幻想郷にそんな叫び声が上がる。奴の名前はジャック・オ・ランタンの付喪神『Mr,ケルト・ハロー』
彼はハロウィンの夜の幻想郷を走り回り、そこら中に大量のジャック・オ・ランタンをばら蒔いて行ったのだった……
「うーん……何かしらこれ。」
博麗神社の玄関に、顔型にくり抜かれた綺麗な橙のカボチャ。それを見て首を傾げる彼女は博麗霊夢。この幻想郷にある博麗神社の巫女である。そんな巫女を見て、空から一人の女性が飛び降りてきた。彼女は博麗神社の祭神、海月小裁である。
「あら、ジャック・オ・ランタンじゃない。うちに置いてたかしら?」
「知らないわよ。朝起きたらあったし。」
「誰かが置いてったの?意味不明ね。」
そんなことを話していたら、ハロウィン関係なしに魔女の姿の少女が猛スピードで突っ込んできた。丁度ジャック・オ・ランタンの真ん前に。
ズドン!と、思い切り突っ込んでしまった彼女は頭にジャック・オ・ランタンをかぶりながら頭をさすって瓦礫から出てきた。
あまりにマヌケなその姿に2人は吹き出した。
「ハハハハハ!何それ魔理沙!」
「ぷっ……くくくごめん魔理沙それは無理だわ。」
「わ、笑うなよー!私だって被りたくて被ったんじゃ無いんだから!」
「ごめんごめん。いま引っこ抜いてあげるわ。」
その時だった。大変な事が起きたのは。なんと、魔理沙の頭についたカボチャは外れないのだ!引っ張っても引っ張っても魔理沙の頭から一向に外れない。木槌で叩いても、斬ろうとしても、煮ても焼いても冷やしても外れない。
挙句には魔理沙はカボチャに向かってマスタースパークを撃ったが意味は無し。
段々魔理沙の顔が青ざめていく。
「……なぁこれ一生取れないんじゃないよな。」
「クカカ……なんだその頭。変な趣味か?」
その場に丁度現れた闇のように黒い髪をして右目に眼帯をしている男、スキアー。彼の力を使い、カボチャを食べて貰おうとしたが、なんと逆にカボチャにスキアーが噛まれた。心なしかカボチャの顔がにやけている。まるで馬鹿にしているように。
「いってぇな、なんだそのカボチャは!」
「知らないよ!頭にくっ付いて取れないんだ!帽子もかぶれやしない!」
「おーい霊夢ー!私が遊びに来てやったぞー!」
そこに更に現れたのは
しかしいつもと違うのは……
頭に魔理沙と同じカボチャをかぶっている事だった。
「あぁーっ!お前まで!」
「おおっ!私と同じ!霊夢、これ取ってくれ!」
「ごめん、取り方わかんないの。」
「え?がーん!そんなぁ……」
膝から崩れ落ちて、orzのポーズをとるチルノ。すると高らかな笑い声が博麗神社の屋根の上から聞こえてきた。
そこにいたのはカボチャあたまにシルクハットと、まるで吸血鬼を思わせるような格好の妖怪だった。
「トリック・オア・トリーット!ハッハッハ!君達にいー事教えてあげにきたよ!」
「誰⁉︎」
「私はMr.ケルト・ハロー。ミスターでもケルトでもはたまたハローでも好きに呼びたまえ。」
「じゃあカボチャ頭!魔理沙達のカボチャを外しなさい!あんたなら出来るんじゃないの?」
すると屋根の上でケルト・ハローはorzのポーズになり、がーんというオノマトペが聞こえてきそうなくらい落ち込んだ。
「カボチャ頭って……ミスター悲しいよ?まぁ、外せるけどね?昨日の事を思い出してごらん。そうすればヒントになるはずだ。まぁ、私を倒して力尽くなんてのも出来ない訳じゃない。」
「じゃぁそうさせてもらうわ!」
霊夢が飛びかかるとケルト・ハローは飛び去った。それを彼女は追いかけていくのだった。
「待ちなさい霊夢!あ、行っちゃった。もぉ……しょうがないわねー。」
「カボチャ頭の外し方分かったの?」
「一応ね。準備するからこれを香霖堂とかで買ってきてスキアー。」
「何故俺が⁉︎」
「あんただけじゃない。いままともに動けるのは。」
そう、この場でスキアー以外で動くことができるのは小裁のみ。しかし小裁は博麗神社で準備をしなければならない。よってスキアーが行く羽目になったのだ。
「神人がいるだろ!」
「あいつ朝から地底に居るわ。昨日豊魅に捕まって飲み会に引きずられていったから。」
まじかよ……と嫌々ながらスキアーはメモを取って買い物に行った。
一方白玉楼。ここでも被害者が出ていた。妖夢である。なんと、その場に無かったはずのジャック・オ・ランタンに躓いて転び、頭にかぽっとはまって抜けなくなったのだ。幽々子が急いで引っ張ったが、抜ける気配はない。
今更だが、このジャック・オ・ランタンはMr,ケルト・ハローの能力、「カボチャに命を吹き込む程度の能力」により命を吹き込まれた、ただのカボチャである。しかしケルトはそれに術式を加えて、頭に強制的に引っ付いて条件をクリアしないと外れないというイタズラをしたのだ。
紅魔館にも、永遠亭にも、人里にも、被害者はかなりいる。今やそこら中にカボチャ頭が増えてしまい、誰が誰か分からなくなってきている。
ところで霊夢と言うと……
「まちなさぁぁい!」
「まだ追ってきているのか、しつこいなぁ……そうだ、スペルカード!」
「へ?」
〜祭符「ハッピーハロウィン!」〜
いきなり弾幕を撃ってきたため、反応が遅れてしまった霊夢はギリギリ躱せたが、Mr,ケルト・ハローを見失ってしまうのだった。
時間帯は既に夜。しかし、そこら中は明るかった。なんと頭についたカボチャに灯りが点っているのだ。
すると、灯りの点っているカボチャはころんと取れ、勝手にどこかへ集まってゆく。霊夢が不思議に思って着いて行くと……人里の畑にカボチャ達が集まっていてたのだ。
よく見ると、その中心にMr,ケルト・ハローがいた。
沢山の被害者達もいる。
真ん中でケルト・ハローがカボチャに話しかけていた。
「カボチャ達、良かったな。また灯を付けて貰って。」
疑問に思った霊夢が歩み寄り、問いかける。するとケルト・ハローは重たそうなカボチャ頭をこちらに向け、話し出した。
「おや、博麗の巫女様。私の目的は果たせましたよ。外でハロウィンが終わり、捨てられたジャック・オ・ランタン達が可哀想でね。もう一度彼らに火を灯してやりたかった。だから私はカボチャ達の代表として、あなた方にカボチャ達を配り歩き、術式をかけたのです。」
「私はそれに気がついたから魔理沙のカボチャの中に火を付けたの。すると簡単に取れちゃったのよね。」
「ただの火じゃないとダメだったから、ライターを買って来て、火を付けたのさ。」
ケルト・ハローの能力が切れたカボチャ達は全く動かなくなり、ケルト・ハローも消滅しかけていた。しかし、霊夢はケルト・ハローに指を刺し、こう言ったのだ。
「まだあんたと決着がついてないわ。私と弾幕ごっこで勝負しなさい!」
「わかりました。いいでしょう!」
2人は空へ飛び上がり、弾幕ごっこを始めた。
2人の弾幕は空に美しい花火のように広がってゆく。
「やるじゃない!」
「お褒めに預かり光栄ですよ!スペル!」
〜悪戯「トリックオアトリート!」〜
赤い弾幕と青い弾幕。キャンディや、チョコレートの形の弾幕と、不規則な落書きのような弾幕が霊夢に飛んでくる。しかし、彼女は全てをかわしていく。
「今度はこっちよ!スペル!」
〜霊符「楽園の悪戯な巫女」〜
負けじとハロウィン風のスペルカードを放つ。ケルト・ハローの顔面に弾幕が直撃し、ぷすぷすと焼ける匂いがする。しかし、やられてはいない。
「まだまだぁ!スペル!」
〜南瓜「ジャック・オ・ランタン」〜
下に落ちているカボチャ達が弾幕となって、霊夢に飛来する。霊夢はカボチャが後ろから来ているのに気がつかず、当たってしまった。
「まずいわね……次で終わりにしましょう。」
「いいでしょう!さぁ行きますよ!」
「「スペル!」」
〜夢想転生〜
〜ダックアップル〜
まばゆい閃光。勝ったのは霊夢だった。全ての弾幕がすり抜けてしまう夢想転生を前にMr,ケルト・ハローは勝て無かったのだ。ケルト・ハローのカボチャが砕けると、素顔がさらされた。しかし、その顔はどう見ても少女なのだ。
実はMr,ケルト・ハローとはMrと名乗って居るだけで実際は女の子だったようだ。
「私の負けだ……私はただのカボチャに戻ってしまうだろう。」
「来年また来なさい。今度はお菓子用意してあんたを待ってるわ。もちろんみんなね。」
その日から、博麗神社には毎年ハロウィンになると、カボチャを被った少女が現れお菓子を配るようになったらしい。
……ついでに、ジャック・オ・ランタンも。
今日も幻想郷は平和だ。
間違えて投稿しちゃいましたごめんなさい!どうでした?
ちょっと久々に書いたので下手ですが、面白かったでしょうか?ホントはハロウィンの当日に書きたかったのですが、ちょうどテストと重なり、書けなかったので今日書かせて頂きました。
次はクリスマスでも書こうかと、考えてます。
書けたら、また続編的なものも書きたいと思います!
それでは!