ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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明日も1800ごろに投稿します。


第二十四話: 星二号作戦4 ドゥーvsプル

【戦場・宙域】

 

 本来であれば――プルツーとゲーツが互いを押さえ込み、両者が戦場から“抜けている”以上、残された戦力同士は互角にぶつかるはずだった。

 

「む〜! 数で勝ってるのに〜、互角なんて納得いかない〜!」

 エルピー・プルが子供のように頬を膨らませる。

 

まず、ドゥー、フォウ、アスナ、エリシア――四機のガンダムタイプはいずれもプルシリーズより操縦技量で勝り、数の差を補って余りある働きを見せていた。

 ネモⅡのパイロットたちは一騎打ちでは劣勢に立たされるが、互いをカバーし合うことで戦線を維持していた。

 

 さらに大きかったのは、フォウのΖガンダムに装備された六基のフィン・ファンネルの存在だ。

 単なる遠隔兵器として運用できるだけでなく、そのうち三基を用いて防御フィールドを形成することが可能だった。

 ジオンのキュベレイ部隊はファンネルこそ操れるものの、火力の大半はビーム兵器に依存しており、フィールド相手では決定打に欠ける。フォウはアムロから徹底的に叩き込まれた防御運用を発揮し、敵の殺意が集中する刹那に的確にバリアを展開。仲間を覆うように光壁を張り、被害を最小限に抑えていた。

 

 その間、ジオン側で唯一突出した脅威となるのは、アンネローゼの駆るクィン・マンサただ一機。

 ドゥーとフォウが連携してその巨体を押さえ込み、アスナとエリシアが遊撃に回り、ネモⅡ部隊が隙を突いて支援射撃を重ねる。

 

「……で、数で勝ってるこっちが互角以下だけど、どうすんだ?」

 アンネローゼ・ローゼンハインが眉をひそめる。

「プルツーも劣勢みたいだし、あいつが負けたら、こっちの負けも確定するけど?」

 

「そんなのダメだもん!」

 エルピー・プルの声が高く弾む。

「ノン! リン! レイ! リンク・サイコミュ起動するよ! 私に合わせてよね!」

 

「「「りょっ、了解!」」」

 三人のかつて失敗作と呼ばれた少女達が応じた瞬間、戦況が大きく揺らいだ。

 

 システムが起動する。

 リンク・サイコミュ――それは、プルの機体からノン、リン、レイの随伴機へと精神波を増幅・中継し、彼女たちのサイコミュ適性を一時的に引き上げる装置。

 本来はファンネルを扱えない彼女たちのマグナ・マーテルが、次々と背部コンテナから光る小型兵器を放ち始めた。

 

 さらに、随伴機からのフィードバックによって、主機――エルピー・プルのキュベレイそのものの出力も引き上げられていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エルピー・プルが叫んだ瞬間、戦場の空気が一変した。

 「リンク・サイコミュ起動!」

 

 プルの声に応えるように、先程までプルシリーズの足を引っ張らないことしかできていなかった失敗作達の動きが変わる。ただビームガンとアクティブカノンでの攻撃にファンネルでの攻撃も追加された。その動きは成功作とされたプルシリーズ達と遜色ないものだった。

 

「なっ……数が急に!」

 アスナの声が焦りを帯びる。

 

 増幅された精神波はプル自身のキュベレイをも強化し、その圧力は戦場全体を覆うほどに膨れ上がった。

 フォウの防御フィールドすら突破しかねない弾幕が形成され、ドゥーたちが抑えられる限界を超えていく。

 

 ファンネルの群れは容赦なく襲いかかり、ドゥーとフォウの間を裂くように殺到した。

「くっ……!」

 ドゥーは回避機動を優先し、フォウから大きく距離を取らざるを得なくなる。

 互いの視界から姿が隠れるほどの弾幕に押し出され――二人は分断された。

 

「ドゥー! 今そっちに――!」

 フォウが機体を翻すが、その声をドゥーが遮った。

 

「こっちはいい! それよりアスナやエリシアとネモ隊のフォローを!」

 

「それじゃあんたが――!」

 

「何とかするよ……」

 強がってみせる声の裏で、ドゥーの心中には(出来ればヤザンさんの応援、間に合ってほしいな……)という弱音がよぎる。

 

 だが視界に広がった光景は、そんな願いを吹き飛ばすには十分すぎた。

 三機の量産型キュベレイ。

 三機のマグナ・マーテル。

 さらにその背後に鎮座する、巨大なクィン・マンサ。

 

「僕一人に七機ががりって……戦力配分、ミスってない?」

 ドゥーの乾いた声が漏れる。

 

「そうでもないさ」

 アンネローゼの低い声が返る。

「この中じゃ、あんたが一番強い。そういう存在を残すと後が怖いんだよ。……自分の強さを恨みな」

 

 包囲の中に放り込まれたアレックスに、追いついたネモⅡの一機が割り込む。

 

「まったく……子供一人に七機がかりとは、恥ずかしくないのかい?」

 通信に混じるのはポカダの声だった。

 

「ポカダさん!? 駄目だよ! フォウのところにいて! 僕のアレックスはフィン・ファンネルを積んでないんだ!」

 

「あたしはあんた達に守ってもらいに来たんじゃない! あんた達を生き残らせるために来たんだ!」

 ポカダは叫ぶ。

「それに、あんたみたいな子供を見捨てて逃げたら……あの世でシイコにぶん殴られる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【戦場・宙域】

 

 

 戦況は一気に傾いた。

 リンク・サイコミュで強化されたキュベレイと、三機のマグナ・マーテルの重火力が牙を剥き、分断され残されたネモⅡの機影が次々と光に呑まれていく。

 

 だが、その中でただ一機――ポカダのネモⅡだけは必死に食らいついていた。

 回避と援護射撃を巧みに織り交ぜ、アレックスの死角を埋めるように立ち回る。ドゥーの足を引っ張らず、むしろ敵の注意を引きつけ、突破口を切り開いていた。

 

 その操縦は決して派手ではない。だが後にヤザンやアムロが戦闘記録を見れば、間違いなく「弟子に欲しい」と評するほどのものだった。

 ――だが。今の戦場は、それでは足りないのだ。

 

 ニュータイプが溢れ、無数のファンネルが飛び交う宙域。

 オールドタイプである彼女は、ドゥー・ムラサメが牽制し、フォウ・ムラサメのフィン・ファンネル・バリアが守るエリアの外へ一歩でも出てはいけなかった。

 

「ニュータイプでもないあんたがこの戦場にいるのは、分不相応なんだよ!」

 アンネローゼの声が響いた。

 その叫びには無意識の嫉妬が混じっていた。――彼女ですら認めざるを得ないほどに、ポカダの存在は輝いていたのだ。

 

 だが次の瞬間、彼女の怒りと嫉妬が形をとる。

 三十基を超えるファンネルが、一斉にポカダ一人へと殺到した。

 

「く……っ!」

 防御も回避も追いつかない。

 ただ一機のネモⅡは、光の奔流に呑まれていった。

「ポカダさん!?」

 ドゥーの視界に、親しくなったあの女性の爆散が映った。

 

 暗い紫の髪の快活なパイロット――ポカダ。

 つい先日、一緒に部屋で古い映画を見ながら笑い合った仲間。その声がもう、帰ってこない。

 

「バカ! 止まるな!」

 フォウの怒声が脳裏に飛ぶ。

 

「――っ!」

 ドゥーは我に返り、操縦桿を弾いてビームの嵐を掻い潜った。だが、一度崩れた戦況は戻らない。アレックスのビットは次々と破壊され、数の優位が絶望に変わっていく。

 

「やった〜! 二機落とした! これでこっちの勝ち確定でしょ? やっぱりリンク・サイコミュは凄いね!失敗作の子達とのリンクでもここまでやれるんだから、次の戦いが楽しみ〜!」

 混線した通信の向こうから、幼い声。エルピー・プルの無邪気な笑いだった。

 

「……子供なのか」ドゥーは呟く。

「ゲームみたいな感覚で戦ってるんだ……別に否定はしないけどさ……ポカダさん、死んじゃった……」

 

 キルゾーンに追い込まれていることに気づいたのは、その時だった。

 周囲を囲む七機――三機の量産型キュベレイ、三機のマグナ・マーテル。そして背後にはクィン・マンサ。

 

「ガンダム! これで終わりだよ! みんな、撃っちゃえ!」

 エルピーの合図で、無数のビームが奔る。

 

(――あぁ……これで終わりか〜。でも頑張ったよね。敵の巨大モビルアーマーとキュベレイっぽいの六機を相手に時間稼いだんだよ?きっとゼロも誉めてくれて……いや泣いちゃうかな……ゼロは身内の死に慣れてないから……それは僕もだけどさ……ポカダさん)

 ドゥーの瞳に光が迫る。だが、その瞬間。

 

(諦めるな! 死んじゃダメだ!)

 ポカダの声が脳裏に響いた。

 

 

(ポカダさん……でも、僕じゃこんな状況ひっくり返せないよ……そりゃあここにいるのがゼロならどうにかしちゃうんだろうけどさ……)

 

ドゥーは自分のいる場所と迫るビームをすべて頭に浮かべる。

 

(そうだよ……僕に取ってはここはキルゾーンだけど……ゼロならこの広さがあれば生き残れるよね?)

 

 次の瞬間、意識の奥底に閃光が走る。

 ゼロ――彼がこのアレックスでどう動くか。まるで答えを授けられるように、具体的な回避のイメージが浮かぶ。

 

(ゼロなら……まず一番近いビームは――避けるよね)

 アレックスが閃光のように跳ぶ。

 

(二番目と三番目は……ビームサーベルで弾く)

 両腕の刃が光を裂き、灼熱の奔流を跳ね除ける。

 

(4番目の直撃コースは回避も弾くこともできないから盾を捨てて防ぐ!)

片腕につけた盾を投げることで敵のビームを逸らす。

 

(出来た安全地帯に機体を入れる!)

 

 数多のビームの隙間へ機体を滑り込ませ――ドゥーは死の包囲網を突破した。

 

「嘘!? あれを生き残ったの!?みんなあいつを落とすよ!」

 エルピー・プルが悲鳴を上げる。

 

 続けざまに、三機の量産型キュベレイと三機のマグナ・マーテルが砲火を浴びせる。しかし、すべて弾かれ、あるいは避けられた。

 

「嘘だ……だって最強の三人は最前線にいるはず……」

 アンネローゼが震える。

「あの動き……あの反応は……!?」

 

「ドゥー?」フォウの声が揺れる。

 

「フォウ! フィン・ファンネル三機貸して!」

 

「う、うん!」

 フォウは制御権をドゥーのアレックスへ転送する。

 

「行け! フィン・ファンネル!」

 三基のフィン・ファンネル、残存する三機のビット。六基の遠隔兵器が、今までとは段違いの軌跡で飛び交い、キュベレイ隊のファンネルをことごとく撃墜していく。

 

「そんな……!?」エルピー・プルが顔を引き攣らせる。

 

「悪いけど――君たち強いし、手加減できないよ!」

 ファンネルを失った量産型キュベレイが、次々と光に包まれて散っていく。残ったのは、エルピー・プルただ一人。

 

「よくも……みんなを!」

 激情に任せたエルピー・プルの攻撃は、もはや軌道が丸見えだった。

 

「……仲間を殺されたら辛いよね。分かるよ。でもダメだよ……心を乱したら、こんなふうに」

 ドゥーのアレックスはそのすべてを避け、そして目の前に迫る。

 

「あっ……!」

「――バイバイ」

 

 ビームサーベルの閃光が、キュベレイを一閃した。

 

 




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