ジークアクス世界の闇堕ちアムロ 作:gジェネサイコー
フォウの覚悟にムラサメ博士が頷きを返したその後、ゼロがふと声を上げた。
「で、シミュレーターの方でのニュータイプの発掘はどうなってるんです? アムロさんに頼めるのは空き時間だけなんでしょう? 専属で付けられるニュータイプを別に見つけるって話じゃなかったんですか?」
ムラサメ博士は渋い表情で首を振る。
「まだ見つかっていない。多少適性が劣っても妥協してテストに起用するか、それとももう少し待つか……今ちょうどテム・レイ博士たちと話し合っているところだ」
少し間を置いて、彼は続けた。
「ニュータイプ能力“だけ”ならリタ嬢がいる。だが、年齢的な問題と身体能力の点でサイコガンダムの運用までは任せられない。できて、ビットの制御テストぐらいだろうな」
「ビットか……俺にも使えるのかな」
ゼロがぽつりと呟いた。だが博士はすぐに首を横に振る。
「不明だ。ビットの使用可否は、まだ正確な判別方法がない。アルレットのように、ニュータイプとしての素質はありながらもビットを使えない者もいる。強化人間も同様で、誰が使えて誰が使えないかは、まさに探り探りの段階だ」
その言葉のあと、博士は一瞬、言葉を切った。
ゼロが眉をひそめる。
「……どうかしたんですか?」
「いや、少し気になっただけだ」
ムラサメ博士は椅子に背を預け、小さく唸るように呟いた。
「……ジオンのアルファ型サイコミュを元にしたシミュレーションでも、アムロ中尉は全く問題なくビットを扱っていた。まだ実機がない段階で、極めて操作性が悪いデータ上の再現にも関わらず、だ」
その言葉に、ゼロもフォウも、そしてドゥーまでもが同時に心の中で呟く。
(そりゃあそうだ)
ゼロが肩をすくめて苦笑した。
「やっぱりアムロさんは別格ですね。あの人の後に出てくるニュータイプが、ちょっと可哀想になってきますよ。比較されて落ちこぼれ呼ばわりされそうで……」
ムラサメ博士も苦笑しながら頷いた。
「それが、まさに今の問題だ。軍内で最も有名なニュータイプが“最強のエース”という状態では、次に現れる者の立場が厳しくなる。願わくば、アムロ中尉ほどではないが十分に能力を持ち、後続のニュータイプの基準となる“中間地点”のような存在が現れてくれればいいのだが……」
「……だといいですね」
ゼロが力なく笑ったとき、ムラサメ博士のポケット端末が振動した。彼が確認すると、表示されたのは短いメッセージ。
――【至急、開発室まで。テム・レイより。新データ解析急務】
博士は眉を上げ、ゆっくりと立ち上がった。
「テム・レイ博士からの呼び出しだ。行かなくては」
すると、ドゥーが無邪気な笑みを浮かべて言った。
「その“ニュータイプが見つかった”って知らせだったりして?」
冗談のように聞こえたその言葉に、ムラサメ博士もゼロもフォウも、少しだけ胸の奥がざわついた。
(まさか――だが、もし本当にそんな存在が現れたのだとしたら……)
運命の歯車が、またひとつ、音を立てて動き始めたのかもしれなかった。
新たなる光、あるいは困惑
ムラサメ博士が開発室の扉を開いた瞬間、思わず眉を上げた。
(これは……)
室内には、ゴップ、ブレックス、テムレイ、アルレット――そしてアムロ・レイ。連邦軍の穏健派、いわばゴップ派の中枢とも言える顔ぶれが、狭い会議卓に肩を寄せ合いながらデータ端末を睨んでいた。
「これは失礼。テム・レイ博士、呼び出しの要件を聞いても?」
静かにそう切り出したムラサメ博士に、端末から顔を上げたテム・レイが、にやりとした笑みを向けた。
「やあ博士。朗報と悲報、どちらから聞きたい?」
(今度は両方のパターンがあるんだな……)
ムラサメ博士は小さく嘆息しながらも、表情には出さずに答えた。
「では、良い知らせからお願いしよう」
「軍施設に設置したシミュレーターで、圧倒的なニュータイプ適性を叩き出した者が出た」
「それは……それは良かった! しかし“圧倒的”とは、どれほどですか?」
(ゼロたちとも話したばかりだ。出来れば“上の中”から“中の上”ぐらいで留まってほしいのだが……)
テム・レイは画面をひとつ操作しながら言った。
「現時点で、2位と大差をつけての一位だ」
「い、一位!?」
ムラサメ博士の声がほんの少し裏返る。
「アムロ中尉やゼロがやっていないとはいえ、それでも……恐ろしい数字ですな」
テムレイが静かに頷く。その表情は誇らしさより、むしろ複雑なものだった。
「そして……悪い知らせだ」
ムラサメ博士は無言のまま促した。
「シミュレーターを使用してその適性値を叩き出したのは、ゲスト――つまり軍の職員の関係者だ。現職の軍人ではない」
「それはまた……」
ブレックスが苦い顔で言葉を継ぐ。
「我々としては、このシミュレーターで新たなパイロット候補を見つけようと考えていた。ニュータイプは今や軍内の希望だからな。だがパイロットでも士官でもない人物がこの記録を出してしまっては、逆に対応が難しい」
「……シミュレーターの対象者が広がっていたとはいえ、皮肉なものですね」
ムラサメ博士が言いながら、アルレットと目を合わせた。彼女もまた、言葉にせずとも同意を示すように小さく頷いた。
テム・レイは手元のデバイスを操作しつつ言った。
「今、ゲストIDから顔写真と、その者が誰の関係者かをデータベースと照合している。もうすぐ結果が出るはずだ」
ゴップが腕を組み、静かに口を開いた。
「……できれば成人で、戦う意思を持った人物であってほしいところだな」
その声音には、珍しく淡い祈りのような響きがあった。
「今回の件はサイコガンダムが絡んでいる。ドゥー・ムラサメが使ったあの機体だ。国民や議会が、再び未成年の小さな子供に乗せたなどと知れば、我々の改革自体が疑われかねん」
言葉の終わりには、室内の全員が静かに頷いた。テムレイ、ブレックス、アルレット、アムロ、ムラサメ博士――誰もがなんとなく、嫌な予感を感じていた。
テムレイの指が照合完了のメッセージをクリックする。
端末が冷たく結果を告げた。
「……ゲストIDの照合結果、出た。関係者名――フランクリン・ビダン。該当者は彼の息子、カミーユ・ビダンです」
部屋に沈黙が落ちた。
一同
(……悲報に悲報が追加されたな)
ブレックスが、口元をぬぐうようにしながら言った。
「とりあえず……ビダン夫妻を呼ぶかね?」
テム・レイも深く息をつきながら応じた。
「ああ。本人はまだ高校生だ。今すぐテストパイロットに――とはいかんだろうが、まずは両親の話を聞いてみよう」
「それにしてもな……」ムラサメ博士が呟くように言った。「よりにもよってフランクリンの息子とは……。これが希望なのか、試練なのか……」
アムロは少しだけ、カミーユの顔を思い浮かべながら、静かに視線を伏せた。
(あの年齢で、あの適性か――)
沈黙の中、照明の青白い光だけが、今後を暗示するかのように、部屋を静かに照らしていた。
フランクリン・ビダンの端末に、呼び出しの通知が届いたのは夕方だった。
「……私たち“揃って”呼び出しとは一体なんだ?」
フランクリンは眉をひそめ、隣の妻――ヒルダ・ビダンと視線を交わす。
「詳しくは現地で話すと言われたが、どうにも腑に落ちん」
ヒルダは少し考え、腕を組んだ。
「……サイコガンダムのテストパイロットを誰にするかじゃない? まだニュータイプ担当のテスターは決まってなかったでしょ?」
フランクリンは小さくうなずく。
「だとしたら助かる。……まったく、テム・レイの奴、まだパイロットが決まってないうちから“構造面の再設計は我々でやる”なんて言ってきた。あいつは自分と他人の才能差をもう少し理解するべきだ。あいつとアルレットがいなければ、言ってきたやつを殴ってやりたいくらいの暴挙だぞ」
ヒルダもため息交じりに言葉を返した。
「同感ね。あれだけの巨体で、パイロットの負担を減らすって言うなら、先にそのパイロットの詳細なデータを取ってから再設計するべきなのに。普通は逆でしょうに……機体を先にいじるなんて」
「まったくだ」フランクリンが頷く。「――っと、着いたな」
扉を開けると、そこにはゴップ提督、ブレックス准将、テムレイ博士、アムロ・レイ、アルレット・アルマージ、ムラサメ博士といった、軍の中枢メンバーが一堂に会していた。
一瞬、空気が静まり返る。
「……あんた、なにやったの?」
ヒルダが小声で言う。目はギラリと光っている。
「また愛人でも作ったの? 軍のトップ勢が揃ってるのよ!?」
「作ってない! そんな時間も余裕もない!」
フランクリンが即座に否定する。
「……ていうか、仮にいたとしても、俺の愛人如きでここまでの顔ぶれが揃うか!? その程度ならテムに叱られて終わりだ!」
「おっと」
軽く手を上げたのは、言及されたテムレイ本人だった。
「フランクリン君、落ち着いてくれ。今日は君に怒鳴るために集まったわけじゃない。むしろ――話があるんだ」
「……話?」
「君の息子、カミーユ君が――最近、君たちが忘れた書類を届けに軍施設に来ただろう?」
「ええ、確かに。助かったよ。普段はあまり関わらないが、あの子なりに気を遣ってくれたんだろう。……まさか、それが何か?」
「うむ」
テムレイは端末の画面を操作し、数字の羅列を映し出した。そこには“適性値”のグラフが鮮やかに並び、頂点に君臨する一つの名前が表示されていた。
「彼は、その帰り際に――軍の設置したニュータイプ適性判定付きシミュレーターを使ったらしい。で、だ」
テム・レイは眉をひくつかせながら言った。
「――堂々の一位だ。現状、軍全体でトップ。ニュータイプ適性も極めて高い」
沈黙。
その情報は、まさに雷鳴のごとく、夫妻に降りかかった。
カミーユの年齢は調整しています。
カミーユを個人的に好きになれる主人公度を上げてデザインしてます。読者様方的にはどうですか?
-
カミーユなら名前馬鹿にされた時点で↓
-
殴る。我慢なんてしない。
-
フォウの言葉で一度止まったがフォウを↓
-
馬鹿にされて怒るのかっこいい!
-
そもそもお前はファといちゃついてろ↓
-
カミxファ 過激派
-
どれもカミーユじゃない。ざまあないぜ!
-
そんなことよりジークアクスのアニメ見たい