ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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本来予定していたララァ周りの話のために少し何話か挟みます。

宇宙の裏側でどっか誰の迷惑にもならないところでやって欲しいやべえ戦いをやってる2人の闇堕ち同士の決戦はお休みで現実のアムロ達の話です。時間軸はアムロ達がサイド6への核攻撃阻止した後、マチュを助けにニャアンとシュウジが向かったすぐ後から始まります。


第22話 サイド6への核攻撃阻止後(new)

 ■推進剤補給後:再出撃

 

 宇宙を、五つの光が走る。

 

 白い機体が描く軌跡は、まるで流星群だった。

 五機のアレックスが編隊を組み、サイド6宙域を切り裂くように加速していく。

 

 その先にあるのは――

 マチュたちが戦っている戦場だ。

 

 アムロが小さく舌打ちする。

 

「全く……サイド6への核攻撃阻止のためにスラスターを節約する余裕なんてなかったから仕方ないが」

 

「やはり一時を争う時に、機体は無傷なのに推進剤の補給のために足止めを食らうのは煩わしいな」

 

 通信にゼロの声が重なった。

 

「ですね。整備士の人達が最速でやってくれたのは分かっていますが……」

 

 カミーユが呆れたように割り込む。

 

「2人とも、あのですね……」

 

 だがゼロは笑う。

 

「でもカミーユだって考えただろ?」

 

 少しだけ声を落として言う。

 

「乗ってるのがアレックスじゃなく、今ジャブローで作ってる俺たちの“次のガンダム”だったら……ってな」

 

 カミーユは一瞬黙る。

 

「そりゃあ、まあ……」

 

 アムロも小さく息を吐いた。

 

「リタの話で、あの機体を使いこなせるなら推進剤すら使わず、光の速さで宇宙を進めることを俺たちは知っているからな」

 

 その言葉には苦笑が混じる。

 

「どうしても考えてしまうな。ここにその機体があれば……」

 

 少し間を置いて続けた。

 

「ジオンの身勝手な策略で母を害され、それでも立ち向かう子供を――戦場に残さずに済んだのに、ってな」

 

 その瞬間だった。

 

???「そうね」

 

 女性の声が通信に割り込んだ。

 

???「私も勝手せずにナラティブを持って来てたら、私だけでサイド6に向かうザクどもを潰してやるから、あなた達にはバイトさんと一緒に戦ってって言えたのに。悔しいわね」

 

『『『………』』』

 

 三人が沈黙した。

 

 当然だ。

 

 その声は、この編隊にいるはずがない。

 

 しばらく無言が続く。

 

 しかし、このまま黙っているわけにもいかない。

 

 カミーユとゼロは同時に念じた。

 

(この人に話すなら……)

 

(あなたしかいないでしょう)

 

 その思念は、まっすぐアムロへ届く。

 

 アムロは小さくため息をついた。

 

「……シイコ?」

 

 通信を開く。

 

「君が、何でフォウのアレックスに?」

 

 そう。

 

 フォウ・ムラサメ用のアレックスには、本来の搭乗者のフォウではなく――

 

 シイコ・レイが乗っていた。

 

 アムロの妻。

 そしてサイド6では、アマテの母タマキ・ユズリハの移送手続きや、ドミトリーの退職手続き、さらにモスク・ハンのスカウトのため、一時艦を降りていた人物。

 

 そのシイコが、今はフォウの機体を操縦している。

 

「あら?」

 

 シイコは楽しそうに言った。

 

「私がアレックスに乗るのはおかしい?」

 

 アムロは言葉に詰まる。

 

「いや、その機体はだな……」

 

 シイコが追撃する。

 

「可笑しいの?」

 

 アムロは数秒沈黙した。

 

 そして観念したように言う。

 

「……ちゃんと後で返すんだぞ?」

 

 その瞬間。

 

 カミーユとゼロの思念が爆発する。

 

((尻に敷かれて押し負けないで下さい!アムロさん!!))

 

 そのやり取りの少し後ろ。

 

 もう一機のアレックスと、ネモⅡK型(強化人間仕様)が編隊に追従していた。

 

 コクピットで、フォウが小さく呟く。

 

「私のアレックスなのに……」

 

 少し悲しげな顔だった。

 

 隣を飛ぶアレックスからドゥーの声が返る。

 

「まあ仕方ないよ」

 

 軽い調子だった。

 

「僕たちが乗るより、シイコさんが乗った方が強いしさ」

 

 フォウはむっとする。

 

「そりゃネモⅡK型に乗ってた期間も長いから乗り換えは問題ないけどさ……」

 

 少し不満そうに続けた。

 

「だったらZガンダムを残しといてくれれば良かったじゃない。シイコさんならいくらでも乗りこなせたのに」

 

 ドゥーは苦笑する。

 

「いや〜タッチの差だったらしいよね〜」

 

 軽く説明する。

 

「マチュって子がピンチだから、ニャアンって娘にZを貸したすぐ後にシイコさんが艦に戻ったらしいし」

 

「すぐ出撃するつもりだったのに、自分のアレックスが無くてイライラしてたところに……」

 

 少し間を置く。

 

「僕らが推進剤の補給のために戻ったもんだから――」

 

 アレックスのコクピットで、ドゥーは小さく肩をすくめた。

 

 その先の言葉を言わなくても、フォウには十分伝わっていた。

 

 だから彼女は、ただ一言だけ呟いた。

 

「……そりゃ、奪われるわね」

 

 その頃。

 

 6つの流星は、すでにマチュたちの戦場へ迫っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6つの光が戦場へ近づく。

 

 その途中で、アムロ達はほぼ同時に感じ取っていた。

 

 サイコフレームによって拡張されたニュータイプの感知能力が、遠く離れた戦場の状況を伝えてくる。

 

 戦闘の終わり。

 

 サイクロプス隊の壊滅。

 

 そして――

 

 隊長ハーディーの捕獲。

 

 その中心にいるのは、三つの強い意志だった。

 

 シュウジ・イトウ。

 アマテ・ユズリハ。

 ニャアン。

 

 ゼロが苦笑した。

 

「最速で急いで戻ったんですが……」

 

 少し呆れた声になる。

 

「あのクラバの三人組、三人だけで勝っちゃいましたね」

 

 シイコが即座に答える。

 

「当然よ」

 

 どこか誇らしげだった。

 

「私のアレックスを持っていったんだもの」

 

 そして続ける。

 

「もし負けてたら、この後は医務室の前にシミュレーターに叩き込むところよ」

 

 カミーユが慌てて口を挟む。

 

「いや、まず医務室に入れてあげましょうよ」

 

 少し怒ったような声だった。

 

「シュウジ・イトウはアマテ・ユズリハを助けるために、安静の体を押してパイロットスーツも無しで突撃したんですから……」

 

 ドゥーが軽い調子で言う。

 

「そりゃあ戻ったら医務室で精密検査の後に安静が解けるまで監視と拘束付きかな?」

 

 シイコが頷く。

 

「そうね?」

 

 そしてさらりと言った。

 

「バイトさんっていう可愛い彼女もいるから、看病一式任せちゃいましょうか?」

 

 少し間を置く。

 

「ちゃんとトイレ道具一式渡しておくわ」

 

 一瞬、通信が凍りつく。

 

 カミーユとゼロは思わず顔を見合わせた。

 

(男の尊厳が……)

 

(消える……)

 

 アムロが咳払いをした。

 

「シイコ、冗談はそれぐらいにだな」

 

 するとシイコがさらりと返す。

 

「別に冗談にしなくてもいいんだけど?」

 

 アムロは一瞬黙る。

 

 そして声を落とした。

 

「――冗談は終わりだ」

 

 その一言で空気が変わる。

 

「サイクロプスを捕らえた以上、俺たちには選択肢がある」

 

 誰も口を挟まない。

 

「核攻撃を企んだ敵の首領として――」

 

 アムロは言った。

 

「キシリアが乗っている艦を拿捕するという選択肢が」

 

 その言葉に、編隊の全員が息を飲んだ。

 

 ザビ家の一人。

 

 この戦争の発端となった家系。

 

 それを捕らえる。

 

 それはつまり――

 

 戦争の根幹を揺るがす行為だった。

 

 アムロは淡々と続ける。

 

「今なら宣戦布告がどうとか無視できる」

 

 視線はまっすぐ前方の宇宙へ。

 

「何せ奴らは中立コロニーに核攻撃を企んだんだ」

 

「俺たちが何をしようが、この一戦は誰にも咎められる謂れはない」

 

 少し間を置く。

 

「ザビ家の一人で諜報機関の主で、ジークアクスを作らせた女だ」

 

「知っている情報は多いだろうさ」

 

 そして。

 

「そいつを今なら――」

 

 言葉が途切れた。

 

 通信に長い沈黙が流れる。

 

 ゼロが眉をひそめた。

 

「……アムロさん?」

 

 アムロの声が低くなる。

 

「何だ……これは……」

 

 カミーユの背筋がぞくりとした。

 

「ニュータイプ?」

 

 首を振る。

 

「いや違う」

 

 そして断言する。

 

「ニュータイプでも強化人間でもこんな波動は出さない!」

 

 その言葉に遅れて。

 

 残りの四人――

 

 ゼロ。

 シイコ。

 ドゥー。

 フォウ。

 

 全員が同時に気付いた。

 

 戦場は、すでに終わっているはずだった。

 

 だが。

 

 その中で。

 

 一機だけ。

 

 異様な存在感を放つ機体がある。

 

 Zガンダム。

 

 その周囲の空間が。

 

 歪んでいる。

 

 まるで、宇宙そのものが。

 

 誰かの夢の中へ引き込まれていくように。

 

 そして――

 

 その中心にいるのは。

 

 ニャアン。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■宇宙の裏側からの干渉

 

 それは、最初は“気配”だった。

 

 戦場に向かって加速する六機のモビルスーツ。

 

 その編隊の中で、最初に異変を感じたのは強化人間達だった。

 

「……っ」

 

 ゼロが息を詰める。

 

 フォウの肩が震えた。

 

 ドゥーも無意識に操縦桿を握り直す。

 

 胸を押し潰されるような圧迫感。

 

 空間そのものが重くなったような感覚。

 

 ニュータイプの“感知”とは違う。

 

 もっと直接的な――

 

 存在そのものを押し潰す圧力。

 

 ゼロが低く呟く。

 

「……なんだ、これ」

 

 フォウが小さく息を吐いた。

 

「重い……」

 

 ドゥーが顔をしかめる。

 

「宇宙に重力があるみたいだ……」

 

 一方で。

 

 別の三人は、まったく違うものを感じ取っていた。

 

 アムロ。

 カミーユ。

 そしてシイコ。

 

 彼らは、この圧力の“意味”を感じ取っていた。

 

 アムロが静かに言う。

 

「このプレッシャー……」

 

 視線は前方の戦場。

 

「誰かニュータイプがニャアンに干渉して来ているのはわかるが……」

 

 カミーユが眉を寄せる。

 

「ええ……」

 

 そして続ける。

 

「その干渉して来ている何者かの場所が不鮮明すぎる」

 

 普通なら、干渉している者の“位置”が感知できる。

 

 だが――

 

 それがない。

 

 まるで。

 

「……世界自身から干渉されている気さえします」

 

 その言葉に通信が静まる。

 

 すると、シイコが呆れた声を出した。

 

「そのニュータイプ特有の感覚オンリーの会話するなら個別回線でしてくれない?」

 

 少しイラついた調子だった。

 

「他の子が着いていけないんだけど」

 

 そして肩をすくめるように言う。

 

「とりあえず、このプレッシャーの原因の気配が探れないってことよね?」

 

 少し考えて。

 

「世界自身ね〜」

 

 軽く言う。

 

「宇宙の裏側とか?」

 

 ゼロは思わず心の中で突っ込む。

 

(あなたも十分、理屈じゃない感覚100%のニュータイプ言語ですよ)

 

 だが彼はすぐに現実へ戻った。

 

「今心配するべきは、あの志願兵になったニャアンって娘でしょう」

 

 その言葉で、全員の意識が戦場へ向く。

 

 ニャアンの乗るZガンダム。

 

 その機体が――

 

 暴走していた。

 

 巨大な推力。

 

 荒々しい機動。

 

 苦労して捕獲したサイクロプス隊の隊長ハーディーを、今まさに殺そうとしている。

 

 その動きは。

 

 彼女がシミュレーターで見せていた“生存特化”の操縦ではない。

 

 違う。

 

 これは――

 

 敵を殺せれば自分がどうなってもいい。

 

 そんな破滅的な動きだった。

 

 ゼロが低く言う。

 

「あんな力の干渉を受けては……」

 

 言葉は続かなかった。

 

 だが。

 

 六人の意識は同じだった。

 

 仮に。

 

 シュウジ・イトウがZガンダムを無傷で無力化できたとしても。

 

 中のパイロット――

 

 ニャアンの精神が持たないかもしれない。

 

 その時だった。

 

 戦場で変化が起きた。

 

 Zガンダムの動きが――

 

 鈍る。

 

 ほんの一瞬。

 

 だが、その隙を逃す者はいない。

 

 シュウジの操るアレックスが突っ込む。

 

 閃光。

 

 交差するビームサーベル。

 

 そして――

 

 Zガンダムの腕が宇宙へ飛ぶ。

 

 続いて脚部。

 

 四肢が切り飛ばされ、機体は完全に無力化された。

 

 ドゥーが驚いた声を出す。

 

「……あれ?」

 

 周囲の空間を見回す。

 

「あの宇宙を歪ませそうな干渉……消えたよね?」

 

 フォウも頷く。

 

「うん」

 

 少し戸惑っている。

 

「さっきまであんなに強烈に感じてたのに……いきなり……」

 

 その中で。

 

 一人だけ、最も正確な認識に辿り着いていた者がいた。

 

 カミーユだった。

 

(……違う)

 

 消えたわけではない。

 

(何か他の誰かに意識を向けたのか)

 

 干渉していた存在が。

 

 別の場所へ意識を向けた。

 

 だからニャアンへの干渉が消えた。

 

 アムロはもっと現実的な判断を下す。

 

「今はニャアンだ」

 

 短く言う。

 

「一刻も早くあの子を医務室に連れて行くべきだ」

 

 ゼロが即座に同意した。

 

「そうですね」

 

 推進剤をさらに吹かす。

 

「急ぎましょう」

 

 六機のモビルスーツが一斉に加速する。

 

 だが。

 

 その中で、一人だけ別のことを考えている者がいた。

 

 最高位のニュータイプではない。

 

 先頭を飛ぶ、最も戦いに秀でた感覚を持つニュータイプでもない。

 

 最高傑作の強化人間でありながらニュータイプ的感覚を併せ持つゼロでもない。

 

 この場にいる“頂点”達の中では――

 

 悪く言えば。

 

 器用貧乏。

 

 本来なら、二つの感覚を持つゼロや、アムロ、カミーユ等の自分より感覚の鋭い者たちが辿り着く真実の、

 一段浅い理解にしか届かないはずだった。

 

 だが。

 

 それでも、辿り着いてしまった。

 

 なぜか。

 

 理屈ではない。

 

 ニュータイプの感応でもない。

 

 ただ――

 

 共に過ごしてきた時間。

 

 何度も命を預け合った戦場。

 

 そして。

 

 夫婦として積み重ねた絆。

 

 それが、彼女に一つの確信を与えていた。

 

 シイコが、ぽつりと呟く。

 

「……アムロ?」

 

 

 

 

 

 

 




慣れ果てララァが余計なことをしなければここでキシリアを捕まえて持ってる情報をニュータイプの読心で搾り取れたのに、やはり1人を助けるために宇宙を何千回(推定ですがもっと多そうですよね)もやり直すようなやつはダメだな。
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