ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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第20話(new) ララァVS○○○ 暗い宇宙

 

漆黒の虚無で、褐色の女――

ララァ・スンの成れの果ては、

台無しになりつつある“悲劇”を、

退屈そうに見下ろしていた。

 

Zガンダムは暴走し、死者を抱え、味方と敵を区別できず狂っている。

シュウジはその中で苦しみ、自分の名を叫んだ。

 

――だが、ララァにとっては、もうどうでもよかった。

 

もはや彼女は、

シュウジという少年の絶望に何の価値も見いだしていない。

 

「……ふうん。

あなたがどれほど絶望しようと、私には関係ないのよ?」

 

その声には、感情がほとんど存在しない。

 

ララァにとって価値があるのは――

シャア・アズナブルが“死なずに済む未来”だけ。

 

それ以外は、無価値。

 

シュウジが泣こうが、叫ぼうが、死のうが、

彼女の興味の外へと転落していた。

 

「最初はね、少しは楽しめると思ったのよ?」

 

ララァは無造作に空間へ視線を滑らせる。

 

「駒のくせに私を裏切ったあなたが、

あの子に入れ込んでいたから……

ちょっと意地悪をしてみようと思ったの。」

 

そう言って指先で虚無をなぞると、

赤い粒子が踊る。

かつて“赤いガンダム”へ流れ込んだゼクノヴァの欠片。

 

彼女がしたことは多岐にわたる。

• 赤いガンダムを取り上げた

• Zガンダムからバイオセンサーとサイコフレームを奪った

• “死者の思念を集めるためだけのバイオセンサー”を押し付けた

• ニャアンに故郷の怨念をぶつけ、暴走させた

 

「あなたが絶望して泣き叫ぶ顔……

少しだけ楽しみだったけれど……」

 

ララァは軽く肩をすくめた。

 

「……たいして面白くなかったわ。」

 

ララァの視線が、

こちら側の宇宙に開いた“穴”に向けられる。

 

そこから――

白い光の筋が、複数近づいている。

 

アムロたちがサイド6の核攻撃を止め、

そのままマチュたちの戦場へ高速で向かっていた。

 

「あら……来ちゃったのね。」

 

その声音には、“嫌悪”と"親愛"が入り混じった愛憎の感情が滲む。

 

ララァは、視線の先で加速する白い機体たちを眺めながら呟く。

 

「アムロ・レイ。

シャアを殺した……憎い人。」

 

その囁きには、粘つくような怨念があった。

 

だが続く言葉は、別の感情を含んでいた。

 

「……でも、別の未来では……

私と“わかり合った”人。」

 

懐かしむような声だった――

だがすぐに、また冷たい笑みに戻る。

 

「でも、あなたが来れば、悲劇が喜劇に変わってしまうのよね。

困るわ……ほんとうに。」

 

ララァの眉がわずかに寄る。

 

「そもそも、どうしてあなたがここに出てくるのかしら?」

 

彼女はかつて、アムロから“ガンダムを奪った”。

 

少年アムロがニュータイプとして開花する“場”を――

丸ごと奪ったはずだった。

 

「ガンダムをシャアに奪わせて、

あなたが才能を開花させる機会を奪ってあげたのよ?」

 

なのに――彼はここにいる。

 

それも、“自分の知る彼よりも遥かに強くなって”。

 

ララァの声には、ついに怒気すら混じった。

 

「連邦でテムレイが軟禁されて……

あなたはパイロットとして志願して……」

 

「ヤザン・ゲーブルやゼロ・ムラサメと模擬戦を繰り返して……

私が知るアムロ・レイよりも遥かに強くなって……」

 

そして最後に、もっとも気に入らない事実を突きつける。

 

「しかも、あなたの乗る機体は……

アレックスが“最低値”。

テムレイが次々と強い機体を開発していく……」

 

「グリプス戦争期でシャアをサザビーに乗せて安心してたのにそれさえ殺しちゃうんだもの」

 

ララァはうんざりしたように吐き捨てた。

 

「……いい加減にしてほしいわ。」

 

その声音は、

宇宙をいくつも壊してきた存在の――

“焦れた女の声”だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

褐色の女――ララァ・スンの成れの果ては、

宇宙の裏側から戦場を覗き込みながら、ふいに笑った。

 

「……そうね。

いい考えが浮かんだわ。」

 

その笑みには、人の形を保ちながらも

“人間としての倫理”など一欠片も残っていなかった。

 

「ニャアンのZガンダム……

あれに、私の干渉を最大まで流し込めば……」

 

ララァは指をひとつ鳴らす。

虚無の空間に青白い粒子が渦を巻く。

 

「かつてシャアに起こさせた、

ソロモンの軌道を狂わせるほどのゼクノヴァ……

あれと同等の“宇宙を削る転移”が起こせるわ。」

 

そして――

声が残酷に弾んだ。

 

「アムロごと、全部消し飛ばせる。

“シャアを殺す悪い人たち”を一度に処分できるなんて――

最高じゃない!」

 

Zガンダムの向こう側で、

アムロのアレックスと仲間たちが高速接近している。

 

ララァの瞳に浮かぶのは――

もはや殺意すら通り越し、

“自分の邪魔になる者を掃除するだけ”という無関心な冷酷。

 

「さあ、ニャアン。

もっと……もっと“死者の声”を聞きなさい。

あなたを通して、この世界を――」

 

ララァはニャアンへ意識の手を伸ばし、

魂を侵食しようと触れた、その瞬間だった。

 

空間が――

ひび割れた。

 

何の前触れもなく、虚無そのものが裂け、

そこから“桃色の光の刃”が突き出た。

 

ララァの左腕を肘から先まで――

一瞬で切断した。

 

「――ッッ!!?」

 

光の尾のような軌跡を残しながら、

切り落とされた腕が虚無の底へと落ちていく。

 

ララァは痛覚よりも先に“理解不能”が襲い、

本能的に後ずさった。

 

「だ……誰!?

誰なの!?」

 

空間の裂け目から伸びた白い“腕”――

それは本来の金属光沢だけではなかった。

装甲の継ぎ目という継ぎ目から、翡翠色の結晶が内側から脈動するように生え出し、淡い光を放っている。

 

その“結晶の反射光”が虚無を照らし、ララァの瞳に恐怖を映した。

 

次に姿を現したのは――

白い装甲、巨大なフィンを背負った、しかし明らかに“本来の姿ではない”Hi-νガンダムだった。

 

結晶化したフレームが装甲を内側から押し上げ、

ところどころ“成長途中の角”のように翡翠の破片が突き出している。

金属と結晶が同時に呼吸しているような、異形の戦士。

 

「――Hi-νガンダム!?

あり得ない……! あれはまだ完成してないはず……!」

 

ララァの声は震え、驚愕と怯えが入り混じった。

 

「ジャブローで製造中……

まだ“存在しない”はずの機体……

なのに……これは何……?」

 

問いは虚無に吸い込まれ――

その代わりに、冷たい声が返ってくる。

 

???「まだ完成もしていないエルメスを、

別の宇宙に送りつけて遊んでいたお前が……」

 

結晶をまとった腕の主が、裂け目から完全に姿を現した。

機体の奥、翡翠色の反射光の隙間に“瞳”が覗く。

 

???「同じことを返されて文句か?

……つまらない女だな。」

 

ララァの心臓が跳ねた。

 

その声を――

彼女は絶対に忘れられなかった。家族や友人の顔も声も忘れても、

何十年経とうと、何に成り果てようと、絶対に覚えている、

世界で二人だけの男の一人。

 

「……アムロ……

アムロ・レイ!!」

 

ついに叫んだ名は、憎しみか、それともかつての残響か。

 

Hi-νガンダムのコックピットにいるアムロは、

ララァの知るどのアムロとも違っていた。

 

翡翠の光に照らされたその瞳は、

かつて戦場でわかり合った少年でも、

宿命を背負った青年でもない。

 

世界に大切な人を奪われ、

復讐を果たしてもなお消えない“どす黒い憎悪”を宿した瞳。

 

“復讐者”という言葉すら生ぬるいほどの、深い底なしの鬼。

 

「薔薇の女……

お前の箱庭遊びは――今日で終わりだ。」

 

虚無が震える。

翡翠の結晶がHi-νの身体で鳴動し、アムロの憎念を代弁するように光を強めた。

 




闇堕ちララァVS闇堕ちアムロ
ファイッ!
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