1話限りの短編集!   作:ゆっくり無色饅頭

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東方聖夜録〜クリスマスイヴに〜

ここは幻想郷にある博麗神社の隣に建っている社。名を「龍の社」と言う。妖 神人の家兼神社である。ちなみに今は12月24日の早朝4時だ。彼はいつもこの時間帯にパトロールを開始する。

 

「ふぁぁ……ん?誰かいるのか?」

 

押入れからゴソゴソと物音がする。まさか泥棒か?と思いながら勢い良く押入れの戸を開けると、そこには白いボンボンの付いた赤い三角帽子を被り、袋の中を探っている少女が居た。どう見てもコスプレ衣装にしか見えない。サンタコスの少女が自分の家の押入れに入って袋を漁っている。こんなカオスがあるだろうか。いや無いだろう。あってたまるか。

 

「……何してんだ人んちで。」

「ふぇっ!?あ、どうも……」

「いや、どうもじゃなくて何してんだよ」

「それが……子供達に配るプレゼントが根こそぎ無くなってて……」

「てかなんで俺の家の押入れにいるんだよ!」

「ワープ先がたまたまここでした。」

 

ワープ先とかあるのか。何故に押入れ?とかいう疑問は置いといてとりあえず少女を押入れから摘み出す。今日はパトロールは行けそうにないなと諦め、少女の問題から解決することにした。どうやら彼女は正真正銘のサンタクロース……の見習いらしい。でもってプレゼントの入っているはずの袋を開けてみて中身がない事に気がついて、焦って袋を漁っている所を見つかったという事だそうだ。

 

「あ、申し遅れました。私、ミラ・ルチアといいます。」

「俺は妖 神人だ。一応妖怪だが、龍神で通ってる。」

「プレゼントどうしよう……失くしたなんて言えないし……」

「よし、ならあいつに頼んでみよう。」

 

そう言って神人は外に出てある妖怪の名を呼んだ。そう、こんな時の八雲紫だ。しかしよく考えれば彼女は今頃は冬眠している頃だ。神人は仕方なく自分の式神を呼んだ。

 

「如何なされましたか?」

「おお八咫。朝っぱらから悪いが、ちょっと頼まれてくれ(ゴニョゴニョ)頼むぞ。」

「承知。」

 

先程の式神は「妖獣(ようじゅう) 八咫」といい、八咫烏の死体から生まれた式神である。彼女は主人である神人が死なない限り消滅しない不死性を持ち(死んでるけど)、神人本人と記憶リンクが出来、更に太陽を司る程度の能力を持っている。彼女が飛び立ったのは人里。欲しいものを聞いて来るのが彼女の今の仕事である。

 

「さて、俺は俺で仕事をするかね。」

「1つ聞いていいですか?」

「ん?なんだ?」

「あなたの能力って何ですか?」

「創と滅を司る程度の能力だな。」

「なら私はプレゼントする程度の能力ですかね?」

「いや、プレゼントを失くす程度の能力だろ?」

「ひっどい!」

 

しばらくして八咫が聴きこみを開始した。それに合わせ、プレゼントを創造していく。繰り返していると、博麗神社に来客が来た。奇跡を呼ぶ現人神、東風谷早苗である。どうやら霊夢に会いに来たらしい。

 

「おや?あなたのその恰好はもしかしなくてもサンタクローs(ry」

「悪いが見なかったことにしろ夢が無くなる」

 

あっさりとその場での記憶を消され、霊夢のところへ送っておいた。許せ早苗、騒がれたら困るんだ。小裁は昨日から分社に居て、今日は帰ってこないらしいから晩御飯は俺が作ることになりそうだ、と思いながらプレゼントをせっせと作る。作っているうちに八咫が子供達に囲まれてしまうと言うトラブルも発生したが、なんとか脱出に成功した。

 

「あぁ……しんどい(主に子供達の相手が)」

「お疲れ八咫、今日の晩飯は俺が作るからゆっくり休めよ」

「ありがとうございます。では。」

「あら、その子は?」

 

博麗神社本堂からやってきたのは、金髪のクソ長いポニーテールの女。「博麗神社の祭神」海月小裁である。

 

「あ、どうも!サンタクロース見習いミラ・ルチアです!」

「頼まれ事だよ。てか何があったらプレゼント失くすんだよ…」

「うっ……それは……」

聞かないでと目で言われた。それについては触れないようにしよう。かわいそうだ。しかし夜までかなり時間がある。このまま何もしないのはどうかと思うので幻想郷を案内する事にした。もちろん着替えてもらったのだが。

 

「えっと……」

「あんた案外あんのね」

「なんかすいません」

「謝らないで逆に傷つくから」

 

小裁よりでかかった。何がとは言わない。言ったら殺される(物理)。とりあえず最初は人里まで行く事にした。クリスマスなのでいつもより賑わっている。しばらく歩くと神人がいつも行っている団子屋の店主が話しかけてきた。

 

「お!神人さん!今日は彼女連れかい?」

「んなわけあるか!全く……」

「まぁまぁこれでも食べてくれよ。良いもち米が手に入ったからよ!」

「お、ありがとなおっちゃん。」

「美味しそう!」

 

食べ歩きをしながら人里を探索する。するとこちらに気がついた一人の女性が走ってきた。なんとその女性は思い切り踏み込むと神人に向かって強烈な飛び膝蹴りをかましてきた。が、惜しくもかわされ、地面に激突し小さいクレーターを作った。

 

「おい人里だぞ幽香、自重しろ。」

「あら、貴方がいるものだからつい。」

「ついでこんな事をされるなんて彼女に何やらかしたんですか!?」

「「いや何も?」」

「ハモるな!」

 

神人にとってこれはただのじゃれあいにしか過ぎない。当たれば痛いが。昔に喧嘩したから未だに引っ張っているだけである。つい最近では幽香の家で紅茶に毒を盛られたくらいか。死なないから良いだろうと言われたのを覚えている。

 

「さて、次はあそこに行くか。」

神人が連れていったのは妖怪の山。天狗の縄張りではあるが神人がいるだけで皆寄ってこなくなる。一部を除いて。

「あやややや!これは大スクーp(ry」

\ピチューン/

 

速攻で寄ってきた文を腹パンでピチュらせた。お前にスクープされるのだけは嫌だ。絶対に。

 

「よし。」

「よし。じゃないですよ!なんてことをしてんですか!」

「ネタにされたら溜まったもんじゃない。」

「まぁそうでしょうねー。」

 

隣にいたのは「白狼天狗の天魔」剣白狼だ。幻想郷の隠れた最速2位と言われている。隠れた最速一位は俺だがな。まぁ文を回収に来たようだが。白狼は文を無理矢理目覚めさせ、胸ぐらを掴んで持ち上げ黒い笑顔で話しかけた。

 

「さぁて。文、貴女に頼んだ仕事は?」

「あ……いえその……」

「し・ご・と・は?」ゴゴゴゴ

「すいませんでしギャァァァァ!」

 

見なかったことにしよう。それがいい。ミラは既に現実逃避しているし。次はさっき記憶をちょっと弄らせてもらった早苗の住む神社だ。名を守矢神社。二柱の神がいる神社だ。

 

「おや、神人。あんたが自分から来るなんて珍しいね。」

「お、神奈子じゃねーか。昼間っから酒飲んでんのかよ」

「何と言う神様事情!?」

「その子は誰だい?私達に近いようだが。」

「気にするな。気にしたら負けだ」

 

しばらく話して次の場所へ向かう。今度は歩くと遠いので空を飛ぶ事にした。紅魔館。この紅い屋敷は吸血鬼レミリア・スカーレットの居城である。

 

「zzz…ギャッ!」

そしてこの寝ている門番に時々飛んでくるナイフはある意味名物と言えるだろう。ミラがあまりの出来事に気絶したが。普通はナイフなんて頭に刺さるとこ見ないからな。

 

「いっつー……咲夜さんたら手加減無しなんですからもう……うわっ!神人さん!」

「そんなに驚く事かよ美鈴。」

「驚きますよそりゃ目の前スレスレに神人さんの顔あったら」

美鈴と別れ、ミラを背負って中には入らずに迷いの竹林へ向かう。途中でミラが目を覚ました為暴れたので下ろしたら落とし穴にハマると言う事故もあった。何故俺が落ちないのかって?ちょっと体浮かしてるからな。地表より2ミリくらい。

 

「うぅ……知ってるなら下ろさないで下さいよ!」

「いや分からんからな!?落とし穴の場所なんて!まさか真下にあるとは誰も思わねぇだろ?」

「いいから早く引き上げて下さい!」

「わーったよ。てゐめ……後で覚えてろよ」

 

ミラを引き上げて、永遠亭へ向かう。その途中でクリスマスだというのに殺し合い(遊び)をしている二人が居た。蓬莱山輝夜と藤原妹紅だ。流れ弾が飛んでくるのも嫌なのでとりあえず黙らせた。どうやってとは言わない。

「貴方のやる事は一々やりすぎな気がします。」

「悪ぃな。加減が下手なんだ。」

永遠亭の中に入り、優曇華や永琳。後は影崎神にも会った。研究を手伝っているらしい。永琳に一つ聞くことがあるから来たんだが。

 

「てゐはどこだ?」

「てゐ?さぁ、さっきまで居たんだけど……」

「んあ?何々?てゐ探してどーすんの?」

「チャラいなお前は、全く変わらん。」

「お前は変わった。でも俺は俺だから!」

 

我が道を行くその性格は直した方がいいと思う。しばらくてゐを待っているつもりだったが、帰るまでの時間を逆算したらちょっと忙しくなりそうだから帰ることにした。

 

その日の夜

ミラは袋を担ぎ、空に浮かんで下にいる神人達へ叫ぶ。

 

「見ててください!これが私達サンタクロースの能力です!」

 

〜聖夜「MerryX’mas!!」〜

 

袋の中にあるプレゼントがキラキラした光に変わり、人里の子供達の枕元へ届く。その光景はまるで夢のようだった。

 

「……さぁて!俺からも子供達にプレゼントをしなきゃな!創造(クリエイティング)!『雪』!」

 

天候を強制的に雪に変える。というよりも星が見えるほど晴れている夜空から何処からともなく不思議な雪が降っている。なかなか普通の能力でやれる事ではない。

 

「飯にするか!よし、紫から貰ったシャンパン開けるぞ!」

「お!いつになくいいもの出すじゃん神人!」

「まだあるぜ。ほれ!俺が腕によりをかけて作ったクリスマス料理(メニュー)だ!」

「宴会でしょ?みんな呼んであるわ!」

「うわぁ……!私サンタクロース見習い始めてこんな楽しいクリスマス初めて!」

 

次の日の朝、神人の枕元には綺麗な宝玉が置いてあった。彼はそれを持って棚に飾ると呟いた。

 

「……ミラ、なんでお前ここにいるんだ?」

「えへへ……失くしたの怒られて逃げてきました!」

「なんじゃそりゃァァ!?」

 

龍の社にはしばらく、サンタコスの少女が居たとか居ないとか。

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