ジークアクス世界の闇堕ちアムロ   作:gジェネサイコー

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幕間: ドゥー・ムラサメ9 ドゥーのこれから

監視と再出発

 

模擬戦から数日後。

ドゥー・ムラサメの処遇は、ゴップ提督を中心とした会議で決定された。

 

「――本人の戦闘能力、精神状態、そして一度“逃走”した前例を鑑みて、今後は治療に専念させると同時に、一定の監視下に置く必要がある」

 

その発言に、周囲はうなずいた。

彼女は、確かに“希望”を見せた。だが同時に、危うさもまだ残っている。

 

その決定はドゥー本人にも伝えられた。

 

「……そうだよね。仕方ないけど、窮屈になるな~」

 

病室のベッドで、ドゥーはぽつりと呟く。

治療の点滴が腕に刺さっているのを眺めながら、天井を見上げた。

 

(どうせ来るのは研究所の職員か、偉そうな監察官か……)

 

だが、その予想は――外れた。

 

ノックの音と共に、病室の扉が開く。

 

「よう」

 

現れたのは、ゼロ・ムラサメだった。

 

ドゥーが目を見開く。

 

「え、え、え、今日って監視役が来る日なんだけど!?

……なんで君が来るの?」

 

ゼロはにやりと笑って、答えた。

 

「僕が君の監視役だ」

 

「――は!? ……え、ちょ、君、軍人でエースパイロットじゃん。

模擬戦だって毎日あるでしょ?どうやって監視するの?」

 

「軍から一軒家を“監視部屋”として用意された。

そこに君と僕が“同居”する形になる」

 

ドゥーの口が半開きになった瞬間、ゼロはポンと丸い物体を差し出した。

 

「それと――俺のいない時、いや、いる時もだが……こいつが君を見てくれる」

 

「……ハロ!?」

 

赤い目の丸いボディが、ぴょんぴょんと跳ねながら「ハロー!ドゥー!タノシミー!」と喋っている。

 

「……ペットロボットのハロ? こんなんで!?」

 

「侮るなよ。こいつは連邦一の技術者、テム・レイが、

その息子、アムロ・レイと一緒に作ったやつだぞ。

銃弾くらい弾くから、いざという時は盾にもなってくれる。」

 

「持ち主の体調管理はもちろん、内蔵された手足でどこまでもついてくる。

ありがた〜いハロだ。ちなみに今の二代目はアムロさんにくっついてる。

……あれ、もともと健康管理用だったんだな、きっと」

 

「……もう……」

 

ドゥーは呆れたように笑った。

 

ゼロは椅子に腰かけて、リラックスした様子で続けた。

 

「あと、軍から言われてる。外せない軍務が無い時に、君を連れて“他の強化人間たちの視察”に行けって」

 

「……は? なんで?」

 

「君が一番若いのに、あれだけはっちゃけてたからな。

それを見て、“自分も変われるかもしれない”って思ったやつがいたらしい。

“人間として生きていかなきゃ”ってね」

 

「ちなみに――フォウ・ムラサメの提案。

彼女も予定が合えば同行してくれるらしいぞ」

 

ドゥーはベッドの上で横になったまま、ぽつりと呟いた。

 

「……なんか、監視役ってより、お兄ちゃんみたいだね」

 

ゼロは笑わなかった。ただ、静かに答えた。

 

「なら、ちゃんと見守らないといけないな。弟と妹分たちのためにも」

 

ドゥーは、ハロの丸い瞳をぼんやりと見つめながら、久しぶりに安心した呼吸をした。

 

 

 

 

 

帰路の灯火

 

夕焼けがコロニーの天井を淡く染めていた。

 

帰還途中の輸送シャトルの中。

座席に3人並んで座るのは、ゼロ・ムラサメ、ドゥー・ムラサメ、そしてフォウ・ムラサメ。

視察という名目の“強化人間交友会”を終え、今まさに戻っている最中だった。

 

ドゥーは、小さなハロを両腕にぎゅっと抱きしめて座っていた。

ぴょん、ぴょん、と控えめに跳ねながら「タノシカッタネ、ドゥー!」と無邪気に繰り返すハロ。

その様子を見ているだけで、空気がどこかやわらかくなる。

 

フォウがふっと息をつき、どこか肩の力を抜いたように言う。

 

「……変な形だよね。

“視察”なんて大層な名目つけて、やってることはほぼ同窓会じゃん」

 

ドゥーはハロを抱いたままクスクスと笑い、隣のゼロに視線を向けた。

 

ゼロは微笑みながら、ゆっくりと首を横に振った。

 

「いいんだよ、それで」

 

彼の声は柔らかく、それでいて確かだった。

 

「かつての連邦には、ろくに“希望”なんてものがなかった。

ジオンのニュータイプが怖くて怖くて、どうしようもなかった。

だから、俺たちみたいな強化人間が“作られた”」

 

「けど……今は違う」

 

窓の外に目を向けながら、ゼロは言葉を続ける。

 

「アムロさんがいる。

そしてそのアムロさんが十全に戦える機体を作れるテムレイさんがいる」

 

「オールドタイプなのに、俺より強いヤザンさんがいる」

 

「ネモの若いパイロットたちだって、教官の話を聞いて成長してくれてる。

連邦全体が、過ちを認めて、“やり直そう”としてるんだ」

 

その言葉に、フォウはしばし無言になり、そしてふっと目を閉じた。

 

「……そっか。

あたしたちが“視察”してきたんじゃなくて、

あたしたちが、“見せに行ってた”のかもね。連邦は変われるって」

 

ドゥーは少し難しい顔をしながらも、ぽつりとこぼした。

 

「じゃあ……僕も、その中にいてもいいのかな」

 

「……当然だろ」

 

ゼロは穏やかに、でもはっきりと言った。

 

「君が戦ってくれたから、今の連邦があるんだよ。

僕を“倒す”って決めて、それでも本気でぶつかってきてくれた。

君の存在が、いろんな人の心を動かしたんだ」

 

ドゥーは、ハロの丸い体をなでながら、小さく「……そっか」と呟いた。

 

フォウが、やや照れくさそうに言葉を挟んだ。

 

「次の“視察”はいつ?

あたし、もうちょっと話したい奴いるんだよね」

 

「予定が合えば、いつでも行こう。

君たちがいる場所が、連邦の未来に繋がるんだ」

 

ハロが「ミンナ、ナカヨク!」と跳ねた。

ドゥーの腕の中でピコピコと光る姿に、ゼロもフォウも思わず笑みをこぼす。

 

それは、まるで未来が、ほんの少しだけ明るくなった気がする瞬間だった。

 

 









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