「その可能性が高いです。明らかに不自然な遮断ですから。」テム・レイが頷いた。

 

ゴップは机に肘をつき、指を組んだまましばらく沈黙した後、端末を手に取る。

 

「……分かった。北米訓練校に直接、確認を取ろう。」

 

ゴップが専用チャンネルを開き、通信が接続された。数秒後、ホログラフに映ったのは北米訓練校の校長だった。だが、その表情はどこか歯切れが悪く、汗ばんだ額が目立つ。

 

「提督……これは、その、私も……まったく知らなかったわけでは……なく……」

 

「要点だけを頼む。」ゴップの声に、重苦しい沈黙が挟まれた。

 

やがて、校長が搾り出すように言う。

 

「……訓練教官のフォルマ・ガードナーに、弱みを握られておりました。彼が言うには、“シミュレーターに現れたニュータイプの兆候を持つ2名を自分で育てれば、軍への大きな功績になる”。そう言って、私には黙っていてほしいと……」

 

「……」ゴップは無言で顎を指でなぞりながら考え込む。やがて低く、重い声で口を開いた。

 

「つまり、組織的な隠蔽だな。で、その隠された2名とは?」

 

「……アスナ・エルマリートと、エリシア・ノクトンです。」

 

「ふむ……。そして、彼女たちは今どこに?」

 

「も、模擬戦中です……森林地帯で……」

 

その瞬間、ゴップの横で控えていたブレックス准将が声を上げた。

 

「森林地帯? 提出された訓練予定では、模擬戦は敷地内で実施のはずですが?」

 

校長はぐっと言葉を詰まらせた。

 

ゴップは深く息を吐いた。

 

「……なるほど。もうよい、校長。今後は軍監察部が入る。君はそのつもりでいてくれ。」

 

通信が切れたあと、ゴップはゆっくりと立ち上がった。

 

「北米からゼロが帰還途中だったな?悪いが帰還は取り止めだ。この件、ゼロ・ムラサメに即時対応を要請しろ。最悪の場合、実戦が始まっている可能性がある。手遅れになる前に、生徒たちを保護しろ。」

 

ブレックスが静かにうなずき、敬礼と共に言葉を交わした。

 

「了解しました、提督。」

 

――緊張は、一気に戦闘準備の空気へと変わっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球連邦軍 ペガサス級強襲揚陸艦「ホワイトベースJr.」艦橋

 

「……ようやくジオン残党を片付けたと思ったら、また任務ですか。」

 

艦橋の椅子に身を沈めたまま、ゼロ・ムラサメは肩を落としながらため息をついた。

 

艦長席にいたブライト・ノアが苦笑を浮かべる。

 

「全くだ。この艦はまだ二度目の航海だというのにな。まるで戦場に呼ばれるのが運命づけられてるみたいだ。」

 

「ですね……」副長のワッツが苦い表情で端末に目を落としつつ言葉を継ぐ。「ですが、ゴップ提督の勅命です。“北米訓練校の訓練生が危険に晒されている可能性がある”とのことで。」

 

「……出来れば、その隠蔽した教官を締め上げて終わり……といってほしいんですがね。」

 

ゼロが皮肉めいた口調でそう言ったその瞬間――

 

「……! ミノフスキー粒子濃度、異常反応!」

通信士のオスカ・ダブリンが、端末を見つめながら声を上げた。

「森林地帯……訓練校の演習区域で、戦闘レベルの粒子散布を確認!」

 

「そうは……なってくれませんでしたね。」

 

ゼロは息をひとつ吐き、すぐに立ち上がった。その瞳に迷いはない。

 

「出撃します。格納庫に連絡を!」

 

「了解!」

オスカが即座に通信を切り替え、インカムを通じて格納庫へ指示を飛ばす。

 

「格納庫、モビルスーツ出撃準備!ゼロ・ムラサメ、即応体制です!」

 

艦内スピーカーがサイレンと共に響き、出撃区画が赤く点灯する。

 

格納庫――

 

格納庫の奥、白と青のカラーリングが眩い「アレックス」のコクピットへ駆け込むゼロ。

地面を蹴るようにして跳び上がり、両足を揃えて滑り込むように操縦席へ降りた。

 

「コネクト完了、機体連動確認……!」

 

通信士の声が響く中、ゼロはヘルメットのバイザーを下ろす。

 

「アレックス、ゼロ・ムラサメ。出撃する!」

 

コンプレッサーが唸り、ハンガーが開く。

白い機体が光の中へ飛び出すその瞬間、ゼロの視線はただ一つ――助けを求めている仲間たちの方角を捉えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

轟音が森林地帯に響き、焼け焦げた木々の間に煙が立ち込める。

 

アレックスのビームライフルの射撃が、敵機の腕を消し飛ばした直後だった。

 

ゼロ・ムラサメは軽く息を吐きながら、視線を正面に向けた。

 

「……危なかったな。あと数秒遅ければ、あの子、死んでたぞ。」

 

地面に転がったまま動けない軽キャノン――アスナ機をちらりと見やる。そして、その先。

 

片腕を吹き飛ばされたまま、それでもなお距離を詰めようとしているゲルググが、スパークを撒き散らしながらよろめいていた。

 

「それにしても、こいつ……」

 

ゼロの視線が鋭くなる。

 

「不意打ちで片腕を失っておいて、すぐに態勢を立て直してきた。只者じゃない。エースクラスだな。」

 

敵機が左右に蛇行しながら接近してくる。射線を絞らせず、懐に飛び込もうという意図だ。

 

「でもまあ――」

 

ゼロはふっと笑った。アレックスの膝に力を込め、リニアバーニアを全開に。

 

「――その程度の腕で、僕に1対1で挑むべきじゃなかったな。」

 

刹那、機体が青白い残光を残しながら加速。すれ違いざま、ゼロは右腕のサーベルを横薙ぎに一閃。

 

沈黙の一秒後、背後でゲルググが爆発四散した。

 

爆煙の中、ゼロは短く息を整え、通信を開く。

 

「そこの軽キャノン!応答しろ!」

 

数秒の沈黙を挟み、震えるような声が返ってきた。

 

「……はい!」

 

ゼロは少しだけ声の硬さが和らぐ。

 

「状況を報告しろ!」

 

アスナは言葉を発しようとしたが、喉がひりついて息が続かない。さっきまで――文字通り死と隣り合わせだった。焦りと恐怖が入り混じり、うまく言葉が出てこない。

 

その横から、冷静な声が割り込んだ。

 

「私が代わります!」

 

褐色肌の少女、エリシア・ノクトンの声だ。

 

「森林地帯でゲルググ1機、ザク2機の襲撃を受けました。こちらは訓練機による実戦装備ではありません。現在、教官のヤハギがザク2機の足止めを行っているものと思われます。援護をお願いします!」

 

ゼロの表情が鋭く引き締まる。即座に頷いた。

 

「了解した。ネモ隊を呼んである。すぐに救護が入るだろう。教官の元へは、俺が行く。」

 

その言葉を残し、ゼロのアレックスが空へ跳躍する。青白いスラスター光が森林を切り裂き、高速で戦場へ向かっていった。

 

残されたアスナのコックピットに、ようやく呼吸が戻ってくる。

 

「……助かった……」

 

震える指でレバーを握り直しながら、彼女は心の底からそう呟いた。

 

 

 

ゼロ・ムラサメのアレックスが空へ跳躍していった後、残された静寂を破るように、微かな風が戦場に吹き抜けた。

 

アスナの軽キャノンは動けず、エミルとシンの機体も損傷している。だが、今この瞬間、彼らの心には確かな「命の続き」があった。

 

そしてその中に立つ、エリシア・ノクトンもまた、戦場の残り香を感じながら呟いた。

 

「……ゼロ・ムラサメ。あの人が――最強の強化人間。」

 

言葉にすることで、自分の中の驚愕をようやく飲み下していく。

 

視線の先、炎を上げて崩れていくゲルググの残骸。あれほどの機体が――エリシアが脚を切られ、圧倒されたあの機体が。

 

「……あのゲルググが、まるで雑魚扱い……」

 

唇をわずかに噛み、エリシアは拳を握った。

 

(私も……いつか、あれだけの力を――)

 

心の奥に、静かに灯った火が、戦場の煙の中で確かに揺れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザクのマシンガンがまた一発、ヤハギの軽キャノンの装甲をかすめた。弾道は甘い。致命傷を狙っていないのは明らかだった。

 

ヤハギは舌打ちしながら、コクピットのスクリーン越しに2機のザクを見据える。

 

「……チッ、距離を詰めさせないつもりか。」

 

軽キャノンとザクの性能差は、そこまで大きくない。だが――

 

(こいつら、分かってる……近寄れば、俺にやられるってことを。)

 

ヤハギの額には薄く汗が滲む。

 

ザク2機は、徹底して中距離からの射撃に徹していた。前に出る素振りも見せず、動きを制限するような動きだけを繰り返す。

 

(おそらく俺のデータが向こうに流れてる。こっちの出方も癖も全部……)

 

通信装置に目をやる。未だ基地との連絡は不通のまま。ミノフスキー粒子の濃度が高すぎるのだ。だが――

 

(この襲撃……やっぱりあの野郎しかいねぇ。フォルマ……!)

 

ブリーフィングを無断で変更し、演習場を森林地帯に移した男。伏せられた敵の情報、ミノフスキー粒子の濃度、そしてこちらの戦力に対して過剰な敵モビルスーツ数。

 

――全てが、最初から「狙っていた」配置だ。

 

「ふざけやがって……」

 

ヤハギは一瞬、スラスターの出力を最大に上げることを決断しかけた。敵の射撃をかいくぐり、片方のザクを強引に仕留める。その隙にもう一機も――

 

その時だった。通信機がノイズ混じりに声を拾う。

 

『……ーヤギ……教官……こちら第13独立部隊、ゼロ・ムラサメ。よく生き残った!後は任せろ!』

 

直後、空から白い閃光が降りた。

 

アレックス――その名を冠する連邦の精鋭機が、大地を蹴って突撃する。

 

ザクの1機が即座に反応して回避機動を取るが、それすら読まれていたかのように、ゼロのビームライフルが正確に腰部を撃ち抜いた。

 

爆発。

 

もう1機が動揺しつつザクバズーカを構えるも、ゼロは躊躇なく間合いを詰め、ビームサーベルを抜きざまに一閃――。

 

まるで時間が止まったような一瞬の後、ザクは真っ二つに裂け、火花と黒煙を残して崩れ落ちた。

 

ヤハギの軽キャノンが振動する。

 

 

戦場の空気が、一変していた。希望が、確かに舞い戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃走する軽キャノンのコクピット内。フォルマ・ガードナーは荒く息を吐きながら必死にスラスターを吹かしていた。汗で前髪が張り付き、視界が滲む。

 

「ちくしょう……! 第13独立部隊だと!? ゴップ直属の……しかも最強の部隊じゃねえか……!」

 

震える手でスロットルを押し込みながら、フォルマは奥歯を噛みしめた。

 

「まさか、あのガキどもの救援にあいつらを寄越すとはな……!」

 

地面の木々が猛スピードで後方に流れていく。照準も見ずに適当にビームを数発撒いた。狙うというより、怯えと焦りで撃っていた。

 

「ってことは……俺のやったことも……バレてるってわけか……!」

 

背筋に冷たいものが走る。

 

(このままじゃ俺は……見せしめに処分される……!)

 

喉の奥が焼けるようだった。生唾を飲み込む。

 

「……だったら、もう……ジオン残党でもなんでも、取り入って生き残るしか……!」

 

言いかけた、その瞬間――

 

《悪いが、逃しはしない。》

 

通信機に反応はなかった。にもかかわらず、ゼロ・ムラサメの声が、まるで脳に直接語りかけてきたかのように、フォルマの耳に届いた。

 

「っ……!?」息が詰まる。

 

上空。

 

木々をなぎ倒すように、真っ白なアレックスが降下してくる。大地を砕く勢いで、フォルマの進路を塞ぐように、重く着地した。

 

「あ、あれが……ゼロ・ムラサメ……! 連邦最強の……強化人間かよ……!」

 

口の中がカラカラだった。手が勝手に、肩のキャノンのトリガーにかかる。

 

《投降しろ。お前には、今回の模擬戦を仕組んだ経緯を含めて、洗いざらい吐いてもらう。》

 

ゼロの声は冷静で、しかし何よりも静かに、重かった。

 

フォルマはひとつ、肩をすくめて微笑んだ。

 

「……そうかよ。仕方ねえ。命くらいは保証して欲しいもんだねぇ――」

 

言葉の最後と同時に、肩のキャノンが轟音を上げた。砲撃がアレックスへ向かって放たれる。

 

「……っ!」

 

だが次の瞬間、ゼロのアレックスは文字通り“消えた”。

 

(どこだ……!?)

 

視界の外。

 

「――だろうな。お前みたいなやつは、大人しく投降なんてするわけがない。」

 

ゼロの声が聞こえた。

 

そして――

 

ドンッ!!!

 

アレックスの鋼鉄の脚が、軽キャノンのコクピット部を真正面から蹴りつけた。キャノピーが大きく歪み、振動と衝撃でフォルマの身体が跳ね上がる。

 

視界がぐにゃりと歪んだ。

 

「ぐっ……ぅ……!」

 

思考が真っ白になったそのまま、フォルマ・ガードナーは意識を失い、シートに沈み込んだ。

 

ゼロは無言で軽キャノンを見下ろし、そして静かに通信機を切り替えた。

 

「フォルマ・ガードナー、確保。救護班、収容を頼む。」

 

上空に昇っていくアレックスの背を、逃げ惑う森の鳥たちが見上げていた。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。