ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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丁度三連休の上に映画閃光のハサウェイでgジェネエターナルに役立つ特典が出たこともあって執筆欲が湧き上がり3日連日更新しようと思います。


第17話

【ホワイトベースJr./格納庫】

 

薄暗い格納庫の壁面いっぱいに展開された戦術モニター。

そこに映っているのは、宇宙空間で交錯する閃光だった。

 

ジークアクス。

その周囲を、三機のネモが必死に援護している。

対するは、五機のギャンと一機の青い新型――ケンプファー。

 

ニャアンは、無意識に拳を握りしめていた。

 

「……」

 

映像の中で、ジークアクスが紙一重で攻撃をかわす。

だがその動きは、どこか硬い。

 

「アムロさんたちが……」

ニャアンが、絞り出すように言った。

「核で狙われてるサイド6を助けに行かなきゃいけないのは、わかります。でも……」

 

モニターから目を離せない。

 

「これじゃ……マチュは……」

 

テム・レイは腕を組み、画面を睨んだまま低く唸る。

 

「数の上では、四対六だ」

淡々とした声。

「アマテ君はここ数日カミーユの元で、欠点だったニュータイプ能力以外の操縦スキルも鍛えられている。平静なら十分に勝ち目があるが……」

 

ニャアンが振り向く。

 

「……勝てないんですか!?」

 

「勝敗は力の大小だけで決まるものじゃないんだ」(フィールドや数の差、その時のコンディションなどの状況でどちらにも傾く。それを無為にする者達もいるにはいるが、彼女はまだそこに至っていない)

テム・レイは言葉を選ぶように続けた。

「だが向こうが上手い。おそらく――」

 

彼は画面の一点を指す。

 

「我々が、サイクロプス隊の“隊長”を殺さず、鹵獲しようとしていることに気づいている」

 

ニャアンは息を呑み、視線を戻す。

 

確かに。

一機、明らかに他と動きの違うギャンがいる。

隊長機――ハーディのギャン。

 

それは、ジークアクスに対して

「撃破されないこと」を前提にした距離で、

徹底的に間合いを詰める接近戦を仕掛けていた。

 

「……っ」

 

「ジークアクスは新型だから……」

ニャアンは歯を噛みしめる。

「量産機より強い、でも……これじゃ……」

 

言葉が続かない。

 

画面の端で、ケンプファーが動いた。

ネモを相手にしながら、牽制のようにジークアクスへ射線を向ける。

 

ミーシャ。

 

――母を、昏睡状態に追い込み、

――左手を奪った男。

 

マチュの動きが、ほんの一瞬、乱れた。

 

(……揺れてる)

 

ニャアンには、分かってしまう。

 

復讐したい。

今すぐ、あの男を殺したい。

 

だが同時に――

母を救うためには、

ジオンを、故郷を、これ以上憎しみに染めないためには、

隊長のハーディを“生きたまま”捕まえなければならない。

 

そして、まだ来ない。

サイド6に向かったアムロたちの、迎撃成功の報告。

 

集中しきれない――

そんな精神状態で、戦場に立っている。

 

その時だった。

 

ネモ一機が、爆光に呑まれた。

続けざまに、もう一機。

 

「――っ!」

 

戦況は一気に傾く。

 

今や、マチュ一人。

三機のギャンと一機のケンプファー――四機がかりで囲まれている。

 

ニャアンは、はっきりと口にした。

 

「……私が行きます」

 

テム・レイが振り向く。

 

「マチュを助けに行く」

ニャアンは真っ直ぐに言った。

「モビルスーツを貸してください!」

 

数秒の沈黙。

 

テム・レイは深く息を吐いた。

 

「……それしか、ないか」

決断は早かった。

「三分待て。その間に、機体のバイオメトリクスに君を仮登録する」

 

彼は指示を飛ばしながら続ける。

 

「その間に、パイロットスーツに着替えてこい!」

 

「はい!」

 

ニャアンは即座に踵を返し、格納庫の通路へ駆け出す。

 

――その時。

 

「……ニャアン?」

 

聞き覚えのある声。

 

「……シャウちゃん!?」

 

通路の影から現れたのは、

頭に包帯を巻いたシュウジだった。

 

「もう動いていいの!?」

ニャアンが驚いて言う。

 

シュウジは、モニターを一瞥した。

 

「……マチュが危ないんだよね」

静かな声。

「僕も出る。機体を貸してください」

 

テム・レイが眉をひそめる。

 

「機体?」

「君が乗っていた“赤く染められたガンダム”なら、修理は完了している」

「それに乗れば――」

 

「……直した?」

 

シュウジは、言葉を遮るように格納庫の奥を見る。

 

そこには、

切り飛ばされた手足を完全に修復された――赤いガンダム。

 

確かに、そこにあった。

 

だがシュウジは、

まるで“罪を突きつけられた”かのような顔で首を振った。

 

「……いえ」

かすれた声。

「多分、僕はもう……あのガンダムには、乗れない」

 

「乗れない?」

テム・レイが問い返す。

「それは、どういう――」

 

その瞬間だった。

 

赤いガンダムの装甲の隙間から、

粒子のような光が、ふわりと溢れ出す。

 

「……もう、なのか……」

 

シュウジの顔から、血の気が引いた。

 

まるで、

自分のすべてだった存在に、捨てられた人間のような表情で。

 

「――あのガンダムが、ゼクノヴァを起こす!」

 

叫ぶ。

 

「今すぐ! 艦の外に射出してください!!」

 

「なに!?」

 

テム・レイが叫ぶのと同時に、

格納庫が宇宙を乗り替えるような光に染められていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ホワイトベースJr./格納庫】

 

赤いガンダムの装甲の隙間から、

最初は細い糸のようだった光が――

 

次第に、多色の粒子となって溢れ始めた。

 

蒼、紅、白、金、紫――

まるで宇宙そのものが割れて、内部の色が漏れ出してくるかのように。

 

「……ッ!」

 

格納庫の空気が震え、床が微かに軋む。

 

ただの光ではない。

周囲の空間の縁が“波打つ”ようにゆがみ始める。

 

テム・レイが即座に叫んだ。

 

「全員、持ち場を離れろ!!

このままでは格納庫ごと――いや、艦が丸ごと消し飛ぶ!」

 

警告と同時に、ホワイトベースJr.の照明が赤く染まる。

 

しかしその時――

シュウジの声が、格納庫に突き刺さった。

 

「あのガンダムがゼクノヴァを起こす!!

今すぐ外に射出してください!!」

 

叫びは悲鳴のようであり、

祈りのようでもあった。

 

それは、テム・レイの判断を決定づけた。

 

「……仕方ない! シュウジ君だったな!! こっちへ来なさい!!」

 

その言葉を聞いた瞬間――

シュウジの顔に、涙のような光が宿った。

 

捨てられた子供が、

再び「親」に拾い上げられた時のような――

そんな救われた表情で。

 

「……っ、はい!!!」

 

彼は駆けだした。

 

赤いガンダムから滲む光がさらに強くなる。

格納庫全体が警告音に満たされる。

 

二人は、格納庫にぽつりと残されたただ一機、

NT-1 アレックス

――その足元へと走った。

 

シイコ・レイは今サイド6で転院手続き中。

故にホワイトベースJr.に残された機体アレックス。

 

「急げシュウジ君、間に合わんぞ!」

 

二人がコクピットハッチに飛びつき、

内部のコンソールが引き出される。

 

テム・レイは素早く内部端末に接続した。

 

「1年戦争の時……ガンダムを盗まれてから、だ」

 

彼は短く息を吐く。

 

「エース用のハイエンド機には“全て”バイオメトリクスをつけている。

これがある限り、登録されたパイロット以外は動かせない。」

 

シュウジの表情が沈む。

 

「そんな……ッ」

 

テム・レイは、淡々と――しかし鋭く指を動かし続ける。

 

その動きは、

職人を超えて、“芸術的”ですらあった。

 

「だが――良くも悪くも、今の連邦の技術者・整備士はほとんどが私の教え子でね」

 

指が舞う。

コンソール上の文字列が怒涛の勢いで書き換わっていく。

 

「教え子たちには、整備のためにある程度動かせるようにと、ある“パス”を与えている。

……これが、その裏口だ」

 

最後のキーを押し込む。

 

「今、君を私の教え子として登録した」

 

シュウジが大きく息を呑んだ。

 

「……教え子……?」

 

「連邦への裏切り行為をすればバイオセンサーが反応してAIが制御を奪うが――」

 

テム・レイは低く、確信するように言った。

 

「ジオンと戦う分には、何の問題もない。」

 

そう言って、テム・レイはコクピットから手を離し、シュウジの肩を押した。

 

「乗りなさい」

 

シュウジは座席にゆっくりと腰を下ろす。

 

テム・レイは、シュウジを睨むでもなく、見下すでもなく。

ただ、真っ直ぐに告げた。

 

「私の盗まれたガンダムを乗り回していたんだ。

“パイロットスーツが無いからこのガンダムには乗れません”なんて泣き言を言う気はないだろう?」

 

その言葉は叱咤ではなく、

“希望をもう一度与える者の声”だった。

 

シュウジの目が熱を帯びる。

 

「……ありがとう……ございます……ッ」

 

言葉が震える。

 

その背後で、

赤いガンダムの光がさらに強まり――

空間ごと世界を飲み込もうとする。

 

だが、シュウジはもう迷わなかった。

 

アレックスの操縦桿に手を伸ばす。

 

運命は、

ここから再び動きはじめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【宇宙空間/ホワイトベースJr.前方宙域】

 

アレックスのスラスターが閃光を噴き、

赤いガンダムを抱えたまま格納庫から飛び出した。

 

真空の闇に出た途端、

機体はまるで重力を失ったように軽く、大気抵抗の一切ない加速が始まる。

 

――速い。

 

「……っ!?」

 

シュウジは、衝撃に近い驚きで息を呑んだ。

 

(反応速度が……推力が……違いすぎる……!?

これが……“アレックス”……?)

 

操縦桿が指一本の動きに即応し、

スラスターは意図を先読みしたように噴射を切り替える。

 

(ララァの作り出した“無数の宇宙”……

その中でこの機体に乗ったアムロ・レイの前に――

シャアが何に乗っても勝てなかった理由が……わかる……)

 

アムロ・レイ。

宇宙世紀のパイロットという枠組みの中で、

彼以上の戦闘力を持つ存在は、ほぼいない。

 

その彼が、

一年戦争時にもしアレックスに乗っていたら――

 

(……ジオンがどれだけ技術を進めても、勝てるわけがない……)

 

そんな根源的な恐怖すら覚えるほど、

アレックスは“化け物じみた性能”を持っていた。

 

だが、感傷に浸る時間はなかった。

 

「――行けッ!」

 

赤いガンダムを抱えていたアレックスが、

全力のスラスター逆噴射でそれを宇宙へ放り出す。

 

遠ざかる赤い機体。

 

その周囲で、

光の粒子が溢れ――

 

蒼、紫、白、金……

まるで宇宙の色そのものが、そこに溢れ出しているようだった。

 

「……あ……」

 

赤いガンダムの輪郭がゆっくりと境界を失っていく。

 

(――ララァ)

 

光は、まるで“別の次元への穴”のように渦を巻き、

赤いガンダムは、その中心に吸い込まれるように――

 

音もなく、消えた。

 

「…………」

 

シュウジの声は出なかった。

ただ、唇が震えた。

 

泣きそうな目で消えた光の跡を見つめる。

 

ただ一人のために生きてきた。

そのために戦い、そのために学び、そのために死にかけてきた。

 

けれど――

最後に返ってきたのは“役立たず、お前はいらない”という拒絶。

 

赤いガンダムが消えた空間は、

ただの暗い宇宙空間。

 

その虚無が、胸に刺さった。

 

その時だった。

 

「シュウちゃん!!」

 

通信が開く。

 

ニャアンのZガンダムが、光の尾を引きながら近づいてきた。

 

「シュウちゃんのガンダムは!?

格納庫で聞いたの! 赤いガンダムを放り出したって……!?」

 

驚きと焦りが入り混じった声。

 

シュウジは、震えを押し殺して答えた。

 

「……いいんだ。

もう……いいんだよ」

 

そして、

自分に言い聞かせるように続ける。

 

「それより――マチュを助けに行こう」

 

ニャアンは少し息を呑んだが、

すぐに力強く頷いた。

 

「……うん。わかった!」

 

Zガンダムの関節が唸り、

機体が変形を開始する。

 

頭部が収納され、翼が展開し、スラスターが前傾姿勢に切り替わる。

 

ゼータは流れるように変形し――

 

ウェイブライダー形態へ。

 

「この“ウェイブライター”?って形なら、はるかに速いんだって!」

 

シュウジは、涙の跡を隠すように目を細めた。

 

「……すごいね。

宇宙を……泳ぐ魚みたいだ」

 

ニャアンが軽く笑う。

 

「じゃあ、乗って! シュウちゃん!」

 

Zの背に、アレックスがウェイブライターのグリップに掴まり機体を固定する。

 

二機は“二枚羽の鳥”のような姿で宇宙へ向けて飛び出した。

 

次に助けるべきは――

マチュ。

 

そのためなら、

もう後ろを振り返らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──だが、シュウジは気づくべきだった。

 

例え“人生のすべて”だと思っていた存在に捨てられ、

胸を抉られるような絶望で心が潰れそうになっていても。

 

例えこの宇宙で新しくできたたった一人の大切な少女の命が

今まさに消えようとしているのだとしても。

 

この世界で、

ゼクノヴァという現象を最も理解していたのはシュウジ自身だ。

だから、本来なら気づけたはずだった。

 

――赤いガンダムが消える瞬間に溢れ出した、あの多色の粒子。

 

あれは、ただ虚空に散ったわけじゃない。

 

宇宙の静寂を泳ぐように、

ゆっくりと、しかし確実に“寄り添って”いた。

 

Zガンダムの心臓部。

バイオセンサーとサイコフレームが内蔵された“魂の器”とも呼べる領域。

 

そこに、

“あの粒子”が纏わりついていることに。

 

 




今話もそうですが次話で独自解釈、独自設定盛り込みます。どうしてもアニメの開示情報だけだと書きにくすぎるので。その煽りを受けてだいぶアンチヘイトな改変を受けるキャラも出るかと思いますが、それでもよければ読んでください。
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