ジークアクス世界の闇堕ちアムロ 作:gジェネサイコー
訓練後・シミュレーター施設 休憩スペース
カイ、ハヤト、リュウの三人は紙コップの水を手に、それぞれベンチに腰を下ろしていた。
シミュレーターから出た三人の顔には、全員薄く疲労と不満の色が浮かんでいる。
「……まったく、やってらんねぇな、軽キャノン。」
カイが苦々しい顔でぼやいた。
「僕……途中で何度も引っかかっちゃった。
ジムだったらもっと自然に動けたのに……。」
ハヤトは肩を落とす。
「そうだな。あっちじゃ、アップデートのたびにちゃんと俺ら向けにも調整されてた。
自分の力がついていく感じがして、やりがいはあったんだけどな。」
カイも頷く。
「……テム・レイ博士は、あれ、息子のためにやってたんだろうけど――
結局、俺たちの分にもちゃんと気を配ってたわけだ。」
「僕、すごく助かってました。
難易度もちゃんと段階があったし……今のは、ちょっと嫌な感じですね……。」
ハヤトがぽつりと言う。
ふと、ハヤトは思い出したように顔を上げた。
「……アムロの父親、テム・レイ博士が檻に放り込まれたって……
アムロ、大丈夫ですかね?」
その声には、ほんのわずかな心配の色がにじんでいた。
カイがニヤリと笑ってハヤトを見やる。
「おやぁ?サイド7にいた頃は、アムロの親父さんが来たせいで引っ越しさせられたって、恨み言言ってなかったっけ?」
顔を赤くしたハヤトは、慌てて手を振る。
「そりゃあ、あの頃はそうでしたけど……!
だからって、ひどい目に遭ってほしいなんて思ってないですよ!」
「へっ、素直でよろしい。」
カイは軽く肩を叩いた。
そのやり取りを見ていたリュウが、ゆっくりと口を開く。
「まあ……俺らが思うほど酷い目には遭ってないさ。
“檻”ってのは、あくまで隔離部屋だ。
書類整理や配線管理の雑用はさせられるが、過重労働ってわけじゃない。」
「……そうなんですね。」
ハヤトは少し安心したように胸をなで下ろした。
リュウはわずかに目を細めて続けた。
「……だがな。あれだけの技術力がある人間が、
その才能を活かせない場所に送られるってのは――
ある意味、一番の地獄かもしれん。」
その言葉に、三人は静かに頷いた。
───
─── ジャブロー・ゴップ中将の執務室
その頃。
ゴップは技術部の提出した新たな“軽キャノン”仕様報告書に目を通していた。
報告書を閉じ、ふっと小さく鼻で笑う。
「……紙の上で“いいとこ取り”とは……気楽なもんだな。」
傍らにいた副官がちらりと見るが、ゴップは続けて言った。
「まあ、いい。軽キャノンで現場のパイロットが不満を漏らせば、いずれ現実の数字が奴らの幻想を叩き潰してくれるだろう。」
椅子にもたれ、視線を遠くに向けた。
「そのとき――今の馬鹿どもがどうするか、見ものだな。
……俺は“次”のために動くだけだ。」
軽キャノン 訓練用コース内・午後
「っ……! こ、これで何セット目だ……!」
ハヤトが汗だくの顔で呻いた。
軽キャノンのもっさりとした挙動と異様な操作負荷は、予想以上に身体に堪えていた。
「このクソ重い機体、ジムより遥かに疲れるじゃねえか……!」
カイが両肩を回しながら悪態をつく。
「腰に来るな……。操作系のバランスが悪すぎる。」
リュウは冷静だが額に汗が滲んでいた。
一息入れた休憩中。
紙コップの水を飲みながら、ハヤトがふと思い出したように口を開いた。
「……アムロは、どうなってるんでしょう?」
潤んだ目で二人を見る。
「確かにな。あいつも志願兵なのに見ねえな。」
カイは周囲をぐるりと見渡しながら言った。
「同じ志願組にいたはずだよな? あの時の紙にも載ってたし。」
リュウはわずかに目を伏せ、言いにくそうに言葉を選ぶ。
「……まあな。けど、アムロのやつは別枠だ。」
「別枠?」
「えっ……?」
カイとハヤトは同時に驚きの声を上げた。
リュウは少し苦笑して続きを告げた。
「……あいつのシミュレーターの成績がな、とんでもなかったんだよ。」
「もう軽キャノンのカスタム機のテストパイロットだ。
実戦にはまだ出せないが、訓練兵じゃなく“パイロット扱い”だな。」
ハヤトの目が燃えるような色を帯びた。
「……僕、負けてられませんね。」
強く拳を握る。
「おう、やっとやる気になったか。」
カイがニヤニヤと笑いながら頭を撫でた。
「ふふん……僕だって、ちゃんとやれば……!」
───
訓練終了後。
着替えを終えて出てきたハヤトが、ふとリュウに声をかけた。
「リュウさん……アムロの様子って、どこかで見られないでしょうか?」
「おっ? 気になるのか?」
カイが茶化すように横から口を挟む。
「ち、違……くないけど、だって……!」
ハヤトは顔を赤らめながらも食い下がる。
リュウは少し笑って言った。
「まあ、いずれ見ることにもなるだろう。今ちょっと教官に聞いてみるか。」
「マジで?」
「ありがとうございます!」
カイも軽く肩をすくめた。
「ま、俺もちょっと見てみてぇしな。」
───
教官室。
リュウが教官に声をかけた。
「すみません、教官。アムロ・レイ少尉の訓練状況、見学できる場所は?」
教官は「ああ」という顔で答える。
「アムロ・レイ少尉なら、今はカスタム軽キャノンのテストをしてる。
たしか、あの区画の専用ブースだな。」
壁のパネルを指差し、位置を示してくれる。
リュウは礼を言い、三人は連れ立ってそちらに向かった。
───
専用ブース。
ガラス越しの見学エリアに到着すると――
大型スクリーンにはアムロのテスト映像が映し出されていた。
機体は明らかに標準軽キャノンとは別物。
チューニングされた加速性能と滑らかなターンが目立つ。
「……やっぱ動きが違うな……。」
カイが思わず唸った。
「僕たちのとは全然……。」
ハヤトは呆然と見つめる。
アムロはまだ完璧に機体を掌握しているわけではなかった。
時折ミスも出ていたが、それでも周囲の指導官の評価は高かった。
「……それでも、やっぱあいつは抜けてるな。」
リュウは静かに呟いた。
画面の中のアムロは真剣な表情で操縦桿を握っていた。
─── 軽キャノン訓練後・着替え室前の通路
汗を拭きながら着替えを終えたハヤトは、ふと思い出していた。
(……フラウ、ジャブローでレストランの仕事始めたって言ってたよな……。
ちょっと行ってみたいけど、1人だと気まずいし……。)
隣にいたカイとリュウに、少し間を置いて声をかけた。
「あの……今日さ。フラウ・ボウが働き始めたレストラン、食べに行かない?」
「へえ? どうしたよ急に?」
カイがニヤニヤと肘で小突く。
「別に、行きたかっただけだよ。
1人だと気まずいしさ。せっかくだからサイド7組で行こうよ。」
ハヤトは顔を赤らめながらも少し強めに言った。
「俺はいいぜ。ちょうど腹も減ってたしな。」
リュウは穏やかに応じた。
「よし、決まりだな。……あ、そうだ。」
カイがふと思い出したように続ける。
「アムロは誘わなくていいのか?」
ハヤトは少しだけ表情を曇らせた。
(……正直、アムロには……負けたくない気持ちだってあるけど。
でもフラウ、きっとアムロのこと気にしてるし……。誘わなかったら、それこそ変に思われるよな。)
小さく息を吐いて決心する。
「……誘うよ。」
近くにいたアムロに声をかけた。
「アムロ。今からさ、フラウ・ボゥが働いてるレストランに行こうって話してるんだけど……一緒に来ない?」
アムロは一瞬だけ口を開きかけ、断ろうとした。
(そういえば、フラウが『今度食べに来てね』って言ってたな。)
少し考えてから、柔らかく微笑む。
「……そうだね。僕も行くよ。」
「よしっ!」
ハヤトはどこかホッとしたような表情を浮かべた。
「じゃあ、行こうぜ。冷える前にな。」
リュウが笑いながら言い、四人は揃ってショッピングモールのレストランへと向かっていった。
───
─── ジャブロー・ショッピングモール内 レストラン・スタッフ休憩室
昼のピークが過ぎて、店内はほどよく落ち着いていた。
フラウはスタッフ用の小さな休憩室で、コップに入れた水を飲みながら一息ついていた。
(……はあ、緊張したけど、今日はうまく回せたかな……。)
まだ慣れない仕事に少しだけ疲れが出ていたその時。
ドアが軽くノックされ、先に休憩を終えた女の先輩スタッフが顔をのぞかせた。
「フラウちゃん、ちょっといい?」
「はい?」
フラウは姿勢を正す。
先輩はにっこりと微笑んだ。
「今ね、サイド7から来たっていう若い男の子たちが4人、席に通ったって。
アムロくんも一緒だったみたいよ?」
「えっ……!」
フラウは思わず立ち上がりかけた。
「でも、私もうすぐ休憩終わりだから……。」
ほんの少し申し訳なさそうに呟く。
先輩は優しく、でも少し茶目っ気を込めて言った。
「いいのいいの。
あんたが行って少し話してやったら、その男の子たち――常連になってくれるかもしれないじゃない。」
「でも……。」
まだ迷うフラウに、先輩は軽くウィンクして続けた。
「いいってば。仕事も大事だけど、そういう顔見せも店にとっては大事なのよ。
さ、行ってきな。今日は特別サービス。休憩ちょっと伸ばしてもいいわよ。」
フラウはぱっと顔を明るくした。
「……はい!」
弾む声とともに、急いで制服を整える。
心の中は少しドキドキしていた。
(……みんな来てくれたんだ。アムロも……。)
フラウは軽やかな足取りで、ホールの方へと向かっていった。
─── ジャブロー・ショッピングモール内 レストラン・四人の席
カイ、リュウ、ハヤト、アムロの4人は、中央のテーブル席に腰掛けていた。
メニューを開いたまま、それぞれがざっと目を通している。
「……へえ。意外と種類あるんだな。」
カイが感心したように言う。
「和食もあるんだ……。」
ハヤトは目を丸くした。
「じゃあ、魚の定食にしてみよう。」
「俺は親子丼だな。和食って食ったことあんまなかったし。」
リュウが腕を組んでうなずく。
「親子丼って和食でしょうか?」
ハヤトが素朴な疑問をぶつける。
「んー……微妙か?、まあ日本の食いもんだし和食ってことで。」
リュウは苦笑した。
「俺はスパゲッティでいいや。あんま箸使いたくねぇ。」
カイが肩をすくめる。
アムロは静かにメニューを閉じた。
「僕はサンドイッチにするよ。軽めに食べとこうかな。」
その時だった。
「お待たせしました〜!」
明るい声が聞こえ、フラウがウェイトレスの格好で4人の席にやってきた。
ハヤトは思わず息を呑む。
(……可愛い……似合ってる……!)
「おっ、似合ってんじゃん。」
カイが茶目っ気たっぷりに言う。
フラウは嬉しそうに笑った。
「でしょ〜? 基地のレストランだからお堅いのかと思ったけど、意外とこの衣装可愛いの!」
ふとアムロに視線を向ける。
「ねえ、アムロ。どう? 似合ってる?」
アムロは一瞬迷った後、淡々と返す。
「いいんじゃない? 動きやすそうだし。」
「そうじゃなくてっ!」
フラウは頬を膨らませた。
「もう!」
ため息混じりに言ってから、表情を切り替える。
「……それより、訓練はどうなの?」
カイがすぐさま答えた。
「それがさー。サラミスのシミュレーターでやってたジムじゃなくて、“軽キャノン”っていうのろい機体に変わっちまってな。
やりにくいったらありゃしねぇ。」
「そうなんだ……。」
フラウは驚いたように相槌を打つ。
続けてアムロにも視線を向ける。
「アムロは?」
アムロは静かに頷いた。
「……そうだね。ジムより扱いにくいし、シミュレーターの難易度も、親父が調整してくれたやつより低くて……正直、あんまり手応えがないよ。」
「おいおい、言ってくれるぜ。」
カイがニヤリと笑った。
「なあ、フラウ。アムロは今、軽キャノンのカスタム機のテストパイロットなんだぜ。俺たちとは別枠だよ。」
「へえっ……!」
フラウの目が輝いた。
「どうなんだ、カスタム機って?」
カイが軽く身を乗り出す。
アムロは少しだけ考えてから答えた。
「元の軽キャノンよりは扱いやすいけど……それでようやく、ジムに追いついたぐらいかな。」
「……へえ、そんなに違うもんかねぇ。」
カイが感心したようにうなる。
ハヤトはじっとアムロを見つめていた。
(やっぱ……すごいな、アムロ……。でも僕も負けてられない……!)
───
フラウは微笑みながら、4人のオーダーを手早くメモに取った。
「じゃあ、料理すぐ持ってくるね。」
小さく手を振って、再びカウンターの方へと戻っていった。
やがて、注文した料理が順番に運ばれてきた。
「親子丼、お待たせしました〜。」
「魚の定食です。」
「スパゲッティですね。」
「サンドイッチです。」
フラウは明るい声で、それぞれの前に料理を置いていく。
「じゃあ、ごゆっくりね。」
にこっと笑ってから一度ホールへと戻った。
四人は軽く手を合わせ、食事に取りかかる。
「ふーん、やるじゃんこれ。」
カイはスパゲッティをすすりながら言った。
「魚もうまいな……。意外とちゃんとしてる。」
ハヤトは感心しきりだ。
「親子丼、結構いけるな。和食も悪くないな。」
リュウが満足げに言うと、ハヤトが小声で突っ込んだ。
「それ、和食って言いきっていいのかな……。」
笑いが一瞬テーブルに広がった。
───
そんな中、フラウが再びやってきた。
今度は休憩に入ったのか、手にトレイはなく、そっとテーブルの横に腰を落とす。
「……みんな、来てくれてありがとう。」
「おう、せっかくだしな。」
カイが笑顔で応える。
「……アムロ。」
ふと、フラウはアムロに視線を向けた。
(……やっぱり、どうしても聞いておきたい。)
「……お父さんのこと……どうなってるの?」
その声は、心配が滲んだ優しいものだった。
アムロは一瞬だけ箸の動きを止めた。
それから静かに言葉を紡ぐ。
「……親父は……まあ、“檻”なんて雑用部屋に入れられてるよ。
ガンダムを盗まれたからだってさ。」
「そんな……。」
フラウは目を見開いた。
「だって、アムロのお父さんって設計者でしょ?
警備とかする軍人じゃないんでしょ? なんでそんなところに……。」
悲しげな声に、今度はリュウが口を開いた。
「……テム・レイ博士が優秀すぎたんだ。
どうも嫉妬されたらしい。あの人が現場にいる限り、自分が目立てないって考えた連中がな。」
「そんなの……酷い!」
フラウは思わず声を上げた。
「アムロは……平気なの!?」
怒りの矛先は、今や軍の上層部に向いていた。
アムロは静かに、しかし目の奥に炎を宿したまま言う。
「……平気も何もないよ。
僕が怒ったって、何も変わらない。」
その声は冷静だった。
だが、その目は怒りを飲み込んで、静かに燃えていた。
フラウは、何も言えなくなった。
食事を終えた四人は、会計を済ませて店を出ようとしていた。
その時、厨房から戻ってきたフラウが小走りにやってくる。
「アムロ。」
呼び止められてアムロが振り向く。
「……うん?」
フラウは、ふと迷うように視線を落としかけたが――小さく息を吸って顔を上げた。
「頑張ってね。……応援してるから。」
その言葉には、素直な気持ちがこもっていた。
一瞬だけ、アムロの目が優しく緩む。
「うん。僕は……やらなきゃいけないから。」
静かな声。
そして、その瞳は言葉の先を見つめていた。
目の焦点は今ではない“遠い何か”を見ているようだった。
――勝たなければならない。
――戦わなければならない。
未来のために。
そんな覚悟がその横顔に刻まれていた。
その姿を見つめるフラウの胸に、ふと小さな影が差す。
(……アムロ……。
このまま、どんどん遠くへ行ってしまうんじゃないか……。)
言葉にはならなかった。
ただ、手を胸の前でそっと握りしめて、彼の背中を見送った。
アムロは静かに歩き出し、やがて仲間たちとともにレストランの出口へと消えていった。
その後ろ姿は、もうすでに――誰にも追いつけない場所に向かって歩き始めているように見えた。
既に幕間が本編の2倍あります。かといってアニメが進んでジオン周りの情報が出ないと次が書けません。読者様方てきにはどんな感じですか?
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幕間が3倍になろうが4倍になろうが↓
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関係ない。書け(無慈悲)
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アニメが進んだら書いて(慈悲)
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作者のペースで書いて(聖人かな?)
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どうでもいい
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以上テスト兼読者様の意見を聞く回でした