ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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ガンダムssを書くならアムロ、テムレイ、ヤザンを書きやすくて書きたいキャラなら、書きたいけど書きにくいキャラ筆頭のジャブローのモグラさん視点です。ゴップっぽい有能だけど狸っぽさが強いところが上手く書けてるといいのですが。


幕間:ジャブローのモグラ

【前日譚:ジャブロー高官区画 ゴップ私室】

 

地下深く、静けさの漂うジャブローの高官区画。

古ぼけた換気扇がカラカラと音を立てる中、ゴップは重い椅子に腰を沈め、手元の書類を静かに読んでいた。

 

《技術士官 テム・レイ 処遇案:隔離区画への移送(通称 “檻”)》

《機密保持の観点から、現場復帰は当面見送り》

 

老将の皺深い顔に、一瞬だけ苦い色が浮かぶ。

 

「……やはり、こうなったか」

 

火をつけた葉巻の煙が、天井に向かって漂う。

 

「あの男が作った機体をジオンに奪われた……。そりゃあ、上層部の連中は黙っていられんだろうな」

 

けれど、戦況はまだ崩壊していなかった。

地球連邦軍は依然として優勢を保っており、各地での補給線と制空権は確保されている。

 

「国力差は依然として三十倍。ジオンがどれだけ足掻こうと、時間さえ稼げばこちらの勝ちだ。

……たかがガンダム一機とペガサスを奪われただけの話。戦局全体から見れば、誤差の範囲だ」

 

淡々とした口調。その実、感情は見せていないが――ゴップは理解していた。

 

「あの男――テム・レイを“檻”に入れるか……」

 

しばし沈黙が流れる。

 

「……本来なら止めるべきなのかもしれん。

だが、今止めても奴は使い捨てられるだけだ。むしろ、今は“封印”されていたほうが、戦後に引き出せる」

 

彼の頭には、すでに戦後の青写真が描かれていた。

 

「息子のアムロ・レイ……素質はある。あの少年が戦果を挙げれば、テム・レイの価値も見直されるだろう。

“戦後”、私が権力を掌握した時に彼を引き上げればいい。それが正しい順序だ」

 

ゴップは、葉巻を灰皿に押し当てた。

 

「……今は、“檻”で眠ってもらおう。

後で起こす。その時まで、邪魔が入らない場所にいてもらった方がいい」

 

淡々と、それでいて戦略的な決断。

 

だが――

 

その判断は、後に彼自身が悔いることになる

 

静かに部屋の照明が落ちていった。

 

 

 

 

 

【シーン:ジャブロー高官区画 ゴップ私室・深夜】

 

データシートを束ねた電子端末が、分厚い机の上に並んでいた。

画面には、各戦線の戦力推移が赤字で表示されている。

 

「また一つ、拠点が落ちたか……。ホワイトベース級の増産も追いつかん。兵の損耗率が高すぎる……」

 

ゴップは小さくため息を吐き、背もたれに身を沈めた。

天井の灯が薄暗く、室内にはかすかな湿気が漂っている。

 

――戦争が始まった当初、連邦はジオンに勝てると信じて疑わなかった。

国力差は30倍。技術力も、生産力も連邦が勝るはずだった。

 

「……だが、現実はこれだ」

 

彼はグラスを持ち上げ、溶けかけた氷の音を聞きながら目を閉じる。

 

頭の奥で、ある名がちらついた。

 

テム・レイ。

“あのとき”、彼を助け出すだけの力が、自分にないわけではなかった。

 

だがあの時はまだ、ガンダムを一機奪われた程度――それが、ここまで響くとは思わなかった。

テムを失っても戦争は押し切れる、そう信じていた。アムロ・レイという息子も戦場に現れつつあり、いずれ形勢を変えてくれると。

戦後に引き上げればよい、と。

 

「……後の祭り、か」

 

誰にともなく、ぽつりと呟く。

 

あれから、連邦の技術部は停滞した。ジオンは鹵獲したガンダムを元に進化させ、ゲルググやサイコミュを投入。

戦線では軽キャノンなどというガンキャノンの出来損ないがガンダムの模倣に薙ぎ払われていく始末。

 

「あの時、無理してでも止めるべきだったのか……。いや、止めるべきだったんだ」

 

彼は顔を覆い、しばし沈黙する。

 

だが――

その先に、まだ光があると信じたかった。

 

「せめて今は、彼の邪魔をさせるな。無能な技術部はまとめて一掃すればいい。……これはもう、失われた時間を取り戻す戦いだ」

 

ゴップの目が、にわかに鋭さを取り戻していく。

 

ゴップは立ち上がり、壁際の端末にアクセスする。

古い通話ログを開き、技術部の数名の名を呼び出す。

 

「“檻の中の狂人”が、唯一まともな設計を残した……。奴がいなければ、反攻など夢のまた夢だ」

 

テム・レイを出す。それが戦後に残された唯一の道だった。

だが露骨に動けば、また技術部の旧派が反発する。今度は、下から崩す必要がある。

 

「技術部の人間に“気づかせる”……奴が必要だと、彼ら自身の口から言わせる」

 

陰から情報を流す。アムロの活躍、赤いガンダムの戦闘データ、鹵獲ゲルググとの比較データ、軽キャノンの限界。

すべてを“自然に”目に入るよう仕向ける。

 

「……そして、奴を出せと言わせるんだ。お前たちの意思で、な」

 

ゆっくりとグラスを置き、ゴップは独り言のように呟いた。

 

「我々は勝てると思っていた。だが、現実は違った。ならば今度は、勝てる者に任せる。私は……寄生虫だ。宿主が生きねば、私も死ぬ」

 

その言葉に、悔恨と決意が混じっていた。

 

そして彼は知らなかった。

その後、テム・レイが設計する“アレックス”と、それに乗るアムロ・レイの存在が、連邦の戦後再編を導く中心となっていくことを――

 

 

 

 

 

【ジャブロー・地下戦略会議室/ゴップ中将発言】

 

かつて「ジャブローのモグラ」と揶揄された男は、

重厚な会議室の空気を軽く一蹴するように、椅子にもたれたまま低く言い放った。

 

「……で、連邦は負けた。ガンダムとペガサスが一機ずつ奪われたからか? 違うな。そうじゃない」

 

幹部たちが息を飲む。

 

「テム・レイを確保していたのなら、それ以上の機体を作らせりゃよかったんだ。

ジオンの技術力にビビって、足並み揃えて足を引っ張るばかりだった諸君らが、

“化け物にだけは主導権を握らせるな”と、檻に放り込んだ。……技術を捨てたのはジオンじゃない、“我々”だ」

 

重く、乾いた声。

 

「国力差は三十倍だ。向こうが1機作る間に、こっちは30機並べられる。

なのに――“ジムはガンダムのコピーだから嫌だ”、だと?」

 

誰かが小さく身じろぎした。だがゴップは気にも留めず続ける。

 

「嫉妬とメンツで軽キャノンを量産し、ラインをいじり倒し、

まともなOSの調整すら進まぬうちに“これが最新だ”と前線に投げた。

……兵が死ぬのは、銃が悪いからでも、弾が切れたからでもない。

“それで勝てる”と思った上層の判断が間違っていたからだ」

 

壁に飾られた戦後戦力評価図を一瞥し、

ゴップは口を歪めるようにして笑った。

 

「ガンダムを奪われた? それがどうした。奪われたものを超える物を作る人間がいた。それを信じなかったのは“我々”の罪だ」

 

沈黙が落ちた。

 

だがその中で、誰も言い返せなかった。

この老人が、嫌味や責任逃れの言葉ではなく――事実を突きつけているのだと、全員が理解していた。

 

 

 

 

 

【シーン:ジャブロー高官区画 ゴップ私室】

 

ジャブローの奥、機密区画にある視察用モニター室。

薄暗い空間に浮かび上がるのは、幾重ものデータシートと、アレックス開発フレームの進捗ログ。

 

テム・レイの名が、そこに何十行と並んでいた。

 

「……やはりな」

 

背後に誰もいないのを確認してから、ゴップは静かに呟いた。

 

「多少無理してでも、あの時テム・レイを“檻”に放り込ませるべきではなかったか……。

あれを技術部の誇りがどうこうで封じ込めたのが、そもそも失策だった」

 

悔やむ口ぶりではある。だが、後悔ではない。

ただ淡々と、事実と結果を並べて認めているだけだ。

 

「まあいい。あの男をようやく外に出せた。……これで、あとは“彼の邪魔をさせなければ”済む話だ」

 

一拍置き、ゴップは薄く笑った。

 

「技術部も――少しはマシになるだろう。腐った果実も、木を揺らせばいくらか落ちる。

“使えるもの”だけ残れば、それでいい」

 

指先で操作盤を叩き、アムロ・レイの模擬戦データを呼び出す。

 

「アレックスを与えた息子は、予想以上に“化け物”だったようだな……。だが、そいつを育てたのは父親だ。

面白い親子だ。どこまでいけるか――見てやろう」

 

声に感情はない。だがその瞳には、次代を読み取る深い色があった。

 

老いた寄生虫は、宿主の変化を誰より早く察知していた。

 




寄生虫として陰に生きれると思っていたらまさか連邦の判断ミスのストレートフラッシュ連打によって、負けたせいで陰に日向に頑張るゴップさんです。
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