ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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書けたら明日の1800ごろに投稿します


第三十話: 星二号作戦10 シャリア・ブルvsアナベル・ガトー

ガンダムを倒すはずだったモビルアーマーも、旗艦への奇襲部隊も全滅しジオンの敗北が決定づけられようとした瞬間、

ジオン総帥ギレン・ザビは全軍に向けて演説を開始した。

 

『諸君! 見よ! 連邦は未だ一年戦争での敗北を受け入れず、悪あがきのように我らに牙を剥いている! 本来、スペースノイドの未来を導くべきダイクンの名まで持ち出し、地球人どもと結託して、我々の独立を踏みにじろうとしている!』

 

 その声音は鋭く、冷徹な熱を帯びていた。

 

『ことここに至って、もはや寛容も譲歩も不要だ! 奴らに知らしめねばならぬ! 諸君ら、エリートたるジオン国民こそが宇宙を支配しなければ――人類はやがて腐敗と怠惰に沈み、滅び去るのだと!』

 

 モニター越しの将兵たちに向かって、ギレンは右手を高々と掲げる。

 

『故に宣言する! 地球人類の抹殺こそが、新しき未来を切り開く唯一の道である! 立て! そして戦え! 忠勇たる国民たちよ! ザビ家の旗の下に集え!』

 

 ――そしてギレンは最後の一手を選んだ。

 コロニー落とし。

 

 連邦の観測網がぎりぎり感知できる位置にコロニーを通過させ、その軌道が地球に落ちるコースだと悟らせる。目的は地球連邦を動揺させ、戦力を分断すること――一年戦争と同じ、いやそれ以上の悪魔の作戦だった。

 

 だが、ギレンは知らなかった。

 その悪魔の一手を、ひとりの復讐鬼――アムロ・レイが予測し、すでにその対策を用意していたことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【連邦側】

やがて観測官から報が入る。

 

「准将! 敵のコロニーが落下軌道に乗りました!」

 

 その報告を受け、ブレックス准将は全軍に向けて放送を開始する。

 

『ザビ家は――一年戦争で人類の半数を死に至らしめた、あの悪魔のコロニー落としを……またしても実行した! しかも、それを止めようとする内部勢力すら存在しなかった!』

 

 艦橋に緊張が走る。ブレックスは続けた。

 

『よって、我々地球連邦は、ザビ家とそれを信奉する者たちを――人類種の敵と認識する。前大戦を思い起こさせる、あの蛮行を許すわけにはいかない。

コロニー落としの阻止に、連邦の精鋭で全力を尽くす!』

 

その瞳は鋭く、声は力を帯びていた。

 

『残った将兵達よ! ザビ家やその信奉者を逃がすな。

全力で要塞のドックや連絡ゲートを破壊し、奴らを閉じ込めよ!

ここでジオンの暴走を終わらせるのだ!』

 

艦橋に緊張の波が走り、やがて将兵たちの顔に決意の色が宿る。

「了解!」と次々に応答が飛び交い、作戦遂行のための命令が矢継ぎ早に発せられた。

 

 

 そこから通信は限定回線に切り替わる。最強の三人と二人に向けて。

 

『アムロ大尉。君の予想が当たってしまった。故に君の提案を実行に移すときだ。ゼロ・ムラサメ、カミーユ・ビダン、リタ・ベルナルはバイオセンサーのフィルターをオンにしつつ、アムロ大尉についていき護衛せよ』

 

「了解です、准将」アムロの声は静かで力強い。「ゼロ、カミーユ、リタ――行くぞ。着いてこい」

 

 ゼロは息を呑んだ。(アムロさんを護衛……?)「了解です!」

 

 カミーユは唇を噛んだ。(この人に護衛なんて必要なのか?)「はい! ついていきます!」

 

 リタは小さく震えながらも、必死に声を張った。「わ、分かりました! リタ・ベルナル、行きます!」

 

 ギレン・ザビは自らアムロ・レイが踏み越えなかった一線を越えさせた。結果として、

 ――アムロ・レイが復讐鬼として放つ一撃は、もはや誰にも止められなかった。

 

 

 

 

 

  

ブレックスは檄を締めくくると、別回線を開き、端末に映った人物へ視線を向けた。

 

『――ヤザン大尉、聞こえるか』

 

「おう、しっかり聞いてるぜ」

モニターに映し出されたのは、シナンジュを駆るヤザン・ゲーブル。背後のモニターには、味方部隊の索敵データとア・バオア・クー周辺の戦況マップが表示されていた。

 

『四人が抜けた戦線だが、問題はあるか?』

 

ヤザンは大げさに肩をすくめ、にやりと笑った。

「あるわけねえさ。俺の好きにやっていいんだろ?」

 

『勿論だ』ブレックスは即座に応じ、言葉を重ねた。

『それと――可能な限り、要塞の中から誰かを連れて逃げられる位置にいる戦艦を先に叩け。脱出の芽は、ひとつ残らず潰しておく必要がある』

 

「了解だ、准将」

「だが、カイ達はゼロが捕まえた強化人間を護送がてら補給に行かせた。……穴埋めに、ドゥーとフォウを連れていく。俺のシナンジュはともかく、他のやつには“足”になる機体が要る。こういう時のために、わざわざZを再設計したんだろ?」

 

『ああ、そうだな』

『二人も同行させてやれ。お前のやり方で構わん。5機編成なら後2機いるが誰を連れていく?』

 

「そうだな。ゼロの弟子達――残りの旗艦防衛の遊撃部隊の2人を借りるぜ。あいつらのニュータイプ能力なら、もし奴が逃げても探知できるはずだ。アムロ曰く“ザビ家の悪意は分かりやすい”らしいからな」

 

ブレックスは一瞬だけ考え込み、うなずいた。

『分かった。ゲーツ中尉の補給も完了しているから、旗艦防衛は問題ない

――必ず成功させてくれ、大尉』

 

「任せとけ、准将」

ヤザンは口角を吊り上げ、軽く敬礼を返した。通信が切れ、端末の画面が暗転する。

 

ブレックスは椅子に深く腰を下ろし、ひとつ息をついた。

(あの男は時に粗野だが、こういう場面では誰よりも頼りになる。――後は、我らが全力を尽くすだけだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ア・バオア・クー周辺宙域】

 

 要塞近くの宙域を、五機の機影が疾駆していった。

 先頭は、白い光を散らすシナンジュ――ヤザン・ゲーブルの機体だ。そのすぐ後ろには、ウェイブライダー形態に変形したZガンダム――フォウ・ムラサメが滑るように宇宙を疾駆していた。

その機体の背に、ビット装備のアレックスを操るドゥー・ムラサメが跨り、腰を低くしてバランスを取っている。

さらに左右の主翼部分には、同じくアレックスを駆るアスナ・エルマリートとエリシア・ノクトンが、機体のフレームをしっかりと掴みながら並走していた。

四人の乗る複合編成は、Zガンダムの残光を帯びた翼と相まって、宇宙を切り裂く一体の獣のように見えた。

 

「補給休憩も終わって、さあまた旗艦を守るぞ!……って意気込んでた僕らを連れて、最前線に突撃って容赦なさすぎない、ヤザンさん?」

 ドゥーが通信越しにため息をつく。だがその声には、不思議と怯えの色はなかった。

 

 ヤザンは口の端を上げ、軽口を返した。

「今のお前なら、例え最前線でも俺の足を引っ張ることはないと感じたからな。俺から期待されるやつなんて少ないぜ? 喜べよ」

 

「ヤザンさんの期待って、重いからな〜」ドゥーは苦笑しながらも、操縦桿を握る手に力を込めた。「まあ、全力は尽くすよ」

 

 フォウが僅かに眉をひそめる。

「二人は分かるけど……私たちはどうするの、ヤザン?」

 

 ヤザンは短く息を吐き、視線を敵影のある宙域へ向けた。

「俺が要塞近くの戦艦を片っ端から叩き落とす。ドゥーは、それを助けようと向かってくる敵をひたすら撃ち落とせ。フォウはドゥーのフォローだ。アルマリートとノクトンは、後方からビットで援護しろ」

 

「りょ、了解です!」アスナ・エルマリートが緊張した声で答えた。

 

「私も了解しました」エリシア・ノクトンは短く返し、冷静に照準を調整する。

 

 次の瞬間、ヤザンのシナンジュが推進剤を全開にし、漆黒の宇宙を切り裂いた。

 狙うは要塞近くに散開するジオンの戦艦群――ザビ家とその信奉者が、最後に逃走の足場としようとしている艦艇だ。

 

「よし、見せてやるか。シナンジュの火力ってやつをな!」

 ヤザンが咆哮し、ビーム・マグナムを放つ。閃光が宇宙を裂き、最後列の巡洋艦を一撃で爆散させた。

 

 それを合図に、ドゥーとフォウが左右に散開。ドゥーのアレックスは鮮やかな残光を引き、要塞に取り憑かれ、攻撃される戦艦を助けにきた敵を次々に撃墜していく。フォウはドゥーの背後をカバーし、死角から迫る敵を確実に排除した。

 

 アスナとエリシアは距離を取り、ビットを一斉に展開。光条が宙域を駆け抜け、戦艦の砲座や敵MSを次々に焼き切る。

 

その中、ヤザンの視線は要塞ドックの方向へと向いた。修理を終え、出撃準備を整えたばかりのムサイ級が二隻、静かに航行を始めようとしている。

 

「いい位置にいるじゃないか」

 ヤザンはニヤリと笑い、シナンジュのビーム・マグナムを構える。敵の艦橋を狙い、エンジン部分を避けて精密射撃。閃光が走ると、二隻のムサイ級の艦橋だけが焼き切られ、爆発は免れたものの艦は航行不能となった。

 

 ムサイ級は脱出不能に陥り、ドックの出口を塞いだ。これで要塞の防御ラインはさらに弱体化し、ザビ家の退路は確実に断たれていく。

 

 爆炎と閃光が、要塞周辺を赤く染めた。

 ザビ家の退路を断つための、徹底した破壊戦が始まったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ア・バオア・クー宙域/戦闘宙域】

 

 ギレンの演説が、戦場の全域に響き渡った。

 ――地球人類の抹殺を宣言する、狂気に満ちた檄。

 

 その言葉を耳にした瞬間、シャリア・ブルの全身に怒りが駆け抜けた。

「またも……コロニー落とし……!」

 一年戦争で、すでに人類の半数を殺戮したあの悪夢を。今度は戦力分断のためだけに、再び繰り返すというのか。

 

 しかし、ノイエ・ジールは迷いもなく迫ってくる。アナベル・ガトー、その顔に躊躇はなかった。むしろ勝利を確信する戦士の眼光があった。

 

 デンドロビウムを操りつつ、シャリアは通信を開く。

「またもコロニー落としですか? 一年戦争であれだけの民間人を殺した虐殺を、また繰り返すのですか。しかも今回は戦力を分断するためだけ……。あなたは何も感じないのですか?」

 最後の問いだった。これが通じなければ、もう二度と理解し合うことはできないだろう。

 

 返ってきた声は、鋼のように硬く、しかし狂信に濡れていた。

『我々は義によって動いている! アースノイドどもは堕落し、腐敗した! その地球人どもが、決して負けられぬ戦いのための――栄誉ある犠牲となるのだ! 貴様に、これ以上語る言葉はない!』

 

 シャリアは目を閉じ、息をひとつ整えた。

「……ええ、私ももうあなた方に一欠片の善意を期待することをやめます。アルテイシア様が治める宇宙に、ザビ家も、その信奉者も必要ない。ただただ、燃え滓のように消えてください」

 

 デンドロビウムの装甲が展開し、インコムが一斉に射出される。

 だが、ガトーのノイエ・ジールはその光の網をことごとく振り払い、信じられないほどの精度で回避を続けた。

 遠距離からのビームはIフィールドで受け止め、フィールドの内側に入り込まれれば、巨体とは思えぬ巧みな機動でかわしてみせる。

 

「……オールドタイプでありながら、ずいぶん私のオールレンジ攻撃を避けるのが上手いですね」

 驚嘆を隠さず告げるシャリア。

 

 ガトーは狂気を帯びた声で吼えた。

『当然だ! ギレン閣下とキシリアの女狐の間をうろちょろしていた蝙蝠が、ジオン最強のニュータイプなどと評され、私と並ぶなど――こんな屈辱はない! 私はキケロガの戦闘データを何度も叩き込んだ! 貴様の有線サイコミュなどに敗れる私ではない!』

 

 その叫びに、シャリアはふっと冷たい微笑を浮かべた。

「なるほど……でしたら仕方ありませんね。有線での攻撃はやめます」

 

 次の瞬間、インコムの制御ケーブルが切り離される。

 光の群れは、無線制御のビットへと姿を変え、ノイエ・ジールを取り囲んだ。

 

「なっ……! 有線ではなく、ビットだと!?」

 驚愕するガトーの声を無視し、シャリアは冷徹に命じた。

 

 ビットが一斉に収束し、ノイエ・ジールのビーム砲口を、メインカメラを、関節を次々と撃ち抜いた。

 ノイエ・ジールの巨体が、黒煙を噴きながら傾いでいく。

 

『……ジーク・ジオン!』

 最後に叫びを残し、アナベル・ガトーのノイエ・ジールは爆散した。

 

 その閃光を見届け、シャリアは小さく呟いた。

「……急ぎアムロ・レイに加勢しなくては」

 

 脳裏に、先の戦闘で接触したジオン兵の言葉が蘇る。

(……やはり、兵たちは人質を取られていた。あれでは内部からの反対勢力など生まれるはずもない。……)

 

 シャリアは決意を新たにした。

「せめて、私が戦うことで示さねばならない。ジオン出身者すべてがザビ家を盲信しているわけではないと」

 

 そして心の奥底で、もうひとつの思いを抱く。

(……それに、アムロ・レイの言うコロニー落としへのカウンター作戦……もし本当に可能なら、これほど好都合なことはない。要塞の中にいるのは、ザビ家とその狂信者だけ、――連中をこの宇宙から、葬るために)

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