ジークアクス世界の闇堕ちアムロ 作:gジェネサイコー
前日譚: 01ガンダムのパイロットの献身
始まりの雷鳴
――U.C.0079.09.18
地球連邦軍 サラミス級巡洋艦 ブリッジ
深い宇宙の闇を背に、白き巨人が艦の側面を滑るように飛んでいた。
その名は「ガンダム」。地球連邦軍がジオン公国軍のモビルスーツ(MS)技術に対抗するべく、密かに開発した新型機――その1号機のテストが、今まさに行われている最中だった。
艦橋の正面スクリーンに映るその姿を見つめながら、艦長席に座るブレックス・フォーラ准将は、無言で頷いた。
「――1号機の挙動は良好なようだな、ヴェルツ大尉」
通信越しに伝えた声に、端正な顔立ちの青年パイロットが画面の中で応える。テスト機のコックピット内から、ノイズ混じりの応答が返ってきた。
「はい、艦長。反応速度、出力、安定性、どれを取っても既存の機体とは次元が違います。さすがは“連邦の切り札”、テム・レイ博士の設計です。ザクなど、相手にもなりませんよ」
ブレックスは微かに口元を綻ばせた。
あくまで冷静を保っていたが、その言葉には確かに重みがあった。
「……彼が連邦にいてくれたことは、まさに天の采配だな。ジオンのモビルスーツに10年先んじられている――などという分析も、今となっては過去の話だ」
「ええ。博士の図面を初めて見た時は、開発部の連中が震えてましたから。理論じゃなく、実機でそれを証明してしまった天才です」
「うむ。確か今は、ペガサス級試験艦に乗っていたはずだな。サイド7へ行って、2号機と3号機の最終テストに立ち会っていたはずだが」
「はい。私が出る前に話をしましたよ。“息子に会える”と喜んでおられました。…あの方も、ああ見えて家庭のことはよく覚えてるんですね」
「息子……アムロ・レイ君だったか」
ブレックスは、僅かに眉をひそめた。
その名には聞き覚えがあった。少年でありながら軍技術関係者の子として成長し、周囲からも変わり者の目で見られていた――そんな記録が記憶に残っている。
「だが……そのサイド7から、今朝方になって微弱な通信が届いていた。“観測中のコロニー内で不審な戦闘音を確認”――内容はそれだけだったが、無視できる話ではあるまい」
「まさか、ジオンが?」
「あり得ることだ。……天才の設計した兵器を、ジオンのエースが狙っていないなどと考える方が楽観的というものだろうな」
その瞬間、通信士が割って入る。
「艦長、緊急通信です。サイド7から、通信障害を伴った強いデータパルスが検知されました!」
「……来たか」
ブレックスの顔が引き締まる。
「ヴェルツ大尉、テストはここまでだ。ガンダムを艦に戻せ。我々も動くぞ。サイド7で、何かが始まった」
「了解。帰艦します」
スクリーンの中で、白いガンダムが機敏に旋回を始める。
戦いの幕は、ついに開け放たれようとしていた。
――そしてそれは、歴史の転換点へと続く第一歩でもあった。
死を超えて繋ぐ者
サラミス級巡洋艦
メインブリッジ
ハッチが開き、白いノーマルスーツ姿の男がブリッジに足を踏み入れた。その顔はまだ若いが、目には幾多の模擬戦と実戦訓練を越えてきたパイロットらしい鋭さが宿っている。
――ヴェルツ大尉。その名を知る者は未だ少ない。だが、この日を境に、記録に名を残す者となる。
彼が足を踏み入れたその時、ブリッジには怒号が響いていた。
「何だと!? 誤報ではないんだな!?」
艦長席で吠えるように怒鳴っていたのは、艦長――いや、地球連邦軍第3艦隊所属のブレックス・フォーラ准将である。
「艦長、一体……何が?」
思わず駆け寄るヴェルツに、ブレックスは握りしめた報告書を机に叩きつけるようにして言った。
「最悪の知らせだ。赤い彗星――シャア・アズナブルが、サイド7にてガンダム2号機とペガサス級強襲揚陸艦ホワイトベースを奪取した」
「何ですって……!?」
ヴェルツの声が裏返る。
それは信じがたい報だった。
連邦がようやくジオンに対抗する牙を手に入れた――そう信じていた矢先、その牙を丸ごと持っていかれたというのか。
「すぐにでもジオン領に持ち帰られる前に撃破したいが……我が艦の戦力は、君のガンダム1号機と鹵獲した旧型ザクが一機、あとはセイバーフィッシュが数機。これでは、ペガサス級と最新鋭モビルスーツを奪った赤い彗星に挑むのは……厳しい」
「そんな……」
ヴェルツは呆然としながらも、必死に思考を巡らせた。
(ガンダムとペガサスが、シャアの手に――。あれは本来、連邦の希望になるはずの切り札だった。近くに味方もいないこの状況じゃ、シャアに勝つのは不可能だ。だが……)
彼の脳裏に、ふと別の光が閃く。
(……いや、倒さなくてもいい。大事なのは“ガンダム”じゃない。あれを生み出した、“テム・レイ博士”が無事なら、いくらでも作り直せる!)
ヴェルツの思考は研ぎ澄まされていく。
(なら……俺は、勝たなくてもいい。奪われたガンダムを取り戻せなくても、“あの人”だけ救えれば、希望は残る!)
その時、彼の顔から迷いが消えた。
「艦長!」
ブレックスが顔を上げる。
「作戦具申をさせてください!」
その瞳は、すでに覚悟を決めた者のものだった。
「……どうした? 言ってみろ」
だが、ブレックスはその瞬間、胸の奥で、なにか黒いものが疼くのを感じた。
――あの目だ。
かつて、かの戦場で見た、死を選び、それでも使命を果たそうとした兵士たちの瞳と、同じ色が映っていた。
(……まさか、お前は)
ブレックスの中に、嫌な予感が広がっていった。
決意の戦略
「赤い彗星は、ペガサス級を鹵獲している――となれば、自身の指揮艦で牽引して移動している可能性が高いはずです」
ブリッジの空気を切り裂くように、ヴェルツ大尉の声が響いた。
「……ならば、航行速度も限られているはず。牽引中の船は全力航行できませんから」
「確かに、その通りだな……」
ブレックス准将が頷く。見据える先には、目前にある絶望ではなく、その先にわずかに灯る希望の可能性があった。
「でしたら、予測航路の交差点に、俺のガンダムと――鹵獲したザクを向かわせます」
「……なに?」
ブレックスが反射的に目を見開く。
「もちろん、推進剤には制限があります。しかし――サラミスのセイバーフィッシュに掴まらせて発進地点まで牽引してもらえれば、ガンダムもザクも最大の状態で戦域に投入できます!」
「それは……確かに有効だ」
ブレックスの頭脳も高速回転を始めていた。「だが、ヴェルツ……」
「サラミスの火力も加えての一斉攻撃では、赤い彗星に勝てないかもしれない。それはわかっています」
「なら、なぜ……!」
「だからこそ、サラミスには加勢させません」
ブレックスの息が止まった。
「……なに?」
「艦長、いや――ブレックス准将」
ヴェルツは敬礼することもなく、ただ静かに言葉を続けた。
「サラミスは、敵レーダーの探知範囲の遥か外側から、俺たちを分離してください。そして、敵に接触せずに、最短でサイド7へと向かってください」
「お前たちはどうするつもりだ……」
ブレックスの問いを、大尉の叫びがかき消した。
「サイド7にいるはずのテム・レイ博士を、必ず救出してください! 彼が無事にジャブローに辿り着ければ――この戦争はまだ、勝てます!」
静まり返るブリッジに、ブレックスの拳が震える音だけが響いた。
(この男は、死ぬつもりだ……)
そうではなかった。
(違う――。この男は、“未来”のために、自分を賭ける覚悟を持ったのだ)
「俺のガンダムと、鹵獲したザクで、赤い彗星に攻撃を仕掛けます。戦力としては分かっています――勝ち目は薄い。俺たちは、あくまで陽動です」
ヴェルツの瞳には、確信があった。
「シャア・アズナブルにしてみれば、ガンダム1号機が現れれば、それこそ2号機を取り返しに来たと判断するはずです。しかし、我々の本当の狙いは、サイド7に残った“希望”、テム・レイ博士です」
ブレックスは、ゆっくりと椅子から立ち上がった。
「……君の命を賭けて、未来を繋ぐというのか」
「はい」
ヴェルツの答えは、あまりにも静かだった。
その静謐な決意に、軍人として、ブレックス・フォーラは頭を垂れずにはいられなかった。
☆9評価ありがとうございます! ニワⅣリさん
今回の話は母艦も近くに映ってなかったのに01ガンダムが襲撃してきたのが、こう言う流れだったら面白いなと思い、このssと繋がるように書きました。
既に幕間が本編の2倍あります。かといってアニメが進んでジオン周りの情報が出ないと次が書けません。読者様方てきにはどんな感じですか?
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幕間が3倍になろうが4倍になろうが↓
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関係ない。書け(無慈悲)
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アニメが進んだら書いて(慈悲)
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作者のペースで書いて(聖人かな?)
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どうでもいい
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以上テスト兼読者様の意見を聞く回でした