ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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2話連続投稿2話目です。

ニャアンの踏み台に2人でされるぐらいならこっちで三連星として敵役として輝いてもらいました。


幕間: ジョニー・ライデンの帰還4

宇宙。グラナダまでの途中宙域――ムサイ級巡洋艦・周辺。

 

格納庫から飛び出したジョニーの高機動型ゲルググは、即座にターゲットを捕捉した。

 

狙いは、ムサイのエンジン部。

 

ビームライフルが火を噴き、強烈な光条が推進器を貫く。

 

次の瞬間、轟音と共にムサイのエンジンが爆発。艦体は瞬く間に炎に包まれた。

 

燃え上がる炎を背に、ジョニーは静かに呟く。

 

「……これで、もう後戻りはできないな。――元々する気はなかったが」

 

彼の目に、迷いはなかった。イングリッドを救うためなら、同胞を手にかける覚悟もとうに決まっている。

 

彼は視線を巡らせ、もう一隻のムサイ、そしてその側のコムサイを探す。

 

「さて……ユーマは――」

 

そのときだった。彼の視界に、信じがたい光景が飛び込んできた。

 

――ユーマのゲルググが、3機のリック・ドムに追い立てられていた。

 

既に片腕と片足を失い、満身創痍の状態。火花を散らしながら必死に機体を動かしている。

 

「ユーマ!」

 

ジョニーは叫び、即座に加速をかける。しかしその進路に、2機のゲルググが立ち塞がった。

 

「邪魔するな、お前らッ!」

 

苛立ちと怒りを込め、ジョニーは叫ぶ。

 

その怒りを推進力に変えるように、彼はゲルググを旋回させ、ビームサーベルとビームライフルを駆使して2機を瞬く間に撃破。

 

爆炎が宇宙に咲き、破片が四方に散った。

 

ようやくユーマの元へと辿り着いたジョニーは、3機のドムの前にその機体を構え、彼を庇うように立ちはだかる。

 

「ユーマ! 無事か!」

 

コクピットから、ユーマの声が返ってくる。

 

「悪い、ジョニー……。他の2機のゲルググは無傷で倒せたんだが、次のやつらは無理だった……。こいつら黒い三連星だ!」

 

その名を聞いた瞬間、ジョニーの表情が強張った。

 

――黒い三連星。

 

ジオンのエース中のエース。特に連携攻撃において右に出る者はいないとまで言われた、伝説のベテラン部隊。

 

まさか、イングリッドの護衛に奴らが付いていたとは――。

 

「……そういうことか」

 

ジョニーは内心で舌打ちした。

 

(キシリアめ……! 移動の護衛にこれだけのリソースを割くくらいなら、暗殺されないように守っておけばいいものを……)

 

それほどまでにイングリッドを“生かしたまま”グラナダへ届ける必要があるのか――それとも、これこそが、ギレンとの内乱に向けた本気の布陣なのか。

 

そのとき、3機のリック・ドムのうち1機から通信が入った。

 

ガイアの声だ。

 

「よう、真紅の稲妻。まさかお前が、騙し討ちの裏切り者になるとはな」

 

その声には、皮肉と侮蔑が滲んでいた。

 

ジョニーは表情を変えず、冷静に返す。

 

「お前らこそ。戦後はマ・クベに睨まれて、ジオンを追い出されたんじゃなかったか? ……今さら復帰かよ」

 

その言葉に、すかさずマッシュの声が被る。

 

「なぁに、マ・クベの野郎は気に食わねえがよ、さらに上のキシリア様直々に声をかけられたらな。……もう一度、ジオンのために働いてやってもいいかと思ったのさ」

 

そこへ、オルテガの低い声が続いた。

 

「それにな、俺たちついてるぜ。復帰して早々、目の前で真紅の稲妻が裏切るとはな。……お前を落とせば、ジオン十字勲章ものだろうぜ」

 

黒い三連星。

 

かつてジオンの誇りを担ったその男たちが、今は“裏切り者”と認識したジョニーを獲物として狙っている。

 

彼らの目には、冷たい誇りと、狩人の鋭い光が宿っていた。

 

“真紅の稲妻”ジョニー・ライデンと、黒い三連星――

 

激突の火蓋が、いま、切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョニーの乗る高機動型ゲルググは、三機のリック・ドムによる猛攻に翻弄されていた。

 

相手は、黒い三連星。彼らが繰り出す連携攻撃――《ジェットストリームアタック》。

 

その変幻自在な動きは、まるで三機で一体の意思を持つかのようだった。

 

ガイアのドムが前衛で鋭く牽制。

 

マッシュが側面からプレッシャーをかけ、

 

オルテガが死角からの奇襲を狙う。

 

まるで獲物を追い詰める猛獣の群れのように、ジョニーを包囲していた。

 

四肢の欠損こそ避けているものの、ゲルググの装甲各所には被弾の痕が増え、次第に動きに鈍りが出始めていた。

 

彼らの連携には、かつてのブランクを一切感じさせない。

 

――いや、それどころか、この短時間の戦闘の中で、連中はすでに感覚を完全に取り戻してきている。

 

(ちっ……厄介だな……!)

 

ジョニーは舌打ちをこらえ、操作桿を握り締めた。

 

ユーマを庇いながらの戦闘では、本来の機動性能を活かしきれない。

 

このままでは、袋叩きにされる――。

 

その瞬間。

 

傷ついたユーマのゲルググと入れ替わるように、一機の赤い機体が宙を切った。

 

「ジョニー!」

 

イングリッドの声が、通信越しに飛び込んでくる。

 

彼女のゲルググは、ムサイの格納庫での損傷を受けていたはずだが、応急修理の成果か、今は戦闘に十分耐えうる動きを見せている。

 

「ユーマから聞いたな! 黒い三連星の《ジェットストリームアタック》に気をつけろ!」

 

ジョニーが、即座に指示を飛ばす。

 

「正面から受けるな! 左右に流れて回避しながら反撃しろ! あいつら、真正面だけは読んでる!」

 

イングリッドは、瞬時に返す。

 

「分かってるけど! あのドムの動き……普通じゃない! 速すぎる!」

 

焦りが、彼女の声に滲む。

 

ただでさえ脅威的な黒い三連星のドム。それが、今は改修を受けているとすれば、常識外れの速度と軌道も納得がいく。

 

そのイングリッドの背後――。

 

ひときわ巨大なドムの影が旋回しながら迫る。

 

通信回線越しに、オルテガの低く響く声が流れ込んできた。

 

「なんだ〜? 真紅の稲妻、保育士にでも転職したのかよ?」

 

皮肉混じりの声音が、宇宙の静寂に嫌らしく響いた。

 

続けて、マッシュの声が被さる。

 

「だったら、ひとりで逝くのは寂しいよな。そっちの赤いガキと、一緒にあの世へ送ってやるぜ!」

 

あからさまな挑発。ジョニーとユーマ、そしてイングリッドを嘲るその態度に、ジョニーの目が鋭く光る。

 

だが、彼らは知る由もない。

 

ジョニーがなぜ裏切りと見なされる行動を取り、イングリッドを奪ったのか。

 

彼らの視点では――目の前のジョニー・ライデンは、もはやジオンを裏切った男。その動機など、どうでもよかった。

 

ただ、裏切り者を排除する。

 

そしてイングリッドを回収し、報奨と名誉を手にする。

 

それが、今の黒い三連星の任務だ。

 

その空気を、ガイアの冷静な声が締めくくった。

 

「お前ら、忘れるなよ。あのゲルググには、イングリッドとかいうガキの女が乗ってる」

 

「……こいつをキシリア様に届けなきゃ、報酬も全部パァだぞ」

 

その一言が示す通り、イングリッドはただの少女でも、ただのパイロットでもない。

 

キシリア・ザビの思惑が集中する“鍵”。

 

彼女の回収と、ジョニーの排除。それが彼らの任務――そして執着。

 

彼らの攻撃は、ためらいを一切持たない。容赦も遠慮も、ありはしない。

 

ジョニーとイングリッド、ふたりの赤いゲルググは、今――

 

ジオンが誇る《黒い三連星》という鉄壁の連携の前に、命を懸けて立ち向かわなければならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イングリッドのゲルググが戦場に加わり、ジョニーと並ぶ形で黒い三連星に対峙する。

 

二機の赤いゲルググは、鋭く絡み合う《ジェットストリームアタック》の網を掻い潜りながら、反撃の糸口を必死に探していた。

 

イングリッドのニュータイプとしての感応能力は、確かに敵の動きの一部を“先読み”できていた。彼女はジョニーの機動を補佐し、連携を取ることで敵の隙を狙おうとする。

 

だが――

 

その連携の鋭さ、予測不能な変則機動は、彼女の予想をはるかに上回っていた。

 

(速い……! それに連携が完璧すぎる……まるで、ひとつの意思で動いてるみたい!)

 

イングリッドは、内心で舌を巻く。

 

ジョニーの指示通り、真正面からの衝突を避け、左右に流れながらビームライフルを放つ。

 

だがそのすべてが、ドムたちの厚い装甲をかすめるか、あるいはほんの紙一重で回避されてしまう。

 

ダメージを――与えられない。

 

そして、ついにその瞬間が来た。

 

マッシュのドムが急接近。

 

放たれたヒートサーベルが、閃光を伴ってジョニーのゲルググの右腕を切断した。

 

バチッという音とともに火花が弾け、機体が大きくバランスを崩す。

 

「ジョニー!!」

 

イングリッドが叫ぶ。

 

とっさに、彼の機体を庇おうと、自身のゲルググを前へ――。

 

だが、その動きこそ、黒い三連星が誘っていた罠だった。

 

「隙だらけだぜ、小娘ッ!」

 

マッシュの声が響いた次の瞬間。

 

ドムのヒートロッドがイングリッドのゲルググに巻きついた。

 

ビリビリッ――!

 

「ぐっ……!?」

 

強烈な電流が機体を走り、コクピットの中にも痺れが広がる。

 

視界が明滅し、警告ランプが点滅。操縦桿を握る手に、力が入らない。

 

まるで、全身を金縛りにされたかのように、ゲルググが動きを止めた。

 

「な……っ、イングリッド!!」

 

ジョニーが、怒りに満ちた声で叫ぶ。

 

片腕を失った機体を必死に操作し、彼女のもとへと近づこうとする。

 

「黒い三連星! お前らの任務は、イングリッドの“奪還”だろうが! 殺す気か!!」

 

怒声に滲むのは、苛立ちでも怒りでもない――焦燥。純然たる“恐怖”だった。

 

だが、マッシュは嘲笑った。

 

「おいおい。こいつ、強化人間だろ? これぐらいじゃ死なねぇよ」

 

「……ちゃんと気絶させてから鹵獲してやるさ」

 

その言葉に、ジョニーの全身が凍りつくような寒気を覚えた。

 

イングリッドが「強化人間」であるがゆえに――。

 

多少の負荷をかけても、壊れない“もの”として扱われている。

 

彼らにとって、彼女は“生け捕りにすべき戦利品”に過ぎなかった。

 

冷たく響く声が、通信に割り込む。

 

ガイアだった。

 

「……そういうことだ。そして――ジョニー・ライデン。お前も、もう終わりだ」

 

オルテガのドムが、ガイアのドムと並ぶようにジョニーの正面に立ちふさがる。

 

「片腕のゲルググなんざ、俺たち2人で十分だ」

 

――状況は、最悪だった。

 

ユーマのゲルググは既に戦線を離脱。

 

イングリッドはヒートロッドに拘束され、身動きが取れない。

 

残されたのは、右腕を失ったジョニーのゲルググただ一機。

 

二対一。

 

相手は、ジオンが誇る連携のスペシャリスト、《黒い三連星》。

 

それでも。

 

ジョニー・ライデンは、逃げなかった。

 

怒りと焦りに満ちた目で、ゆっくりとビームライフルを左腕に構え――

 

その照準を、敵に定めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジョニーのゲルググは、もはや片腕を失い、左腕だけでビームライフルを構えていた。

 

だが、その一撃にすら希望を託して、彼は諦めずに抗い続けていた。

 

しかし――

 

その意志さえ、黒い三連星の連携はあっさりと打ち砕いた。

 

マッシュのドムが放ったジャイアント・バズの弾頭が、直線軌道を描いてジョニーの左腕を撃ち抜く。

 

爆炎が走り、ゲルググの左腕は容赦なく吹き飛ばされた。

 

「くっ……!」

 

衝撃がコクピットに突き刺さる。ジョニーの体が揺れ、警報が鳴り響く。

 

彼のゲルググは、完全に無力化された。

 

その時、後方から強烈なビームが飛んできた。それは、片腕のゲルググと、それを頭上に乗せたコムサイだった。ユーマのゲルググだ。

 

「ジョニー! 今助ける!」

 

ユーマの声が、通信回線越しに響く。ユーマのゲルググは、残されたビームライフルでドムに攻撃を仕掛け、コムサイもまた、二つのバルカン砲を火を噴かせ、ドムたちへと向かっていく。

 

「来るな! お前ら! 俺よりイングリッドを!」

 

ジョニーは、焦燥に駆られて叫んだ。ユーマとエイシアがこの場に来ることは、自分を救うどころか、彼らまで巻き込むことになる。

 

しかし、ガイアの声が、冷徹に響いた。

 

「もう遅えよ! 部下に慕われてんなぁ! 隊長さん! 受け止めてもらえ!」

 

ガイアのドムが、ジョニーのゲルググに猛然と突撃し、その機体をコムサイの方へと蹴り飛ばした。ジョニーのゲルググは、無力なまま回転しながらコムサイへと向かっていく。

 

「うぐっ…!」

 

ジョニーは、呻いた。

 

(違う! 受け止めるな! ユーマ! 奴らの狙いは俺ごとお前らをビームライフルで撃ち抜くことだ!)

 

ジョニーには、黒い三連星の“次の一手”が、まるで目の前に描かれた戦術図のように浮かんでいた。

 

それは、あまりに完璧で、あまりに卑劣な連携だった。

 

オルテガの声が、勝利を確信したように響く。

 

「――あばよ。真紅の稲妻」

 

オルテガのドムが、ビームライフルを構え、狙いを定めた。その射線には、ジョニーのゲルググ、それを受け止めようとするユーマのゲルググ、そしてその後方に控えるコムサイが、一直線に並んでいた。オルテガは、容赦なくビームを撃ち放つ。

 

(すまない! お前ら! イングリッド!)

 

ジョニーの心に、激しい後悔と慚愧の念が押し寄せた。イングリッドを救えず、自分についてきてくれたユーマとエイシアを死なせてしまう。その事実が、彼の胸を締め付けた。

 

その時だった。

 

オルテガの撃ったビームが、横から飛んできた別のビームと激しく衝突し、宇宙空間で眩い光を放ちながら打ち消された。

 

ガイアの声が、驚きに染まって響いた。

 

「な! まだ仲間がいたか!?」

 

ガイアとオルテガは、反射的に飛んできたビームの方へと視線を向けた。

 

そこには、漆黒の宇宙空間を切り裂くように、一機のモビルスーツが高速でこちらに向かってきていた。その機体は、まごうことなき連邦のモビルスーツ。

 

アレックスだ。

 

「ガンダムだと!」

 

オルテガが、驚愕の声を上げた。ジオンの誰もが恐れ、伝説と化した白い悪魔。その機体が、今、彼らの目の前に現れたのだ。

 

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