ブルーアーカイブ -LOST MEMORY DISORDER- THE RELOADED 作:かな餅
僕の皮膚とアダマンチウムでさえ簡単に焼き切れるナイフ。
出所としては工業系の会社が作ったのかなと思ったけど未だに分かってない。
ナイフとしては軽くてだけど持ちやすい。
これがあれば加工が困難なアダマンチウムを好きな形に変えられるかも。
「……どう?見える?」
視界がカチカチと点灯するように点滅して景色を映してる。
まあ、しばらく待てば見えるかな。
『それで……次は身体なんだけど、どこまでやられた?』
〈頭部は奇跡的に原型を留めたまま、壊滅的なダメージです〉
『そんなに酷くない?』「まあ」
〈他の部分に関しては目覚めた時よりも酷いです、いつ動けなくなってもおかしくないほどに〉
どの道全身を治す必要ありだし、それで今残ってる……素材でどこまで直せるのか。
〈まず内部の精密な部分から直したいところですが、率直に言えば何もかも足りません〉
僕自身の身体はフィッツが作ったのはわかってる。
でも細かく何が必要なのかってのは流石に……うん。
わからない。
〈貴方に代用できそうなそれらしい素材はいくつか見つけましたが入手には時間が――〉
『……まってビブラニウムは?、どこまで代用できる?』
〈理論上は可能ですがそれに必要なビブラニウムなど何処に……いえ、確かにありますが〉
『アダマンチウムを切断できるナイフがあるから
〈電力はどうしますか?、即急に行うならポットが1番速いです〉
アビサルのコアを使って発電機を作れれば欲しい電力は手に入りそう。
でもこの手じゃ厳しいな……。
「……なんか手伝えることある?」
……その手があったか。
帰ってきて気付けば日が昇ってる頃。
だけどホシノの呼びかけで今日はいつもより早く学校に集まった。
「それでは、今回の定例会議は"SHIELD"からの依頼をどうするかを話し合いたいと思います」
「……はい」
「……えー、1年黒見セリカさん」
「なにこれ?」
〈
主にアヤネを借りるための依頼だけど。
架空の会社を作ったのは、アビドスに何か起きた時に”騙された”ってことにするため。
そうすれば、アビドスが何か技術を持ってるとか、そういう勘ぐりは外れてくれるなくなる。
誰かの目を少しでもそらせるなら、まあ意味はあるかなって。
『まあ、ちょっと厄介なことになったというか。面倒な事が起きてね?、それを解決する為に身体を治したい、でもそれには時間と場所と人手がいる。だからみんなに助けてほしいってこと』
「……どうしてわざわざ架空の会社を名乗ってまで?」
『外から見れば君達は何かを匿ってるように見えるから、だったら……まあ~何かに巻き込まれたって言う方が誤魔化しがきくでしょ?。皆も知ってる通り僕は兵器だから』
「何かあったの?、急にこんなこと……ホシノ先輩」
「いやぁおじさんから言う事は何もないよぉ?、この子にも色々事情があるだろうからさぁ」
ボロボロな顔は直せてないから、色々勘繰られるだろうなぁ。
まあ、喧嘩したとでも言えばいいか。
『まあ、言ってしまえばお仕事の依頼だから、お願いできる?』
〈SHIELDから出す報酬は前金として一億、全てが終わった後に2億を追加で支払います〉
「いや、まって何それ?明らかにいわくつきの仕事――」
『いやそうだけど』「いや、そうだけどじゃなくて」
『出会って3日の奴が何億と超える報酬の仕事を出してきたらいわくつきしかないっしょ』
「あんたこの短期間の間に結構軽くなってない?」『日が経つたびに身体が欠けてるからね』
今はほんとにぼっこぼこ。
「……そんなにお金があったらプロの傭兵とか雇おうと思わなかったわけ?」
『正論なんだけどさ、ちょっとお金で得られる信頼が信じられない状況で』
「まあまあ~トリガーも困ってるんだし……信頼できる現金払い、良いんじゃない?受けても」
こっち側の味方は今の所ホシノだけ。
上手いこと説得して早いとこやることやりたいんだけどな。
「……皆さん、一先ずここは受けるかどうか考えましょう。現にしっかり手渡しでお金渡せるお金もあります、何より困っていなかったら私達には頼っていないのも本当だと思います。」
「まず多数決で決めない?、トリガーも時間がないからこうして頼んできてるわけだし」
「……では、賛成の方……手を挙げてください――」
事前にアヤネとは話を付けたからあとは3人だったかな?。
結果としてはまあ、賛成が多数だった。
シロコとセリカは納得いかない様子で反対派。
ホシノとアヤネは事前の説得で賛成派。
なんかいい意味で予想外だったけど決め手はノノミの善意、というか。
なんというか。
「困っているならお互いさまですけど……しっかりと相談しないとだめですよ☆」
といった感じで逆に依頼を逆手に取られてアビドスに拘束されたらしい。
去ろうとしてたのはほんとだったし何も言わないつもりでもあったから大金積んだんだけど。
『いや、個人的なことだからさ?……だから』「手が疲れちゃったかもしれません……」
ノノミの腕の上げ下げ1つでこの状況がひっくり返るから逆らえなくなっちゃった……。
借りたのは体育館の中、僕は今作業できないからみんなに指示しながら任せてる。
だけどちょくちょく喋りかけられる。
「……その腕どうしたの?」『古いからガタが来ちゃって』
シロコとか。
「なんか顔ちょっと違くない?」『浮腫んでる?』
セリカとか。
「……これは後何時間掛かりますか?」『休まずやれば8時間』
さっきから返事を返すだけでも何か重いというか、疲れる?。
……だめだ、思考が止まる。
指示書だけ確認してあとは――。
「トリガー……!?」
……不味い、足が動かない。
いや、バランスが取れなくなってる。
「だいじょうぶ?……」「大丈夫?」
……2人喋った?。
左耳のそばで指を鳴らしてみても聞こえない、耳が完全に壊れちゃった……。
『大丈夫……続けて?、そっちの方が大事だから……』
「えっと、寝たほうが……?」
『寝て治るならそうしてるよ……だから、ほっといて』
〈無理せず横になったほうが良いかと〉
『……そうだね、じゃあちょっと保健室かり――っるけどぉ……誰か肩貸してくれる?』
後の指示はロバートがやることになって運んでくれたのはホシノ。
「昨日はあんな元気に暴れてたのに、今は見る影もないね」『今までが元気過ぎたのかも』
「それでトリガー、あのお金は何処から集めたの?」
『ロバートの趣味、最近カジノが醍醐味なんだって』
荒稼ぎしてカジノサイトを崩壊させたのは黙ってよう。
「アビドスから出て行くの?」『離れるだけ、なるべく遠く』
……今日中に設置は終わるかな、テストも省いてそのまま――。
いや、別に今の僕が動けなくなっても……またロバートが人格を作れば良いんだ。
『発電機の設計しなきゃ、ホシノ、紙とペンを持って』「……うん」
電源に関しては学校の電力では足りない。
アビサルのコアとの飛行機のエンジンとエネルギーシステムから電力を抽出して……。
変圧器を介してカプセルに供給するのが無難かな。
カプセル自体に電力を溜め込める機能があるから短期間でも高出力さえあれば。
いや、カプセルがそれに耐えられるかも考慮しないと。
その過剰な分も使う?。
作業を加速化させれば消費電力も大きくなって負荷は掛かるけど短縮もできるかも……。
「……トリガー、さっきから計算式を消したり書いたりしてるけど……」
『必要な分だけ残して』「どれ?」
……まずはまとめないとダメか。
計算をまとめた後は発電機の組み立て。
まずは改造したエンジンとカプセルを電圧ケーブルで繋げる。
課題だった高出力の問題は3段階で対処することにした。
まずは変圧器で出力を調整。
それでも高ければ余った電気をカプセルに蓄積。
そこから電圧の勢いを確認して作業の加速化で供給と消費のバランスをとる。
発電機の方はコードのを接続とコアの取り付けを行うだけで完了。
問題は……カプセルか。
発電機と接続するのは問題ない、素材も足りてる。
足りないのは設計図、カプセルに投入した設計図は削除される。
その設計図もフィッツにしかわからない暗号を介して作らないと動いてくれない。
幸いなのはその暗号が僕の頭の中にあることと容量の良いAIが居ること。
設計はどうする?。
チャンスは一回、僕は何になるべきだ?。
ロバートのデータベースには確かヴィジョンとウルトロンのデータがあったはず……そこから。
〈トリガー、少し良いですか?〉
『なに?』
〈人払いは済ませましたので個人的な話を〉
多分こうしてロバートが個人的な話を自主的に設けるのはこれ以降なかったかな。
〈貴方は身体を治すのではなく作り替えるつもりですか?〉
『うん、そうした方がいい』
〈その選択は恐らく、今の貴方を自体をも素材にして何かを生み出すことになります〉
カプセルに入ったら僕の殆どは粒子単位で分解されて新しい存在に形成される。
〈そうなってしまえば貴方が果たそうとしていることは全て無に帰すかもしれない〉
生まれるのはただの兵器かも。
『だから、考えたんだ……目的も、守ることもどうすればいいのかって』〈……〉
『君がその身体に入ればいいんじゃないのかな?、僕じゃなくてもそれなら……いい』
〈なぜ?〉
やろうと思えばロバートは身体が無いだけで何でもできる。
銀行をコントロールして、都市全体を動かして、秒針の針が1つ進む間に全てを破壊できる。
ロバートにはきっとそれが出来る、だからそれ以上のことも出来る。
『君はアビドスだけじゃない、苦しんでる人を僕よりも広い手で助けれる……だから、良いかな』
ウルフはHYDRAに捕まった。
少し考えれば理解できたし、ウルフは今きっと……すごく死にたがってる。
だから、あの時……殺してやればって思ってた。
でも出来なかった。
殺す力を持ってるけど、僕は人を殺せない。
ブレーキが掛るんだどれだけ力を込めても……必ずどこかで立ち止まる。
さんざん殺してきた記憶があるのに、殺して褒められ称え得られた記憶があるのに。
僕にはそれができない、人間ですらない僕が人を殺せないなら兵器でもない。
〈……ビブラニウムはある時、一つの国を大きく発展させました〉
『……ワカンダのこと?』
〈国だけでなく、それを持つ者の内にあるものでさえも増幅させる〉
『……人間が誇り高きブラックパンサーになったように?』
〈過程で死の商人と呼ばれるほどの存在を生み出してしまうこともあります〉
『……それで、何が言いたいの?ワカンダの歴史の授業?』
〈私が言いたいのは貴方にとってビブラニウムは血清と変わらないという事です〉
――善人はより善人に―― ――悪人はより悪人に――
〈だから私は、今日世界を救う存在が誕生するのなら貴方を選びます〉『どうして?』
〈貴方は
『……何の力?』
ロバートが言うには僕がただ存在することを望んだ人はこういう事を言ったらしい。
〈誰も殺さずに戦う力、暴力だけで何かを終わらせようとしない心〉
”どんな理不尽を受けようと争いに慣れるべきじゃない”
〈目の前の存在を必ず助けようとする”善性”、それが貴方が持つ力です〉
”幾ら利用されようと人助けを止めるべきじゃない”って。
『……それのどこが力なの?』〈私を変えた立派な力です〉
とりあえず分かったのは、ロバートは僕の案に反対だという事。
だけど時間がないし考えることはやめられない。
でもなんとなくただ兵器じゃダメなんだってことは分かった。
〈何に成るべきかではなく、貴方は何に成りたいのか考えてみるのはどうでしょうか?〉
『……じゃあ、
〈……貴方にとってのアウフは……どのようなイメージで?〉
『本物の”エージェント・トリガー”だけど……正しくは”零落のアウフ”だっけ?』
僕の中のアウフはこう、際も強くて残酷な面は確かにもってるけど。
世界を覆せる力を持っているなら、世界を救える力になるはずだって考える人間でもあった。
〈……では、仮初ではなく貴方の身体をかつて最強と謳われた魔法使いの身体に仕立て上げます〉
設計図が出来上がる頃には、驚いたことにカプセルの調整が終わっていたらしい。
特に頑張ったのはアヤネだけど……みんなも頑張ってくれたみたい。
「うへぇ~……血肉は詰まってないのに重いよぉ……おじさん潰れちゃいそうぉ~」
『言うと思ってたブラックジョーク言われちゃった……』「言わなくていいから」
カプセルを開いて寝かされて……なんか入れられてる?。
「トリガー君次合う時にはもっと元気な姿で……」「ん、この覆面をあげる」
『棺桶じゃないし全部粒子化して再構築されるんだから余計なもの入れないで?』
改めてカプセルに入って、電源を接続。
ロバートによればなんか意識の心配はいらないそうだけど、何時間かかるんだろう?。
その間何も感じな――。
あ――れ、なん――おも――より。
はや――ない?。
〈……それでは30分間、対策委員会の皆さんにはトリガーの護衛をお願い致します〉
「まあ、なんで高額分かったよねぇ~それでも貰いすぎな気もするけど?」
「ん、大金と……出稼ぎ柱が同時に手に入るチャンス」「新しい後輩♪」
「さあ……勝手にうちの自治区で暴れたことを後悔させてやるわよッ!!!」
「それでは……皆さん」
あとから知ったことだけど、ヘルメット団が何故か総力を上げて攻め込んできてるらしい。
何で言ってくれなかったんだろうね。
道理で分解されてる時うるさかったし。
――スリープカプセル防衛戦――
「開始ですッ!」
【トリガーのメモ:魔法使い】
魔力とイメージさえあればどんなもので現実にする奇跡のような存在。
魔法の世界ではイメージがとても大事で花を咲かせたり髪を綺麗にしたり。
時には何てことのない魔法でも使うのが難しかったり。
記憶でいろんな魔法を使っていろんな魔法を見てきた。
何より自由で特別な物を扱う、それが魔法使い。
でもそれは他人の記憶で誰かの魔法。
誰より良く上手く使えるはずなのに使えない。
僕がもつ、人間との大きな違い。