ジークアクス世界の闇堕ちアムロ 作:gジェネサイコー
握手の先に
静かにドアが開き、カミーユ・ビダンが姿を現す。彼の表情には緊張と決意が混じっていた。
アムロ・レイが、軽く一歩踏み出すと、にこやかに手を差し出した。
「会議室では会ったけど、自己紹介はこれが初めてだね。アムロ・レイだ。よろしく」
その手を、カミーユは一瞬の逡巡ののち、まっすぐに握り返した。
「はい。カミーユ・ビダンです。よろしくお願いします」
ニュータイプ同士の初めての握手。
それを、部屋の後方からフォウ・ムラサメがじっと見つめていた。どこか、安堵と不思議な緊張を浮かべながら。
「アムロさんのビット操作、見ました」
カミーユが口を開く。
「流石です。俺もかなり上手く使えたつもりでしたが……あれはもう、別格というか」
アムロは少し苦笑して、握手をほどいた。
「いや、俺の操作はそこまでじゃないさ。君がこれから経験を積めば、すぐに俺ぐらいは使えるようになるよ」
その言葉に、アルレットが密かに溜め息をついた。
(お願いだからこの二人を“ニュータイプの平均”だと思う人間が出る前に、中の上ぐらいでいいから次のニュータイプが見つかって……!)
奇しくも、それは以前にムラサメ博士が考えていたことと、ほとんど同じだった。
しばしの沈黙ののち、カミーユは目を伏せたまま言葉を継ぐ。
「……罰則込みで、テストパイロットをやらせてもらってる立場で勝手かもしれませんが……お願いがあります」
フォウが、カミーユの視線と空気を読んで、彼がこれから言うことに気づく。
その唇がわずかに笑みに弧を描いた。
「シミュレーターで良いので、アレックスに乗せてもらえませんか?」
その言葉に、アムロは目を見開いた。
「アレックスを? しかし君はテストパイロットであっても、今のところ実戦に出る予定はないぞ?」
「それでもです」
カミーユの声には迷いがなかった。
「サイコガンダムでは出来ないことが、アレックスなら出来ると思うんです」
その言葉に、アムロは小さく息を飲んだ。
(……そうか。カミーユは“フォウを馬鹿にしたジェリド”を殴ったんだったな)
(もし戦いが起きた時、あの機体じゃなく、アレックスのように瞬発的に動けるMSが自分には必要だと感じたんだな。それはきっと、フォウを守るために――)
アムロは少し頬を緩め、うなずいた。
「……分かった。親父、いいよな?」
振り向かれたテム・レイも、にやりと口端を上げる。
「もちろんだとも。ちょうど君の操作ログも取りたかったしな。アレックスのシミュレーターなら、隣の部屋にある」
「ありがとうございます!」
フォウがその後ろで、ほんの少しだけ頬を赤らめながら微笑んだ。
アレックスに乗る理由が「守りたい誰かのため」だと分かったからだ。
白と蒼の交差
コックピットを模したシミュレーションポッドの中、カミーユ・ビダンの指先が動くたび、仮想空間のアレックスが華麗に、そして鋭く動いた。
「敵機、撃破」
「三機目、排除完了」
カミーユは迷いなく操縦桿を握り、視界に映る敵機――架空のジオン製モビルスーツを次々とビームで撃ち抜いていく。
機体は軽やかに、だが圧倒的に、戦場を駆け抜けていた。
訓練室のモニター前で、テムレイと数名の技術者がその戦闘データを見守っていた。
「……やはり、“あの3人”以外では唯一スコア一位を取っただけのことはあるな」
テムレイが腕を組み、感嘆気味に呟いた。
「シミュレーターだからバイオセンサーの反応も完全じゃないが、それでも――起動させ、かつそれを使いこなしている。驚くべきことだ」
カミーユのアレックスが最後の敵を撃破すると、戦闘終了のアラートが鳴る。
カミーユは汗を拭いながら、シミュレーターから降り立った。
「……これじゃ、ネモのときのシミュレーターと同じです」
やや物足りなさを滲ませながら振り返る。
「アムロさん。相手をお願いできませんか?」
その言葉を聞いたアムロ・レイは、静かに笑った。
カミーユがこの言葉を口にすることは、予想していた。
「ああ。準備はできてる。少し待ってくれ」
そう言うと、アムロもシミュレーターに入る。
2つのアレックスが、今、仮想戦場に並び立つ。
開始の合図とともに、両機が一斉に動き出す。
瞬間的な跳躍、バルカンとビームの応酬。腕部のガトリングが唸り、ビームサーベルが火花を散らす。
――しかし、その刹那ごとの判断と操作の洗練度において、アムロは遥に上をいっていた。
カミーユの攻撃を受け止めつつ、無駄のないカウンターで追い込んでいく。
それは、まるで彼を“導く”ような戦いぶりだった。
(速い……けど、読めないわけじゃない!)
カミーユは食らいつき、何度も防ぎ、反撃の糸口を探る。
だが、ほんの一瞬の“思考”の隙を突いて、アムロのアレックスが滑るように距離を詰める。
「――もらった!」
アムロのサーベルが、カミーユのアレックスの胴部を斬り抜く。
「勝負ありだ」
通信越しにアムロが告げた。
カミーユは深く息を吐いて、モニターを見つめたまま黙っていた。
しかし、その表情には敗北の悔しさと同時に、清々しいものがあった。
(強い。けど――まだ届かないとは思わない)
カミーユのその視線を、フォウがそっと見守っていた。
彼の横に立つ未来の影が、いま確かに形を成しはじめていた。
その背中と隣にて
訓練室を出てしばらくの廊下。
興奮と汗がまだ少し残るカミーユに、フォウが歩み寄った。
イタズラっぽく、どこか意地悪そうな目をしてカミーユを見上げる。
「アレックスでのシミュレーター、楽しそうだったね?」
ふいに言われたカミーユは、少し驚いた顔をしてから笑った。
「……ああ。楽しかったよ。だけど、ボロ負けだった。やっぱり、アムロさんは……すごかった」
フォウはカミーユの横に並びながら歩く。
彼女の口元には笑みがあったが、どこか柔らかく、優しい色があった。
「悔しかった?」
「そりゃあ、少しはね」
カミーユは頬をかいて苦笑した。
「でもさ……。目指すべき人がいるって、すごいことなんだなって思った。前は、ただイライラして、自分が強くなりたいってばかりだったけど。今は……違う」
「ふぅん……」
フォウがカミーユの顔を横目で覗き込む。
「じゃあ、“目指すべき人”って、アムロさん?」
カミーユは一瞬だけフォウを見る。そして、少しだけ笑う。
「……アムロさんもだけど」
それは否定でも肯定でもなかった。
ただ、曖昧な言葉の奥に、ほんの少しの照れと、何かを守ろうとする気持ちが滲んでいた。
フォウはそれを察したのか、からかいもせずに少し前を歩く。
「そっか。じゃあ、その人に追いつけるように、もっと頑張らないとね、カミーユ」
「……うん。絶対、追いついてみせるよ」
その言葉に、フォウは背中を向けたまま、ふっと微笑んだ。
2人の歩調は自然と合っていた。
強化人間とニュータイプ。違う出自の2人が、今は確かに、同じ未来を見つめていた。
9話感想
ララァ周りは某小説設定をベースに作ってたんですね。そんでララァは赤い彗星にしか連れ出されたく無い。そして白いMSのパイロットと赤い彗星の2人が好きですと。さらにはシャロンの薔薇はエルメスでララァ(ファースト⁇)が時間停止状態でいると。いやエルメス拾ったからっていきなりサイコミュをグリプス戦役時代までスキップ出来るものなの?ガンダムに外付けできるレベルの技術ってキュベレイ作った時ぐらいの技術力がいると思うんだが。
後3話で完結させずに2クールやって欲しかったわ。