ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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連邦軍のテムレイへの責任追及から彼に泣きついてる所まで


幕間
幕間: 敗戦とテム・レイ再招集


敗戦とテム・レイ再招集

 

――宇宙世紀0079、サイド7陥落の数日後。

 

地球連邦軍ジャブロー本部、技術局会議室。

厚い扉の内側で、将官たちの怒声が飛び交っていた。

 

「ガンダムを奪われた責任は重大だ!」

「誰が開発責任者だった!? テム・レイだろう!」

 

将官のひとりが、怒りの拳でテーブルを叩く。

ホログラムに映し出されたのは、サイド6で“鹵獲された”とされるRX-78――その後、ジオンの手でリバースエンジニアリングされ、gMS-01 ゲルググとして生まれ変わった新型モビルスーツだった。

 

「敵はガンダムのデータを手に入れ、ゲルググという悪夢を手にした」

「見た目はジム、だが性能は完全に別物だ。軽キャノン2機が1機にやられているという報告もある」

 

「そんなモノを作られた以上、テム・レイはもう開発には関わらせられん!」

「彼は“檻”に入れておけ。第6ブロックで雑用でもさせておけ!あそこなら口も封じられる」

 

その決定により、テム・レイは設計主任の座を外され、軍の隔離施設――通称「檻」へ送られた。

V計画の中心にいた男は、まるで厄介払いのように、埃まみれの書類整理や機材運搬といった雑務に従事させられることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

地球連邦軍最高司令部、ジャブロー中央会議室。

 

薄暗い会議室に、重苦しい沈黙が流れていた。

壁面モニターには、ジオン残存艦隊が地球圏を制圧している戦況図が表示されている。

その色分けは、もはや“惨敗”という言葉以外に形容のしようがなかった。

 

「……ルナツーも陥落。宇宙で我々の拠点は皆無だ。戦略的には、完膚なきまでに叩き潰された」

 

軍務局長グリーンウッドが沈痛な面持ちで言った。

 

「確かに地上では勝った。ジオンの地球拠点はすべて排除した。……だが」

 

「……肝心の“宇宙”を失った。それもすべて、ゲルググによる物量と質の差だ」

 

参謀の一人が、ゲルググと軽キャノンの戦力比較を表示する。

 

gMS-01:ゲルググ

戦闘評価:軽キャノン2機を一機で撃破可能。パイロット次第でそれ以上の戦果。

技術基盤:サイド7で奪取された連邦のガンダムをリバースエンジニアリング。

 

軍の技術監査が始まった。

 

「ゲルググに勝てるモビルスーツが、こちらには無かった……」

「軽キャノンでは火力も反応速度も話にならない」

「技術で負けた……! 我々はジオンに“ガンダムの技術”で敗北したんだ」

 

軍務省の技術顧問が机を叩いた。

 

「ならば聞こう。誰が勝てる機体を造れる? 我々の持つ資源と予算で、ゲルググを上回るモビルスーツを開発できる者は!」

 

沈黙が訪れた。やがて、ひとりが呟いた。

 

「……テム・レイだ」

 

「彼はガンダムの設計主任だ。ゲルググの原型を生んだのも、突き詰めれば彼の責任だ。しかし――それでも彼しかいない」

 

「馬鹿を言え。ガンダムをジオンに奪われた張本人だぞ。だからあの“檻”に幽閉していたんだ!」

 

すぐに別の者も反発する。

「あの男にまたやらせるのか?ガンダムを奪われた当人だぞ!」

 

しかし、別の技術参謀が苦々しい声で答える。

 

「……だが、それで我々は勝てたか?」

 

重苦しい沈黙が再び落ちた。

 

「レビル将軍も失った。艦隊の多くも消えた。今ここに残っているのは、ジオンの独立を認め、敗北を受け入れた我々だけだ」

 

グリーンウッドが立ち上がり、厳しい声で言い放った。

 

「問題は、彼が失敗したことではない。“彼が作った機体”が戦局を変えたという事実だ」

「皮肉な話だが……我々は、“テム・レイの才能”に敗れたのだ。敵を通してな」

 

「……連邦は敗れた。我々の設計思想も、軍の体制も、全てが通じなかったんだ」

 

彼は深く息を吸うと、続けた。

 

「もう、プライドなど不要だ。テム・レイを呼べ。檻から解放し、再び設計台に立たせろ。我々に残された時間は、もう長くない」

 

重い沈黙が流れた。

 

「彼しかいない」

 

 

 

 

檻の奥深く。

埃をかぶった配線の山を整理していた男のもとに、再び軍服の影が現れる。

 

「中佐。お戻りいただきたい。今度は……あなたのやり方で構わない」

 

その時、テム・レイの手は止まった。

 

彼の目が見つめる先には、かつて引き裂かれたRX-78の設計図。

そして、まだテムレイの頭の中にしかないガンダムを超える新型機の設計図。

 

こうして、アムロ・レイのための“理想の機体”を創る計画が動き出す――。

 

 

 

 

 

 

地球連邦軍・ジャブロー地下研究施設 第7格納実験区。

 

深夜。格納庫の中は、人工灯に照らされて青白い光が走っていた。

機械の駆動音とキーボードを打つ音だけが静寂を破っている。

 

テム・レイは膨大なセンサー・ログとにらみ合っていた。

解析対象は2つ――ひとつは、シャア・アズナブルに奪取された“赤いガンダム”の戦闘データ。

もうひとつは、鹵獲したジオンの量産機“ゲルググ”のOSと反応パターンだ。

 

「……この動き。ガンダムを知っている、だけじゃない。作り手の手口まで見抜いた上で、逆手に取っている……!」

 

モニターには、赤く塗られたガンダムが戦場を自在に翻弄する様子が映っている。

固定装備のバルカン砲で牽制し、ビーム・ライフルで一点を撃ち抜き、シールドでの受け流しを完璧に使い分ける。

接近戦では、ビーム・サーベルが無駄なく急所へと滑り込んでいた。

 

そして何より、後半戦――

 

「……これがアルファ型、サイコミュ……!」

 

ビーム・ライフルを捨て、6機の小型無人兵器=ビットが展開される。

文字通り“死角なき戦域”。四方八方から敵を撃ち抜くオールレンジ攻撃。

あれが実戦で成立しているという事実が、テムの背筋を冷やした。

 

「“反応速度”が常識外れなんだ。……人間の限界を越えてる。これを正面から破るなら――機体だけじゃない、“人間”も進化させなきゃならん」

 

彼はふと、横に表示されたゲルググの機動データに目を落とす。

模倣だ。だが、徹底されている。ガンダムの設計思想を理解した上で、再構成している。

 

「……我々は、ガンダムを作り、ジオンは“盗み理解した”。」

 

悔しさが、にじむ。

だが、目の前の敗北こそが――アレックスの出発点であった。

 

テム・レイは、無数の設計データをモニター上に展開する。

その中心には、まだシルエットだけの機体がひとつ。

白と青、そして人知を超えた反応制御回路が骨格を形作ろうとしている。

 

「……ならば、“模倣のその先”を作る。ジオンが真似できない、本物の“次世代”を」

 

彼の指が、ホロインターフェースを滑る。

 

データ名:《RX-78NT-1 設計案 #01 “アレックス”》

 

画面に、ようやく輪郭を現した新たなるガンダムが浮かび上がった。

 

 

 

 

 

 

 

テムは指を止めることなく、ログファイルを呼び出す。

表示されたのは、3つの識別コード――

 

《AMURO-R》

《GABLE-Y》

《MURASAME-Z》

 

「……問題は、誰がこのアレックスに“追いつける”か、だ」

 

呼び出されたのは、3人のパイロットによる近接・中距離戦闘の高負荷テストログ。

使用機体はいずれも“軽キャノン”をカスタムした特別機体だ。

だが、そのフレームでは既に――彼らの“内圧”に耐えられていなかった。

 

まずアムロ。

圧倒的な空間把握能力と直感的な機体操作で、敵機6機をわずか17秒で無力化。

だが、軽キャノンの駆動系が限界に達し、機体が過熱して停止した。

 

「機体が追いついていない……アムロの頭と手が、すでに“次の段階”にいる」

 

続いてヤザン。

戦闘スタイルは直線的で苛烈、被弾を恐れぬ突貫戦法で敵を翻弄し、一瞬の隙に斬り伏せる。

だが、軽キャノンのフレームが強烈なGに悲鳴を上げ、シールドユニットが空中で分解している。

 

「自分の身体より、先に機体が壊れるパターンか……まるで獣だな」

 

最後にゼロ・ムラサメ。

動きは滑らかで、読み合いより“直感”で動くスタイル。

サイコミュ的な特性がログに表れ、通常の操縦では説明不能な軌道を描いていた。

 

「こいつは……完全に反応系が“逸脱”してる。明らかに強化人間として、別フェーズにある」

 

しかし同時に、ログには明確な欠点も映る。

急激な負荷の後に起こる入力遅延、攻撃後の動作停止――強化人間特有の神経系の限界だ。

 

テムは静かにメモを打ち込む。

 

“RX-78NT-1『アレックス』適合候補:アムロ・レイ/ヤザン・ゲーブル/ゼロ・ムラサメ

※機体制御限界を超え得る唯一の存在。

※各人に対し、出力・反応系統をカスタム調整。

※ゼロ・ムラサメには精神負荷軽減ユニットの搭載を必須とする。”

 

「ようやく見えてきた……“アレックス”は、この3人のためにある」

 

テムは拳を握り、スクリーンを見据える。

 

「連邦が“模倣に負けた”のは事実だ。だが、これから先は――創造で勝つ」

 

次の瞬間、ホロ投影の中で“アレックス”の光の骨格が完成し、確かな姿を結んだ。

 

未来の戦場で、再び“敗北”を味わわないために。

テム・レイの逆襲は、ここから始まった――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【テム・レイによる機体提案:アレックスとネモ】

 

――宇宙世紀0080年、地球連邦軍ジャブロー地下開発区画。

 

厳重に閉ざされた会議室に、軍上層部と技術局の要人たちが集められていた。

テム・レイ中佐が再び設計者として前線に立つ、その初の公式プレゼンテーションの場である。

 

会議室中央のホロ投影機が起動し、光の粒子が宙に形を成す。白と青を基調とした洗練されたフォルム――RX-78NT-1「アレックス」が映し出された。

 

テム・レイは静かに、しかし確信をもって語り始めた。

 

「ゲルググを見て、“ガンダムの模倣”と笑った者もいた。だが我々はそれに敗れた。……ならば、“模倣のその先”を示す」

 

投影がアレックスの武装、駆動ユニット、サイコモニターに切り替わっていく。

 

「アレックスは、従来のRX-78系列とは次元が違う。ゲルググとの正面戦闘はもちろん――

そのゲルググをベースに作られた、ジオンのエース用高性能機にすら、単機で勝つことを目的に設計している」

 

将官たちの間に緊張が走る。

 

「これは、選ばれし者のための機体だ。“アレックス”は、ただの主力機ではない。

戦場で“確実な勝利”をもぎ取る――そのための、“武器”である」

 

テムはわずかに間を置き、続けた。

 

「この機体を完全に扱えるのは、空間認識と反応速度で常人を超えた者たち――

アムロ・レイ、ヤザン・ゲーブル、ゼロ・ムラサメ。彼らのために設計された、限界突破の専用機です」

 

ゼロ・ムラサメの名に、将官たちがざわめく。

 

「……ゼロ・ムラサメ? あの“人間兵器計画”の……?」

 

「彼は現在、最も安定し、成果を上げている強化人間です。そして、彼らの扱いも変わりました。

アムロ・レイやヤザン・ゲーブルの働きで、もはや“使い潰す”時代は終わったのです」

 

テム・レイははっきりと言い放った。

 

「我々は、“強化人間を使いこなす技術”を持たねばならない」

 

投影が切り替わり、今度は緑を基調とした実用的な機体が現れる。"MS-100「ネモ」"である。

 

「ネモは、アレックスの基本設計思想を継承しつつも、生産性と操縦性を重視して再構成した量産機です」

 

ネモの機体性能、整備効率、出力グラフがホロに映し出される。

 

「ネモは、1対1でゲルググを打ち破れる性能を持ちます。火力、機動性、反応速度のすべてが軽キャノンを遥かに凌駕しています。

ただし、1対2以上の持久戦となると厳しい――徹底した中隊運用によってこそ、その真価を発揮する機体です」

 

将官の一人が問いかける。

 

「……そのネモを、どれだけ造れる?」

 

「最低30機、理想は100機。それでようやく、ゲルググ主力部隊との対等な戦線が築ける」

 

そして、アレックスの増産について問われたテム・レイは、短く首を振る。

 

「アレックスは限定的に、まず3機。

それ以上の生産は、“実戦でネモに物足りなさを感じたパイロット”に限り、

シミュレーター上でアレックスを操作させ、そのスコアがコストに見合う者のみとすべきです」

 

誰かがつぶやく。

 

「……つまり、使い手がいなければ、ただの化け物か」

 

「その通りです。だからこそ、選ばれし者の“剣”として、必要なのです」

 

テムは一歩前に出て、最後の言葉を会議室に響かせた。

 

「我々は、ジオンの技術と戦い、敗北した。だが、それは“模倣”に負けただけだ。創造では負けていない」

 

「この“アレックス”と“ネモ”こそが、連邦の技術と信念の結晶だ。我々の未来は、これにかかっている」

 

室内に静寂が落ちる。

その沈黙を破ったのは、ひとりの老将の低い声だった。

 

「……これが、ジオンの“その先”を超える、“我々の回答”か」

 




テムレイさん軸にするとアイデアが浮かびやすいわ。

きなこ大福さん初高評価ありがとうございます!執筆の励みになります。
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