現代魔法術はアプリで効率化!私は私の魔法術を極めたい   作:サモア リナン

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第20話 無駄な覚悟

スライムとの戦いの後、

 

太と春佳奈は苦戦しているランカー達を見つける。

 

「やばい、あの女の子、やられる!」

 

春佳奈が深く息を吐き、術式を構成する。

魔法陣が静かに、そして確実に展開されていく。

漆黒のスナイパーライフル――LM24 SWSが召喚され、彼女は射撃姿勢を取る。

 

(落ち着け、外せばあの子は死ぬ。ネオノア、補助お願い)

 

(敵のインサイト確認。姿勢安定、照準固定。使用弾《不死崩し》選定。デバイスリンク中、術式記録を開始します)

 

自分のスイッチが、カチリと入る音がした。

彼女の口元に、不敵な笑み。

 

魔法陣が再度組まれ、形成されるのは特殊弾丸――その名は《不死崩し》。

 

「再生能力?笑わせないで。何度生き返ろうが、死にきれる場所を与えないだけよ」

 

詠唱が始まる。

 

 

「癒えし傷よ、今こそ断て」

「命の縁、ここで終われ」

「魂の楔、深く刺され」

「可逆なる循環を、拒絶せよ――!」

 

術式が銃身を這い、赤き魔紋が光を放つ。

銃口から迸る力が空気を震わせ、視界が歪んで見えた。

 

「――我が弾は平等に“死”を与えん」

 

《不死崩し(フラクトゥーラ・エテルナ)》!

 

──ターンッ!

 

「ictus alter(イクトゥス・アルテル)」

 

──ターン!!

 

鋭く、研ぎ澄まされた2発の弾丸が疾駆する。

 

一直線に。

 

死を引き連れて。

 

点で、終わらせる。

 

ヴァイタルは、再生能力を持っていたことすら忘れさせるほど無残に崩れ落ちた。

もはや立ち上がることは、二度となかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

【黒峰&斎藤櫻vsヴァイタル5体】

 

黒い霧が裂ける。

「……来た」

斎藤が一歩、前に出た。手に握られた雷槍から微かな放電が走り、地を焦がす。

その先に現れたのは、異形の兵装。5体のヴァイタル──生体と機械が歪に融合した存在。

 

「ちっ、あれ全部倒さなきゃ前に進めねぇか…」

黒峰が舌打ちしながらも、剣を肩に担ぐ。

 

次の瞬間、ヴァイタルたちが一斉に跳躍。殺意の奔流が押し寄せた。

 

「はああああぁぁっ!」

斎藤の雷槍が唸り、放たれた稲光が空間を裂く。

雷撃が一体のヴァイタルを貫いた──かに見えたその刹那、肉が蠢き、焼け焦げた部位が再生していく。

 

「再生能力!?」

「なら再生限界まで斬るまでだ」

黒峰の声が静かに響くと同時に、抜き放たれた剣が光を裂いた。

斬撃の残光すら残さず、ヴァイタルの一体が真っ二つにされたかと思えば──それすら蠢く肉塊となり、形を取り戻す。

 

「ったく、厄介すぎる……!」

斎藤が苦々しく舌打ちする。

 

二人は怯まない。いや、戦場に立つ者の瞳に、そんな文字はない。

 

「黒峰先輩、久々にどちらが多く倒せるか競いますか?」

「冗談、俺を抜かした後輩と争う趣味はねぇ」

 

「そんなことないです。先輩なら申請すればすぐSランカーになれるのに」

「それこそ冗談言うな。やること増えて妻子との時間が削られるだけだ」

 

「あー、…確かに、Sランカーになってから息子と会う時間少なくなって最近パパにばっかり懐くんです、メソメソ」

 

「下手な泣き真似。せめて稼ごうぜ」

 

「お金より時間欲しー」

 

軽口を叩きながら再び、雷光と剣閃が戦場を支配する。

 

斎藤の雷槍は速度と出力を限界まで引き上げ、超加速突進で敵を貫く。着弾と同時に雷が炸裂し、周囲を巻き込む。

 

黒峰はその隙を縫うように、剣を一閃──地を滑るような動きで敵の懐に入り込み、芯を狙って一撃で沈める。

 

だが──

 

「くそっ、まだ……!」

融合体の中心部が、異様な発光を帯び始めた。再生能力を超える「再構成」。自らの肉体を武器へと変貌させている。

 

「今なら止めれる!」

斎藤が再度雷槍を構える。黒峰が横から言った。

 

「……ああ、行くぞ」

雷と剣が交差する。2人のタイミングが完璧に噛み合う。

 

「──雷槍・断罪ッ!」

「──双刃穿つ!」

 

雷光と剣圧が、ヴァイタルを中心に直撃。激しい爆裂音とともに、空間ごと吹き飛ばした。

 

──沈黙。

 

数秒ののち、煙の向こうに、5体分の肉塊が転がっていた。

 

斎藤と黒峰が、互いの背中を預けながら息を整える。

 

「……終わった、かな?」

「フラグ立てんな。そういうジンクスあるだろーが」

 

「意外ですね。信じてるんですか?」

 

「ジンクスはエビデンスって言ってな。バカにできん」

 

戦場が静寂に包まれたのは、ほんの数秒。

風が吹きすさび、転がる肉塊に引き寄せられるように収束していく。

 

ギュッ……ギュル……ギュチ……!

 

不快な音が鼓膜を打つ。

肉が、骨が、金属が、意思を持つように互いに食い合い、押し合い、融合していく。

 

斎藤と黒峰が音の発生源に目を向けると、そこには――

 

再構成された“新たなヴァイタル”が、立っていた。

 

身長は150cmほど、小柄。だがその身体は無駄なく研ぎ澄まされた筋肉で構成されている。

機械のような節のある手足、無表情に近い能面のような顔──

 

だが、その目だけが異様に生々しく、憎悪と殺意に満ちていた。

 

「……睨まれてるな、これ」

 

斎藤が小さく呟いた。

 

たった一体。それだけで、空気が重くなる。

さっきまでの5体の方がマシだった――そう思えるほどの圧。

 

動き出す前から、わかる。

「手加減してくれる」なんて希望は、これにはない。

 

「男の人ってこういうの好きですよね。タイプじゃない」

 

「うーわ、合体かよ。やだやだ。絶対強いやつだって、これ」

 

「無傷での勝利…は無理そうですね。はぁ…私、まだ女であること捨てたくないんですけど」

 

「旦那に慰めてもらえや」

 

「そうします」

 

雷槍に、紅雷《緋迅(ヒジン)》が迸る。

黒峰は剣を持ち上げ、魔力を刀身に全集中。どちらも防御を捨てた、決死の一撃構え。

 

刹那、音が消える。

 

敵の気配だけが、空気を支配する。

 

そして――

 

──ターンッ!!

 

一発のヘッドショットが静寂を裂く。

 

 

黒峰&斎藤「「えー……」」

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