ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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第十五話: 衛星軌道決戦2

【場所:ジオン宇宙艦隊旗艦ブリッジ】

 

モニターに映るのは、爆炎と断末魔の閃光。

先ほどまで整然としていた戦列は、すでに空白と炎で穴だらけになっていた。

 

「第9、第11、第14戦隊……全滅ッ!」

 

「ビグ・ザム3号機から6号機、沈黙……! コクピット、反応ありません!」

 

「く、くそ……くそッ! どうなってる!? あのビームは一体――!!」

 

砲雷長が錯乱寸前の声を上げ、オペレーターたちは蒼白の表情でモニターと睨み合っていた。

 

そして──

 

「バカなッ……ありえん、ありえんぞ……!」

 

コンスコン少将が、全身を震わせながら咆哮するように怒声を放つ。

 

「たった5分で……たった5分で! 我が艦隊の戦艦20隻と、ビグ・ザム4機が撃破されたというのか!?」

 

「……敵は、まだたった5機のモビルスーツしか出してきていないんだぞッ!!」

 

怒り、恐怖、そして理解不能な現実への困惑が、その顔に濃く滲む。

 

「バケモノか!? 連邦のガンダムどもは、一体どんな兵器を積んでいやがる……!」

 

部下たちは何も言えず、ただ沈黙し、赤く染まるモニターに映る残骸を見つめていた。

 

「……戦艦でも、ビグ・ザムでも……止められんのか……? 奴らの進撃を……!」

 

虚ろに呟いたコンスコンの声が、ブリッジ内に重く響いた。

 

その刹那――。

 

「艦長ッ!」

オペレーターの悲鳴じみた声が、緊張を切り裂くように響いた。

 

「地球から艦隊が上がってきています! さらに……別方向からも艦隊が接近中! いずれも50隻以上、敵艦隊です!!」

 

「なにっ!?」コンスコンが怒鳴り返す。

 

「馬鹿なッ!? 地球からの艦隊ならともかく……宇宙の別方向からだと!? 連邦は宇宙から完全に撤退したはずだろう!!」

 

「しかし、各艦隊とも高速でこちらに接近しています! 敵識別信号、間違いありません!」

 

モニターには、南北に迫る2つの大艦隊。ビグ・ザムの殲滅により空いた戦線を、まるで見透かしたような連邦の突撃だった。

 

「……ッ、地球側艦隊のペガサス級より、モビルスーツが発艦!」

 

「何だと!? ビグ・ザムに接近しているだと!?」

 

「迎撃させろ! ビグ・ザムを守れ!!」

 

「攻撃は開始されていますが――全て回避されています! 命中率ゼロ! しかも、先頭機体の速度が異常です!」

オペレーターが喉を詰まらせる。

 

「後続機の……3倍の速度で接近中!」

 

「なにぃ!? ふざけるな!!」

 

血の気の引いたコンスコンが、狂ったようにモニターに詰め寄った。

 

「連邦に赤い彗星がいるとでも言うのか!? 奴は死んだはずだ!! なら……一体何が起きてるというんだ!?」

 

だが、返答はない。

ただ、警報音だけが赤く点滅し、次なる破滅の接近を告げていた――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【視点:ヤザン・ゲーブル/シナンジュ・コクピット】

 

「……派手にやってやがるな」

 

モニターに映るのは、連邦の奇襲によって20隻以上のムサイが沈められ、守護のはずだった4機のビグ・ザムすらも巨大なビームサーベルで真っ二つにされたジオン艦隊の末路だった。

 

残り50隻はあるというのに、動きは散漫。隊列も保てず、味方同士で衝突しそうな艦まである。

 

「烏合の衆ってのはこういうのを言うんだな」

 

ヤザン・ゲーブルは皮肉めいた笑みを浮かべ、操縦桿を握り直した。

 

「アプサラスの時は、機体を半壊させていろいろと面倒かけたからなぁ……。だが、今のシナンジュなら――あの時とは違うことができる」

 

モニターに映る、巨体のビグ・ザムを睨みつける。

 

「またやらせてもらうぜ。巨大モビルアーマー狩りってやつをよ!」

 

地球から上がってくる艦隊を狙っているビグ・ザムに向けて、ビームマグナムの照準を合わせる。

 

「当たれよ!」

 

3発連続で引き金を引いた。高出力の砲撃が一直線にビグ・ザムと、その周囲の護衛モビルスーツに殺到する。

 

直撃。護衛のモビルスーツは熱と圧で空中分解し、爆散した。

 

だが――。

 

「ちっ……本体には焦げ目がついたくらいか」

 

iフィールドが確かに薄くはなっていた。だが、まだ分厚い装甲の内側までは届いていない。

 

「ま、こんなもんか……なら――行くしかねぇだろ!」

 

敵の迎撃――ミサイル、ビーム、火線の網を、シナンジュはまるで獣のようにくぐり抜けていく。白い装甲が、光と煙の中を疾駆する。

 

「さすがはテム・レイの新型だぜ……! 殺人的な加速だが、俺にはちょうどいい!!」

 

ビグ・ザムの脚部が動き、最後の迎撃兵器――飛爪が迫る。

 

「それは知ってんだよ!」

 

ヤザンは迎撃兵器の動きを見切り、その一つにシナンジュの片脚をぶつけるように蹴りつけた。

 

爪の反動と同時に機体が急加速、回避どころか逆にその推力を利用して一気にビグ・ザムのコクピット直上へと躍り出る。

 

「もらった……!!」

 

咆哮とともに抜き放ったビームサーベルで、コクピットブロックを切り裂く。

 

そこに――。

 

「せめて苦しまねぇようにな!」

 

とどめのビームマグナムを内部に向けて発射。

 

膨大な爆発と共に、ビグ・ザムは轟沈した。

 

火球の中を背に、ヤザンのシナンジュは軽やかに宙を舞った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【宙域:ビグ・ザム撃破後/地球軌道上戦闘宙域】

 

カイ・シデンのネモⅡが宙を舞いながら、爆散するビグ・ザムの残骸を横目に軽口を飛ばす。

 

「さっすが隊長……ビグ・ザムが瞬殺だぜ」

 

後方から続くリュウ・ホセイのネモⅡが、やや呆れたような声で応じた。

 

「ほんとに……。Iフィールドの内側に突っ込んで撃破しちまうとはな。」

 

「でも、僕らは僕らでできることをやりましょう。最強の3人は……遠いですから」

 

「いいねぇ、ハヤト。まっとうな正論、久々に聞いた気がするよ」カイがニヤリと笑い、モニターを切り替えた。

 

その先には――。

 

黒く染まった流線型のシルエット。ファンネルを散布し、味方機を一機、また一機と撃墜しているモビルスーツがいた。型番は不明だが、明らかにニュータイプ用の機体。

 

「おいおい。あいつなんてどうだ?」

 

「ファンネル使い……間違いない、ニュータイプだな」リュウが眉をひそめる。

 

「模擬戦の成果を見せるときですね」ハヤトがブースターを軽く噴かしながら構える。

 

「ま、散々相手させられたからな」カイが肩を竦める。「リタちゃん、プロトタイプのテストでビットもファンネルも延々やってたもんなぁ。おかげで俺たち、ビットアレルギーになりそうだったぜ……!」

 

 

 

【視点:プルトゥエルブ】

 

「……なんだコイツら」

 

量産機のくせに、まったくキュベレイのファンネルが当たらない。

 

「当たれ……当たれよ、ファンネル!」

 

敵がこちらを囲む。避け、シールドで受け、まるでファンネルの軌道を読み切っているかのように反応するネモⅡが、3機。

 

そんなはずがない。訓練されたニュータイプでもない、ガンダムでもない量産型の癖に――。

 

 

 

 

 

 

【視点:カイ】

 

「悪いね、ジオンのニュータイプさん」

 

カイはファンネルの射線を計算し、ハヤトとリュウとの連携でキュベレイを包囲するようにポジションをとる。

 

「俺たち、もっとやばいファンネル使いと――毎日模擬戦してたんだよねぇ」

 

その瞬間、3機のネモⅡが一斉に機体を翻し、三方向から射撃を集中させた。

 

 

 

 

漂う黒い機影。量産型キュベレイは両腕と脚部を破壊され、宇宙空間を漂っていた。小刻みに揺れるその胴体から、コクピット内部のパイロットが気絶しているのが確認できる。

 

「……ありゃ、爆発しなかったな」

 

カイがライフルを構えるのをやめ、苦笑混じりに呟いた。

 

「とどめ刺すの嫌なんだけどな〜。通信から聞こえた声女子供っぽっかったし、やりずれぇ……」

 

「なら、鹵獲するか」

 

リュウが事務的に言いながら、破壊されたキュベレイに視線を向ける。

 

「敵のニュータイプ用MSだ。技術解析にも使えるだろう」

 

「ですね」ハヤトが即座に頷き、操作パネルに手を伸ばす。「味方部隊に通信しておきます」

 

数秒のうちに、周囲のネモⅡ数機がキュベレイに接近。ハヤトの指示を受け、機体を牽引する体勢に入る。

 

「よし、あとは任せた。」

 

カイが振り返り、背後の戦線に目をやった。

 

「じゃ、俺たちはヤザン隊長の援護に向かいますかねぇ」

 

リュウが苦笑交じりに言い返す。

 

「ネモⅡの3倍の速さですっ飛んでったあの人に、援護がいるのかねぇ?」

 

「それでもです」とハヤトが微笑んだ。

 

「あの人がどこまで行っても、“俺たち”が背中を支える。それが、あの人に教えを受けた教え子の仕事でしょう」

 

ネモⅡ三機が編隊を組み、戦場の閃光へと加速していく。

 

その姿は――

 

オールドタイプであっても敵のニュータイプを連携で落とし

最強のエースたちに続く、“誇りある実戦兵”の矜持そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【宙域/ジオン残存艦隊ブリッジ】

 

撃沈、沈黙、沈黙。赤いマーカーがモニター上を埋め尽くす。ジオン艦隊――当初の七十隻超のうち、今や残されたのは二十隻に満たなかった。

 

敵は、宇宙の別方向からも現れた。地球からの艦隊と挟み撃ちだ。

 

そしてそのタイミングを見計らったように、ジオン司令艦の通信モニターに“奴”の姿が現れた。

 

「こちら、アムロ・レイ大尉。貴艦隊の状況を確認した」

 

アムロの声は冷静だった。だが、そこに込められた意思は鋼のように硬く、冷たく突き刺さる。

 

「戦況はすでに決している。これ以上、無意味に部下を死なせたくないなら――降伏を勧告する」

 

ブリッジに凍りつくような沈黙が落ちた。

 

だが、コンスコン司令の顔に浮かんだのは怒りだった。

 

「ふざけるなッ!!」彼は喉を張り上げた。

 

「我々はスペースノイドの代表たるザビ家の軍勢……その尖兵、ジオン公国軍だぞ!? 腐敗した連邦政府などに頭を下げる道理はない! 最後の一隻になろうとも――貴様らを一発でも多く撃ち――」

 

その瞬間、通信の中のアムロが動いた。

 

「……降伏の拒否を確認」

 

冷ややかに響いたその一言の後、アムロは通信を無言で切った。モニターが暗転し、艦橋のざわめきが遠ざかるように静まる。

 

(助かったよ。お前みたいな“ザビ家の信者”が相手なら……容赦なく、全滅させられる)

 

その言葉の裏で、アムロは一瞬、冷ややかに目を細めた。

 

(――これでいい)

 

コンスコンのような“忠義の騎士”が最後まで降伏を拒み、吠え続けてくれることで――

 

今後、ザビ家の軍勢は「降伏を知らぬ狂信者」として連邦内に印象づけられる。

 

そうなれば、殲滅は迷いなく、命令と正義に変わる。

 

(ありがとう、コンスコン。君のおかげで、俺たちはためらわずに引き金を引ける)

 

それはアムロの心の奥底にある、“復讐鬼”としての非情な覚悟だった。

 

 

 

――はっ、とコンスコンの目に一瞬の戦慄が走った。

 

(しまった……!)

 

気づいてしまった。今のが、最後通告だったのだと。

 

目の前の男は――最初から、殲滅を望んでいた。

だが彼は、それでも形式として、降伏の機会を“与えた”。

それを――己の叫びで、“蹴り飛ばしてしまった”のだ。

 

「ま、待て……! 降伏する味方がいるかもしれな――」

 

コンスコンの言葉は、最後まで届かなかった。

 

閃光。

音を超えた衝撃が、司令艦を包んだ。

 

アムロのHi-νガンダムが放った、ビームマグナムの直撃だった。

 

次の瞬間、コンスコンの乗艦が――閃光の中に崩れ落ちた。

 

 

 

【宙域:その数分後】

 

残る二十隻のうち、もしかすれば降伏しようとしていた者もいたかもしれない。

しかし、ジオンの教育に「降伏」という選択肢はほとんど与えられていない。

「連邦など腐敗している」「滅ぼすべき敵」と教えられてきた彼らにとって、白旗を掲げるという発想そのものが存在しないに等しかった。

敗北の兆しを感じ取れば、逃げる者はいても、頭を垂れる者はほとんどいなかった。

 

故に、この結果は――必然だった。

 

白旗を掲げなかった艦艇は、すべて沈められた。

 

 

 

ただ一部、機体をパージし、緊急信号を発したパイロットたち。

そして、最後の最後で白旗を展開した、わずかな数隻の艦だけが――生き延びた。

 

一方――連邦艦隊側の損害は、

 

戦艦、一隻も失われていなかった。

 

 

 

そして、宇宙に残ったのは――

焦土のような、赤い戦果の痕だけだった。




キラくん風に言うなら「やめてよね。たかが70隻の艦隊でビームマグナムが5機で計75発撃てるガンダム達に挟み撃ちにされて勝てるわけないだろ」
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