現代魔法術はアプリで効率化!私は私の魔法術を極めたい   作:サモア リナン

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第12話 これが私の距離だ

訓練場には、まだ微かに乾いた砂塵が舞っていた。

黒峰エイジが腕を組んだまま、対峙する春佳奈を見据える。その眼差しは、さきほどの後輩・後藤との訓練よりも明らかに鋭く、警戒心を帯びていた。

 

春佳奈は深く息を吸い、瞳に熱を宿す。

穏やかな微笑みは消え、ただ静かに――けれど確かに、戦う者の顔へと変わっていた。

 

「さあ、黒峰ランカー。存分に、私の魔弾の力、見せてあげましょう!」

 

言葉と同時に、彼女の手元に蒼い魔力が収束し、ハンドガン型の魔法陣へと変化する。

ベレッタPX4 ストーム サブコンパクト。小型で扱いやすく、春佳奈が中距離戦で主に使用する構成魔器だ。

 

「ふん……随分と物騒な玩具を扱うようになったな」

 

黒峰は余裕を装いながらも、魔力を全身に巡らせ、戦闘態勢を整える。

Aランカーとしての経験から、春佳奈が見せる“ただの派手な魔法”の裏に、緻密な戦術が潜んでいることを知っていた。

 

「玩具、ですって?これは私の魂の具現!星屑の息吹、《アストラル・ブレス》!」

 

放たれたのは蒼い光弾。軌道には星の粒子のような光が瞬き、冷気を帯びた弾丸が空を裂く。

黒峰は紙一重でそれを回避し、懐に飛び込もうと距離を詰める。

 

「っ早い!術式構成…領域確保―《サンダー・ジャッジメント》!」

 

彼女の背後に広がった魔法陣は長方形の銃の形へと変化し、アサルトライフル――LM4A1 R.I.Sモデルを構成。

引き金を引くようなモーションの直後、雷光の奔流が黒峰の突進を阻むように薙ぎ払った。

 

「くっ……!」

 

黒峰は咄嗟に腕で受け止め、電撃の痺れに身体を震わせながらも態勢を維持する。

が、その隙を春佳奈が見逃すはずもない。

 

「今、《土隆起弾》十連装――構築モード、展開!」

 

彼女はアサルトライフルを保持したまま魔法陣を再構成し、連続で土属性魔弾を発射する。

砂塵が舞い、連続着弾によって地面が隆起。遮蔽物が生まれ、敵の視線を遮りつつ、さらに地形を変える。

高低差を活かした戦場が、十数発の精密な射撃によって一瞬で形成された。

 

「これで……視点確保」

 

次の瞬間には春佳奈の姿は消えていた。

彼女は構築された遮蔽の奥、即席のスナイピングポイントに身を潜めていた。

 

(今の……構図、超かっこいい……!)

ネオノアが脳内で小さく囁く。《同感、震えるね。戦場制圧力、非常に高いものと判定します》

 

高台の陰で、春佳奈は長距離用の魔法陣を展開する。

現れたのは、漆黒の銃身――スナイパーライフル、LM24 SWS。

 

「そして、終焉を告げる一撃。《星影の沈黙》、《サイレント・ステラ》……」

 

意識を集中し、黒い光が銃口に凝縮されていく。ほんの少しのズレが命取りのスナイパーライフルの構成には全力で神経を注ぐ。

 

そして、音もなく放たれた漆黒の弾丸は、空を裂いて一直線に黒峰を狙う。

 

「……!」

 

黒峰は即座に最高クラスの防御魔法を展開。全力の警戒で迎え撃つ。

たとえ訓練でも、受け損ねれば無事では済まないことを、本能が理解していた。

 

遠巻きで見ていた香坂は、やれやれと肩をすくめる。

 

「また始まったよ……あの中二スタイル……」

 

訓練生たちの視線も集中する。派手で中二全開の戦闘スタイル――だが、それを成立させているのは、ネオノアによる補助と、徹底的に計算された属性構成、発射順、地形利用に基づく緻密な戦術。

 

「……ふぅ。どうでしたか、黒峰ランカー。私の戦闘における基本かつ奥義《多重属性魔弾乱舞(マルチプル・エレメンタル・バレット・ダンス)》の片鱗は、味わっていただけましたでしょうか?」

 

彼女はスナイパーポジションから身を現し、息を整えながら誇らしげにそう告げた。

だが、言葉の端々には隠しきれない“それっぽさ”が滲む。

 

黒峰は額を押さえ、口元を引きつらせながらも素直に感心する。

 

「……いや、まいった。正直、ここまでとは……。中二っぽい言い回しはともかく、動きと構成、全部が実戦想定済み。マジでやばいって、あんた」

 

そして、ふとしくん――かつて春佳奈に助けられた男子生徒は、少し顔を赤らめながらぽつりと呟いた。

 

「……いや、かっこいいとは思うんだけどさ……でも、やっぱりちょっと……恥ずかしいよ、先輩」

 

春佳奈は一瞬だけむっとするが、すぐに笑って肩をすくめる。

 

「じゃあ、恥ずかしさを吹き飛ばすくらい強くなってみて? 私が教えるから」

 

ふとしの顔が引き締まった。

 

「……はい、お願いします!」

 

その声に、どこか希望の光が混じっていた。

 




あ!言い忘れてた、、、春佳奈ちゃん高校3年生になってるよ。
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