ブルーアーカイブ -LOST MEMORY DISORDER- THE RELOADED 作:かな餅
SHIELD所属の一部科学者により、世界的危機に対抗する兵器開発計画が行われ。
その試作段階において、超人を参照した2体のLMDが製造された。
しかし本計画がダークホールドによる暴走だったことが発覚。
これに伴う開発工程の暴走および倫理的危険性が問題視され、即時中止。
さらに、完成した兵器のに―――と交わした助役抵触する可能性があると判断された。
一切の公的記録から抹消された上で極秘裏に保管されている。
家の前に2人、屋根に2人、家の裏に1人。
無線機は持ってるから全員仕留めないと敵側に情報が行くなぁ……。
だとしたらこのまま走り抜ける?……どこに向かって?。
探したいのは敵側の司令塔、大きく跳躍すれば見つけられるかもしれないけど逃げられるかも。
逃がしたくないし敵が僕に対して有効打がないっていう印象はまだ与えたくないな。
だとしたら追い詰められるふりをして最大火力の戦車をおびき出すか?。
ラブちゃんが一緒だとこの子が持たないかも……だったら。
――
この100人を指揮する司令官を真っ先に捕縛して戦線を離脱する。
狙いは赤いヘルメットに猫耳、無線を持って戦車に乗っている生徒。
「せ、背中に乗ったのは良いけどどうすんのよ?」
『いや、どんな感じかなぁって。移動とか戦闘にする前に確かめとかないと』
一旦ラブちゃんは僕の背中にしがみつかせる予定、戦うのはもっと後で……良いこと考えた。
『よしラブちゃん、君の身体は丈夫だ。だから屋根よりも強い』
「……?」
『だから高く投げても問題ない』
「……??」
『じゃあ投げ飛ばすから戦車がどこにいるか落ちてくる前に認知してね』
「……???」
『よし!じゃあ、いってらっしゃい!!!』
「え、ちょっとま――」
さて、落下してくるまで大体70秒そこらくらいあるかな?。
残り10秒くらいでキャッチしよう、今は……。
「出てきたぞ……」「こいつが……」「人間?」「本当に撃っていいの?」「さっき屋根からなんか……」
『やあ、出会ってそうそうあれなんだけどさ。この場所って学園の自治区だから他校の生徒が暴れちゃダメなところだからで出てってくんない?お互い怪我はしない方が良いし』
「悪いがこっちも仕事なんでなぁ?、大人しくしてればすぐら――」
まずは1人、この子達を気絶させるならほんとに殺すくらいの力加減でいいね。
全員がショットガン、狙撃手は居ないみたいだから……あと40秒くらいで残りを仕留めるかぁ。
「くそっ!ばらけろばらけろ!!!密集したらやられる!」
『そうだね、そっちの方が僕は嫌だ』
「いッ?!」
気絶させなくても足を壊せばまともには戦えなくなる……けど、思ったより痛そうだな。
銃弾には耐えられるけど骨折への痛みは慣れてないのかな?、そりゃそうか。
防弾の身体で骨折する機会なんて滅多にない、じゃあ……尚更効果的に。
「やめっ――っ、ぅ…あ、がっ……ッ!」
喉の奥で何かがひしゃげたような声、とっくに戦意は消えてるみたい。
銃が砂に落ちた乾いた音、懇願のようで拒絶ような目で必死に僕の手を振りほどこうとする。
そのまま力を込めて――。
『ごめんね、治るようにはするからさ』
「だれかッ、たす、けっ、うぐッ……うでが……うでが、グチャグチャにッ……ッ!!」
『そこまでしないって』
「やば……い、一旦引いてみんなで……」
『あれ?じゃあ……この子は君らの分も痛みを我慢しないとだね』
「……」
恐らく絶句、離れたら僕が殺すと思っちゃったのかな?。
別に殺さないけど。
「――ぁぁぁぁぁっっ!!!」
『降りてきたか、じゃあそろそろ行くから……この子達を連れて帰ってね』
飛び上がってラブちゃんを回収っと……さて、例の戦車を見つけてくれたのかな。
『
「
『そっか、じゃあもう一回……』
「待て待て待て!!!待って?!」
ラブちゃんの目視によれば標的は月が沈む方角にいるみたいかな。
『ラブちゃん、今度はしっかり背中にしがみついて離れないで銃も手放さない事、わかった?』
「それは良いけど……あいつら妙に大人しいわね」
『恐らく何か仕込んでるんじゃないのかな、包囲された範囲に』
もしくはこの包囲の中に留めて爆撃とか?。
本気で仕留めたいのか奪った銃弾を見る限りだと鉄のスラグ弾だったし。
僕の世界じゃ軍とか警察くらいしか買えない奴だけどどっから仕入れたのかな。
『見覚えある?』
「……あっ!、これ上から仕事の前に渡された支給品!」
もっと早く言って欲しかったかな、効かないからいいけど。
「多分これ普通の生徒が買わなないってか、見たことないわね……」
『じゃあカイザー?』
「……わざわざ渡す?、下っ端の不良に?」
『戦車よりはコスト安いんじゃない?』
大規模な侵攻じゃない、小隊規模でジリジリ詰めてきてる感じだね。
……まるで僕を討つつもりじゃなくて、別の目的で時間を稼いでるようにも見える。
けど、こっちのすることは変わらない。
跳躍はせず、視認される形で、でも捕まらないように地面を滑るみたいに動く。
だけど時間が経つたびに周囲が徐々に狭まってくる。
包囲網を収束させる、典型的な手口。
「どうすんのよ?……あんたがいくら速くて強いからって戦車と真正面からやり合えるの?」
『やれなかったとっくに逃げてるよ、ただ動きが妙にしっかりしてるのが気になってていろいろ確かめたいの気持ちも出てきてる。ラブちゃんこそ降りた時にはしっかりやってよ』
ここまで目立った罠は無し。
流れてくる通信は、規則正しいリズムで暗号を運んでる命令の形式。
意味はわからない。でも、動きから読み取れる。
これは即興じゃない。
あらかじめ整備された作戦、指揮官の存在は確定だね。
思考の途中で、低く響くエンジン音。
戦車、接近中……となれば、それを護るように生徒の数も増えてる。
「……あれ、もしかして突っ込む気?」
『ご名答、でも……あの数はちょっと邪魔』
30人くらい。
全部蹴散らすのはできるけど、戦車が逃げなきゃ……いいなってところかな。
で、今はそれどころじゃないかも。
……ん? 僕に向いてない銃声。
位置的に別方向、反響的にもそこそこ距離はある。
それに混じる、速い足音。バラバラじゃない。リズムも一定、無駄がない。
複数じゃなくて、一人。
動きが俊敏すぎる。
合間に聞こえるポンプアクションの音……なるほど、あれは。
……うん、制服。ピンク髪。
たぶん、あれ――ホシノだね。
「うえ~……この数はちょっと多いなぁ……」
うん、制服を着たピンク髪のおじさんだ。
「何あれ……あんたと同じ化け物?」
『アビドスの生徒だよ、ヘルメット団が狙ってる学校の生徒』
「杏なの相手にしてるのね……って、助けに行くの?」
『……うん、合流しよっか』
「このちびっ――」
「ちょっと~いくらおじさんでもそれは……あれ?、ん?……うん、坊やだ」
『やあおじさん』
苦し紛れに銃を撃とうとした子を叩いて、ホシノの盾を前に弾丸を防げるスペースを作る。
『愛しい坊やの為に夜を駆け回ってくれたの?』
「見てないうちに冗談を言うようになったねぇ~坊や、こんな状況じゃなかったら感動ものだぁ」
『さてその顔に付けてる片眼鏡みたいなのはロバートでしょ、貸してくれる?』
「はいはい、なんでこんな事になってるのかはあーとーで。じっくり聞かせてもらうからねぇ~」
〈……対象を識別、トリガー。お出かけはどうしたか?〉
『なに?、怒ってる?』
〈いいえ〉
ホシノは大体20人くらい蹴散らして……これだと100人くらい倒した方が早そうだな…。
〈……通信先が解りました、どうやらただの企業ではなさそうです〉
『カイザーとは違うの?』
「……トリガー、カイザーを探ってるの?」
〈通信先が特定不可、いえ通信先幾つも存在します〉
『複数の回線から同じ通信が来てるってこと?』
〈その様です、詳しく言うなら複数の通信から一つのメッセージを作っている様です〉
『やっぱり妙に手が込んでるなぁ……尚更司令官とっ捕まえて話を聞こうか』
「……それで、何をするの?」
『僕らは戦車に乗ってる司令官をとっ捕まえたいんだけど、見ての通り下っ端の子達が邪魔でね』
「……あれ、突破すれば良いんじゃないの?」
できる……けど、拾えた通信はまだ全部じゃない。
ほんの断片。
それに……あの戦車の子、今の僕らの動きに気づいてるのかな。
でも
じゃあ彼女自身の通信はどこに届いてる?
ロバート曰く、彼女の無線機だけは何故か傍受できないらしい。
『だってラブちゃんの喧嘩だし……』
「いや……この際私がどうこうじゃなくても良いんだけど」
『何言ってんの、一発かましたいんでしょ?。そのために連れてきてるんだから』
「……」
『まあ、そう言うことだから僕が戦車相手にしてる間、残りの子達と遊んであげて』
まあ戦車の相手じゃなくて、戦車の近くにいる不良を相手して貰うだけだけど。
「……まあ、どのみちこの
『え……まあいいや、とっ捕まえたら逃げる予定だからホシノは好きにして、時間稼ぎはよろしく』
密集してる不良の列に突っ込む形で、戦車の方角へ進路を取る。
……左右に視線を割くと、戦車の脇には対物ライフル持ちが4人。
この配置は悪くない。正面突破を想定してる布陣だ。
精度は大したことない。けど、被弾したらさすがに硬直は避けられない。
彼女達が持つ
それだけの衝撃を、今の身体が受けきれる保証はない。
盾で弾く選択肢もあるけど……最低防げても、代わりに身体の方が持たない可能性がある。
それに、立ち止まった瞬間、包囲が完成する。
……さて、どうする。
また、“脚の限界”を無視して動くしかない?
それとも、別の一手を――。
「フラッシュならあるからこれを相手に投げて――」
『ねえ、ラブちゃん』
「なによ?」
『もしあの子から何も知れなかったらどうする?』
「とりあえず探すわよ、仕事と一緒に」
『そっか、ねえ――――――いい?』
「……戦車はきっちり仕留めなさいよ」
僕は
目が覚めたら壊れかけだった。
僕にはきっと太陽も運も何もこっちを向いてない。
『……銃で人が死なない世界で
フラッシュのピンを抜いてレバーは握ったまま。
『マフラーを
砲撃は一発まで多分一発まで耐えられる、耐えられなきゃここで壊れる。
『
『”アビドス”のトリガーとしてね』
フラッシュのピンを抜いた。
広がる閃光が合図。
それと同時に、砲身が火を噴いた。
主砲一発。読み通り。
対物ライフルは……今、装填中。
『……じゃあ、始めようか』
白い閃光を合図に、地面を蹴る。
まっすぐ。
でも、素直じゃなく。
ジグザグに視線を撹乱しながら、狙いをズラすように。
距離、約500メートル。
70キロの速度を出せても直進で25秒。
この動きじゃ、1分以上はかかる。
でも、時間はもう、問題じゃない。
発砲のリズムが早まる。
砲弾が風を裂いて、皮膚をかすめる。
静かだった視界が、砂のノイズで満ちる。
心拍数は変わらない。
止まる心臓なんてない。
『……ああ、ほんと。』
兵器でよかった。
当たっても、人が死ぬわけじゃない。
僕が“人間”じゃない限りはね。
「あいつ……なんでよけれ――」
空から何かが降ってくる。
重力に逆らわず、勢いだけで真っ直ぐに。
……ああ、フラッシュバンの後に適当に投げ飛ばしたラブちゃんだ。
「ジャブジャブヘルメット団隊長! 河駒風ラブッ!!」
元気だ。
高度20メートルからの割に。
「?!」
……びっくりしてる?まあ、そりゃそっか。
“空から降ってくる隊長”なんて、初見殺しにもほどがある。
「消えたうちの部下の事……ぶちのめして聞かせてもらッ――」
「ギャッ?!――」
……よし、着地。たぶん成功。
五点着地すらできてなかったけど、生きてる。
立ち上がってるし、なんか叫んでるし。
拳も振り上げてるから……まぁ、上手くいってるんじゃないかな。
やっぱり、あの子は丈夫だ。
じゃあ、こっちも全力で行こうか
息を吸う必要も、吐く必要もない。
でも、ひとつだけ、意識する。
地面を蹴る音を響かせること。
砂を踏みしめ、身体を傾け、腰を落とす。
深く、低く、まるで地面ごと引き裂くかのような姿勢。
走る。
その速度に、風が押し戻される。
皮膚を切るような砂嵐が、視界を覆う。
それでも構わない。目標はもう見えている。
逃がさない。
関節を固定。腕の駆動音が低く鳴る。
加速と同時に、拳を振るう角度とタイミングを計算。
着弾点は正面装甲。
”殴る”という動作に必要な全てを、
全身のバネを一点に集めて。
E = (1/2) × m × v^2
E = (1/2) × 30000 × (19.4)^2
E = 0.5 × 30000 × 376.36
E = 15000 × 376.36
E = 5,645,400J
『時速70㎞で殴られたことは?』
ないよね。
【トリガーのメモ:ビブラニウムの盾】
硬い軽いよく飛ぶ。
弾道を計算して投げれば帰ってくる優れもの。
かつては英雄が使う予定だったものだけれど、今は僕が使ってる。
砂が積もった場所だとソリにもなる。
でも枕すると固いからちょっと不便かもしれない。