ジークアクス世界の闇堕ちアムロ 作:gジェネサイコー
3話連続投稿してます。
ぎこちない再スタート――フランクリンとヒルダ
模擬戦でテム・レイに敗れたことで、フランクリンの私生活も崩れかけていた。愛人はすでに離れていき、妻ヒルダとの関係も冷え切っていた。
ある晩、書斎で資料に向かっていたフランクリンのもとに、ヒルダが静かに入ってきた。
「話があるの」
フランクリンは顔を上げ、少し戸惑いながらも椅子から立ち上がる。
ヒルダの胸中は複雑だった。
(愛人を作る男として、もう夫婦としては諦めていた。でも……技術者としてテムレイに勝とうとした彼は、すごいと思う。私はテムレイの才能を見て、勝とうなんてかけらも思えなかったから)
「愛人のことは好きにすればいいわ。でも、カミーユにはちゃんと父親でいてほしい」
フランクリンは目を伏せたまま答えた。
「もう離れていったよ。そして、新しく作る気もない。すまなかった」
その声はどこか冷たく、しかし正直だった。
二人はぎこちなく立ち尽くす。距離はまだ遠い。だが、互いに言葉を交わすことは、少しずつ溝を埋める一歩でもあった。
ヒルダは資料を机に広げた。
「アルレットの開発したガンダリウムγは、ネモM型にも使われているけど……まだ伸びしろがある。たとえば熱伝導率の制御や結晶の細かな構造を見直せば、もっと軽くて丈夫にできるはずよ」
フランクリンは眉をひそめながら資料を覗き込む。
「そうか……技術者としては、負けを認めて終わるわけにはいかないな」
ヒルダは小さく息を吐いた。
「すぐに元通りになるとは思わない。だけど、少しずつ……やり直せたら」
フランクリンは肩をわずかに動かして応えた。
「……ああ、そうだな」
まだ互いに距離を測りながらも、確かな歩み寄りが始まった夜だった。
カミーユ視点:気まずくて、だけど少しだけ新鮮な朝
親父は愛人を作った。そんな話は家の外でも噂になっていたし、俺も嫌でも目にしてしまっていた。
でも母さんは、そんなことを見て見ぬ振りしているようだった。怒ったり、問い詰めたりする様子はなく、いつも通りに振る舞っている。
そんな母さんの態度に、俺は余計にイライラしていた。
「なあ、なんで母さんは怒らないんだよ。普通、そんなことあったら……」
そのイライラを幼馴染のファにぶつけたら、彼女は冷静に、でもちょっと呆れたように言った。
「カミーユ、爪を噛む癖また出てるわよ。そんなにイライラしても仕方ないでしょう? 母さんだって、きっと色々考えてるのよ」
俺はそんなファの言葉にムッとして、
「でもさ、俺だって我慢の限界なんだよ!」
と返した。
そんなやり取りを繰り返しながら、イライラした日々は続いた。
ある朝、いつもならろくに家に帰ってこない親父が、珍しく朝食の席に座っていた。
「どうせまた外で済ますんだろうな」と思っていた俺は、驚きを隠せなかった。
そして、親父は母さんと口を開いた。
愛人ができてから、二人はほとんど言葉を交わさなかったのに――
少しずつ、でも確かに会話が交わされている。
俺は黙ってその様子を見つめていた。
何かが変わり始めているのかもしれない。
だが、それを受け入れるにはまだ時間がかかりそうだった。
ジャブローの技術局地下セクション。冷却ファンの低音が静かに響くその会議室に、かつて相容れなかった者たちが今、同じ資料を囲んでいる。
「この応力伝達値……あえてフレームを分節化した理由は?」
フランクリン・ビダンが、端末を指し示しながら問いかける。その目は、好敵手を前にした技術者の光を宿していた。
「単純な一体構造では、素材の限界でアクションの追従性に限界があったんです。だから、間接部に可変的な緩衝を加えることで――」
答えたのはアルレット・アルマージュ。テム・レイの開発チームに所属し、ガンダリウムγの製造過程におけるキーパーツを設計した張本人だ。
「なるほど。そうすれば出力過多になった際でも反応速度が落ちにくい。しかもこの軽さ……」
ヒルダ・ビダンが図面をなぞりながら頷いた。素材工学の専門家として、彼女は新素材ガンダリウムγの潜在能力に驚嘆していた。
「私たちの旧式ネモM型では、そこまで攻めた設計はできなかったわ。素材そのものが、機体の未来を規定していた。ガンダリウムγがあれば、同じフレームでも全く別の成果が引き出せる」
テム・レイはその様子を黙って見守っていた。
かつて、彼はただひとりで「息子のために」と未来を引き受けようとしていた。しかし今、彼の隣には最先端の知識と技術を持つ者たちが座っている。かつてのライバルであるフランクリン、そしてその妻であり優れた研究者でもあるヒルダ。かつての対立は、議論の中で熱へと変わり、機体そのものを押し上げていた。
「なるほど。ではこのフレームと素材の組み合わせに合わせて、OS側も修正が必要ですね」
とアルレットが提案する。
「いや、むしろOSで補うんじゃない。機体そのものの『感じ方』を変えないと、高出力時のニュータイプや強化人間には扱いにくい」
と、今度はフランクリンが答えた。
「……それを制御するアルゴリズムは既に進行中です。ゼロ・ムラサメの搭乗結果を分析し、少しずつ調整しています」
技術議論は白熱し、まるで過去のわだかまりなど存在しなかったかのようだった。
だが――
(テム・レイに、誰も逆らわない)
フランクリンはその事実にふと気づく。以前なら、彼はこの場で「それは違う」と断じていたはずだ。今の彼は違う。「テム・レイに学ぶ」姿勢を持ち、「彼に並ぶ」ために研究を進めている。
ヒルダもまた感じていた。
(あの男に勝とうなんて、私は考えたことすらなかった。けれど――この人は挑んだ。負けたけど、まだ立ってる)
この場には、もはやテム・レイの技術的権威に異を唱えられる者はいない。それは、彼自身が望んだわけではなかった。だが、現実として技術者たちの中でテム・レイは“頂点”として据えられつつある。
その背には、かつて一人で背負おうとした「地球圏の未来」が重くのしかかっていた。
【フランクリンを支持した派閥】
「……本当に、フランクリン技術官が自らあそこに座るとはな」
会議室の外、観察用のモニタールーム。そこに集まったのは、かつてフランクリン・ビダンを中心に結束していた技術局第三班の面々だった。かつてはテム・レイ派と対抗していた、いわば“もうひとつの技術系譜”の人間たちだ。
彼らはモニター越しに、今まさにガンダリウムγの応用構造について意見を交わすテム、アルレット、そしてその席に並ぶフランクリンとヒルダの姿を見ていた。
「……テム・レイはあれだけ公然と反抗していたフランクリンを、排斥しなかった。むしろ隣に座らせたんだ。これは……どう受け止めればいい?」
口にしたのは副主任格の老人だった。長年フランクリンに従い、彼のムーバブルフレーム構想を支えてきた。
「自分だったら間違いなく追い出す。だが、テムは違った。あいつ……いや、“あの人”は、排除じゃなく、吸収を選んだんだ」
誰かがぽつりと呟く。それが、この部屋の全員の胸中を言い当てていた。
確かに、今のフランクリンは実質的にテム・レイの下にいる。模擬戦でアレックスに敗れたあの日から、彼は明確に変わった。敵意も野心も捨ててはいないだろうが、それでも「負けた」という事実を認めたうえで、テムの元に加わったのだ。
だが――
(あのテム・レイが、あれだけ牙を剥いた相手を拒まなかった)
それが衝撃だった。彼らは思い知らされたのだ。“あの人”の器は、技術だけでは測れないのだと。
(なら、我々も……)
その場にいた全員が、同じ思いにたどり着いていた。
──息子のためにすべてを背負っているその男に、あからさまな敵意を向けるのは危険だ。
テム・レイは冷酷ではない。だが、彼が守ろうとしている“息子”――すなわちアムロ・レイという名の戦士の邪魔をすれば、容赦なく斬り捨てるのだろう。逆に言えば、妨げさえしなければ、彼はフランクリンすら受け入れる柔軟さを持っている。
かつてフランクリンを担いでいた彼らは、その神輿が“敵陣に組み込まれた”現実を見て、自らの立ち位置を冷静に判断し始めていた。
「我々も、ここに残りたければ……“あの人”に並ぶだけの仕事をしなければならない」
「だが並べない。だからせめて、逆らわず、食らいつくしかない」
「その通りだ。テム・レイは“味方にするには頼もしいが、敵にすれば勝ち目がない”──そういう人間だ」
沈黙のなか、誰かが深く息を吐いた。
「せめて、あの人の敵にならなければ、生き残れる」
その言葉を最後に、誰も口を開かなくなった。
地球連邦軍本部・技術局視察室──ゴップの沈黙
ゴップ提督は、分厚い防音窓の向こう、モニター越しに行われる技術者たちの討論の様子をじっと見つめていた。
フランクリン・ビダンとその妻ヒルダ、テム・レイ、アルレット・アルマージュ。誰もがこの時代の技術を引っ張る存在であり――その中心には、今や紛れもなくテム・レイがいた。
(……やらずに正解だったな)
ゴップは心中で静かに頷いた。
以前、技術局に極一部とはいえ、テム・レイの反対派閥が再び形成されつつあると報告が入った時、彼の中に一瞬、怒りとともに過去の後悔が去来した。
――あの一年戦争。あのとき、俺たちは“アレ”を檻に入れてしまった。
あのときテム・レイを封じたのは、確かに政治的な決定だった。彼を妬んだものたちの反乱であり、それから守る為であった。しかし、その代償として“勝てるはずの戦争”を勝ちきれず、兵を無駄死にさせ、宇宙から追い出され、実質的な負けとなった。
(……それをまた繰り返す気かと、血が逆流しかけた)
ましてや、今回の“神輿”がよりによってフランクリン・ビダンとは。
(叩けば埃しか出ないような男だ。いっそこの派閥ごと潰して、テムのまわりに本当に信頼できる連中だけ残せばいいとも思った)
だが――テム・レイ本人が止めた。
「彼は優秀だ。一度傲慢が砕かれれば連邦の力になる」と、そう言った。
(あの男がそこまで言うなら……)
そこでゴップは引いた。いや、敢えて“やらなかった”のだ。
そして、結果はどうだ。
(最もいい形に、まとまったじゃないか)
技術者たちはテムを頂点に仰ぎながら、追いつこうと必死に足掻いている。フランクリンですらそうだ。かつてあれほど野心的で、自信過剰で、プライドの塊だった男が、今はテムの隣に座り、彼の意見に耳を傾け、時に自分の過ちを認めてまで食らいついている。
(気概のあるやつは、彼に学び、彼の役に立つ)
(役に立たない連中も……もう邪魔をする愚かさを理解した。そういう空気だ。つまり――)
「テム・レイに誰も逆らわない技術部」の完成だ。
ゴップにとって、それは望外の成果だった。
そもそも彼は、かつての技術部に一欠片の期待すらしていなかった。
(ジムを前線に出すより先に、軽キャノンなんて玩具を配備して兵を無駄にすり潰した無能どもに……期待できるか)
だからこそ、今回の模擬戦で、アレックスとネモM型が“圧倒的な違い”を見せつけた瞬間、ゴップは確信したのだ。
この先の戦いに必要なのは、テム・レイ、そしてそれを支えるアルレットのような技術者だけでいい。
(正直言えば、今回の反対派閥なんぞ、消えてくれてもよかったくらいだ)
けれど、フランクリンとその支持者は生き残った。いや、テムが“生かした”のだ。
(……ならばせめて、己の役割を果たしてもらうだけだ)
老練な軍人らしい、どこか冷たい割り切りを胸に抱きつつ、ゴップは立ち上がった。
「テム・レイ……この時代、お前のような化け物が一人いれば、それでいい」
低く呟いて、視察室を後にする。
その背に、窓の向こうのテム・レイは気づいてもいなかった。
だが、ゴップにとってはそれでよかった。何も気づかず、技術の頂点を突き進み続ける彼こそが、この戦争を終わらせる唯一の武器なのだから。
★9評価ありがとうございます キラキラ武士さん むらさき2001#*#*#*#さん 冥想塵製さん
★5評価ありがとうございます akasiaさん
ガンダム エコール・デュ・シエル 天空の学校を知ってる人います?
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gジェネEでアスナだけ知ってる。
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漫画もgジェネEでも知ってる。
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読んだことない。
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読むのをやめた。