身体が…痛い。
どこが痛いのか分からない程の激痛が走る。
焦げ臭い匂いがする。
何か、肉が焼けたような…
目の前で何が起きてるかを確認しようと、重たい瞼を開ける。
目の前に巨大なライトの様な物で強烈な光を放っている。
自分はどうやら寝転がっている状態の様だ。
起き上がろうと手足に力を入れる。
「…?」
だが起き上がれない。
いや、まず手足の感覚がない。
それに視界の見え方が通常半分しか映らない。
どこか既視感を覚えながら頭をあげる。
「…あ」
身体を見ればとても酷い惨状であった。
片脚は斬られた様に綺麗な断面を見せ、もう片方は散弾銃を近距離で撃たれたのか酷い抉れ方をし、片腕はまるで押し花の様に潰されており、もう片方は形は歪で、所々に炭が散っており、高熱の炎で焼かれたようだった。
普通の人なら発狂ものの光景だが、彼は酷く落ち着いていた。
何故なら。
(こんな実験何回もされたしなぁ…今更かな)
慣れていた…いや、慣れてしまっていた。
そんな事は気にせずに彼は頭を回す。
(このやられ具合いは…奴らにオーパーツとやらを入れ込まれてから一回目の大型実験の時かな)
(て事はこれは…夢、かな)
確認の為に下唇を噛む。
「…痛くない」
不思議なものだ。
身体の感覚はあるのに痛みという存在が存在しない不思議な空間だ。
(…実験される時もこんな感じで痛みがなかったらなぁ)
そんな事嘆いても仕方がない。
それに、二度とこんな実験には関わることも無い……筈だ。
自分は逃げ切れたのだろうか。
直前に見たあの景色は?
あの場所は?
…初めて見た、とても透き通った青い空は?
色々な事に頭のリソースを割いていると、
(…ん?)
視界が少しづつぼやけて行く。
もう少しで夢から覚めるのだろう。
夢から覚めるのなら、願うしかない。
(…奴らに捕まってませんように)
そんな事を想いながら、意識は消えた。
ーーー
「…ぅん」
目を覚ますと、奴らの研究所で見たような天井ではなく、見知らぬ天井だった。
鼻に少し嫌な臭いが突き刺さる。
消毒液の臭いだろう。
研究所で散々嗅いだ臭いだった。
少しばかり嫌な気持ちになったが、気持ちを切り替え部屋を見る。
質素な部屋にある棚には、消毒液や包帯、ハサミなどと様々な医療器具が揃っていた。
ベットから立ち上がろうとして、身体を起こす。
するとドアが開き、一人の大人が入ってきた。
大人はこちらに気付くと、笑顔を見せながら話しかけてくる。
”あ、起きたんだね”
「あ〜…誰でしょうか?」
目の前の大人に警戒心を抱きながらも会話をする。
”私?私は連邦捜査部S.C.H.A.L.E(シャーレ)の先生だよ”
「しゃ…シャーレ?」
先生以外の聞いた事のない単語に頭が若干オーバーフローを起こしながらも整理していく。
”あれ?知らないの、シャーレ”
「…知らないですね、聞いた事もないので」
警戒心は解かず、オーバーフロー気味の頭で会話を繋げる。
”…じゃぁ、ここがどこだか分かるかな”
「分からないですね」
目の前の大人…先生が少し悩んだ後、真っ直ぐな目でこちらを見つめる。
”じゃぁ、ギヴォトスって知ってるかな”
「ギ…ヴォトス?…知らないですね」
ギヴォトスという聞いた事のない地名。
聞いた事のない単語達は頭を掻き乱していくだけだった。
”知らないと言う事はこの子は私と同じ外から来た…いやでも…”
目の前の大人はブツブツと何かを呟いていく。
僕はいまだに状況を理解出来ず、身体は硬直したままだった。
”…ひとつ聞いてもいいかな”
「…なんですか」
”なんで君はあそこまでの酷い傷を負っていたのか、教えてくれるかな”
「…」
言葉が詰まる。
息が詰まる。
強烈な恐怖で身体が強ばる。
視界が歪み、ゆったりと流れていく。
初対面のこの大人に説明していいのか。
信用する所など分かりもしない大人に。
怖かった。
話したら奴らの様になるかもしれない。
恐ろしい存在と認知されてしまうかもしれない。
それでも言葉を紡いでいく。
「…話せません、貴方の事はまだ信用出来る程知らないので」
なんの捻りもなく、そのまま思った言葉を口にする。
目の前の大人は見るからに分かる程しょげた雰囲気が出ていた。
”やっぱりダメか〜…”
頭をポリポリと掻きながら苦笑いを浮かべていた。
”まぁ初対面の大人にパッと話せる様な内容じゃなさそうだし”
目の前の大人はパッと笑顔に変わると、こちらへと手を伸ばしてくる。
”信用してもらう為に、まずはギヴォトスの説明をしよっか”
取り敢えず僕はうなづいた。
あまりにも駄文すぎて泣いた