ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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幕間: ジョニー・ライデンの帰還12

模擬戦:アムロ・レイ vs キマイラの三剣 ―

 

「次は――俺と、君たち3人で模擬戦だ」

 

静かな声で、アムロ・レイが言い放つ。

 

シミュレーションルームに入ろうとしていたジョニーたちが一斉に振り返った。

 

「……は?」と、ユーマが声を漏らす。

「いやいや、俺たちさっき、結局カミーユもフォウも落とせてないぞ?」

 

「だから1対3だな。俺が1人、君たちが3人。それに――」

 

アムロは微かに笑みを浮かべながら、ジョニーに視線を向ける。

 

「少佐との約束だからな。キマイラ隊と戦う際、可能な限り鹵獲する。そのためにも、俺の腕を知っておいてもらう必要がある。君たちが俺に任せて安心できるように」

 

「……」

ジョニーとイングリッドは、内心で思った。

 

(いや、黒い三連星を無傷で1人で片付けるようなやつに不安なんてないんだが)

 

だが横で、ユーマが拳を鳴らす。

 

「よし、やってやろうぜジョニー! 3人であのアレックスの手足一本くらい壊してやろうじゃねぇか!」

 

「はぁ……」とジョニーがため息をつくのとほぼ同時、少し離れたところで、カミーユとフォウがヒソヒソと話し始めていた。

 

「ねえカミーユ、あのアレックスの手足一本って、だいぶ無茶言ってない?」

「まぁね。でも、さっきの“アムロさんを入れた3対3”を本気でやろうとしてた時よりは、多少分かってきたんじゃない?」

 

フォウが肩をすくめる。

「やれやれだね。で、彼らは今から“現実”を知ると……」

 

**

 

模擣戦開始。

 

仮想空間に展開されたのは、宇宙域。そこに1機、青白のアレックスが浮かび――その対面には、ゲルググ3機。ジョニー、イングリッド、ユーマ。それぞれの機体は過不足なく最適化されており、前の模擬戦の結果を引きずる様子はない。

 

だが、その静寂を破ったのは、アムロのビット展開だった。

 

「っ、来るぞ!」

 

ジョニーの警告と共に、六基のビットが宙を舞い、三方向から襲いかかる。

 

「左右に散開!中央は俺が塞ぐ!」

 

ジョニーの号令でユーマとイングリッドが回避に入ったが、ビットは一斉にユーマを集中砲火。

 

「ぐっ――ちょ、待て!早い、いや速すぎる!」

 

次の瞬間、ユーマのゲルググの腹部がビームで貫かれ、仮想空間上で機能停止。

 

「ユーマ、もう死んだ!?」イングリッドが叫ぶ。

 

「落ち着け!」

ジョニーが即座に前に出て、アムロに切り込む。

「近接戦なら――!」

 

ビームサーベルを構え、接近戦に持ち込もうとしたその瞬間。アムロのアレックスが一瞬姿勢を崩し――見せたと錯覚させたその隙に、背後からビットが軌道を変え、ジョニーの脚部を斬る。

 

「なっ――!?」

 

さらにアムロがすれ違いざまに接近、サーベルを抜きながら一閃。

 

ジョニーのゲルググが機能停止。

 

残るはイングリッド一機。

 

「っ、こんな……ビットの機動、見たことない!」

 

逃げながらも反撃を試みるが、追い詰められる。ビットの軌道は、まるで自分の思考を先回りしているかのように正確だった。

 

そして――背後に回り込んだビットが、頭部に照準を定めた。

 

「イングリッド、アウト」

 

システム音声と共に、模擬戦が終了した。

 

**

 

シミュレーターの扉が開き、汗ばむ面々が出てくる。

 

ジョニーは仮想戦闘とはいえ、内心で戦慄を覚えていた。アムロ・レイは、まったくの別格だった。

 

アムロは落ち着いた口調で言った。

 

「さて。俺の腕は、こんな感じだが――少佐。君の隊員の中で、特に警戒すべき人間がいれば教えてほしい」

 

ジョニーは、一瞬考え――静かに答えた。

 

「……キマイラ隊はエースを集めて作られた部隊だが、あんたクラスはいない。ただ、一人だけは別格だ。ジャコビアス。狙撃に特化したスナイパーだ。あいつだけは……気をつけてくれ」

 

「スナイパーか」

 

アムロは少しだけ表情を引き締めた。

 

「なら戦闘中は、バイオセンサーの感度を最大まで引き上げよう。殺気の探知を全開にしておくとするよ」

 

その言葉に、ジョニーは無言で頷いた。ニュータイプという存在が、戦場の均衡をどう変えるか。彼は今、身をもって思い知らされていた。

 

だが――それでも負けてばかりはいられない。

 

その背で、ユーマとイングリッドも同じ決意を燃やし始めていた。

 

次は必ず、肩を並べてみせる――そう、心に誓いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

― サラミス級巡洋艦《ジャンク》艦内 シミュレーションルーム ―

 

模擬戦が終わって数日後、アムロは再びジョニー、イングリッド、ユーマの3人をシミュレーターに招いていた。

 

「もう一戦、お願いできるか? 今度はフォーメーションの応用訓練だ」

 

そう言って指示を飛ばすアムロの横では、フォウとカミーユも準備を整えていた。ジョニーは肩を竦めた。

 

「よくやるぜ……アムロ・レイ」

 

訓練が始まって数分――

 

艦内にけたたましい警報音が鳴り響いた。

 

『警告! 艦の周囲に未確認艦影接近! 総員配置に就け、繰り返す――』

 

アムロの表情が一瞬で緊張に染まった。

 

「訓練中止、ブリッジへ向かう! 君たちも来てくれ!」

 

ジョニーは一歩後ろに引きながら言った。

 

「俺たちまでブリッジに行ったらまずいだろ? まだ形式上は……」

 

「問題ないよ」

 

アムロは振り返り、にやりと口元を緩めた。

 

「後ろの彼らが君たちが何かしようとしたら即座に撃つからな。……だが、君たちはそんなことをしないだろ?」

 

ブリーフィングルームの入り口に立っていたのは、エコーズの中佐――ダグザ・マックールとその部下たちだ。冷静で整然とした態度のまま、彼らは既に射線を通していた。

 

「……そりゃあ、やらないが」

 

ジョニーが肩をすくめると、イングリッドがその腕を引いた。

 

「ジョニー、行こう。……多分、来てるのは」

 

その声の奥にある、確信とも言えるものに、ジョニーははっとする。

 

(……ニュータイプの直感か。俺には見えない何かを感じ取ってるのか?)

 

一行は急ぎ、ブリッジへと向かった。

 

― 《ジャンク》艦内 ブリッジ ―

 

ドアが開くと、すでにブリッジには緊迫した空気が満ちていた。

 

「敵艦……いえ、識別信号あり! ザンジバル級と、識別不能の大型艦が接近中!」

 

通信士の声にアムロがモニターを覗き込み、ジョニーたちも続く。

 

「……あれは――!」

 

大型スクリーンに映し出されたのは、見覚えのある二隻の艦影だった。

 

一つはザンジバル級機動巡洋艦《サングレ・アスル》。そしてもう一つは、岩盤に巨大プラントを抱き込んだような形状をした船――《ミナレット》。

 

「なっ……!」

 

ジョニーは絶句した。

 

「サングレ・アスルと……ミナレットだと!? 何であれがここに……!?」

 

ヘンケン・ベッケナー艦長が身を乗り出すように言った。

 

「君たち、あれはキマイラ隊の艦か?」

 

「――そうです」

 

ジョニーは躊躇なく答えた。

 

「艦長、お願いです。通信を繋がせてくれ。裏切った俺が何を言っても信用されないかもしれない。でも……奴らを助けるために、俺に何かさせてくれ!」

 

その時、アムロが前に出た。

 

「俺としても、そのつもりだった。話し合いが通じなければ、可能な限り“鹵獲”するつもりだったが――」

 

彼の視線が、前方モニターに映った点滅を捉えた。

 

「……どうやら、その必要はなさそうだ」

 

スクリーンには、ミナレットから発信された通信信号のフレームが表示されていた。

 

「……これは、交信を求める信号だ」

 

 

ジョニーは緊張した面持ちで通信席へと向かった。

 

(……頼む、ジャコビアス。ジーメンス。エメ。クリストバル。お前たち、無事であってくれ)

 

――交信は、間もなく開かれようとしていた。

 

 

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