ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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幕間: ジョニー・ライデンの帰還8

サラミス艦・簡易ブリーフィングルーム。

イングリッドとエイシアが先に入っていたその部屋に、ジョニーとユーマがダグザ中佐に案内されて入ってきた。

 

「よう、ヒート・ロッドで気絶なんてもろいな、おい」

 

部屋に入るなり、ユーマが笑い混じりにからかう。

 

イングリッドはすかさず顔をしかめて睨み返した。

 

「あんた食らってから言ってくれる!? マジで痺れて指一本動かなかったんだから!」

 

案の定、会った瞬間に口喧嘩が始まった。

 

「言い訳すんなよ、最強ニュータイプ様〜!」

 

「うるさい! 半壊したくせに偉そうなこと言わないでよ!」

 

「は!? お前より長く戦ってたっつーの!」

 

呆れたようにジョニーとエイシアが同時にため息をつき、間に割って入る。

 

「はいはい、そこまで」

 

「ちょっと落ち着いて。再会の第一声が喧嘩ってどういうことなのよ」

 

エイシアがイングリッドの肩に手を置いて、柔らかく目を合わせる。

 

「イングリッド。ユーマだって、私たちと同じように――あなたを助けるために、すべてを捨ててきたのよ」

 

その言葉に、イングリッドは少しだけ目を伏せた。

 

「うっ…………。助けに来てくれて、ありがと」

 

それを聞いたユーマは、ふんぞり返りながら笑ってみせる。

 

「おう! この借りは一生ものだからな。ちゃんと返せよな!」

 

イングリッドはエイシアに顔を向ける。

 

「ねえ、あいつ一発ぐらい殴っちゃダメ?」

 

「ダメ。今日は許してあげなさい」

 

「むぅぅぅ……」

 

ジョニーが手を叩いて場を仕切る。

 

「話が進まん。冗談はそこまでだ」

 

それぞれが椅子に腰を下ろし、ようやく場が落ち着く。

 

イングリッドが椅子に座りながら、真面目な顔で口を開いた。

 

「それで? 私のためってのはわかったけど、ジオンにはもう絶対戻れないでしょ?」

 

ジョニーは苦笑いを浮かべて答えた。

 

「そうだな。裏切った俺の首は“ジオン十字勲章もの”って言われたぐらいだ。戻ったら首がいくつあっても足りないな」

 

エイシアも肩をすくめる。

 

「一応、ヘンケン艦長さんは“しばらく艦にいてくれていい”って言ってくれたけど……その後、どうするかはまだ」

 

「ジャンク屋に就職とか?」

 

イングリッドが冗談交じりに言うと、ジョニーは真顔で返した。

 

「それでジオンに身バレしたら、俺とユーマは消されて、エイシアとお前は拉致だな」

 

「うーん……この艦、そもそも大丈夫なの? 一応私たち“捕虜”のはずだけど、独房じゃないし、手錠すらされてないし」

 

ジョニーはニヤリと笑った。

 

「いらねえんだよ、そんなもん。この艦には“怖い部隊”が乗ってるからな」

 

エイシアが眉をひそめる。

 

「怖い部隊?」

 

「“警備”って言ってたけどな。ありゃ完全に特殊部隊だ。暗殺だろうが何だろうがやる奴らだ」

 

ユーマとイングリッドの表情が少し強張る。

 

ジョニーは指でテーブルをトントンと叩きながら釘を刺すように言った。

 

「だからな、イングリッド、ユーマ。滅多な冗談を言うな。せっかく命懸けで助けたのに、変なこと口走って“誤射”されるなんて勘弁だぞ」

 

「はい……」

 

「了解……」

 

素直に頷く2人。

 

その時――

 

コン、コン

 

扉がノックされる音に、全員がビクリと跳ねた。

 

「な、なにも言ってないのに!」

 

イングリッドが小声で呟き、ユーマも小さく頷く。

 

ジョニーは、ため息まじりに言った。

 

「……ほらな。怖い部隊って言ったろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂・会話シーン

 

サラミス艦の食堂。昼時を少し過ぎた静けさの中、アムロ・レイは窓際の席で一人、トレイに乗せられた食事を静かに口に運んでいた。彼の顔には、どこか疲労と静かな思考が滲んでいる。

 

そこへ、扉が開いてカミーユ・ビダンとフォウ・ムラサメが入ってきた。

 

「アムロさん、同席してもいいですか? さっきの戦闘のこと、話させてくださいよ」

 

カミーユがやや興奮気味に声をかける。

 

「ああ、構わないよ」

アムロは、穏やかに微笑んで頷いた。

 

「ありがとうございます! じゃあフォウ、さっさと食事取ってこよう」

 

そう言いかけたカミーユの肩に、フォウが手を置いて押し下げた。

 

「はいはい、私が2人分取ってきてあげるから。先に話してなよ」

 

「え、でも俺――」

 

「いいから」

 

フォウは語気を強め、カミーユを半ば無理やり席に座らせた。

 

「……じゃあ、頼むな」

 

「はいよ」

 

そう言い残して、フォウは食堂奥の配膳口へと向かっていった。

 

**

 

カミーユはすぐに身を乗り出すようにして、アムロに問いかける。

 

「アムロさん、さっきのビームでビームを撃ち落とすなんて、神技、初めて見ましたよ! どうやったんですか?」

 

アムロはスプーンを止め、肩を竦めて苦笑いを浮かべる。

 

「あんなのは曲芸だよ。何度もやろうなんて思わないし、真似するもんじゃない」

 

「曲芸でも凄かったですよ! 俺もビットで射線を遮ろうと思ったけど間に合いそうになくて……やり方だけでも教えてください!」

 

アムロは一つため息をつくと、静かに言葉を返した。

 

「……戦場で無理に真似するなよ。バイオセンサーで敵の息遣いや殺気を読み取るんだ。そうすれば、引き金を引く“瞬間”が分かる。あとは射線とタイミングを合わせて撃つだけさ」

 

「なるほど……今のサイコミュと同調した強化型バイオセンサーなら、確かに……。今度の実機演習で練習してみたいんです、見てくれますか?」

 

「いいけど、これを切り札になんてするなよ。あくまで、“他に手がない時の非常手段”だ」

 

「わかってます!」

 

**

 

その時、トレイを持ったフォウが戻ってきた。

 

「連邦トップクラス同士でスキルアップのための会話するのはいいけどさ、普通の人が聞こえないところで話してくれる? 心折れる人が出ても知らないよ」

 

「うっ……ごめん」

カミーユが反射的に謝る。

 

「いいさ。で――」

 

フォウは、トレイをカミーユと自分の前に置いてから、後ろに気配を感じて振り返った。無言で立っていたのは、ゴーグル付きのヘルメットに無表情な顔の男。

 

「私が2人分のトレイ持ってるのに、手伝いもせず後ろに着いてくるだけのあんたたちはいつまでいるの? エコーズ副隊長さん?」

 

フォウの皮肉に、男――コンロイ・ハーゲンセンは淡々と応じた。

 

「我々に下された任務ですから」

 

「艦の警護でしょ?」

 

「建前としては、ね。しかしジオンの兵士を拘束もせずに艦内に滞在させている以上、あなた方三人の警護が最重要任務になります」

 

**

 

ジョニーたちジオン側の4人が艦に乗って以来、アムロには副隊長のコンロイが、カミーユとフォウにも、それぞれエコーズの精鋭が付き添っていた。見張りというより、もはや影のように張り付く監視と護衛だ。

 

**

 

「……あのイングリッドって子は、同胞殺しの兵器にされるか、死ぬかの2択を突きつけられてたのよ」

フォウが食器を置き、やや真剣な口調で続けた。

 

「あの3人はそれを助けるために、強化人間の子を救うために、全てを捨てて戦ってた。私たちに危害なんて加えないわ」

 

コンロイはしばし沈黙し、そして低く静かに返す。

 

「申し訳ないが――我々はニュータイプじゃない。今日初めて会った相手の“本心”なんて、わからないんですよ」

 

その言葉には、職務への忠実さと、わずかな葛藤が滲んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フォウは、フォークを口に運びながらもちらりと視線を横に流した。自分たちの会話を監視するように黙って立つエコーズ副隊長・コンロイの姿。その目はただ任務に忠実な兵士のものだったが、どうにも気になる。

 

そして、彼女は無意識にアムロの顔を見る。

この場で唯一、彼らに「出ていけ」と言えそうな人物。

 

だが――アムロは苦笑して、首を横に振った。

 

「……そう見られても、無理だよ。俺たちもモビルスーツから降りれば、ただの人間だ。銃弾どころか、食堂のナイフ一本で殺される。そうならないように、ゴップ提督が俺たちに“保険”をつけた」

 

彼は小さく肩をすくめた。

 

「そんな彼らに“気が散るからどっか行ってくれ”なんて、俺の方こそ言えないよ」

 

フォウは口を尖らせながら言った。

 

「じゃあ、オブラートに包まずに言ったらどう? 『鬱陶しいから、どっか行って』って」

 

アムロは、それには少し強めの口調で返す。

 

「フォウ。……君がイングリッドたちが“危険分子扱い”されて怒ってるのは分かる。でも、正しいのは彼らの方だよ。今のところ、君たちも、俺たちも“信用の蓄積”で立ってるだけなんだ」

 

「……」

 

カミーユも、フォウの隣で小さく頷いた。

 

「そうだよ、フォウ。アムロさんの言う通りだ」

 

「……あれ、カミーユは私の味方してくれないんだ?」

 

フォウが少し不満そうな顔を向けると、カミーユは困ったように笑った。

 

「味方したいよ、そりゃあ。でもさ……」

そう言いながら、彼は目だけでアムロを一瞥する。

 

その気遣いに、アムロが笑みを返した。

 

「……気を遣うな、カミーユ。はっきり言っていいさ。

あのとき――ホワイトベースとガンダムを奪われて、サイド7が蹂躙された。俺はそこにいた。だからこそ分かる。この艦が奪われたら、溜まったもんじゃないってな」

 

フォウははっとして目を見開いた。

 

「あっ……ごめんなさい」

 

ようやく思い出した。アムロ・レイは、あの“始まりの事件”の当事者だったのだ。

 

アムロは、軽く首を振った。

 

「いいさ。……俺も、過剰すぎるとは思ってる。エコーズを1個小隊も投入して、さらに“艦の乗組員として仕事を覚えさせて、クルーに化けさせる”なんてな」

 

彼は食堂の奥の厨房をちらりと見た。

 

「この食堂だって、コック長以外はほとんどエコーズの面々だろ?」

 

それを聞いてフォウは驚いてコンロイを見る。

 

「えっ、ほんとに?」

 

コンロイは微動だにせずに答えた。

 

「ええ。ゴップ提督は過剰だとは思っていません。我々も同じ考えです」

 

その声音には、揺るぎない覚悟が込められていた。

 

「……仮に、我々が全滅したとしても――あなた方3人だけは、生きて帰還させる。それが、我々の任務です」

 

フォウは言葉を失い、カミーユは眉をひそめた。

 

アムロだけが、小さく頷きながら、静かにカップを手に取った。

 

「ありがとう。……そこまでされる覚悟に、俺たちも応えないとな」

 

 




宇宙で白兵戦なんてそうそう無いでしょうがもし地上のランバ・ラルみたいに白兵戦仕掛けてきても対策は万全です。
その辺の整備兵が突如として特殊部隊の動きで襲ってきます。
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