ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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第二十一話: 星二号作戦

宇宙世紀に刻まれる最終決戦のひとつ――ア・バオア・クー攻防戦。

 地球連邦軍とジオン軍は、ついに宇宙要塞ア・バオア・クーを巡って激突した。

 

 連邦軍の総指揮はブレックス准将。対するジオン側はギレン・ザビ。

 両者の旗艦から数百万の兵と数千に及ぶモビルスーツが解き放たれ、要塞の周囲を覆う宙域は、たちまち閃光と爆炎の奔流に沈んだ。

 

 

 主力の数でこそジオン軍が勝っていた。戦場を埋め尽くすのは赤と緑に染められたゲルググ部隊。数千を超える群れが、物量と突撃で連邦軍を粉砕せんと殺到する。

 

 だが、迎え撃つ連邦軍の主力もまた侮れなかった。新鋭機《ネモⅡ》がすでに戦場に配備されていたのだ。

 性能比は完全に逆転していた。かつて一年戦争で二機の軽キャノンが一機のゲルググをやっと仕留められた時代は過ぎ去った。今やネモⅡ一機で二機のゲルググを相手取って互角。地球からジオンを叩き出した連邦が、地球の工業力を結集して積み上げた差は、ジオンのザビ家が内戦に資源を食い潰した代償を残酷なまでに突きつけていた。

 

 そして――戦場を決定づける存在がいた。

 連邦各戦線に投入されたガンダムタイプ。その力はネモⅡでは拮抗するジオンのエースクラスが操るカスタム・ゲルググさえ凌駕する。

 

 その象徴、“最強の三人”。

 アムロ・レイ(Hi-νガンダム)、

 ゼロ・ムラサメ(RX-0 2号機バンシィ)、

 ヤザン・ゲーブル(シナンジュ・スタイン)。

 

 さらに二人――彼らに迫る力を持つ若きガンダムパイロット。

 カミーユ・ビダン(RX-0 1号機、ユニコーン)、

 リタ・ベルナル(RX-0 3号機 フェネクス)。

 

 五人のガンダムが戦場に姿を現した瞬間、戦局の流れは一変した。彼らが動けば、ジオンの大型モビルアーマーさえ紙のように引き裂かれる。

 

 その上、戦場にはその弟子たちがアレックスを駆け回り各地のジオンのエースを倒して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その最中、連邦側の巨躯――試作兵器《デンドロビウム》が宙域を切り裂いた。

 そのコアに座すのは“灰色の幽霊”ことシャリア・ブル。アルテイシア・ソム・ダイクンの名を背に、連邦の旗の下で戦うことを選んだ男だ。

 

 巨大な武装ポッドを左右に抱え、インコムを散開させながらジオンの突撃軍を粉砕していく。ビーム砲が奔り、ゲルググが次々と火球となって消えていく。

 

 だが、シャリアの心は晴れなかった。

(おかしい……アルテイシア様があれほどの演説をしたのだ。ザビ家の悪行を知らしめ、未来を訴えたのだ。ならば、降伏してこちらに加わる兵がいてもいいはずだ……それなのに誰ひとり武装を捨てない。なぜだ?)

 

 疑念が胸を灼き、彼は決断した。

 ――探るしかない。

 

 サイコ・フレームを通し、自らのニュータイプの力を敵機へと伸ばす。刹那、戦場のノイズの中にひとつの心が響いた。

 

『……俺だって分かってる。間違ってるのはザビ家だ。スペースノイドの代表を名乗りながら同胞を虐殺し、難民を見捨てる……そんな連中に従いたくなんてない。だが……ザビ家を信奉していない者はみなダイクン派の疑いをかけられ、家族を人質に取られてるんだ! 俺は……俺は……!』

 

 シャリアは息を呑んだ。(人質……! ザビ家のやることは……!)

 

 インコムを一機、敵ゲルググへと接触させた。回線を絞り込み、秘匿通信を繋ぐ。

 

「これは接触回線だ。周囲には聞かれない。私はシャリア・ブル中佐だ。聞こえるか、ゲルググのパイロット!」

 

「なっ……灰色の幽霊……!」

 

「君の心は読ませてもらった。家族を人質にされているのは本当か? 他にも同じ境遇の者が大勢いるのか!?」

 

 敵兵は息を荒げ、しかし隠せずに吐き出した。

「そうだ! アルテイシア様の演説で目は覚めた! ザビ家に従っても未来なんてないと! でも……演説の直後に、俺たちはまとめて疑われた。忠誠を示してこなかった者は全員、家族を捕らえられた! 俺たちは家族を守るために、最前線に立たされてるんだ! どうしろって言うんだよ!」

 

「……!」シャリアは怒りを噛み殺した。

 

 その瞬間、鋭い殺気が迫る。

 閃光――デンドロビウムの周囲にビームが殺到する。しかしiフィールドがそれを弾いた。

 

「連邦の新型モビルアーマーか!」低く轟く声。「だが、この《ノイエ・ジール》ならば!」

 

 灰色の巨影が宙域に割り込む。アナベル・ガトーだ。

 

 シャリアは即座にゲルググのパイロットへと回線を繋ぎ直した。

「悪いが、君の武装を破壊し捕虜にする。白旗を上げた機体を殺す連邦兵はいない! 大人しくしていろ!」

 

 インコムが閃き、ゲルググの両腕を撃ち抜く。機体は漂い、戦線を離脱した。

 

「うっ……俺みたいな連中は皆、最前線に出されてる! 要塞の奥に残ってるのは……ザビ家と狂信者だけだ!」

 

 通信は途切れた。

 だが、シャリアは静かに頷いた。(千金の価値がある情報だ。要塞を急ぎ落とし、降伏勧告を出すしかない……!)

 

 

 

 その思考を遮るように、ノイエ・ジールの巨体が迫る。ビーム砲が咆哮し、デンドロビウムの武装が応じた。光束とミサイルの雨が戦場を染め上げ、二機の巨体は宙を舞う。

 

「貴様、その動き……灰色の幽霊だな!」

 

「別に隠してはいませんが、今さら気づきましたか」

 

「連邦に降るとは……恥を知れ!」

 

「降ったのはアルテイシア様にです。ザビ家の敵にはなりましたが、スペースノイドの敵になったつもりはありません」

 

「戯言を!」

 

「……人質を取って兵を戦わせる。それがあなた達の誇りですか?」

 

「フン、閣下の意思に背く者を、スペースノイドの役に立たせてやっているのだ。感謝してほしいものだな!」

 

「……やはり、狂信者とは会話になりませんね」

 

 灰色の幽霊とソロモンの悪夢――巨躯同士の死闘が、要塞宙域を震わせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【アムロの戦い】

 

 要塞に迫る戦場のただ中、白と蒼の閃光が暴れ狂っていた。

 アムロ・レイは《Hi-νガンダム》の操縦桿を握りしめ、その傍らに遠隔操作の《アレックス》を従えていた。

 

 アレックスはもはや人が乗る機体ではない。

 サイコフレームを通じたアムロの意思に完全に従い、機体制御は人間では不可能な領域にまで拡張されている。

 リミッターは解除され、推力配分も人の耐久限界を無視した設定に改造済み。

 それでいてHi-νの行動を阻害することなく、まるで双子のように連動し、マブ(相棒)として宙域を切り裂いていた。

 

「……正解だったな」アムロは低く呟く。「アレックスを“無人兵器”前提で改造したのは。Hi-νの足手纏いになっていない……」

 

 だが戦場に躍り出る敵の気配に、彼の眉は僅かに寄った。

(――妙だ。殺意よりも……怯え、か。あのジオン兵たち……こっちに向けるより、味方に向けている警戒のほうが強い。何を恐れている……? やはり、ザビ家はまたろくでもないことをしているのか?試しに武装を破壊すれば戦意を無くして捕虜になったが……)

 

 その答えを追う暇もなく、ゲルググ十二機の小隊が襲いかかってきた。

 

「白い悪魔だッ! 落ちろォ!」

 

「撃て! 撃ちまくれッ!」

 

 十二条のビームが一斉に飛来する。しかし、アムロのHi-νはそのすべてを流れるようにかわし、返す刀のビームライフル、二連射で2機を瞬時に撃墜。さらにバズーカを叩き込み、火球の連鎖が2機のゲルググが居た宙を焼いた。

 

 残る敵の砲火を敢えて受け流すように進み、至近で脚部を叩きつける。衝撃に晒されたゲルググは制御を失い、直後にビームの一閃を浴びて爆散した。

 

 一方でアレックスは人の限界を無視した挙動をとり、旋回すら慣性を無視するかのような軌道でゲルググ隊に突っ込む。ビームライフルで二機を撃ち抜き、旋回しながらサーベルを二振り閃かせて二機を一瞬で両断した。

 

 十二機のうち、残るは三機。

 

「な、なんでだ……十対二だぞ! クソがァ!」

 

「おかしい! おかしいだろッ!」

 

 恐慌じみた叫びが虚空に木霊する。

 

「……こういう奴ばかりなら、やりやすくて助かるんだがな」

 

 アムロは冷徹に吐き捨て、意識で操ったビームサーベルを宙に放つ。

 無人の剣がふわりと背後へ回り込み、敵ゲルググを串刺しにした。

 

「なっ……なんで……!?」

 コクピットの兵が絶望に震えた瞬間、機体は光の奔流となって爆散した。

 

 

 アムロは深く息を吐いた。

 捕虜にできる敵は捕虜とし、殺意全開の者は容赦なく殲滅する。

 復讐鬼としての線を、ぎりぎり踏み越えぬよう保ちながら。

 

 だが――次の瞬間。

 彼は、己が生み出してしまった「もうひとりの復讐鬼」を目撃した。

 

 青白の機影。

 その中から響くのは怨嗟に焼かれた少女の声。

 

「見つけた……! ユニコーンのパーソナルマークを付けたアレックス……! アムロ・レイ……シュウジの仇ィ!」

 

 ジークアクスに乗るマチュが、戦場に割り込む。

 燃え盛る瞳は、かつてアムロ自身が抱いた激情そのものだった。

 

 さらに隣を駆ける黒紫の影――ジフレドに搭乗するニャアン。

 

「あれが……アムロ・レイのアレックス。あれさえ倒せば……私たちは元に戻れるんだ!」

 

 怨念と錯覚に囚われた二人が、戦場に火種を投げ込む。

 アムロ・レイは、己が復讐の連鎖を目の当たりにしようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




mini8 さん、ヒーロー大好き人間さん誤字報告ありがとございます
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