ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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第三十二話: 星二号作戦12 カミーユvsロニ&バーニィ

【宇宙空間・落下コロニーへ向かう航路】

 

 四機のフルサイコフレーム搭載ガンダムが、流星のように宇宙を駆けた。

 先頭を行くのはHi-νガンダム。その背を追うように、白銀のユニコーン、黒金のバンシィ、そして黄金のフェネクスが続く。

 その姿は、まるで人類の運命を左右する天の騎士たちの行軍のようだった。

 

 ゼロは胸の奥にざらついた違和感を抱えていた。

(バイオセンサーのフィルター……。一年戦争の頃、一度に数千もの死者が出て、ニュータイプは断末魔の念に押し潰された。それを防ぐために、テム博士とムラサメ博士が開発してくれたものだ。これをオンにしておけば、いくら死が溢れようと精神は守られる……。本来、オンオフは個人の判断に任されていたはず。それを今回は“必ずオンにしろ”と命じられた。阻止するんじゃないのか? コロニー落としを……)

 

 思考を遮るように、通信が入る。

「アムロさん!」カミーユが声を張る。「コロニー落としを阻止するんですよね? どうやるんですか?」

 

 

先頭を飛ぶアムロの声は、ひどく冷静だった。

「詳しく話そう。――俺たちは、コロニーの核パルスエンジンを一つだけ残し、他は破壊する。推進力を奪って軌道を変えるんだ。地球への落下コースを、ア・バオア・クーへと向ける」

 

「ア・バオア・クーに……?」

 

「ああ」

「公式記録では“戦闘の余波でエンジンが暴走し、コースが逸れた”とする。だが実際には、俺たち四機のサイコマシンが作る《サイコ・フィールド》で、残ったエンジンの出力を利用し、コロニーそのものを要塞に叩き落とす」

 ゼロは息を呑んだ。

「なっ……! それって……」

 

「ああ」アムロの返答は、あまりにもあっさりしていた。

「要塞の中にいる兵は、ほとんどが死ぬだろう」

 

「そ、そんなことしなくても!」リタが声を荒げた。「この戦いは、もう連邦の勝ちです! 私たちが抜けても戦局は変わりません!」

 

「そうです!」カミーユも叫ぶ。「僕らがジオンと同じことをしなくても!」

 

「同じ……?」アムロの声音が一瞬だけ鋭さを帯びる。「違うぞ、カミーユ」

「ジオンが狙ったのは、軍人ですらない地球の民間人だ。俺たちが狙うのは軍事要塞の中で戦争をしている軍人。それもコロニー落としを企み、反対勢力すら存在しない――ザビ家を盲信する連中だけだ」

 

「それは……どういう……」ゼロが眉をひそめた。

 

「セイラさ……いや、アルテイシアさんが連邦の旗印になった時、こちらに合流してきた“灰色の幽霊”からさっき通信が届いた。最前線にいる兵の多くは怯えていたり、強迫観念に囚われていた。理由は……家族を人質に取られているからだ。無理やりモビルスーツに乗せられ、一番槍にされたと」

 アムロの声音は静かだったが、鋭さを帯びていた。

 

「……人質さえ解放されれば、彼らは戦う理由を失うってことですね」

 

「でも、どうやってそんな状況を作り出すんですか?」

 

「ブレックス准将の命令で、前線に残っている兵士たちがア・バオア・クーのドックや連絡ゲートを破壊している。逃げ道を塞ぎ、ザビ家とその信奉者を絶対に外へ逃がさないためだ。――今、要塞の内部に残っているのは、あの狂信者たちだけだ」

 視線を前に向けたまま、彼は続けた。

「ザビ家とその取り巻きさえ排除すれば、人質を取られていた兵士たちは投降してくる。俺たちが残すのは、セイラさんが統治する新しい政府に恭順できる人間だけだ」

 

 言葉を失うカミーユとリタ。その沈黙を埋めるように、ゼロが低く応じた。

「……軍人としては理解できます」

 

 だが、心の奥では――二人は違った。

 カミーユとリタは、この人がかつて妻シイコと子供と共に笑っていたことを知っている。だからこそ、この“復讐鬼”の選択を、どうしても止めたい気持ちを抑えられなかった。

 

 アムロは二人の心を読んだかのように言った。

「君たちの気持ちは、嬉しく思う。……だが、ジオンがまたコロニー落としをやった以上、分からせなければならない。これがどれだけ危険かを。俺たちが現役で戦っている間はいい。だが、その後は? 残党が、またいつコロニーを落とすかもしれない状態では――スペースノイドとの融和など不可能だ。この戦争で膿を出し切る必要がある。」

 

「分かりました。俺は全力を尽くします。けど、カミーユとリタは……」

 

「ああ。2人はコロニーの周りにいる敵の排除だけ協力してくれればいい。後のことは俺がやる。ゼロも周りの敵を排除した後は」

 

「……ここまで来て蚊帳の外は無しですよ」ゼロがアムロの言葉を遮るように言った。「俺だって、ザビ家とその信奉者にはもう愛想が尽きました。やり切りますよ」

 

「二人で勝手に結論つけないでください!」カミーユが声を張り上げた。「俺だってやります! 確かに……少し思い上がってました。ジオンに俺たちに勝てる奴なんて全然現れないから、敵が何を仕掛けてきても跳ね返せばいいなんて思ってた。でも、俺たちの後の世代に、こんな虐殺兵器に立ち向かわせるわけにはいかない。ここで――ザビ家を終わらせましょう!」

 

 震える声で、しかし強い眼差しを向けてリタが言った。

「……分かりました。でも、アムロさん。これはブレックス准将が認めた、軍事作戦です。あなたは虐殺者なんかじゃない。だから……この戦争が終わったら、あなたの家族に会ってください。それだけ……約束してくれれば」

 

 アムロは、短く息を吐いた。

「難しいことを言う……」

 

「当たり前です」リタは涙を堪えて微笑む。「私たちは……シイコさんの最後の言葉を聞けませんでした。でも、きっと“我が子を頼む”って言ったはずです。だから、必死なんですよね? この後の子供たちが生きる世界を、悲惨な戦争の舞台になんてしたくなくて……」

 

 四機の光が、落下するコロニーを目指し、さらに加速していく。

 その先に待つのは――人類史を守る決戦だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【落下コロニー周辺宙域】

 

 虚空に響き渡る警報。やがて観測レーダーに、夥しい数の光点が浮かび上がった。

 八十機――ジオン兵の乗るゲルググ隊が、コロニーを守るように展開していた。

 

「来やがったぞ!」

「連邦のガンダムどもだ!」

 ジオン兵たちの声が一斉に交錯する。

 

「みすみすコロニー落としを阻止するために戦力を分断しやがった!」

「いくらエースとガンダムだろうと、八十機のゲルググ相手に四機で勝てるかよ!」

 

 アムロは先頭で機体を滑らせながら、静かに呟いた。

「さて……俺たちが倒してもいいんだが?」

 

 唐突な言葉に、後ろを飛ぶゼロ、カミーユ、リタの三人は「?」と困惑の表情を浮かべた。

 まるでアムロは、自分たち以外の誰かに語りかけているかのようだった。

 

 その答えは、直後に割り込んできた声が示した。

 

「ご冗談を」――低く響く声。

「私はアルテイシア様より、コロニー落としに賛同するジオン出身者ばかりではないことを証明せよと託され、この戦場に来たのですよ。露払いは、我々に任せてください」

 

「……我々?」ゼロが息を呑む。

 

「こちら、コウ・ウラキ中尉です!」若い声が続いた。「デンドロビウムで加勢します!」

 

 光を裂くように二つの巨影が宇宙に現れる。

 一つは、異様なまでに禍々しく拡張されたシルエット――シャリア・ブルの駆る、ニュータイプ仕様のデンドロビウム。

 もう一つは、――オールドタイプでありながらデンドロビウムの性能を100%引き出せる稀有な才能を持つコウ・ウラキの通常型デンドロビウムだった。

 

 その存在感は圧倒的だった。まるで「拠点防衛」という名のもとに敵拠点を殲滅するためだけに作られた、巨獣たち。

 

「いけ!」シャリアの指示に呼応し、巨大メガ・ビーム砲が火を噴いた。

 一条の奔流が宙域を薙ぎ払い、数機のゲルググをまとめて焼き尽くす。

 

「ミサイルコンテナ、全弾射出!」

 コウの声と共に、無数の弾頭が解き放たれ、雨のように降り注ぐ。爆発が連鎖し、戦場を光と炎で覆った。

 

 さらに両機から伸びたワイヤーが敵群を横断し、張られた瞬間に炸裂する。爆導索が網を裂くように爆発し、また数機のゲルググが木の葉のように散っていく。

 

「な、なんだこの火力は……!」

「くそっ、近づけねえ!」

 

 混乱するジオン兵の中で、シャリアのデンドロビウムが異質な存在感を示していた。

 外装から放たれるのは、有線から分離したインコム――まるで小型の無人兵器群のように敵を襲い、正確無比にビーム発射口やカメラアイを撃ち抜いていく。

 

「有線サイコミュからビットに変わる!? こんなのジオンの技術には!」

 動揺する声が宙域に木霊した。

 

 その全てを統べるのは、かつて「ジオン最強のニュータイプ」とまで謳われた男、シャリア・ブルだった。キケロゲすら凌ぐ機体性能を、その能力を余すことなく引き出していた。

 

 八十機のゲルググは、次々と撃ち落とされていく。

 アムロたち四機は、ほとんど攻撃を受けることすらなく、ただ目の前の光景を見届けていた。

 

「……すごい」リタが思わず呟く。

 

「強い……ジオンにも、こんな奴がいたのか……」

(――この人を相手にするなら、ドゥーやフォウじゃ無理だ。俺とリタでも勝てるとは思うが、確実を期すなら3人の誰かじゃないと……)

 

 ゼロは静かに息を吐き、Hi-νの背を追い直した。

「アムロさん。これで……コロニーへ行けますね」

 

「ああ」アムロは短く答える。「ここからが本番だ」

 

 残骸と炎に包まれた宙域を抜け、四機のフルサイコフレームは、宇宙を進み続けるコロニーへと向かった。

 ――その光景は、この世界で起きることのなかった“アクシズ・ショック”と同等の奇跡の前兆だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四機のガンダムは、落下コロニーの目前に辿り着いた。

 アムロの声が、ヘルメットの内側で静かに響く。

 

「――ここからだ。ゼロ、カミーユ、リタ……サイコフレームの出力を限界まで開放する。俺に合わせろ」

 

「了解!」ゼロが短く応じる。緊張の奥に、決意が宿っていた。

 

「僕らの力を全部、ですか……」カミーユは息を整え、スロットルを握る手に力を込める。「やりましょう。ここで終わらせるんだ!」

 

「私も……!」リタの声は震えていたが、その瞳は真っ直ぐだった。「このコロニーを絶対に、地球になんて落とさせません!」

 

 四人が同時にトリガーを操作すると、サイコフレームが一斉に共鳴を始めた。

 虹色の光が機体の装甲の隙間から溢れ出し、オーラのように四機を包み込む。

 

 アムロは静かに言葉を続けた。

「このフィールドでコロニーを押し返す。地球へ向かう軌道から、ア・バオア・クーへのコースに変えるんだ」

 

「――分かりました!」ゼロの声が、通信の中で力強く響いた。

 

「よし、全員で張り付くぞ!」アムロのHi-νが先頭を取り、巨大なコロニーの外壁に接触する。

 その背後に、ユニコーン、バンシィ、フェネクスが続いた。

 

 機体から発せられる虹色の光が、まるで意思を持つかのようにコロニーの表面に絡みついていく。

 四人の機体から溢れた力が、コロニーの進行方向とは反対側へと力を加えた。

 

「こんな……力が、これがフル・サイコフレームのガンダムの力……!」カミーユが驚きの声を漏らす。

 

「驚いてる暇はないぞ!」ゼロが叫ぶ。「押し切りましょう、アムロさん!」

 

「ああ、分かってる」アムロの声は冷静だったが、その奥には確かな熱が宿っていた。「もう少しだ……全力で行くぞ!」

 

「はいっ!」リタが短く返し、さらにスロットルを押し込んだ。

 

 四機のサイコフレームが発する虹の奔流が、コロニー全体を包み込み、軌道を少しずつねじ曲げていく。

 地球へ落ちるはずだった巨体は、緩やかに進路を変え、ア・バオア・クーの方角へと吸い寄せられるように進んでいった。

 

 

 

 

【落下コロニー周辺宙域・ア・バオア・クー側からの敵】

 

 コロニーの前方、進路を遮るようにジオン兵の機体群が現れた。

 

「何で地球に落ちるはずのコロニーがア・バオア・クーに向かってくるんだ!?」

 一機のゲルググのパイロットが思わず叫ぶ。

 

「知るかよ! それより早くコロニーの中の管制室に行くぞ! 核パルスエンジンが残ってるんだから軌道をまた変えて地球に落とすんだよ! こいつは地球の連中を皆殺しにするための兵器なんだからな!」

 別のパイロットも慌てた声で叫ぶ。

 

 その声を聞いたアムロ・レイは、Hi-νガンダムを直進させながら冷静に言い放つ。

「お前達みたいなのばかりだと助かる。コクピットを外してもらえると思うなよ。」

 

 瞬間、思念で操るビームサーベルがファンネルのように飛び敵を斬り裂く。ビームマグナムとフィン・ファンネルも次々に発射され、20機のゲルググと2機のビグロが爆炎に包まれた。

 

「まだ地球に落とす気なのかこいつらは!」

 怒りを露わにゼロもバンシィを旋回させる。アームド・アーマーBSを駆使し、6機のゲルググを撃ち抜いた。

 

その勢いのまま、ゼロはビームマグナムを引き絞り、遠方のムサイ級巡洋艦を狙う。

 放たれた光の奔流は艦体を一直線に貫き、背後のもう一隻までも焼き裂いて爆炎に沈めた。

 

 同時に、五方向からゲルググカスタムの特攻が迫る。

 ゼロは一瞬だけ目を細め、思念で二本のビームサーベルを射出。

 前後から突進してきた二機を鮮やかに切り裂くと、両手のビームトンファーを展開し、左右から迫った機体のコクピットを同時に貫いた。

 

 最後に残った敵は真上から降下しながら叫ぶ。

「終わりだ! ガンダム!」

 

「誰が!」

 ゼロは即座にバンシィを跳躍させ、撃墜したゲルググが落としたビームサーベルを蹴り飛ばす。

 回転した刃は一直線に敵のコクピットへ突き刺さり、爆炎が宇宙に散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「邪魔するな! このコロニーは地球に落とすんだ! 地球のエリートどもに目のもの見せてやる!」

 

「元々お前達が地球に落とそうとしたものを返してるだけだろ。因果応報だ。他のジオンどもが二度とコロニー落としなんて企めないように、いい見本になるんだな」

 

 カミーユのユニコーンはハイパービームサーベルを振るい、突っ込んできたゲルググを貫く。そのまま横に振り抜く。線上にいた5機のゲルググは、切り裂かれ、爆散した。

 

 立ち上る爆煙の中から、六基のファンネルが鋭い光線を放ちながら飛び出してきた。カミーユは即座にユニコーンを反転させ、機体を滑らせるように動かして回避。

 

「鈍いんだよ……」

 彼は息を整えながら、接近してきた一基のファンネルを見切ると、ユニコーンのマニピュレーターを伸ばして掴み取った。そのまま別のファンネルへ向けて投げつけ、二基まとめて爆散させる。

 

「ファンネル……ってことはニュータイプか」

 

 通信が割り込む。ロニ・ガーベイの声だった。

「いとも容易く私のファンネルを……! 先輩、ここであいつらを倒してコロニーを地球に落とさなければ、私たちジオンに勝機はありません!」

 

 ロニーのマブとしてここまで戦ってきた、バーニィがカスタムゲルググを操りつつ答える。

「分かってるロニー。せいぜい前衛を張らせてもらうさ」

(つっても新型ガンダム相手でどこまで保たせられる?)

 バーニィの胸中には暗い諦観があった。

(ったく、もう結果は見えてるのになんで上は降伏しないんだ。ガトー少佐も倒された。しかも倒したのは、希望だった“灰色の幽霊”だ。敵の超速いモビルアーマーに乗って裏切ってる。なのにガンダムタイプの撃破報告は一機もない! これで勝てるわけないだろ……でも後輩を見捨てるわけにも……)

 

 その思考を拾った、カミーユの声が通信から届く。

「おとなしく投降するなら、命までは取らない」

 

 しかしロニは激しく叫び返す。

「ふざけるな! お前達がやったんだ! 私の仲間も、家族も! 今さら命惜しさに降伏なんて、誰がするものか! くたばれガンダム!」

 

 怒りに呼応するように、残ったファンネル二十八基が一斉にユニコーンを取り囲み、ビームを放った。

(そっちの悩みを抱えてる方にだったんだけどな……)

 カミーユは心の中で苦くつぶやく。

(でも、こいつを止めもしない以上仕方ない。ここで倒す)

 

 カミーユは思念でビームサーベルを操り、その刀身を回転させる。ビームマグナムを同調させて撃ち込み、刀身を核にしたビームの散弾を発生させた。広がった光が周囲のファンネルを一掃する。

「なっ!? 一撃で全てのファンネルを――」

 ロニの視線が破壊されたファンネルに釘付けになる。だが、その背後からビームサーベルが迫っていた。

 

「ロニー!」

 バーニィが咄嗟に割り込み、彼のゲルググカスタムがロニのキュベレイをかばった。刹那、バーニィの機体はサーベルに貫かれる。

「せ……先輩?」

「ロニー、死んだからってお前も同じところに来てくれなんて言う心の狭い先輩なんて無視しとけよ。俺から言うのは一つだけだ……生きてくれ」

 バーニィの声と共に、ゲルググカスタムは閃光を残して爆散した。

 

「今度は先輩まで……!」

ロニの叫びは怒りと悲しみに震えていた。

 

その感情に呼応するように、キュベレイの装甲から赤いオーラが滲み出す。

まるで機体そのものがロニの想いを受け止め、力へと変換しているかのようだった。

オーラは次第に濃さを増し、キュベレイの周囲に淡い膜のような光を形成していく――それは、彼女の想いを守るかのように張られた防御フィールドの前兆だった。

 

 

 カミーユはユニコーンのビームマグナムを構え、ロニのキュベレイへ向けて引き金を絞った。

閃光の奔流が一直線に伸び、キュベレイを包み込む。

 

「くっ――!」キュベレイのオーラのような守りが閃光と拮抗する。

しかし、圧倒的な出力の前に防御は軋み、コクピットにアラートが鳴り響いた。

機体が激しく揺さぶられ、衝撃でシートベルトが軋む。

 

次の瞬間、キュベレイの右腕が閃光に呑まれ、根元から吹き飛んだ。

辛うじて本体は爆散を免れたものの、装甲の一部が焼け焦げ、姿勢制御すら不安定になる。

 

「カミーユ・ビダン! お前を殺してやる!」

 

「本当にジオンの連中はいつまでも被害者顔をする。恨みたければ恨んでいい。その憎しみごと、消し飛ばしてやる!」

 

 カミーユの怒りに応じ、ユニコーンの虹の光に赤い輝きが混じり始める。

 ロニはキュベレイのビームサーベルを巨大化させて突進。カミーユもハイパービームサーベルを握り締め迎え撃った。

 刹那の交錯。宇宙世紀最高峰のニュータイプ、カミーユ・ビダンの操るユニコーンの一撃は、ただのサイコミュ搭載機であるキュベレイに一瞬の鍔迫り合いすら許さず、機体ごと真っ二つに切り裂いた。

 

(ただで死んでたまるか……お前も……連れていく!)

 ロニの怨念が、濃い闇となってカミーユへまとわりつこうとする。

 

「いちいち付き合ってられるか!」

 カミーユはユニコーンのサイコフィールドを展開し、その想念を弾き飛ばした。

 

怨嗟の気配を弾き飛ばした刹那――

 カミーユの意識に、ロニの記憶が流れ込んできた。

 

 軍学校に入ってからの日々。

 少し頼りないのに、なぜか離れたくないと思わせてくれた先輩――バーニィとの笑顔の時間。

 一年戦争をジオンが勝ち抜いたおかげで、ようやく再会できた両親の温かな笑顔。

 両親の友人であるカーティス教官の、厳しくも思いやりある訓練の日々。

 最近部隊に入ってきた、復讐のためにジオンに加わったマチュとニャアン――生意気で放っておけない後輩たちの顔も浮かぶ。

 彼女たちは、生き残っているのだろうか――そんな淡い不安と願いが、彼女の心の奥底に残されていた。

 

 その一瞬の温もりを押し流すように、戦場の現実がカミーユの胸を突き刺した。

 

「俺に……こんなものを見せて!」

 ユニコーンのコクピットで、カミーユは歯を食いしばり、叫んだ。

「憐れんでほしいのか!? 戦いに負けそうになったからって、民間人を――数十億もの命を犠牲にする作戦を平気で選ぶような連中を、誰が憐れんでくれるって言うんだ!」

 

 ユニコーンのサイコフレームが怒りに呼応し、赤を帯びた虹色の光が渦を巻く。

 ロニの想いの残滓は、その奔流に呑まれ、やがて静かに消えていった。

 

「……もう、こんな繰り返しは終わりにする」

 その声は震えていなかった。

「ザビ家を――ここで終わらせる。二度とこんな戦争を起こさせないために」

 

その決意を胸に、ユニコーンは閃光をまとって次なる敵の元へ飛び込んだ。




ここのカミーユはイケおじじゃない方の木星帰りに道連れアタックかけられても弾きます。まあアニメZのカミーユはシロッコの怨念もあるけど、カミーユ自体が戦いに疲れて自らああなったって説も見ましたが。


これがアムロがゴップに許可を求めたコロニー落としへのカウンターです。そもそもジオンの連中は一度もコロニー落としを味わったことがないからあんなことができる。なら落とされたコロニーをリターンしてやればいい。
原作アムロさんなら絶対やらないでしょうが。ここのアムロさんからすればジオンは、一年戦争で親父からガンダムを奪い大暴れ、しかも妻はそのガンダムに殺される、それでもギリギリ理性的に戦ってる彼にコロニー落としなんてやらかされたらねぇ。もう我慢する必要なくなりますよねぇ。
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